あらすじ
インテリジェンスを制する者が国を治める。徳川260年の泰平も崩壊も極秘情報をめぐる暗闘の成れの果て。将軍直属の密偵・御庭番、天皇を見張る横目、実は経済スパイだった同心──近世政治史の泰斗が貴重な「隠密報告書」から幕府情報戦略の実相を解き明かす。
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Posted by ブクログ
【江戸時代、江戸は全国の、また外国の情報も集中する「インテリジェンス都市」だった】(文中より引用)
泰平の世が長く続いた江戸時代。徳川幕府が国内や国外の情報を入手するために張り巡らせたインテリジェンス網に関してまとめた一冊です。著者は、日本近世史を専門とする藤田覚。
いわゆる鎖国下の中、日本がどうやって海外の情報を入手していたかが非常に興味深かったです。また、八代将軍である徳川吉宗の時代に情報網や役職が広く整理されたことから、吉宗に対する見方も重層化されたように感じます。
固有名詞の読みづらさはありますが☆5つ
Posted by ブクログ
江戸幕府のインテリジェンスは実は盤石で、国内はもちろんのこと、対外情報も積極的に収集したことが本書を読むとわかる。なかでも徳川吉宗は御庭番や普請役と、情報収集の重要性を理解していた。幕府は最上徳内や間宮林蔵など、幕臣、民間人を登用してロシアの情報を、また、オランダ風説書の情報を経由して、アヘン戦争などの国際情勢を把握していた。
Posted by ブクログ
<目次>
序章 幕藩体制の核心はインテリジェンスだった!~情報と江戸時代の政治・交通
第1章 将軍直属の「スパイ」がいた!~御庭番の情報収集と幕府政治
第2章 大名と幕臣を監察する将軍の「目」~小人目付の情報収集と幕政の
第3章 「探検家」の真の任務とは?~勘定所普請役の情報収集
第4章 犯罪捜査と経済調査のエキスパート~町奉行所隠密廻り同心の情報収集
第5章 異国船とアヘン戦争、鎖国下の情報戦~オランダ風説書と対外政策
第6章 「敗戦」という不都合な事実の拡散~文化露寇の情報と政治
終章 インテリジェンスの大失策が幕府の命取りに!~天皇・朝廷情報の収集
<内容>
もっと「御庭番」=忍者とかの話かと思った。それよりもきちんと江戸時代の政治史に裏からかかわっていた「情報」について、実例を多くあげながら紹介するものだった。普段の授業の通常の政治史に彩を添える話が出来そうだ。