ジョナサン・スウィフトのレビュー一覧
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購入済み
色々な読み方ができる
最初の1~2章が童話としてあまりにも有名なため本当に面白い次からの章が余り読まれていない残念な小説である。風刺小説 SF ホラー色々な読み方ができるが、当時としては当然 批判を巻き起こしたし、現代でも通用する社会への警告が含まれていると思う。
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Posted by ブクログ
『脚注14)したがって「普通」の人間とリリパット人との身長の比は、約十二対一ということになる。容積・体重で較べれば一七二八対一。ちなみに「ガリバー旅行記」刊行の一七二六年に書いたある手紙で、スウィフトはイングランドとアイルランドの富の格差を十二対一と見積もっている。イングランドによるアイルランド抑圧、というテーマは「ガリバー旅行記」全篇を通じて見隠れしており、ここにもその気配を見てもいいかもしれない』―『第1部・リリパット国渡航記』
昔、岩波文庫版で読んだ記憶が微かに残っているけれど、子供向けに構成された物語に比べてひどく読み難い(日本語が、という意味ではないです)本だなと思った覚えがある。 -
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ネタバレ 購入済み
人間なるもの
・逆転の発想:「自分」という存在は、他者との関係によって、見え方が変わる。常識と思われている関係が全てではない。
自分はダメだと感じても、それは「ある規準」の世界でのこと。視点が変われば短所も長所になり得る。
・小人の国:「どうでもいいこと」による戦争→戦争で敵の艦隊を拿捕→ただし敵兵はそのまま→皇帝の不評→
英雄ガリバーは、小便で宮殿の火災を消した→「侮辱罪」→死刑?両目をつぶす?
→政争→亡命→ボート発見→帰還→次の旅へ。
・巨人の国:一見、牧歌的な理想郷。ガリバーは愛玩動物の扱い。(常に死と隣り合わせのか弱い存在)
どんなに魅力的なものでも、超拡大すれば歪な面が見える。
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Posted by ブクログ
面白い本でした。先日のビブリオバトルでご紹介頂いた本。紹介されなかったら読まなかったと思います。ありがとうございました。
ガリバー旅行記は「小人の国」を描いた童話として知られていますが、実際は大人向けの4編からなる連作小説です。
小人の国のリリパット渡航記、巨人の国のブロブディンナグ渡航記、空中に浮かぶ島を持つラピュタ等の渡航記、馬が人間を支配するフウイヌム渡航記の4本。どれも「おとぎの国」とは程遠い国であり、それぞれの国でガリバーはひどい目に遭います。
作家のスウィフトが生きたイギリスは名誉革命(1688年)の直後。国王の権限が制限されて、新たな勢力争いと権謀術数が渦巻く時代です。スウィ -
Posted by ブクログ
1.目的
これまで知っていた小人の世界だけじゃない旅行があることを知り、読んでみたくなった。
2.得られたこと
表紙の真ん中にLaputaって島がある。
島の中心に回転する磁石が内蔵されている飛行島だ。
なんと限られた範囲なら自由に移動ができるのだ。
ジブリの「天空の城ラピュタ」の原案だ。
ガリバー旅行記がこども向けじゃない理由がよくわかった。
小人の島、巨人の島、空飛ぶ島、馬の島などの生活を通じて、人間の愚かさにフォーカスしていく。
多様性を考える上で大切なことが描かれていた。
日本も若干登場するのが興味深い。
3.アイデア
ダイバシティをテーマにするときに引用したい -
Posted by ブクログ
子供の頃に絵本で読んだ「小人の国」と「巨人の国」。
その感覚でワクワクして読むと、痛い目に遭いますf^_^;
これは
オブラート1枚にしか包んでいない風刺物語です。
第4章に出てくるフウイヌム国は
「理想郷」として書かれていたワケですけれども
「理性のみが存在する世界」=「真の理想の世界」となり得るのか、
というのは、甚だ疑問。
このあたり、後世のディストピア小説に繋がる気配アリ。
ちなみに
同じく第4章では
引きこもりヤフーが出てきます。
そういう点も含めて
現代に通ずる問題提起が全編にわたって散りばめられており、
やはり、名作と言われる何かを持っているな、という印象を受ける1冊です。 -
Posted by ブクログ
ガリバーと言えば巨人を連想される方も多いでしょう。第1章のリリパット、いわゆる小人の国のお話です。
ただ、スウィフトの作品の本質は人間社会への痛烈な批判にこそあります。しかし、小人の国(第1章)や巨人の国(第2章)が注目され、ガリバーの単なる冒険譚として見なされがちであることは、スウィフトにとってはなんとも皮肉なことです。
まずは第3章。「空飛ぶ島・ラピュタ」のお話から。ラピュタは島国バルニバービの領空域を自在に移動することができる飛島です。
ラピュタの民は誰もが科学者であり、常に科学について沈思黙考しています。そのために心はいつも上の空。ときどき、正気に戻るために頭を叩く「叩き役」なる -
Posted by ブクログ
染まりました。黒く染まりました。300年くらい前の作品なのにひきこまれます。著者スウィフトの黒い怒りと、それを包み隠すブラックユーモアの一大傑作。人間嫌いになることうけあいです。おすすめ。
(---★前回の紹介文)一度目は、世間一般が誤解しているように、おとぎばなしとして愉快に。 二度目は、一見害のなさそうにみえるこの本にこめられた著者スウィフトの、絶望と怒り、それを入念に味わいつつ、きわめて陰気に。 三度目は、300年も前のイギリスにも「クソだよね、人間って」と考えていた人がいたのだな、いえー、とて、歴史の重みと人類への冷笑を噛み締めて、爆笑しながら。 という風に違った視点で三回読めまし