デイヴィッド・J・リンデンのレビュー一覧
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遺伝の影響が想像以上にある話
反対に、ない話
遺伝以上に、ランダムな成長ベクトルが影響したり、ウイルス感染が影響したり
人の個性が生じる過程は想像を超えてておもしろい。
わたしのこどもたちが、あんなに異なるのも納得。
以下、印象的な知能の定義。
個人のレベルでも集団のレベルでも、知能というトピックほど議論を呼ぶものはほかにあまりない。
しかし、知能とはいったい何だろうか。デラウェア大学の心理学者リンダ・ゴットフレッドソンの以下の定義は理解の助けになる。
(知能とは)推論、計画、問題解決、抽象思考、複雑な観念の理解、迅速な学習、経験からの学習を行う能力に関わる。単に書物から学ぶことや、学 -
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私はタバコを辞めるまで何度も失敗した。
しばらく止めると当初の苦しみは収まり、そんなに欲しくもなくなるが、
飲み会の付き合いなどで少し貰うと、そこから止まらなくなったものだった。
一旦依存症になると、減らして、ちょうどよい付き合いということはできない。
食事やセックス、ギャンブル、周りの人に優越したり褒められるなど、人が快感を感じる時に、脳内で作動する「快感回路」。
快感は生命維持の中心的な役割を果たす。
食べることや子孫を残すことに快感があるからこそ、多くの人はそこに執着する。
快感と依存症は隣り合う。
空腹になれば生物は何をおいても食べ物を探す。
これを衝き動かす快感回路に何か他のこ -
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脳の発達は遺伝子と環境の相互作用という形をとる。
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1.ニューロンが処理の遅い、信頼性の低いプロセッサである
2.脳が 古い脳に新しい脳をかぶせる という非効率な作り方をされている =アイスクリームのコーン
3.ニューロンが大量にあるためにニューロンどうしをどのように接続するか(個々のシナプスをどのようなものにするか)を遺伝子であらかじめ逐一決めておくことが不可能になった
遺伝子の記憶容量に限界があるため、細かい配線に関しては、遺伝子ではなく、環境に頼らざるを得なくなった。
人間は他の動物に比べて大人になるのにはるかに時間がかかるが、それは配線に必要な経験を積むのに時間がかかるためと考えら -
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ネタバレ肥満した若い女性と痩せた若い女性を被験者として、チョコレートミルクセーキを飲んでもらった。
その結果、肥満の被験者の方が痩せた被験者よりも、チョコレートミルクセーキの一口が引きおこす脳の活性化が小さいことがわかった。
これは快楽回路が鈍感になるという結果だ。
さらに、肥満の人はミルクセーキを飲む前、飲もうとしている時に、快感回路が比較的に大きく活性化する。
つまり皮肉なことに、彼らは大きな報酬を望んでいながら、実際には小さな報酬しか得られないようなのだ。
そもそも肥満の人は、痩せようと思いダイエットをして体重が減っている時は
飢餓状態にあるため、ダイエットをしていない人よりも食事が -
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デイヴィッド・J・リンデン氏は、1961年米国ニュージャージー州生まれの神経科学者で、ジョンズ・ホプキンス大学医学部教授。カリフォルニア大学バークレー校卒、ノースウェスタン大学で博士号取得。記憶や運動、脳損傷後の回復などをテーマとした研究を行う傍ら、一般読者向けに神経科学をわかりやすく伝える著作を多数執筆。科学の魅力を広く伝える「神経科学という国の大使」を自称する。
本書は、触覚が単なる感覚ではなく、愛着・記憶・感情・社会的絆に深く関与することを、神経科学の視点から解き明かした代表作で、2016年に出版、2022年に文庫化された。原書は『TOUCH:The Science of Hand, H -
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一番印象に残ったのは、feel/feelingということばは触覚の比喩表現だ、というもの。
本論はそれ自体いろいろと面白く楽しく読めたのだけど、冒頭のこの一言のインパクトが大きすぎて何も耳に残らなかった。
言われてみれば確かにfeelということばは「触れて感じること」が第一義で、「触れずに感じること」という意味はそこから派生して母屋を乗っ取ってしまったようなもの。
コミュニケーションがどんどん言葉(テキスト)と映像だけに収斂していく中で、もっとも古く原始的で効率の悪い感覚、触覚について考察を巡らせるのも楽しい読書体験でした。
紙の本の重みや手触りを感じながら。