吉澤康子のレビュー一覧

  • あの本は読まれているか

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    ネタバレ

    CIAが対ソ連に対し、プロバガンダとして「ドクトル・ジバゴ」を世に送り出す。その一連の動きと、「ドクトル・ジバゴ」の作者ボリス・パステルナークを取り巻く愛人と家族の話とでも言おうか。

    実際、スパイというのは静かな行動をするもの。「ドクトル・ジバゴ」の原本や翻訳本が、誰かに燃やされるわけでも強奪されるわけでもなく、静かに粛々と計画されて出版にこぎつける。

    タイピストたちは傍観者、もしくは見届け人か。決して表には出ないが、沈黙を守れる高度な教育を受けた女性たち。
    もっと彼女たちの活躍が見られると思ったが、ちょっと肩透かしだった。
    彼女たちはこれらの作戦をどこまで知っていたのだろうか。または「知

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    2025年03月12日
  • 危険な友情

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    1920年代のアメリカ!
    禁酒法時代〜
    もうこの時代設定ってだけで、好き…(笑)
    まさにグレート・ギャツビーのあの頃よ!
    その時代に警察署で供述書を作成するタイピストとして働く二人の女…
    ひとりは孤児院で育った、地味でまじめなローズ
    もうひとりは、断髪の美人、オシャレでホテル暮らしをしているオダリー
    対極にあるかのような二人は互いに親しくなり、やがてオダリーの豪華なホテルの一室で一緒に暮らすようになる
    だが、オダリーに秘密があることが分かり…

    物語はローズの一人称で進むためとても読みやすい…
    禁酒法時代に危ない橋を二人でうまく逃れるシスターフッドものかと思ったら…
    もうあかん…あかん…
    想像

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    2025年03月04日
  • 父から娘への7つのおとぎ話

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    幼い頃から父親を断絶して成長したレベッカが主人公。俳優として名高い父親の取材を申し込んだ記者との接触により独自で父親探しを始めた主人公が行き着く先は?と言うミステリーっぽい作品。結果はどうれあれ、プロセスがとても良かったし、忌むべき父親像を恋うる対象に格上げした雰囲気も良かった。

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    2024年03月02日
  • 父から娘への7つのおとぎ話

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    まず、表紙の可愛らしさ。
    そして、タイトル。
    ノスタルジックで、ほっこりしたストーリーを誰もが想像するのではないでしょうか?
    …結果、全く違いました。
    誰もが知っている有名な子ども番組に出演していた父。娘のレベッカが子どもの頃に番組からは降板し、行方も分からない。
    20年間会っていなかった父をあるきっかけから探すことになるレベッカ。
    なぜ、番組を降板したのか?家族の前から姿を消したのか?父が残した7つのおとぎ話を手がかりに父を探すレベッカ。ミステリー仕立てになっています。
    幼かった頃の記憶の中の父と、周囲の人が語る父の姿の乖離。

    家族がどんな人間であるかをこちらが選ぶことはできない。こちらが

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    2024年01月03日
  • あの本は読まれているか

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    感動した…!どんな不条理にも苦しみつつも強かに立ち向かっていく女性達の姿が心に響いた。解説にも書かれていたようにイレーナ、サリー、オルガだけじゃなくてそれ以外のその時代を生きた全ての人々(特に女性達)の物語だったんだと思った。まさか恋愛要素も入っているとは驚きで、苦しかったけれど、最後のエピローグが良かった。

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    2023年09月15日
  • あの本は読まれているか

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    あらすじから受け取る印象と、読み終わった印象が違う本だと感じた。文学の力を信じる人たちがいてこその文学だと感じた。ただ、1番驚いたのはこの小説が実際にあった出来事をモデルにしており、「ドクトルジバゴ」が実在する事だった。

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    2023年07月26日
  • 父から娘への7つのおとぎ話

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    娘にとって父親の存在は母親とは随分違うと思う。自分のことを考えるとやっぱりそう。今、生きていたらどんなことを話していただろう。ラスト、とても良かったと思う。

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    2023年06月30日
  • 父から娘への7つのおとぎ話

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    余韻が心地よい。
    人が死んだりはしないミステリー要素も多い。

    間に挟まるおとぎ話が鍵になるが、帯にある通りそれぞれだけでもおもしろい。
    かなり後味は悪いものもあるが、、

    また、躁鬱などの表現が独特で、初めて触れる類だった。
    影がついてまわる気がして、想像力が飛躍する。
    上記のような精神的な病気の症状がわかりやすい。

    朝井まかてさんの話を続けて読んだ後なので、全体的なロマンティックさが心地良かった。

    父、主人公も父方の祖母も、不遇というか、誰かの悪意によるものというわけではなく大変な状況を味わったのだなぁと。
    普通になるってすごいことなんだというセリフに共感。

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    2023年05月10日
  • 父から娘への7つのおとぎ話

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    家族みんなが辛い思いをしてきたのだと思った。
    アデリーンが治療を受けることが出来ていればと思ったけど、夫が医師だし閉じ込めておけば良くなるとの認識なら無理だし、世間体があるのかもしれない。母の遺伝かわからないけれどレオは病気で相当しんどい経験をしただろう。助言されても治療の必要性を感じないから、周りもどうしようもない。排除するしか。
    みんなが辛い。
    レオが、怪物のようなものに支配されていることに気づかなかったと話しているところがとても心に残った。躁鬱病などではなくとも、自分の思い込みに支配されていると感じることがあるから。

    ハッピーエンドが嬉しかった。物語の続きを想像して長く楽しめるのも良か

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    2023年04月30日
  • 父から娘への7つのおとぎ話

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    幼い頃に父親に見捨てられたと感じながら育ったレベッカ。あるきっかけで大人になってから父親を探すことに。捨てられたということや母たちから聞かされていた父親のこと。そういうことから探すのにも積極的ではなかったけれど父が書いた「7つのお話」という本を知り徐々に変化していく。魅力的な登場人物たちや作中作の中に込められた想いがどんどん意味を持っていく終盤は特によかった。ミステリーであり家族小説でもあって読み応えや心地よさのある作品。

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    2023年03月07日
  • コードネーム・ヴェリティ

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    しっかりとした読み応えがある。
    謎や意外性はないけど、戦争と女性と決断の手触りがはっきりとある。
    子ども向けと思わず、大人の小説として味わうべき作品。

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    2022年12月31日
  • 夜ふけに読みたい 不思議なイギリスのおとぎ話

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    「ノロウェイの黒牛」がすごく好き。
    ジャックと豆の木は自分が覚えていた内容と違っていて、そんな話だったのかぁと驚いた。人喰い鬼だったのか。

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    2022年09月09日
  • ローズ・アンダーファイア

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    圧倒的なのは、想像を絶する収容所内の様子

    フランス人、ポーランド人、ドイツ人、ロシア人たち
    実在したラーフェンスブリュック収容所にいた女性たちに起こったこと……。
    主人公ローズの使命は、実験台にされたポーランド女性74名の「ウサギ」たちの名前を数え歌にしてすべて暗記して、彼女たちの存在を世に知らしめる。そのために周りに助けられながら生き残ること。

    普通であれば、救出され、解放され終戦、事実が明るみになりエンディングとなるところ、その後に訪れるPTSD的な精神状態まで描くことで、より起こってしまったことの「残酷さ」が際立つ。

    事実を明らかに「しなければならない」と「したくない」のはざまで苦

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    2022年07月20日
  • コードネーム・ヴェリティ

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    女性2人の永遠の友情が描かれる戦争作品。

    第一部はクイーニーの手記。親友マディのことを綴っているけど、クイーニーが捕えられている極限状態のせいか、文章も読みにくい。(あえて彼女は読みにくくしているのかもしれないけど。)
    読みにくいと思いつつ、がんばって読み進めるしかない。
    洋書だから読みにくいというより、そういう話なんだろうな。

    第二部のマディの手記のほうが読みやすく、第一部の疑問を解消してくれる。
    第一部よりジェットコースターに乗っているような疾走感のある第二部。

    後書きを呼んで驚いたが、児童書、、、?!
    内容を理解できるのか、と、刺激が強くないか?という疑問がある。私的には大人の作品

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    2022年06月28日
  • コードネーム・ヴェリティ

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    ネタバレ

    第二次世界大戦を舞台に二人の少女の友情と成長と愛の物語が2部構成で展開する。
    1部あっての2部でのマディの行動の切実さ、そして2部を読んで新たに嚙みしめるクイーニーの深い愛と経略が浮かび上がってくる。
    二人の少女の成長物語であってほしかったが戦争がそれを阻む。拷問シーンなどの場面になるたび、戦争の持つ計り知れない闇を思ってゾッとした。

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    2022年06月09日
  • 夜ふけに読みたい奇妙なイギリスのおとぎ話

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    音読して楽しい、イギリスの童話を集めた本。

    音の調子がよいので、読み聞かせをしているほうも楽しい本です。

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    2021年12月20日
  • コードネーム・ヴェリティ

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    ヴェリティ=真実、
    記録された歴史の裏にある人々の思いこそ、戦争の真実である。

    「スパイと飛行士」ふたりの女性。
    ドイツ占領下のフランス。

    作者のあとがきでは「マディとジュディーは私の空想から生まれたフィクション、舞台の都市名もその他の登場人物も架空、でも、一つ一つのエピソードは真実」と、さまざまな文献等から探り当てて織り込んだことがらに、この物語にかける熱量が伝わる。
    そのすさまじさにより、男の戦場には表されない現実の戦争の残酷さを、まざまざと見せつけてくれる。

    二人の主人公の語りの世界
    第一部、とらわれたスパイのゲシュタポのための手記に描かれた“小説のような”独白は、いつまでも溺れて

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    2021年12月06日
  • コードネーム・ヴェリティ

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    読み応えのある話だった。もう少しミステリー要素があるものかと思っていたけど、戦争を舞台とした登場人物たちのライフストーリーの様な感じだった。

    最後の手紙で全てが救われた気がした。

    ただ、この時代の背景を理解していないと難しい箇所があるかも。

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    2020年11月01日
  • ローズ・アンダーファイア

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    本屋のポップに惹かれたもので…

    描写がとても細かい
    目を背けたくなるような辛さがあった
    後半は追い込むように読んでしまった

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    2020年06月04日
  • コードネーム・ヴェリティ

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    ネタバレ

    とても哀しい友情小説である。

    この本はミステリーとして紹介されることが多いようだ。確かに謎に満ちた第1部の手記を第2部の手記で伏線回収していく手法は、ミステリー小説として一級品だとも思う。

    しかし、ミステリーの醍醐味である「謎が解明してすっきり」とはいかないのである。謎の解明は哀しさにつながり、二人の主人公の友情は美しいのに、その再開は悲劇なのである。

    あとがきによると、出版された際は、ヤングアダルトだったらしいが、この小説をティーンエイジ対象にするという辺りが、反戦に対する断固たる姿勢にうつる。

    戦争は悲劇、武力や暴力による争いは絶対にアカンのだ、ということ。
    人間は、ここまで優しく

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    2020年05月04日