増田寛也のレビュー一覧
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今、どこの本屋さんでもこの本が売れている新書の上位に居続けています。みんな、そんなに地方の問題に着目しているのか!と少々たじろぎます。しかし、「地方消滅」の増田&「なぜローカル経済から日本は甦るのか」の冨山という最強コンビ、地方創生ロードウォリアーズなので、どんどんハイスパートで議論が白熱していきます。それぞれのコンパクトシティ、G型経済、L型経済という基本技をベースにG型大学、L型大学という新技も繰り出して、普通の文系大学やph.Dにダメージを与えまくります。見た目は派手ですがキーワードは「生産性」であり、これはじわじわ効く超ベーシック技だったりします。「生産性」の前に地方も大学も根本から変化せざるを得ないような予感がしました。
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2014年に発行され、当時大きな話題となった本書。
「地方消滅2」が2024年12月に発行されたということで、こちらを先に読もうと思って手に取った。
「消滅可能性都市」という物凄く不吉でインパクトのある言葉を大々的に発表して、国民に日本が抱える大きな課題を共通認識として浸透させたという意味で本書が果たした役割は大きく、価値のある書籍だと思う。
この先起こるだろう未来予想に関しては、もちろん事実に基づいた分析なので信頼できるものだが、それに対する処方箋について若年層女性の一人として物を言うと、「どう考えても無理だろ」と思ってしまった。
人口を増やすためには、20歳〜34歳、とりわけ20代前半の若年層の女性の有配偶率を高める必要があるから、男女がちゃんと出会える機会を増やして、20代のうちから子供を儲けられるようにしよう。一方で、女性の社会進出も進めて、働く女性を増やしてリーダーを育成しよう。
女性には若いうちから子供を産ませつつ、社会進出もしてキャリアを築いて、同時並行で子育てもして子育てが終わったら親の介護もしなきゃだよね。
…みたいな書き方がされているように感じた。
明らかに一人じゃ無理である。分身の術を身につける必要がある。
10年後の今の現状をみれば結果は明らかで、女性の社会進出は進んだが、晩婚化は進行し出生率も減少している。
それに女性の何割以上を役員にするみたいなルールをつくることって、逆に女性への差別だと思う。
仕事の出来る人は男性であっても女性であっても関係なくリーダーにすべきで、そこに女性だから、というのは関係ない世の中であるべき。
正直面白くはなかったが、今の課題や政策がわかるので「地方消滅2」も読もうと思う。 -
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発刊から10年経過したタイミングで、ようやく読みました。
当時のデータや、それを踏まえての今後の人口の推移の予測は、それなりに妥当性・合理性があるのだと思いますが、今後の対策については、官僚がよく作るような「机上の空論」で、現実味がない気がしました。
この本については、日本の人口の推移予測についての危機的な状況を理解し、感じ取ることが大切な気がします。
今後の対策は、それぞれが、それぞれに合った形で考え、実行していくしかない気がします。
ところで、読んでいて気になったのは、もし、少子化対策が成功し、合計特殊出生率が向上し、人口(子どもの数)が増え始めたら、高齢者と子どもに挟まれた年代にかかる負担が、恐ろしく膨らむのではないか、という点。
現代日本では、高齢者を支えるための負担が重い一方で、子どもを支える負担は軽めだと思うのですが、平均寿命がさらに伸びれば(さすがに大きく伸びることはないと思いますが)、高齢者の割合が高止まりするはずなので、子どもの数が増えて、子どもを支える負担まで増えると、その間の年代は、負担に耐え切れなくなるかもしれません。
おそらく、実際には、そこまで子ども(人口)が増えるのは難しいと思われるので、杞憂かもしれません。
が、本気で少子化対策に力を入れるなら、その先にやってくるはずの負担への対応も視野に入れておくべきだと思います。 -
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・第1章から4章までは日本創生会議の報告書から持ってきているようで、役所の典型的な文章でした。文章が退屈。もう少し言うと「何かを言っているようで重要なことは何も言っていない」文章。〜〜が求められる、とか早急な対策が必要である、とか当たり前のことが多い。そしてあまりはっきり書きすぎると、役所の場合は問題になるので、曖昧な表現が多いし、深堀がない。ビジョンだけは我々中央政府が描くから、あとはみんなが実行してくれ、というメッセージ。またHowがない。例えば「地方中核都市に再生産能力があれば人材と仕事が集まってくる」と書いてあるが、まさにこれが日本再生のカギで、ではどうやるの、というHowを深堀してほしい。Howについては地方が知恵を出せという感じになっている。
・前の箇所と重複することですが、典型的な役所の書類なので図表も情報がごちゃごちゃ盛り込まれすぎで極めて読みづらい(1つのグラフに文字を盛り込みすぎちゃダメですよ)。ごちゃごちゃしているほうが資料的価値が高いという間違った価値観がある。お金を払ってまで読む文章の質の高さではない。
・一方で対話編についてはわかりやすく、かつ各人の主張がはっきりしていたので、私は大変満足しました。そして個人的にも同調するところは多かったです。ですから最初から最後まで対話編だけにして欲しかったというのが個人的な感想(折々に人口分析結果を取り上げてくれれば良い)。分析の内容うんぬん以前に文章力の問題で、前半でフラストレーションがかなりたまりました。 -
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超高齢化、少子化、東京一極化、地方過疎化が叫ばれてから久しい。
2014年5月に発表された『消滅可能性都市896のリスト』は実に現実を直視するのに有用なデータだ。
政府が開示、使用するデータは都合の良い、非現実的なものが散見される。
コロナの影響により、少しずつではあるが働き方も変わりつつある。とはいえ、都市圏に集中している状態は大きくは変わっていない。
人口急減に関して、出生率はさけて通れないワードだが、それよりも現行の社会保障制度がどうも爺さん婆さんに偏りすぎているのは否めない。
しかし、あらゆる企業が国内の一都市に集中するってのは世界的に見ても、日本は稀有だな。アメリカだって、金融関係以外は地方に散ってる。
さて、東京五輪は延期され、コロナ収束は先行き不透明。こう見てゆくと、中央省庁と地方自治のあり方を見ると廃藩置県前の江戸時代の藩制度は理にかなってのか。参勤交代ってのは、財政負担が強かったが、中央が地方の現場を知り、地方は中央で何がなされているかを知る意味では良かったのかな。 -
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〈感想〉
○各自治体ごとで、課題や打ち手は違うので、その実態に即した総合戦略が必要
・人口減少による地方消滅への分析は鮮やかに纏められている。
・地方消滅に対する打ち手として、中央政府と地方自治体が、戦略を持ち推進する事を提案されている。
・但し、それぞれ取るべき戦略やケースが纏められているが、Todoリストであり戦略ではない。また、課題に対してのアプローチではなく、100発打つやり方であり、犬の道。
〈要点〉
○人口減少はどういうロジックなのか
◎過去の減少ロジック
→○社会的減少(地方→都市):1960~1970年前半、1980年~1993年は大都市圏の雇用吸収力拡大、2000年以降は地方経済衰退により
→2000年以降は円高により、製造業の海外移転、公共事業減少による建設業の減少
◎未来の減少ロジック:
→○全体の流れ:①2040年に老年人口増加+生産・年少人口減少、②2060年に老年人口維持微減+生産年少人口減少、③2060年以降に老年、年少人口減少
→・日本全体では自然減、大都市圏を中心にかろうじで社会増
→・地方では、いくら出生率を上げても、その地域における人口再生産力低下によるマイナス効果が上回るため、人口減少が止まらない
→・現在地方を支えている医療、介護分野の雇用も、高齢者人口が減少・停滞に伴い、減少になる事も予想される。特に東京都は2040年高齢者35%の超高齢化社会になる
→・現在の人口流入が2010年から2015年まで継続した場合、2010年から2040年までに20歳から39歳の女性人口が5割以下の市区町村は896自治体(49.8%)
→・896消滅可能性都市のうち、人口1万人切る市区町村は523自治体(全体29.1%)
○どういう国家戦略があるのか
→・人口減少を留める積極政策、人口減少の影響を調整する調整的政策
→積極的政策:結婚妊娠出産子育てについて一貫した支援、人口の再配置を行う、人材の養成獲得
└=20代女性の動向
→・内閣府総合戦略本部ー各地域地域戦略協議会、地方版総合戦略の策定
○どういう地方戦略があるのか
→1、産業誘致:企業業績や経営に大きく左右される
2、ベッドダウン:周辺都市に影響を受けやすい。同一年齢層が多いので、高齢化が一気に進みやすい
3,学園都市型:
4、コンパクトシティ型:
5、公共財主導型:大規模施設により移動を防ぐ
6、産業開発型:地元の特徴ある資源を活用する
→・地方中核都市による東京への人口流入への歯止め
→・コンパクトシティ
→・グローバル経済圏&ローカル経済圏に留まる地域に分かれる
〈その他〉
・東京は地方からの流入で人口を保っており、人口再生産が低い
・出生率低下は晩婚化と若者の所得が原因
・人口再生産力:出産可能年齢にある女性が次の世代をどの程度生産するか(総再生産力)。本著では20から39歳の女性人口で検討
・全体の中での集約と多機能化 -
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【ノート】
・著者の一人である増田氏による前著「地方消滅」が総論的なものであったのに対して、本書はかなり具体的に踏み込んだものになっている。
・本書は知事経験者である増田氏と、東北で経営者として活躍している(らしい)冨山氏との対談形式になっている。このためか、地方自治における実例や弊害についての言及が具体的で分かりやすい。例えば「必要なのは共働きで500万稼げる仕事(冨山 P37)」や、「首長が変わると議会がガラリと変わる(増田 P89)」などという発言はかなり具体的。また、悪しき平等主義のため、余裕があると「選択と集中」を実行することができない、というのもリアルなご意見。「北海道の農業は(略)可能性が開けている(増田 P49)」というのは道民としては嬉しい発言だが、あくまでも「可能性」だからね。
・中でも、例えばコンパクトシティという考え方について、日本では移住を強制できるわけではないとし、そのような強制移住ではなく、高度経済成長時代に拡散し過ぎた人口分布を適正値に戻すことによって、人口減少を前提として組み込んだ自治体の在り方を住民と共に作り上げていくというのは大事な提言であり、今後の日本の行く末をわがこととして考える時に、かなりの説得力を持つと感じた。ちなみに、コンパクトシティ政策が進んだ場合、近年顕在化している野生動物の侵食は拡大すると考えるべきだろう。
・自分にとって最も印象深かったのは増田氏の次の発言。「地方創生の戦略を考える上で、私が一番増やしたいと思っているのは、地域の大学が核になって、地域が本当に求めているニーズを汲み取り、解決する仕組みをつくることですね。(P156)」ただ、これを可能にしようと思ったら今の文科省の制御は変えていかないと実現は困難。
・実はこの本については、最近、大変お活躍(誤植じゃないよ)の増田氏が、対談形式という執筆の労を取らなくてよい形式で好きなことを放談してるんだろうということで軽視してたのだけど、対談ゆえに読みやすく、それでいて随所に二人の知見がキラリと輝いているといった印象で、自分としては読む甲斐のあった本でした。 -
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【由来】
・プレジデント(Web版)の増田さんインタビュー
【期待したもの】
・地方創生ビジネスを興すにあたって著者の知見が体系立てて述べられていれば、参考にしたい。
【ノート】
・日本の自治体における活性化の事例を、解説を交えながら紹介するという形式。各事例毎に、お上手にまとめた見開き2ページのチャート図が付いている。N総研に作らせたのか?(笑)
・興味深かったのが第6章の和歌山県北山村と第8章のニセコの事例。
和歌山県北山村では、ブレイクスルーが役場内にいたITに詳しい職員の作ったホームページから始まったという。やはり、いくら民間にお金を流すためと言っても、何でも業務委託で外部に任せるより、内部で手を動かせるエンジニアがいた方がよいと思った。
ニセコ町では、町が「まちづくり町民講座」を実施した。これによって町民の当事者意識が上がり、ニセコとしてのまちづくり条例の制定につながったという。ちなみにニセコ町は観光協会を株式会社化したという点でも有名。
・「地方でこそITを活用する余地が大きい」というのはお説ごもっとも。しかも、特に北海道の中小自治体にとっては有益でしょう。
・ただ、地方創生ビジネスの興し方や進め方についての理論的な解説がなかったのが期待外れだった。帯では「極意を公開」なんて著者のにこやかなご近影と共に掲げてるのだから。もっと自身の知見などを開陳して益田節を出しててもよかったのではないかというのがマイナスポイント。あんまり執筆に時間かけてねーなと感じてよく見てみると「監修・解説」となってました(笑)。なお、同じ著者による中公文庫の「地方消滅 創生戦略篇」は、この辺りについてもう少し詳しく語られていて参考になる。