遊井かなめのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
サイバーミステリというジャンルを一冊丸ごと語り尽くした評論本。評論という体裁ではあるものの、サイバーミステリという単語に馴染みのない人間を想定して描かれているため、非常に分かりやすく、かつ興味を抱かせる内容となっている。特にSNSを一度でも使ったことの有る人間なら分かるであろうセキュリティの問題や、ネットで醸成される空気感や個の埋没化などは非常に共感を覚える部分であろう。当然、評論としても非常に面白く、サイバーミステリと従来のミステリで変化した部分や、サイバー空間におけるミステリの拡張性などの部分は興味深い内容になっている。特に、データ同定問題における、従来のミステリに比べて物的証拠の正誤を確定させることが今まで以上に困難になる点や、「操り」が起きやすい点、ネット上での「電網殺人」等、サイバーミステリならではの問題点も浮き彫りにしつつ、それらをSNSの「なりすまし」問題等の身近な話題と絡めて分かりやすく説明しているのが素晴らしい。ミステリに興味のある人間だけでなく、SF愛好者、さらにSNSを一度でも利用したことのある人間にまで門戸を広げた、サイバーミステリの認知の助けになる至高の一冊である。
-
Posted by ブクログ
平成の時代に起きた出来事をテーマとしたアンソロジー小説。
巻末に平成30年史が載っていて、それを見ると、短いようで本当に色々なことがあったんだな。と感慨深くなる。
収録作品としては、どれも面白かったけど、千澤のりこさんの『半分オトナ』が特に良かった。キーワードは二分の一成人式、児童虐待。
貫井徳郎さんの『他人の不幸は蜜の味』も印象的。
女子高生コンクリート詰め殺人事件、スマイリーキクチさんへの誹謗中傷。
どちらも自分の中で強烈な印象を受けた事件なので、胸が痛かった。
他人を誹謗中傷してしまう人は、間違いなくSNS辞めたほうが良い。
白井智之さんの作品は今回初めて読んだけれど、白井さん作品によく言われる言葉たちが改めて理解出来た。
本当、面白いけど気持ち悪すぎる 笑。 -
Posted by ブクログ
平成という時代をコンセプトとする短編アンソロジー 実際に起きた事件、流行った物事をテーマとして
「加速していく」青崎有吾
JR福知山線脱線事故を題材として
事故当事者とならなかった少年の心象を描きながら、当時の安全管理労働環境を
「炎上屋尊徳」井上夢人
通信機器の変貌とネット環境の普及
運動部の体罰体質を隠蔽する学校とコーチへの報復 YouTubeバイトテロ等踏まえて
「半分大人」千澤のり子
平成の二分の一成人式」への反抗
私もこの家庭状況までカーストされるようなこの儀式は好きでない
ネグレクトと性虐待に苦しむ小学生達の策略
なかなか読ませる
「bye bye blackbird」 遊井かなめ
渋谷系平成の歴史
詳しくないのでわからない
「白黒館の殺人」小森健太郎
ヘイトがテーマなんだけど
同人誌からの改稿
認識しないと見えない
「ラビットボールの切断」 白井智之 こども版
いつもの白井さん
父親は性加害者、母親はうっぷ…
家出からの新興宗教ラビットボール
「消費税狂騒曲」乾くるみ
平成元年消費税導入時のあれやこれや
思い出すと懐かしい
「他人の不幸は蜜の味」貫井徳郎
ネットの誹謗中傷が自分に回ってくるという現実的お話
貫井さんがこういう感じを書くとは知らなかった
「From the New World」 天祢涼
平成23年2011年
東日本大震災・津波・メルトダウン 住民の避難
『キョウカンカク』の美少女探偵登場 -
Posted by ブクログ
福知山線の事故、急速に発展するSNSと燃え上がる悪意、盛り上がり消えていく流行りと街の空気、凄惨な虐待や性被害、児童による殺人、増税、そして東北大震災。めまぐるしい平成の三十年の間にあった事柄を、空気をテーマにしたアンソロジー。
青崎先生目当てで、あとは井上先生、貫井先生、乾先生は既読かなあ。他の方は名前はわかる程度。ちょっとわたしには消化不良の短編が多いかな。まとまりよくて読みやすいのは青崎先生。平成の空気感を一番感じたのはさすがに主宰の遊井先生。この感触を懐かしく哀愁を感じるのはもはや一定以上上の世代で自分もそちら側だと思うと不思議だな。あらゆる小ネタをしこむのが好きなタイプの作家を集めたのだなという印象。それはそれとして、平成という時代に想いを馳せて楽しくはあった。 -
Posted by ブクログ
福知山線の事故、急速に発展するSNSと燃え上がる悪意、盛り上がり消えていく流行りと街の空気、凄惨な虐待や性被害、児童による殺人、増税、そして東北大震災。めまぐるしい平成の三十年の間にあった事柄を、空気をテーマにしたアンソロジー。
青崎先生目当てで、あとは井上先生、貫井先生、乾先生は既読かなあ。他の方は名前はわかる程度。ちょっとわたしには消化不良の短編が多いかな。まとまりよくて読みやすいのは青崎先生。平成の空気感を一番感じたのはさすがに主宰の遊井先生。この感触を懐かしく哀愁を感じるのはもはや一定以上上の世代で自分もそちら側だと思うと不思議だな。あらゆる小ネタをしこむのが好きなタイプの作家を集めたのだなという印象。それはそれとして、平成という時代に想いを馳せて楽しくはあった。