一川誠のレビュー一覧
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【クロノス対カイロス】
クロノスは「流れる時間」。一方のカイロスは「機時」と訳され「刻まれる時間」「タイミング」「今だ、と感じるその瞬間」といったイメージのようだ。
客感的時間と主観的時間、あるいは時計の時間と心の時間などと解釈しても良さそう。
テクニックやヒント、エピソードとして面白かったものをランダムに。
- 目標勾配:とりあえず手をつける
- ツァイガルニク効果:中途半端なところで中断
- ルーチンではなくいつもと違う経験を
- スマホより山=デジタルではなく特別な体験を
- 反芻(振り返り)することで時を刻む
- 漁師とコンサルタント「たくさん稼げばリタイアして毎日釣りができるよ」
コスパ、タイパといった効率至上主義に飲み込まれず、意識して「時を刻む」ことにより時間の均質化、圧縮(記憶に残らない)を避けることを心がけたい。
クロノスに捕われず、カイロスを大切に。 -
Posted by ブクログ
■「感じられる時間」の長さは何で決まるのか。
・実際に経過した時間
・体験された出来事の数:経過した時間の長さが物理的に同じであったとしても,その間に体験された出来事の数が多いほど長く感じられる。
・時間経過に向けられる注意:経過した時間の長さが物理的に同じであったとしても,時間経過に注意を向ける回数が多い期間ほどその時間を長く感じ,逆に時間経過に注意を向ける回数が少ないとその期間を短く感じる。
・他の感覚からの影響(感覚間相互作用):大きな画像を見ながら過ごす時間や大きな音を聞きながら過ごす時間は,小さな画像を見ながら過ごす時間や静かな空間で過ごす時間より長く感じられ,広い空間や明るい空間で過ごす時間も,狭い空間や暗い空間で過ごす時間より長く感じられる。
・感情:特に恐怖心は感じられる時間の長さを間延びさせる。
・身体の代謝:代謝が激しい状態の時の方が時間を長く感じる。朝起床した直後には代謝は低い状態であるがその後だんだんと激しくなり午後の遅い時間帯にピークとなる。その後だんだんと低下し就寝中に最も低下する。
■代謝の変動パターンは脳の視交叉上核における「身体時計」によって決められていて「サーカディアンリズム(概日周期)」と呼ばれる。
■一般的には子供の頃は身体の代謝も激しくそれと対応して体温も高めであるが,加齢に伴って代謝は低下し,それと対応して体温も下がってくる。同じ長さの時間であっても子供よりも高齢者の方が短く感じやすい。
■24時間周期での環境の大きな変動に適応するため多くの生物が身体の中に周期性を取り込んで適応している。身体の状態を環境と同様のリズムで変動させることが生存にとって有利だったことからサーカディアンリズムの仕組みを持つことになったと思われる
・太陽の光が全く入らないような実験環境におかれた人でもおおよそ24時間周期で行動したり眠ったりする
・心身の周期性は全身の内分泌の周期性により決まる
・摂食欲求の周期も決まる
・身体内にほぼ24時間周期で変動する過程のことを「身体時計」「生物時計」という
・身体時計は身体の一部に局在しているのではなく体中の細胞のほぼすべてに存在することが知られている
■眉間の奥,両眼の視神経が交差している部位の近くにある脳の視交叉上核には部位内のたんぱく質合成に24時間周期があり,それが心身のサーカディアンリズムを基礎づけていることが分かっている。
・時計遺伝子の転写とそれに基づくたんぱく質合成がほぼ24時間周期で規則的に繰り返されている
■1日の周期に合わせた身体時計の振る舞いやそれに従う全身の状態の変化に対応したリズムからずれた生活をすることは,様々な問題を引き起こす。
・代表的なものが「時差ボケ」
・内分泌のリズムは,夜は寝て昼は起きて活動するという生活パターンに合うように出来上がっている
・眠りに落ちた最初の数十分の間にいわゆる「成長ホルモン」が分泌される。「成長ホルモン」は児童であれば骨や筋などの成長を促進するホルモンであるが成人になっても分泌され,筋や血管などの修復を行う。睡眠の周期が不規則になって成長ホルモンの分泌が充分に行われないとこれらがなされないことになる
■日本でも一般的には日の出(明け六つ)と日の入り(暮れ六つ)の間を6等分して夜,昼の時間を計る制度が用いられてきた。そのため春分の日と秋分の日以外は,昼と夜とで「一とき」の長さが違っていた。また,その土地の日の出,日の入りを基準にしていたので,土地のよって違う時間を用いていた。このような季節や場所により時間の長さが変わる時間の制度を「不定時法」という。
■明治5年(1872年)太陰太陽暦への切り替えと同時に1日の時間を24等分する「定時法」が採用された。
・日本全国で標準時を使い始めたのは明治21年(1888年)1月1日
■自分の心理的価値を落とすような経験は感情的にとても負荷が高いものであるため,そのような事態はできるだけ避けるように心理的な「自我防衛機制」が働きがちである。自我防衛機制とは自分自身の心理的価値を低下させず自尊感情を傷つけないように自動的に働く心理的な機能のこと。
・自我防衛機制には自分の失敗は近くや認知がされにくく記憶もされにくいのに対し,逆に自分の成功は知覚や認知がされやすく記憶もされやすい厄介な特性がある
・自己を過大評価しがちになる
■日常生活において選択肢を積極的に見つけ出し現在の生活は異なる生活を選択することはあまりなく,むしろ何も積極的に選択せず現在の生活を維持しようとする傾向がある。認知心理学ではこのように新しいことをせずに現在の状況の継続を好むという特性を「現状維持バイアス」と呼ぶ。
・変化をもたらす決断より現状を維持しようとする行動的バイアスがある
・現在や自分が既に持っているものを実際以上に高く評価しそれを失うことによる損失も実際以上に大きく評価する傾向に基づく
■締切に近づかないと課題に取り組もうとしない私たちの行動特性(先送り傾向)には自我防衛機制が関係していると考えられる。
・締切よりずいぶん前に課題に取り掛かったがために,その時間を使えばできたかもしれない多くの可能性を犠牲にすることを避けるという仕組みが働いているのかもしれない
・努力をしなければやり遂げることが困難な作業ほど取り組むのを先延ばしにする傾向がある
・努力して作業に取り組んでもうまくやり遂げられなかった場合,自分の能力が欠けていたことになり,それは自分自身にとって自分の価値を主観的に下げることにつながるため,自我防衛機制により回避されがち
・締め切り間際に作業を始めてうまくいけば「短い時間でも自分はちゃんとその作業をすることができた」ということになり,自分の主観的価値を高めることになる
・失敗した場合でも自我防衛機制が機能して,「十分な能力があったにもかかわらず,その脳力を発揮するための十分な時間がなかった」と自分自身に対する言い訳をする余地を残すことになる
■時間的に追い込まれるほど他のことが楽しくなる。
・しなくてはいけない作業があるとき,ついつい他のことをしてしまい,更に大事な作業に費やす時間が短くなってしまいがち
・大事な作業をしないで他の作業に没頭してしまう行動を「逃避行動」と呼ぶ
・たいていの場合,些末でいつでもできることで,普段ならやれと言われてもしないようなこと
・自我防衛機制が働いて大事な作業で失敗しても自分にはその作業のために十分な時間が残されていなかったと自分自身に対する言い訳を作り出している
■パーキンソンの法則
・歴史学者のパーキンソンが20世紀前半の英国の海軍官僚の仕事ぶりに関する資料を整理する中で,植民地や軍における役人の数の動静の分析に基づいて官僚の時間や予算の使い方に関する特性を見出したもの
・自我防衛機制やパーキンソンの法則の存在は,私たちの行動は必ずしも経済的合理性に基づく価値観とは一致していないバイアスがあることを示している
■成果が得られる見通しがたたない事柄に対して既にかけた時間,労力,金銭などは経済学の領域で「サンクコスト」と呼ばれる。
■私達には,目標に近づくにつれ,その目標に対して積極的になるという「目標勾配」の特性があるため,作業に対する意欲やモチベーションが向上し作業もスムーズに進む。
■私達には,目立つ事柄があったり注意を向けるよう仕向けられたりするとついそちらに気を取られてしまうという「注意補足」という特性があるため,目立つものが現れるとほぼ自動的に注意を向けてしまう。
・認知的な処理に使える精神的資源(注意資源)は有限であるため,一度に多数の対象に注意を向けることができない
・手品では注意補足をトリックに利用する
・乱雑な机,散らかった部屋は注意補足の観点から危険
■1分間と感じられる時間の長さがおおよそ1分間に近ければよいが長めになりやすい人,短めになりやすい人は,普段の時間の長さの見積もりにおいても同様の誤りが生じやすい。
■未明の時間帯は認知課題などでエラーが起こりやすいので集中力を要するような課題を遂行するには不向き。
・スリーマイル島の原発事故,チェルノブイリの原発事故,スペースシャトルチャレンジャーの事故など多くの重大事故がこの時間帯の不注意によるミスが原因
・サーカディアンリズムにおいて12時間周期の睡眠のリズムがあり日の出頃に目覚めた場合,6時間ほど経過した頃に眠くなる時間帯がある
■15~20分程度の仮眠を取ると効率が上がる。
・30分より長い仮眠は眠りが深くなり過ぎて起きた後の覚醒のレベルが下がる(睡眠慣性)
■多くの技能学習は数分程度の短い休憩を取りながら分散的に学習するのが最も効率が高い。
■記憶に関しても長時間集中して記憶するより休憩をはさみながら記憶した方が記憶が長続きすることが知られている。
・長期記憶は分散学習で成立しやすく集中的な学習では成立しにくい
・一夜漬けは記憶が長続きしない
・記憶に関しては覚えてから長い間が空くとその間に経験した事柄により記憶が抑制されたり変容される
■ホテルのエレベーターホールに鏡が置いてあるのはエレベーターの待ち時間を短く感じさせるための工夫。
・鏡に映る自分の姿は強く注意を引きつけるため時間経過に注意が向きにくくなる
■印象は最後が肝心。
・一連の変動が終わった直後におけるその対象についての評価は,その期間中に感じられた最も明確であった際の印象の強度と最終段階で感じた印象強度の中間の強度になりやすい(ピークエンドの法則)
■将来の価値と比較して現在の価値を過剰に高く評価する価値判断のバイアスを「現在志向バイアス」と呼ぶ。
・人間は将来の大きな利益よりも目先の小さな利益を優先しがち
■時間に関する社会的な要請・圧力や個人の欲望のどちらも私たちの心身の時間的制約による抵抗を受ける。その抵抗を無視して心身の時間的制約に逆らうと,軽微なものから深刻なもの,致命的なものまで様々な健康上の問題や事故を引き起こすリスクが高まる。常にこうした時間的制約と社会的要請,個人的欲望の間の緊張関係があることを知っておくべき。 -
みんなそれぞれ 心の時間
- カート
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試し読み
Posted by ブクログ
この本は、「時間とは何か」という問いについて観点をいくつかあげながらまとめている。以下、自分なりにまとめた要点。
時計の時間は、いつでもどこでもだれにとっても同じように進むが、心の時間は、いつどこでどのようにすごすのかによって進み方がことなる。
同じところで同じように過ごしても、時間の感じ方は人それぞれちがう。年齢によるものや、ちょうどよいと感じるテンポがちがうためである。
時計の時間は社会生活がうまくいくようにつくられたものであり、時計の時間と自分の生活をあわせることは大切であるが、みんな異なる心の時間を持っているのだと考えることも大切なことだ。
人にとって時間は限りがある。限りある時間をどのようにすごすかは、自分で決めなくてはならない。「時間とは何か」という問いに対する答えは難しいが、「君にとっての時間とは何か」という問いにすれば、「君の生き方そのものだ」ということになる。
たくさんのふしぎ傑作集は、いつもすばらしい問いを考えさせてくれる絵本。
わたしは大好きなのだが、絵本の形態であるがゆえに、ターゲットがぼやけることが悩み。
大段落ごとに画風とかバックの色とかを変えればよいのかな。
ソフトカバーでサイズが小さければ、上級生が読みそう。本当は高学年にこそ読んでほしいレーベルであるといつも思う。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ時間の効率化や、雑談のネタになればいいかなと思って読んでみました。「時間の正体」については、宇宙、芸術、哲学など様々な視点から解説していることが面白いです。
ネタバレになってしまいますが、「時間の正体」は、簡単に一つの答えにまとめることが出来ない、と解説しています。専門家でも、まだ分からない部分が多いということです。哲学の部分にもなるので、こちらに関しては仕方がないとは思いました。
個人的には、「高い場所と低い場所で時間の進む速さが違う」という仮説に惹かれました。ごく僅かな差ではありますが、科学的にも実証されていることでもあります。
正体が分からないものであるからこそ、考えることは面白いなと思いました。 -
Posted by ブクログ
自分がどう生きるか?つまり時間をどう使うか?について人生を幸せに生きるための考え方をまとめた本。
近年タイパ、コスパがはやり、効率的に物事をやる事に重点がおかれているが、その行動自体が何も記憶に残らず幸福な人生を送れない事を述べている。
人生に充実感や幸福感を抱くためにやる事は次の3ステップ。
①やる事を5割に減らす
②小さな変化をつけて取り組む
③カゴの特別な体験に思いを馳せる
仕事はやる事がトコロテン方式に降りかかってきて、一時的にタイパでこなしても切りが無いし、後で何をしたか記憶に残らない事例を多数経験してきているからこそ、とても腑に落ちる内容であった。 -
Posted by ブクログ
時間...漠然と過ごし、時に追われ、時に待ち遠しく...
時間...不思議なるもの...
興味深く読んだ。
いろんな角度から時間というものを捉えていて、多くの事例を使いながら説明している=腑に落ちる、自分の実体験と重なる。
そして
生まれて死ぬまでその人生の時間は人それぞれ...
自分らしく、自分の時間を全うするには...
やはり時間の概念も含め自分が時間をどのように感じ取って過ごしているのか?ということを知り、時間の流れの感じ方をコントロールできれば...
そして、
一定の速度で流れる時間の中に「アクセント」をつける
それが記憶となり、その記憶を繰り返し反芻することで自分の人生、生き方に彩りを添えることにつながる...
ただ時間だけではない、自分の日々の時間、積み重なって
結局は人生というか、生き様というか...
哲学的要素も散りばめられていて...
メモしながら、面白く、納得しながら読んだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人間は思ったほど認知機能が優れているわけではなく、現実としてそこにある世界をありのまま認識できているわけではないらしい。しかもほかの動物と比べるとかなり限られた世界しか見えていないようです。人間である限り、一生聞けない音、見えない光、感じれない感触、嗅ぐことができない匂いがあるのだと思うと、不思議な気持ちになるなぁ。
そして、人間は思った以上にたくさんの認知バイアスや錯覚に絡め取られながら、無意識的に認知、思考しているとか。錯覚や錯視はさておいて、さまざまなバイアスの存在を知っているだけでも、今後自分が何か意思決定や思考するときの助けになります。知っていたからといってバイアスがなくなるわけではありませんが。
特に印象深かったのは、自己の利益を最大化しようと合理的な判断を重ねると、全体の利益は小さくなってしまう「囚人のジレンマ」のくだりから、機械依存の危険性を指摘した部分。合理的な判断の積み重ねが社会全体にとっての最良とは限らない。