トーマス・セドラチェクのレビュー一覧
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西洋の古典における経済思想を解きほぐし、現在の数理的に割り切った分析に基づく経済学を心を失った社会学として不完全なものとする。
ギルガメシュ叙事詩や旧約聖書では都市と自然、社会と個人などが対比され現代に通じる自然が不自然化する(服を着るなど)、文明化と経済社会化を記述する。しかし経済社会はいつも倫理とセットであり、ヘブライ社会では経済は重要な項目であったが社会はあくまで神の論理を一番に置いていた。アダムスミスも道徳感情論を主著としていたようにあくまで人間の本質が前提で経済の考え方は後にくるものだと考えていた。ケインズも経済が成熟化すれば誰も経済のことなど考えなくなると予想していた。教養本としてはギリシア哲学、キリスト教思想など西洋のベースとなる思想をカバーしておりためになるとは言えるが、実際に現在の経済を理解する上で役に立つかというとわからない。
結論としては、現状は過去の倫理学から分かれた政治経済学とは異なり、何度もインセンティブが暴走し経済危機が起こる不安定な状況であり、この倫理を忘れた合理的人間像をベースにした経済学の欠点を浮き彫りにしようとしている。 -
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ネタバレ善と悪の経済学
チェコの大統領への経済的な助言をしている著者が、
ギルガメッシュ叙事詩、
旧約聖書、
ギリシャ哲学
キリスト教
デカルト
バーナード・マンデヴィル
アダム・スミス
までを引用しながら、数学モデルに偏向し、倫理を蔑ろにしている現代経済学に対しての警笛を鳴らしたのが本書です。
アダム・スミスの「神の見えざる手」に関して、スミスは感情や倫理に関して考慮しながらこの言葉を使ったのに対して、この言葉が万能のように祭られている現代の経済学の間違いを指摘しています。
人はもっと謙虚に感謝の気持ちを持って日々の暮らし(経済活動)をすべきという結論が重いです。
大作でちょっと難解ですが、良書ですので、お奨めします。
竹蔵 -
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<目次>
はじめに
第1章ジャレド・ダイアモンドいま人類が直面する危機
第2章ブランコ・ミラノビッチ2つの資本主義が世界を覆う
第3章ケイト・レオワース世界中の人をドーナツの中に入れる
第4章トーマス・セドラチェック倫理と経済、どちらが先か
第5章レバッカ・ヘンダーソン資本主義を再構築する
第6章ミノーシュ・シャフィク社会契約をつくり出す
第7章アンドリュー・マカフィー資本主義は脱炭素化する
第8章ジェイソン・ムーア生命の網のなかの資本主義
あとがき
機関紙”kotoba”(集英社)の2021冬~2022秋まで8回
のインタビュー記事の完全版。大野氏のインタビュー。
①p17正しい選挙が行われないならば、民主主義の
終わり。アメリカは民主主義はなくなり独裁国家になる
可能性がある。
①p33もっとも警戒すべきは、新興感染症である。
②p442つの資本主義とは、政治的(国家)資本主義
と、リベラル資本主義である
⑤p119パンンデミックによって各国とも格差が具体化した -
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<目次>
プロローグ 未完のその先を求めて
C1ポール・グルーマン
C2トーマス・フリードマン
C3デビット・グレーバー
C4トーマス・セドラチェク
C5タイラー・コーエン
C6ルトー・ブレグマン
C7ビクター・マイヤー・ショーンベルガー
エピローグ 加速する世界の中で
P69(フリードマン)このフラットな世界では、だれもが自分
以外の人の状況を見ることができる。そして人間はおし なべて自分の全能力を発揮しHたいと思っている。
P172(ブレグマン)人生の意味とは何か、意味のある仕事 は、社会に何か価値を生みだすような仕事です。(略)
成長するのは、ヘルスケア、教育。
P178(ブレグマン)ホモサピエンスはホモルーデンスであり
遊ぶことこそ本質である。そこで物語をつくり、
文化をつくる。
P184(ショーンベルガー)自分で収集した情報を元に意思決定
をする。情報のひとつが価格である。
このシリーズお難点は、各人のストーリーの短さ。
倍~3倍くらいのボリュームがあればもっと深く
知れるのに。
富の際配分、→データーの再配分 -
Posted by ブクログ
数学や物理学をはじめ、いわゆる「科学」と呼ばれる学問は、理論を構築するにあたり必要な公理系(または実験的事実に基づく法則)を基礎として演繹的に構築していく。
翻って、経済学はどうであろうか?
確固たる基礎を持っているのだろうか?
よく理論経済学の論文なんかで登場する効率的市場仮説(EMH)やホモ・エコノミクスを仮定しているが、これは本当に人間の行動をうまくモデル化していると言い切れるのだろうか。
金融工学をはじめとした数学的に経済を分析する、ということが近代経済学の主流であることは疑いようがない。
Black-Scholes方程式からデリバティブのプライシングをするとなんかカッコいいし笑
本書は、この徹底的に定量化され、人間が数値に落とし込まれる現在の経済学をもう一度再構築することを目的とする。
では、再構築するときの土台となるのは何か?
人間の心の部分である。
では、人間の心となる部分は何か?
宗教である。
本書は、さらに宗教を古典にまで還元している。
ギルガメッシュ叙事詩や旧約聖書にまでさかのぼり、人間の経済的な活動の起源を求めている。
正直に言うと、この部分はあまり受け入れられなかった。
というのも、少々話をこじつけすぎではないか、と感じることが多かったからだ。
これはひとえに、宗教的なバックグラウンドが不足しているからかもしれない。
日本人がMax Weberの「プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神」を読んでもイマイチぴんとこないのと同じ現象であるように思える。
本書がヨーロッパでベストセラーになっていることを鑑みると、ヨーロッパの哲学や宗教(および古典)に対する知的水準が高いことが見て取れる。