中村仁一のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
現場の葛藤、そして「死」への向き合い方を再確認させてくれる一冊。
23年間、介護の現場に身を置いてきた一人として、
これほど胸に突き刺さる本はありませんでした。
日々、入居者様やそのご家族と向き合う中で、
私たちは常に「どこまでが生活の支えで、どこからが過剰な医療なのか」
という問いに直面します。
本書で語られる「平穏死」や「自然死」という考え方は、
効率や安全ばかりが優先されがちな現代の介護現場に対する、
ある種の救いのように感じられました。
特に心に響いたのは、死を「敗北」ではなく「人生の完結」として捉える視点です。
私たちケアワーカーは、最期までその人らしくあるための黒子ですが、
時には医療の介入によって、その静かな時間をかき乱してしまうことへの葛藤もあります。
2025年問題を目前に控え、この本が提示する「覚悟」の必要性は、決して他人事ではありません。
もちろん、すべての考えにすぐに答えが出るわけではありません。
しかし、現場で歯を食いしばって働いているからこそ、中村先生たちの言葉は、きれいごとではない「真実」として響きました。
これからも、目の前の利用者様に寄り添いながら、
「本当の幸せとは何か」を問い続けたい。
そう強く思わせてくれる、プロとして、そして一人の人間として、
何度も読み返すべき教科書です。 -
Posted by ブクログ
「本から」
本人に治せないものを、他人である医者に治せるはずがない
「自然死」の年寄りはごくわずか
介護の“拷問”を受けないと、死なせてもらえない
「できるだけ手を尽くす」は「できる限り苦しめる」
極限状態では痛みを感じない
長期の強制人工栄養は、悲惨な姿に変身させる
鼻チューブ栄養の違和感は半端じゃない
“老衰死”コースの目安は7〜10日
食べないから死ぬのではない、「死に時」が来たから食べないのだ
分娩台での出産は実は不自然
「死に時」をどう察知するか
“年のせい“と割り切った方が楽
がんは完全放置すれば痛まない
「がん」で死ぬんじゃないよ、「がんの治療」で死ぬんだよ
「健康」には振り回されず、「死」には妙にあらわがず、医療は限定利用を心がける
生きものは繁殖を終えれば死ぬ
人は生きてきたように死ぬ
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Posted by ブクログ
父を亡くし、老人ホームに入居した母は軽度認知症で、記憶がなくなる感覚に怯えながらいつも私に「早く死にたい」と訴えます。正に死にたくても死ねない「長命地獄社会」というのが身近過ぎて、冒頭から引き込まれました。
元気で長生きしてほしいと思うけど、その時が来たら延命治療はせずに穏やかに死を迎えたいと、母のみならず自分自身の時もそうしたいと心底思いました。
そして80歳でガンで逝った父の時のことを思い返して、とにかく良い病院を、良い治療をと促した自分を悔やみました。
何も不調はなかったのに検診でガンが見つかり、手術を繰り返したこと、本当に可哀想でした。
父の死にふれ、なにしろガンが怖くなり、
本の中の笑い話のように「ガンにさえならなければ死んでもいい」みたいな健康オタクになりつつありました。
でもガンになる最大のリスクは『加齢』でこれは予防しようがないし、ガンも無駄な治療さえしなければ痛みもなく穏やかに死ねると知れて、その恐怖心は半減し、抵抗感がなくなりました。
「がんにならない唯一の方法は、なる前に死ぬこと」この言葉最高です。
人はガンで死ぬか寿命で死ぬか、どちらにせよ死亡率100%なんだから、そこにばかり気を取られず、死ぬまでの時を謳歌しようという意識に変わりました。
毎年きっちり受けている人間ドッグもガンが見つかる前に辞めようかな。
そんなに長生きしたくもないし、もしガンで死ぬなら、最期まで知りたくない。「知らずにいる権利」を行使したいです。
とにかくこの本は、今まさに高齢医療の現場にいる医師の話なだけにリアリティがあって、とても参考になり、読んで良かった一冊です。 -
Posted by ブクログ
中村仁一 著「大往生したけりゃ医療とかかわるな(自然死のすすめ)」、2012.1発行。医者には序列があって、大学病院の医者が頂点。次に旧国立、日赤、県立などの税立病院、民間の大病院、中小病院と続き、一番下が町医者といわれる開業医。老人ホームの医者(著者、12年目)は、更にその下。著者は沢山の自然死を見せてもらってきたと。病院では何かと処置する(穏やかな死を邪魔する行為)から自然死はありえない。死という営みは本来穏やかで安らかなもの。年寄りは、年をとればこんなものと諦めることも必要。老いを病にすり替えない。
あまり医療に依存し過ぎず、老いには寄り添い、病には連れ添うこと。
5つの章立てです。①医療が穏やかな死を邪魔している ②「できるだけ手を尽くす」は「できる限り苦しめる」 ③がんは完全放置すれば痛まない ④自分の死について考えると生き方が変わる ⑤健康に振り回されず、死には妙にあらがわず、医療は限定利用を心がける -
合わせ技一本
こちらの本と余命三ヶ月の嘘と言う本を同時期に読んだのだが、著者は違うのに書いている内容には共通項がたくさん出てきて、二冊読んだところで、病院には近づきたくなくなった。
生きるという事について考えさせられる本。読んでおいて損はない、っていうか、読め。読んでおけ。なにも知らなかった自分の無知さに恐怖すら覚える。
少なくとも、必ずやってくる自分の死について、考えるきっかけにはなると思う。
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Posted by ブクログ
著者は現在、老人ホーム専属の医師をしている。彼の長年の老人向け医療について考えるところを正直に記してある。とても説得力がある。
著者が提唱するのは、高齢者が無理な治療により苦しまない、自然死。高度な医療が無かった昔は、年寄りは死ぬ間際に麻酔物質が分泌され、ウトウト眠るように死んでいったという。
「食べないから死ぬのではない。死ぬ時が来たから食べないのだ」というのも納得できる。残される家族のエゴで、あれやこれやと本人の意思に反して胃瘻を作ったり、人工呼吸器をつけたり、電気ショックを与えたりしがちだが、本人にとってはどれも苦痛でしかないという。著者が言うのは、老化は自然なことであり、それに抗おうとすること自体が間違っている。医療を施す意味があるのは、比較的若い人に対してであり、がんも放置すれば本来痛まないそうだ。
確かに、自分に置き換えて考えると、無理な延命治療をしてほしいと思う人は少ないだろう。自分が望まないことを人にして良いわけがない。
本書はとてもいい本だと思った。高齢の家族がいる人におすすめしたい。 -
Posted by ブクログ
私はまだ世間的には、死を意識するような年ではないけれど、思い通りの死に方、について様々な思うところがあるので、読んでみた。
しかしこれが痛快!このふたりの高齢者医療に携わる医者のふたりは、私が常々疑問に思ってたけど、不謹慎かも知れないと感じていたことを、次から次へとバサバサ斬り込んで、膝を打つような話を気持ちよくしてくれた。
例えば、70を(60でも?)過ぎて癌の手術をするなんてのは、本人にも社会にも大いなる無駄ではないか?と、感じていた。医療費の削減の為に必要なことは、ちゃんとヒトをヒトとして死なせる、ということではないかと。
このふたりは、医療費についてはなにも言わないけれど、なにより本人の為にならない、とはっきりおっしゃっている。
そして身につまされる話として。親の死、配偶者の死について、ダブルスタンダードはダメですよ、と。自分がヒトとして死にたいとかいいながら、ボケた親には胃瘻をしてくれとか、それはとんでもない話。
私も老い行く両親を持つ身として、そろそろ色々考えておかないといけないこと。 -
Posted by ブクログ
穏やかな最期は「戦わない」ことにある。死生観を根底から揺さぶる一冊。
長く介護の現場で、多くの方の「最期」に立ち会ってきました。
その中で抱いてきた違和感や葛藤に、
一つの明確な答えを提示してくれたのが本書でした。
私たちはいつの間にか、「死」を全力で回避すべき敵のように捉え、
過剰な医療で延命することこそが正義であると信じ込まされてはいないでしょうか。
著者が説く「枯れるように逝く」という自然死のあり方は、
現場で目にする痛々しい延命処置とは対極にある、
静かで尊厳に満ちたものです。
「医療とかかわるな」という言葉は、決して医療の否定ではありません。
それは、自分の人生の主導権を他人に預けず、
どう幕を引くかを自分で決めるという、
強い自立の意志を求めているのだと感じます。
「敬天愛人」を説いた西郷さんのように、天命を静かに受け入れる覚悟を持つこと。
現場で働くプロとしても、一人の人間としても、
死への恐怖を「納得」へと変えてくれる、真の救いがある名著です。
これからをどう生き、どう終えるか。
迷いがあるときに、何度も立ち返って勇気をもらいたい一冊です。