デイヴィッド・J・リンデンのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
秀逸なサブタイトルに無性に惹かれて購入しました。
痛みと快感が一体・・・みたいな話はSMか!って思いました。「痛み」が注目するに値する、無視してはいけない出来事であるということに納得しました。
深夜のカップラーメンのような低レベルの快楽に身をやつすことなく私も高度な快感回路を身につけたいと思いました。例えば勉強するだけで快を感じるみたいなそういう人。はい。一生なれない気がします。
ーーーーーーーーーーーー
が、慈善活動をしたり、税金を納めたり、未来の出来事について情報を得たりといった行動はみな、ヘロインやオーガズムや脂肪たっぷりの食品に喜ぶ快感回路と同じ神経回路を活性化することが、脳の画像研究からわかっている
私たちが生き続け、子孫を残すためには、食べたり飲んだりセックスをしたりといった経験を、快い(報いられる)ものと感じる必要がある。
。快感が私たちにとってこれほど力を持つのは、快感回路と脳の他の部分との相互連絡によって、記憶や連想や感情や社会的意味や光景や音や匂いで飾り立てられているからだ。
「自然は人間を二つの独立した支配者の元に置いた。痛みと快感だ。人間のあらゆる行為、あらゆる発言、あらゆる思考はこの2つに支配されている」
「快は確かに人間の心の働きの指針となり、美徳へも悪徳へも導いてくれる。痛みも同じだ。しかし、痛みと快は一本の棒の両端ではない。快の反対は痛みではないのだ。愛の反対が憎しみではなく無関心であるのと同様、快の反対は痛みではなく倦怠、つまり感覚と経験への興味の欠如なのである」
快感 も、 痛み も、 共に サリエンス( 顕現 性) を 示す という こと に なる。 つまり、 それ は 潜在的 に 重要 な 経験 で あっ て、 注意 を 向ける に 値する と いう こと だ。 情動 とは サリエンス の 通貨 で ある。 多幸 感 や 愛 の よう な ポジティブ な 情動 も、 恐怖 や 怒り や 嫌悪 の よう な ネガティブ な 感情 も、 どちら も、 それ は 無視 し ては なら ない 出来事 だ という こと を 告げる もの なの だ。
想像 し にくい のは、 どう すれ ば 回路 を 微調整 し て、 新た な 色合い を 持つ 微妙 な 快感 を 紡ぎ 出し たり、 快感 を 組み合わせ たり できる か だ。
のは、 悪徳 で あろ う と 美徳 で あろ う と、 人 を 反復 的 行動 に 駆りたてる のは、 神経 学的 に 同じ 快感 だ という こと で ある。 この 意味 で、 快感 は 人 の 行動 を 導く 羅針盤( コンパス) だ と 言える。
もう 一つ の 結論 は、 依存症 とは、 人間 が 持つ ある 能力 の 裏返し だ という こと で ある。 その 能力 とは、 何 でも 望み の 対象 を( 生存 や 繁殖 の 必要 性 とは 無関係 に) 快感 刺激 に し て しまえ る 柔軟性 で ある。 この 柔軟 な 能力 も 依存症 も、 共に、 脳 の ニューロン の ある 種 の 物理的・構造 的 変化 を 基盤 に し て いる。
ーーーーーーーーーーーー -
Posted by ブクログ
一般読者向けながら、ある程度高度・複雑な脳科学の知を展開してくれる、専門家による良書。
最初の方に出てくる実験の映像が、「快感回路(報酬系)」の原型だ。ラットの脳の或る箇所に電極を仕込み、ラット自身がレバーを押せば、その電極が特定のニューロンを刺激するように設定する。すると、電極による快感に病みつきになって、ラットは食欲も性欲もすべてそっちのけにして、ひたすらレバーを押し続ける。
ドーパミン・ニューロンを中心とするこの快感回路が、人間のさまざまな行動に関係している。・・・とはいえ、科学原理主義者ふうなど素人とはさすがに違い、この専門家は、さまざまな事象をなんでも快感回路に還元するのでなく、他のさまざまな部位のニューロンの活性化との関係をも強調する。
特に面白かった箇所の一つは、「性欲」刺激と「恋愛」刺激とが、双方とも快感回路の活性化をしめしながらも、他の異なる部位の活性化を伴っており、従って脳現象全体としては、異なった体験であることを結論づけている辺りだ。つまり、「愛か、性欲か」という、人びとを悩ませ続けた難問の一つの答えが、これである。
ギャンブル依存、ゲーム、タバコなどに関する「快感」現象についての部分も、実に興味深かった。
脳科学としてすべてを器質に還元するのでなく、社会文化的要因をもちゃんと重視しており、決して科学「馬鹿」にならないスタンスが一貫していて、とても好感が持てた。 -
Posted by ブクログ
■ 快楽回路
悪徳なドラッグも、美徳とされるエクササイズも脳にとっては同じ「快楽」である。
■ 依存する
依存してしまうと、思った程快楽を感じなくなる。
しかし、しばらく間を取ってから摂取した場合、以前よりも大きな快楽を得ることが出来る「感作」が生じる。
■ 遺伝
太りやすい太りにくいと言う脳の構造は、遺伝による影響が大きいのは事実である。しかしこれに対して、外的な要因(社会や文化など)の影響も十分に大きい。
よって、先天的な要因と後天的な要因をうまく理解し使い分けて、ダイエット目を標達成していく必要がある。
■ 依存性のある食物
脂肪、糖分、塩など。
近年急激な社会の変容が起こったが、体の構造はそれに追いついていない。
脂肪と糖分と塩分が多いおいしい食べ物を長期にわたって食べ続けると、快楽経路の配線が変わって、欲求を増幅することにつながる。
■ 快感回路を変化させる能力
経験により快感回路を長期的に変化させる能力がある。
人間は様々なものを自由に報酬と感じることができ、抽象的観念さえも快いものにできる。
★ どんなことでも習慣化し長期的に継続することで、苦痛やストレスを快楽に変換し、体の報酬とさせていくことが可能かもしれない。 -
Posted by ブクログ
読みおえるまで時間がかかったが、興味深かった。
目から鱗のことが多く、新しい知識を得た。
「進化の道筋が曲がりくねっていたにもかかわらず、その場しのぎの対策だけで作られたにもかかわらず、我々はこれだけの思考力と感情を持ち得た、などと考えるのは正しくない。真実はまったくの逆で、進化の道筋が曲がりくねっていたからこそ、その場しのぎの対策の寄せ集めだったからこそ、我々は今のような姿になったと考えるべきである」。
なるほど~~
自社で扱っているシステムは、二十年前ぐらいから色んな人が色んな部位をその場しのぎで手を加え、致命的なバグが今も絶えず、そのつどまたその場しのぎ。。。なんでこんなシステムを何十年も使い続けてきたんだと若いころは愚痴ばかりこぼしてきたが、それなりに社会人やってきて、こうなってきたいきさつや、完璧なシステムなど存在しないと分かったことで、それなりに愛着もわき、どんなバグにも愚痴よりも対応!という姿勢になってきた。
って、人間の脳もそうなのかよ!!!
ていう個人的感想でした。
世界の偉人だって、ただの人。
どんなシステムだって完璧はない。
人間の脳だってつぎはぎだらけ。。。
恐ろしいぐらい、納得。
そして、こわ~
なんか人間、こわい
隣の人だって自分とは違う世界生きてるやん
(コロナの昨今、これを痛感する)
ならば、どんなことにも乗り越え対応していくスキルこそが一番必要なものなんだなあって、漠然と思った。
どんなサバイバルも、シナプスとニューロンを活性化!!とおもって生きていくしか -
Posted by ブクログ
「快感」とは何か、なぜ人は快感に「依存」してしまうのかを、神経科学的視点(主に脳の腹側被蓋野とドーパミンの働き)から解き明かす。快楽というと真っ先にクスリ、アルコール、セックス、ギャンブルなど非道徳な行いが思い浮かぶが、ジョギングや冥想、学究に至るまで人間の「動機」あるところ、必ず快楽があると言っても過言ではない。本に出てくる事例では、慈善や寄付など真に利他的と思われる行動であっても、その行動を行なっている本人は快楽を感じている(と解釈できる)研究例が示される。
また、「禁*セラピー」の Allen Carr は「依存に遺伝や大切は関係ない。依存していないように見える人は、依存の程度が軽いだけ」という立場に立つが、最新の神経科学の結果は、「どうやら依存しやすい遺伝形質というものがあるようだ」という結論だ(もちろん Carr は科学者ではなく、依存から脱却するために最も適切な考え方を示しているだけなので、間違っているわけではないのだが)。
将来は快楽と依存を切り離し、依存にならないようにしながら、様々な快感を自由にブレンドして味わえるようになる…のだろうか? それは、ソーマだな。