東出顕子のレビュー一覧
-
-
-
Posted by ブクログ
黒人政権移行の難題を抱えた南アフリカのマンデラ大統領や暴力に揺れるコロンビアのサントス大統領が、のちにノーベル平和賞を受賞するに至る国家作りを支える基礎を支えた著者アダム・カヘンの本。
超難題の解決に助力してきた中で、一貫して対話の重要性を語ってきた著者が
「対話が最善の選択肢ではない」
とさらに踏み込んだ内容になっている。
「ストレッチコラボレーション」と題する、ただのコラボレーションではなく、お互いが柔軟に形を変えながら行うコラボレーション。
どうやってこのストレッチを生み出すかが重要で、要点は3段階あり本文中から引用。
“第一のストレッチ 、対立とつながりの受容では 、力と愛とい -
Posted by ブクログ
南アフリカの民主化にむけて大きな力となった伝説のワークショップを担当したファシリテーターの新著。
しばしば、対立概念でとらえられる力と愛であるが、それは補完的なものである。愛のない力、力のない愛では、いずれも社会変革は失敗する。これらは、二者択一の概念ではなく、ディレンマ、つまり両立させるべきであるが、なかなか両立が難しい問題である。で、解決策としては、歩くように、愛→力→愛→力といったぐあいに、交互に進んで行くことが大切というメッセージである。
言われてみれば、当たり前のことだけど、なかなかこれをストレートに言った人は、すくなくともファシリテーションとかやっている人では、少ないと思う -
-
Posted by ブクログ
Getting To Maybe
不確かな世界で、ただ立ち竦むのではなく、不確実性をも呑み込んで、一歩前に踏み出してみよう‼…と思わせてくれる一冊。
■書評ではない自分史的散文
レビューを書こうと思ったが、もう既に多くの方がまとめているので、私は、私自身がこの本から、何を感じ、何を考え、どう動いているのか⁈…について書いていきたいと思う。
この本とは、約4年前、友人の結婚式で横浜に行ったとき、待ち時間にふらりと立ち寄った駅中の本屋さんで出逢った。
駅前の大きな木の下のベンチに座り、風に吹かれながら、時を忘れて読み進めた。都会の青空の下、久々に凄まじい解放感を味わった…気持ち良かった。
-
Posted by ブクログ
原書のタイトルが『Power and Love』といって、冒頭のキング牧師の引用が、この本のすべてを語ります。
愛なき力は暴力であり、力なき愛は無力である。
ーキング牧師
よくこの対決を日常の至る所で目にします。感情論に訴えて具体的な解決策が見いだせなかったり、やったら強引に物事を進めようとして、関係者の気持ちを無視してみたり、さもすると、ナイーブな感情論というくくりの『愛』と、ギラギラした出世欲丸出しの自我としての『力』の対決の構図になりがちですが、本書はまったく新しいコンセプトを提示します。
愛と力は二者択一する選択肢なのではなく、そのバランスを保つことが重要だと。
そう考えたの -
-
-
Posted by ブクログ
ネタバレ世界のために、世界の人たちといっしょに働くとはどういうことなのかを学びたくて、読んでいる。
カヘンは、南アフリカを始め世界50ヵ国以上で教育、環境、紛争、食糧問題など社会問題の変革を支援する仕事をしてきたプロジェクトデザイナー。この本は華々しい成功物語ではなく、彼がプロジェクトを進める中で発生した葛藤や苦悩について率直に語っている。
◆学んだところ
○プロジェクトを成功させるためには、なにが必要なのか?
愛(統一の衝動)と力(自己実現の衝動)を統合する力を身に着けること。
このテーマによって、本書は貫かれている。
○愛とはなにか? 力とはなにか?
カヘンは、神学者パウル・ティリッヒの定義 -
-
-
-
-
-
Posted by ブクログ
「誰が世界を変えるのか」その言葉に胸がドキドキした。
純粋にその答えが知りたくて本を読んでいた。しかし、正解はないのかもしれない。
本書には、「かもしれない」という不確実なものに対して立ち向かっていく世界中の様々な人たちが描かれている。その人たちは、のちに社会起業家といわれる有名人というより、「この状態を何とかしたい!」という使命感に駆られた勇気ある一般人の姿だ。
私は、紹介されていた方への敬意と感謝の気持ちでいっぱいになったが、一方で「果たしてソーシャルイノベーションを起こしてきた人自身の人生は幸せであったのか?」という問いを持たずにはいられなかった。その理由は、きっとこの本を最後まで読 -
Posted by ブクログ
いや、これはなかなか重要な内容の本でした。「敵とのコラボレーション」という題名が過激ですが、要は「多様な人たち、多様な価値観を持った人たちとのコラボレーション」というテーマです。
従来型コラボレーションの前提は、「チームとして1つとなる」「1つの最適な目指すべき計画を策定する」「1人の最高位のリーダーの指揮に従ってメンバーは行動する」。それに対し、この本が提唱する、多様な価値観、それぞれの利害を持ったメンバーたちと協働するための方法論、「ストレッチ・コラボレーション」では、、、(以下ネタバレとなるので略)
いや、このアプローチ、もちろん今までも無意識のうちにかなりの部分実践してきましたが、今後 -