真梨幸子のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ネタバレ4編からなる連作短編集。
パワースポットをモチーフに据えた短編集ですが、どの登場人物もパワーをもらうのではなく逆にパワーを奪われ誰も幸せにならないという、著者らしい毒がちりばめられたブラックな趣向となっています。
パワースポットなのにマイナスの効用があるという非常に後味の悪い短編集です。
各短編はキャラクターやエピソードがリンクしており、そのつながりに気づいた瞬間はイヤな汗をかきました。
一番印象に残ったのは表題作の「カンタベリー・テイルズ」。
イギリスのカンタベリー・テイルズに行く電車のホームで会った四人の日本人観光客が、成り行き上、到着までにそれぞれのとっておきの話をするというお話。
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Posted by ブクログ
2016年、22冊目は、個人的読書コードを破って(途中読み始めた本を隙間読書用に回したのもあったが)、の真梨幸子連読み。
かつて、美少女CMタレント、美貌の女優として活躍していた、野崎有利子。彼女の周りにはスキャンダルの香りが漂っていた。エリートサラリーマン、斉藤啓介が殺人と詐欺の容疑で逮捕される。彼もまた、有利子に魅せられた一人だった。そして、休暇中の篠原賢一は偶然、その二人を旅行代理店で見かけていた。
ページを繰らせる力は相変わらずだが、今回は違和感があった。注意深く読んでいれば分かるコトだが、全編が基本、男性の一人語りということ。途中でそのコトが意識から外れてしまっていたので、違和感 -
Posted by ブクログ
5編収録の短編集。『聖地巡礼』の改題なのだが、はしがきによれば、元々が『カンタベリー・テイルズ』というタイトルだったらしい。
真梨幸子は読み手を程良く不快にさせるツボを心得ているようだ。文章の中に散りばめられる不快な言葉、何とも遣る瀬無い描写が、程良さの理由だろうか。
さて、本作だが、初期の作品ということもあってか、他の作品に比べると些か面白さに欠ける。最初の『グリーンスリーブス』は面白かったが、他は平凡な作品ばかりだった。
『グリーンスリーブス』『カンタベリー・テイルズ』『ドッペルゲンガー』『ジョン・ドゥ』『シップ・オブ・テセウス』を収録。 -
Posted by ブクログ
1962年、鸚鵡楼と呼ばれる洋館で殺人事件が起きる。
1991年、鸚鵡楼跡地に建つ高級マンションでエッセイスト沙保里は夫と息子と暮らしている。何不自由ないと思われる生活で沙保里が気がかりなことは、息子が別れた恋人に似ていることだ。
似ているわけがないのに。恋人と別れた後に身籠ったのだから。でも、ぴちゃぴちゃと指を吸う癖や妙に頭の良いところ、そっくりだ。そんなことあり得ない。
連続幼女強姦犯である男に似ているなんて。
真梨さんの本を殆ど読んだためか、真梨さんのトラップがわかるようになってしまった。
何に気をつけて読んでいけばいいのか。
登場人物が、誰が誰だかわからなくなるトラップ。
これは誰で -
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ある少年が、受験戦争を潜り抜けて名門難関校に合格したのに家庭内暴力の末、父親に殺されてしまったという「西池袋事件」。
事件から16年後、新たな悲劇が起こる――。
「西池袋事件」を軸として、2つの仕事をかけもちしながら何とか生活している久保のパートと、落ちこぼれの少年と帰国子女の少女の交流を描く過去のパートが交互に語られる、複雑な構成。
独り言のような一人称が、どこまで現実でどこまで妄想なのかわからなくなります。
時系列もあいまいで先が読めず、ブツ切りのトピックを積み重ねるブログを読んでいるような感じ。
読者の共感を拒む文章が、いっそすがすがしい(笑)!
ミステリとしては破綻しているという -
Posted by ブクログ
エキセントリックな名も無き画家の作品を集め始めた母に翻弄される娘。
この画家と昔同居していた、プールで溺死した有名小説家。
最近パッとしない広告プランナーは画家と小説家に目をつけ、広告企画に連動させるために二人の死を劇的な物語に仕立て上げようと奔走する――。
様々な人の視点から捉えられた事実が輻輳し、やがて決壊の後に収束していく。
この先どうなっていくのか、お話の着地点が全く読めず、とまどいながら読み進めていきました。
また、一人称と三人称が混在しながら展開していくので視点がころころ変わり、落ち着かなかったのですが、あやういけれど限りなくパワーのある語り口に翻弄されました。
話の方向性が