吉井智津のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ISIS下でヤズィディ教の女性が置かれている状況を追体験するような本。紛争下における武器としての性暴力の残虐さには、同じ人間の仕業とは思えず思わず涙が出た。良い意味でも悪い意味でも日本が平和(平和ボケ)していることを実感させられる。
日本の”なんちゃってフェミニスト”に辟易することもあったが、ナディアの体験を読んでいると、やはり男性が持つ女性への蔑視、軽視が、女性を”モノ”として扱い、レイプを賞与とする信じられないシステムを機能させてしまうことを改めて感じた。女性として生まれ、先進国の中ではジェンダー指数の著しく低い国日本で育った身として、改めてジェンダーへの問題意識を強く持つ必要を感じた。私たちは傍観者ではなく当事者であるべきだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ人は他人の影響を知らず知らずのうちに受けていて、自覚がないという本書の言っていることは正しいと感じる。
他人からの影響と自分の決断の境界の定義が難しく、決断の99.9%が他人の影響というのはなんとも言えない。確かに自分が得た情報とは他人の言葉や行動を元にしている事はその通りであるが、それを全て他人の影響というのはどうなのだろう?
著者の例題にあるように猿の餌の例などは確かに他者の影響と捉えられるが、その行動の原理は他者を見てなぁなぁで行動しているなら他者の影響と言って良いが、自分で考えに考えた末の決断であったり、色の違いを気にせず一度試してみて他者と同じ判断をしたのであれば、それは自分の決断ではないかと考える。
ただし、
一般的な人を観察しているとこの著者の言うことは腑に落ちるものばかりで、とても勉強になった。
煮ようとするが差別化を図る、差別化を図りたい範囲や条件なども整理してみると著者の言う通りに私は感じた。
昨今の日本のネット選挙での票獲得やYouTubeといったものの集客、販売に関するマーケティングなどもこの著者の影響力を使っているのだろう。
高いお金を出しての広告やCMが何故行われるかは無意識化の安全性と親しみを買って、大きく売るためであることからもわかる。
こういった無意識への影響力を使うことと、無意識の影響力を無効化するためには、影響力がどんなことで感じられるかを学ぶ必要があり、この本はその学びの手助けになることは言うまでもないので、そう言う影響力に興味がある方にはおすすめな一冊だ。
合わせて「影響力の武器」も読むと理解は一層深くなると私は感じた。 -
Posted by ブクログ
セイコーミュージアムのホームページに、「時の鐘」についての説明がある。少し長くなるが、引用したい。
【引用】
江戸時代における時刻制度には、不定時法が使われていました。不定時法とは、一日を夜明けと日暮れを基準にして昼と夜に分けてそれぞれ6等分し、その長さを一刻(いっとき)と呼んでいました。一日のうちでも昼と夜の一刻の長さは異なり、しかも季節によっても変わるため、常に一刻の長さが変化した複雑な時刻制度でした。
当時の時報の中心的な手段は、時を知らせる鐘(「時の鐘」)で、「時の鐘」には「城の鐘」「寺の鐘」「町の鐘」と複数の種類があって、昼夜を通して報知がなされていました。
【引用終わり】
本書「追憶の東京 異国の時を旅する」の原題は、The Bells of Old Tokyoであり、Bellsは、上記の「時の鐘」のことである。
筆者は、英国在住の作家、アンナ・シャーマン。2000年代のはじめに10年余りを東京で過ごし、そのときの経験をもとに本書を書いたと紹介されている。
本書についての訳者の紹介を、これも少し長くなるが、引用しておきたい。
【引用】
本書は、作家がかつて暮らし、見聞きし、心にとどめた東京の姿を詩情あふれることばでつづる、街歩きの記録であり、タイトルが示すとおり、街と時間をめぐるエッセイです。
東京で暮らしはじめ、仕事のかたわら日本語を勉強していた「わたし」=著者が、ある日の夕方、東京タワーの近くで耳にした増上寺の鐘の音に心惹かれ、引き寄せられるようにして”時の鐘”を訪ね歩きます。”時の鐘”は、時計がまだ一般的でなかった江戸時代、町に時を知らせていた古い鐘で、十か所あまりが幕府公認とされていたというもの。訪ねていく先に鐘はあったりなかったりするのですが、書物をたよりに歩く道すじで、時の流れのなかで失われたものと、時がのこしていったものがともにかたちづくる東京の風景を”再発見”してゆきます。
【引用終わり】
街歩きの舞台は、日比谷・日本橋・浅草・赤坂・目白・根津・上野・築地、等。時の鐘は江戸幕府が江戸の町に時を知らせるために設けたものなので、江戸城、今の皇居周辺が所在の中心となる。
また、単純な街歩きの記録ではない。土地土地の歴史を調べ、ゆかりの本を読み、そのうえで、狙いをつけた人にインタビューをするという構成になっている。書くのに相当に手間暇がかかった本だと思う。
面白い。
面白い本であるが、エッセイというよりも、時々、学術書のように思えることがある。気軽に読める本ではない。