あらすじ
明治36年、山口県に生まれた童謡詩人金子みすゞ。
彼女の残した作品には、小さな動植物に対する深い愛情や悲しみ、そして子供の持つ独特の感性などが、みずみずしい言葉で綴られています。
本書では、金子みすゞの名詩を93編収録。
こころに響く金子みすゞの詩を味わってください。
感情タグBEST3
Posted by ブクログ
現代人がスマホと睨めっこして自己完結する時間は、今後なくなることはないと思う。自分にパーソナライズされた突飛で刺激の強い映像を脳が覚えてしまったためである。現代人を批判するわけではないが、今の人には書けない観点から日常の生活、自然を描いたこの詩集はもはや違う国の全く違う文化の作品と言っても過言ではない。
私はこの詩集を読んで、文化的違いを感じた。だが、同時に文章から掬い出される優しさ、寂しさから懐かしさも感じた。それは現代人の暮らしに全く着いていけてない祖父母の記憶だと思う。デジタルに無頓着な代わりに草木の知識があった祖父母である。もうしばらくもすればいなくなってしまう祖父母である。
私は最終的に、失われていく文化や価値観、その時代を行きた人の感性をすごく大切にしたいとと思った。金子みすゞさんの詩を心から全て理解は出来なかったが、ほのかに香る優しさや慈しみをキャッチし、過去に思いを馳せることとする。
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読んで改めて思う。
金子みすゞは天才だと。
こんなにも無邪気で、透徹した目線で、それでいて詩としての完成度が高い。童謡詩人と言うだけあって、子どもにも口ずさんで読んであげたい詩ばかりだ。もちろん、大人になって読んでも響く。
有名な「私と小鳥と鈴と」や、「こだまでしょうか」も収録されており、充実した一冊だ。
私は特に序盤に収録されている詩が好きで、「大漁」の鋭さ、「お菓子」のやっちゃった背徳感の描き方、「こころ」の母親を寛大な目で見ている幼い子ども心、「不思議」の不思議に思うことを当たり前と言われることすら不思議と捉える純真さ、「二つの草」のお互いの立場が違う故に分かたれる物悲しさとそれでも知らずに隣にいるという事実の尊さ…語り始めればキリがない。
中でも一番好きな「土」を引用させていただいて〆る。
ーーー
土
こッつん こッつん
打たれる土は
よい畠になって
よい麦生むよ。
朝から晩まで
踏まれる土は
よい路になって
車を通すよ。
打たれぬ土は
踏まれぬ土は
要らない土か。
いえいえそれは
名のない草の
お宿をするよ。
ーーー
…なんと優しいうただろう。
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金子みすゞ、この高名な詩人の作品を永らく読んでいなかったことを恥じる。常に平易な言葉で語られているが、素晴らしい抒情性豊かな詩が多い。
私と小鳥と鈴と
夜ふけの空
雪
海へ
星とたんぽぽ
金魚のお墓
浜の石
積った雪
などが印象に残った。
もう一人の郷土の詩人、中原中也に勝るとも劣らない。素晴らしい詩人だ。
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東日本大震災の際に『こだまでしょうか』が流されて、気になっていた詩人です。
みすゞさんの詩は優しく心に染みる。でもちょっと寂しさも含まれ、それは彼女の育った環境によるものなのかもしれません。
『私と小鳥と鈴と』の「みんなちがって みんないい」この言葉を読むと、大袈裟ですがなんか許されている、そのままでいいよ、と言われているような気持ちになります。今も制限の多い時勢で、そんな時こそ彼女の詩に触れてほしいです。
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「私と小鳥と鈴と」「こだまでしょうか」「不思議」「誰がほんとを」「星とたんぽぽ」「ばあやのお話」が印象に残った。瑞々しい感性を失わず、保ちたいと思います。
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2020年16冊目。(再読)
誰かが喜んでいる裏で、人知れず悲しんでいる人がいる。そういう「見えないけれど、たしかにある」ものへの繊細過ぎる感性が、人だけでなく、動物や植物、天体や自然現象にまで働いてしまう。大げさでなく、万物に耳を澄ませ、声を聴いていたのではないかと思う。
だからこそこんなに素晴らしい言葉を紡げるのだと思うし、だからこそいろいろなものが見えすぎて苦しい面もあったのではないか、と想像してしまう。ときどき見せる茶目っ気のある詩はかわいらしいけれど。
どの詩も、リニアに情景が動いていくというよりも、かなり構造化されている印象。A→B→C→D→E......ではなく、A→B→A'→B'→A''→B''→C.....というような感じ。これは何かに似ていると思ったら、モーリス・ラヴェル作曲の『ボレロ』の流れだ。この詩人が好きになる理由が、またひとつわかった。
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2012年86冊目。(初読:2012年11月12日)
見えないものを、見ようとする。
聞こえないものを、聞こうとする。
役割のなかったものに、役割を見出す。
そんな心が見事に表れている。
素晴らしい詩集でした。
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金子みすゞ の詩集を衝動買いしました。
今読んでいます。
金子みすゞ の生涯って決して幸せではなかったようです。
結婚した男は最悪。
最愛の娘をその男に渡さぬ為にみすゞは自ら命を絶ち、究極の抗議をしました。
金子みすゞの詩は、みずみずしい子供の感性と、びっくりするような意外性のある悲しみを見抜く目、どれもが光る作品が多い様に思います。
僕の本棚から、また取り出して、時折眺めたい至極の言葉の達です。
余計な解説が無いので自分の感性で読める、良書です。
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今まであまり読んでこなかった詩。恥ずかしながら知らなかった金子みすゞさんの作品。なんていうかとても澄んだ詩が多いと思った。中でも「雪」はとても心に沁みてきました。「ひよどり越」も【めざす平家は梨の芯】なんて比喩がとてもよかったです。
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★★★★☆NHK 100分de名著で取り上げられて読んでみたくなりました。日常の何気ない誰にでもある出来事が詩になっていてイメージしやすくて分かりやすかったです。なるほどと思える詩、せつなくなってしまう詩など気持ちが入り込む内容でした。詩を読むことに苦手意識がありましたが、詩もいいなと思える作品で苦手意識を変えてくれました。
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「私と小鳥と鈴と」で名前は存じ上げていましたが、他の詩は読んだことがなく読んでみました。私は全体的に深い悲しみを感じました。その理由は詩から読み取れます。
特に好きな詩は「露」、「灯籠ながし」、「積もった雪」です。
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女性の地位が低い時代に、金子みすずのように自分なりの生き方と生きがいを見つけて生きていた女性がいたことはとても勇気づけられる。彼女の詩は詩に親しまない私にも難しくなく、心に真っ直ぐに向かってくる聡明な詩であった。だが、彼女の人生を知るとそれも全て痛ましさに変わってしまった。
彼女の人生を知ってからというもの、それまでは触れたとたんに安心と涼しさが溢れてきた彼女の詩も、深い悲壮感のスイッチになってしまった。
美しい詩にはそれなりの理由がある。
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「私と小鳥と鈴と」「こだまでしょうか」が載っていたので、読んでみた。
金子みすゞさんの独特の感性に触れることができ、哀愁やときにはハッとする言葉が綴られていた。
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以前に合唱曲で何作か触れたので、この機会に他の作品にも触れてみたかった。
『硝子は 空っぽのように すきとおって見える。 けれども たくさん重なると、 海のように青い。 文字は 蟻のように 黒くて小さい。 けれども たくさん集まると、 黄金のお城のお噺もできる。』(硝子と文字)
優しく繊細ながら、時折はっとするほど鋭い観察眼も覗かせる瑞々しい言葉達。
なぜ自死を選ぶに至ったのか、作者の人生も気にかかる。
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「こだまでしょうか」「大漁」「私と小鳥と鈴と」も入った詩集。声に出して読むと自分の声がきれいになったような気分になるので嬉しかった。金子みすゞが山口出身なので、九州に愛着がある私としては言葉のリズムがなじみ深い。子どもような純粋な目線で生と死が鮮烈に描かれていて面白い。26歳で自死を選んだのは死に囚われすぎてしまったからなのだろうか。
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こだまでしょうか いいえ、誰でも
に感銘を受けて手に取った。
とても身近で小さな気づきで、素朴で愛情のある詩が多く、とても思いやりのある人なのだなと思った。
「つもった雪」がおすすめ
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前半の詩には、どこか教条的というか、話題になったCMのような使われ方をされたとしても無理もないような気がした。
後半になるほど、美しい詩が増えた。これは年代順なのかしら。
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この人の作品は、CMやらドラマやらで何度か目にしたことはあるが、まとまった形で読むのは初めてだった。どれも七五調の短いもので、子供が書いたのかと思ってしまうような内容だった。が、時にはっとするような新鮮な発見もあった。何度でも読み返して、気に入った作品は諳んじたいと思う。
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「積もった雪」
上の雪、さむかろな。つめたい月がさしていて。
下の雪、重かろうな。何百人ものせていて。
中の雪、さみしかろな。空も地面もみえないで。
こんなにあらゆる事に、気持ちをはせることが出来るって本当に素敵。ちょっとほっこりしたときにパラパラめくりたい詩集です。
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“詩集”などというものを、生まれて初めて購入。
……なぜに?
衝動買い。
……どうして?
「こだまでしょうか」が気になって。
………こだまでしょうか、
いいえ、誰でも。…………
この一文を読むとどうしても、“あの日”の後の1週間が思い出されてなんとも言えない気持ちになるのだけれど…。
でも、良い詩だなと改めて思った。
他……
「私と小鳥と鈴と」
「ばあやのお話」
「お魚」
「転校生」
「こぶとり」
は、なんだか不思議と心に残った。
全体的には、何やら切ない気分になる詩が多く、一冊読み終えた読後感は、あんまりよろしくないみたい(苦笑)。
★3つ、7ポイント。
2013.11.01.了。