作品一覧

  • 追憶の東京 異国の時を旅する

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    『その小さな珈琲店は二階にあり、おなじビルの一階はラーメン屋だった。それから、ラーメン屋がなくなってコインロッカーになった。ラーメン屋がはいるまえは、その場所はブティックだった。三階には日本刀を売る店があった。その上の最上階には、根付を売る店があったと思う。それらの店が、ひとつ、またひとつと閉店し、やがてビルのほかの階はすべて空き家になって大坊珈琲店だけがのこった。大坊さんがその場所を離れることはなかった。例外は毎年八月の三日間で、そのときは店を閉め、生まれ故郷である岩手県の北上山地へ帰っていた』―『時の鐘』

    W・G・ゼーバルトの「土星の環」か、なるほど。翻訳者によるあとがきによれば作家アン

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    2022年12月14日
  • 追憶の東京 異国の時を旅する

    Posted by ブクログ

    セイコーミュージアムのホームページに、「時の鐘」についての説明がある。少し長くなるが、引用したい。

    【引用】
    江戸時代における時刻制度には、不定時法が使われていました。不定時法とは、一日を夜明けと日暮れを基準にして昼と夜に分けてそれぞれ6等分し、その長さを一刻(いっとき)と呼んでいました。一日のうちでも昼と夜の一刻の長さは異なり、しかも季節によっても変わるため、常に一刻の長さが変化した複雑な時刻制度でした。
    当時の時報の中心的な手段は、時を知らせる鐘(「時の鐘」)で、「時の鐘」には「城の鐘」「寺の鐘」「町の鐘」と複数の種類があって、昼夜を通して報知がなされていました。
    【引用終わり】

    本書

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    2021年07月10日

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