金子みすゞのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
現代人がスマホと睨めっこして自己完結する時間は、今後なくなることはないと思う。自分にパーソナライズされた突飛で刺激の強い映像を脳が覚えてしまったためである。現代人を批判するわけではないが、今の人には書けない観点から日常の生活、自然を描いたこの詩集はもはや違う国の全く違う文化の作品と言っても過言ではない。
私はこの詩集を読んで、文化的違いを感じた。だが、同時に文章から掬い出される優しさ、寂しさから懐かしさも感じた。それは現代人の暮らしに全く着いていけてない祖父母の記憶だと思う。デジタルに無頓着な代わりに草木の知識があった祖父母である。もうしばらくもすればいなくなってしまう祖父母である。
私は -
Posted by ブクログ
「こどもは大人のはじめです。こどもは人間のはじまりです」
大漁、つゆ、わたしと小鳥とすずと、、、これらの作品は、みすゞの視点を伝え、優しく、あたたかい心を広げてくれる。童謡は詩、リズムのある詩、だれにでも、わかることばで書いた詩、じぶんのリズムで、読んだり、うたったりできる詩です。金子みすゞの童謡は、そんなすてきな詩だ。
詩のはじまりは、神さまへのおいのり
みすゞの童謡は、みすゞのいのりの詩
だれの心のなかにも、みすゞはいる。みすゞの童謡を読んで、ひとりでも多くの人が、じぶんのなかのみすゞを見つけてくれたら、わたしはもっと、もっとうれしいのです。
#読書 #読書が好きな人とつながりた -
Posted by ブクログ
読んで改めて思う。
金子みすゞは天才だと。
こんなにも無邪気で、透徹した目線で、それでいて詩としての完成度が高い。童謡詩人と言うだけあって、子どもにも口ずさんで読んであげたい詩ばかりだ。もちろん、大人になって読んでも響く。
有名な「私と小鳥と鈴と」や、「こだまでしょうか」も収録されており、充実した一冊だ。
私は特に序盤に収録されている詩が好きで、「大漁」の鋭さ、「お菓子」のやっちゃった背徳感の描き方、「こころ」の母親を寛大な目で見ている幼い子ども心、「不思議」の不思議に思うことを当たり前と言われることすら不思議と捉える純真さ、「二つの草」のお互いの立場が違う故に分かたれる物悲しさとそれでも知ら -
Posted by ブクログ
金子みすゞさんの詩集ですね。
みすゞさんの詩はおりにふれて目にする事はありましたが、短いなかにも心惹かれるものの多いのに感心していました。
今、こうして詩集として声に出して読んでみると、みすゞさんの宇宙が私の命のなかにも響きます。
50篇の作品が紹介されています。
蜂と神さま
蜂はお花のなかに、
お花はお庭のなかに、
お庭は土塀のなかに、
土塀は町のなかに、
町は日本のなかに、
日本は世界のなかに、
世界は神さまのなかに、
そうして、そうして、神さまは、
小ちゃな蜂のなかに。
みすゞさんはとても真実を汲み取る力が強かったのではないでしょうか。
みすゞさんの生涯は悲しい結果に終わったよう