国末憲人のレビュー一覧
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【そのマーケティング、星3つ】世界有数のタイヤ製造メーカーでありながら、フランスを始めとする世界各地のレストランを格付けしたミシュランガイドを発行していることで知られるミシュラン。知られざるその企業の内幕やミシュランガイドの歴史を記すことにより、特にフランス料理を中心として、食文化の在り方までをも考えていく作品です。著者は、朝日新聞社のパリ支局で長く務められた国末憲人。
最初に手に取った際は、ミシュランだけでどうやってここまで分厚い本をかけるのだろうと思ったのですが、読んでみれば食文化の歴史やそれにまつわるトリビアが満載で非常に興味深く読み進めることができました。特に、ミシュランガイドの星に翻弄されながらも、その中で自らの食に対する哲学を貫徹させようとするシェフたちの佇まいにはどこか感動すら覚えました。ミシュランガイドのガイドとしてオススメできる一冊です。
そして、ガイドと並んで面白かったのが、世界的企業でありながら地方に根を下ろし、つい最近まで同族経営を行ってきていたというミシュランの企業史。トヨタとも比されるその独特の発展の仕方は、企業の巨大化とあるべき経営の関係を考える上でも参考になること間違いなしです。それにしても本作を読むと取りあえず高いお金を出しても美味しいものを食べたいと思うから不思議(かつこわい)...
〜ミシュランガイドが存続しようがしまいが、日本の食文化は今後、グローバル化の中で生き残れるかどうかが問われていく。その中で、力のあるものは残り、力のないものは消え去るだろう。〜
すきやばし次郎さんのお寿司って本当に美味しいんでしょうね☆5つ -
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グローバリゼーションとポピュリズムの中で、揺れ動く、民主主義と資本主義
四名の知性が語る現代と未来
1 世界の未来 エマニュアエル・トッド 私たちはどこへ行くのか
・核家族こそが人類の最初の家族システムだった
・今見られる政治的な代表制という仕組みは、それが民主的なものであれ、寡頭制的なものであれ、むしろ古い過去から残り続けたものであるとわかったのです。
・民主主義は、人間の小さなグループが自分たちの間で組織したものでした。そしてそれはいくらか排外的だったのです。
・この排外性は民主主義と反対のことではなくて、民主主義の始まり、あるいは再登場の始まりなのです。
・高等教育というのは、体制順応のための制度として優れているのです。
・民主主義がないところというのは、EUレベルのように、人々が投票するに、それが考慮されないところのことです。
・日本は大国であることをあきらめてしまった。それは、日本が人口減少を受け入れているのは明らかです。日本はあきらかに自分であることを選択したようです。
2 民主主義の希望 ピエール・ロザンヴァロン
・選挙が民主主義に次第に成果をもたらせなくなった。
・人々は選挙が民主主義にとって本質的な三つの機能を果たすことを期待してきたから。
①代表という機能
②政治的な各種制度や統治する者たちを正当化する機能
③議員たちをコントロールする機能
・選挙は今日、代表する能力を減じてしまっている。それは、社会学的な理由と制度的な理由があります。
・民主主義の中心にきているのは行政権力の選出です。
・一人ひとりがそれぞれ特異な存在になっていて、個人主義の発展とつながった社会的アイデンティティの時代に突入している。
・今や社会とは、たくさんの少数派の被っている境遇の集まりになっている。「人民」とは、たくさんの小数者のことになっている。
・行政権力が強くなるという流れの中で、議会の機能は縮んでいる。
・民主主義の進歩が意味するのは、今やそれを複雑化し、主権について複数の形を設けることなのです。一般意思を表現するチャネルを多元化し、人々を代表する仕方を広げなければなりません。
3 資本主義の限界 ヴォルフガング・シュトレーク
・国家が市場に組み込まれるようになると、国家は市民よりも「市場の力」によって、支配されるようになる。
・最も重要な要求は、自由貿易の制限と移民規制だ。それは、住民の経済的地位をこれ以上に低下させず、社会生活を崩壊させないようにするためだ。
・軍事的敗北と、国内の経済的・社会的後退は、保護主義と孤立主義を約束したドナルド・J・トランブの大統領選出にもつながった。
・資本主義は常に安定した国際秩序 特に信頼できる資金と、帝国主義的な平和を周辺に提供できる海運国を必要としてきた。
・重要な転換点は、EU離脱を決めた英国の国民投票(2016年)だった。
・政治的主体が、グローバル経済の中で生き残り繁栄するには、どの程度大きければ十分か、もしくは大きすぎるのかという問題だ。
・ドイツはユーロ圏の成長と繁栄の極みであり、この文脈でのみ、経済状況と政治状況を説明できる。
・ドイツは工業生産が集中しており、完全雇用、財政黒字につながる高い税収、最近では安定した収入分配がある。
・財政的な余裕があったため、メルケルの政府は、ドイツの福祉国家に手をつけなくてすんだ。
4 分断の克服 ジェームズ・ホリフィールド
・現代の移民政策は、治安・人権・文化・市場(経済)の四つの側面が入り混じっていると理解するのが重要です。
・米国、ドイツ、スイスなど多くの欧米諸国は、労働力確保の必要性から、移民を受け入れる決定をしている。
・移民をめぐる議論は時に、大きく変更します。多くの人々にとって、移民が「脅威」と映るときです。移民は物質的な脅威、安全保障上の脅威ともなりえます。
・日本は英国と違って、「単一文化の閉ざされた国だ」といった神話を信じています。
・自由貿易協定は、米国、カナダ、メキシコに経済成長をもたらしました。地域統合は欧州統合と同様に極めて重要です。人の移動と進歩との好ましいサイクルを築くことができれば誰もが利益を得るシナリオとなるでしょう。 -
Posted by ブクログ
[ 内容 ]
貧しく純粋なイスラム教徒が、やむにやまれぬ思いに駆られてテロに走る―。
自爆テロにはしばしば、こうした「美しい物語」が付いて回る。
しかし、これは真実だろうか。
現場を歩いてみると、自爆テロが「貧困」とも「イスラム教」とも関係がなく、「中途半端な若者たちの自分探し」の結果だった姿が見えてくる。
「テロリスト」に対する甘い幻想を全て打ち砕く、画期的ノンフィクション。
[ 目次 ]
第1章 移民二世ザック「自分探しの旅」
第2章 スラムの勝ち組
第3章 モスクの外、刑務所の中
第4章 テロリストの妻たち
第5章 哀しき改宗者
第6章 乗っ取られた村
第7章 劣等感がテロリストをつくる
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性
☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度
共感度(空振り三振・一部・参った!)
読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ)
[ 関連図書 ]
[ 参考となる書評 ] -
Posted by ブクログ
各国各地で続発しているテロ。
テロリズムの宗教的・政治的背景は深遠ですが、
この本には、実際に自爆テロを行った人達、行うに至った経緯が克明に書かれています。
そこには、妄信的であったり、イスラムのイマムによって扇動されたりと、
民族のアイデンティティや国や信教を蹂躙され、聖戦に燃え立つ、というより、
お坊ちゃま達の社会不安と、差別への憎悪がパレスチナなどの悲しい現状と自己を猛烈に重ね合わされて、殉教を選んでしまう
という、聖戦とは程遠い自爆テロの根源が見えます。
情熱ばかりが先立ち、コーラン(聖典)への造詣の浅いテロ実行者達が多いのは、イマムは若者達を爆弾くらいに
しか思って無く、またその様に教育しているからでしょう。
なぜ・・・ 日本人の多くは、そう感じていると思います。
そして、多くの事を知ったとしても、その問いはきっと消えないと思います。
なぜなら、大多数の日本人にとって、理屈では解っていても、実際には一神教は理解しがたいからです。(キリスト教徒や、イスラム教徒は多数いるけども)
何が、誰が、どこが正義で、悪なのか・・・宗教問題に於いては、個人的には、どこにでも悪はあっても、正義はどこにも存在しないと思っていますが、
日本人の史観ででも見極めておいた方がいいのかもしれません。この本は、その一助になるかもしれません。 -
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ネタバレ世界の未来 ギャンブル化する民主主義、帝国化する資本
【1】 『世界の未来』 エマニュエル・トッド
●私たちはどこに行くのか
はじめに「核家族」と「民主主義」があった/英米で再登場し、欧州大陸で消える民主主義/民主主義の土台を崩す高等教育/家族の形と民主主義の形/民主主義は普遍的ではない/「場所の記憶」という視点/大国であることをあきらめた日本/子供を増やしたければ、もっとルーズに/中国が直面する人口動態の危機/私と日本との関係
【2】 『民主主義の希望』 ピエール・ロザンヴァロン
●ポピュリズムと21世紀の民主主義
●政治に思いを届けるには
●投票日以外も主権者であれ
【3】 『資本主義の限界』 ヴォルフガング・シュトレーク
●グローバリゼーションと国際国家システムの危機
●資本主義社会の敗者に目を向けよ
【4】 『分断の克服』 ジェームズ・ホリフィールド
●移民政策に失敗した国は、21世紀の負け組になる
民主主義と帝国主義、核家族と大家族、ポピュリズム、資本主義、格差。
こういったキーワードに関して4名の社会学者が論じています。
大半のページがエマニュエル・トッド氏へのインタビューです。この人、ユニークな視点と歯に衣着せぬ物言いで人気があるのがわかります。
他の方々は学者っぽい視点で、解決策が今一つ腑に落ちないところがありますが、現在世界が直面している問題を知る上では役に立ちました。
日本の新聞も、本誌でこういった論客の意見を掲載して欲しいものです。
まあ、人気は出ないでしょうが・・・
竹蔵