吉井智津のレビュー一覧
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ベトナムから難民としてオーストラリアへ移住し育った女性キー。舞台は1996年、アジア系移民が多く暮らす街。弟が殺された謎を探る。
優等生だった弟がなぜ殺されたのか。関係者から話を聞き謎を追う中で、ベトナムから移住せざるを得なかった当時の事情、偏見と差別、様々な苦労、世代間のギャップ、ドラッグや暴力など多くの問題について知ることができた。
英語が不自由なため労働条件が悪い仕事に就くしかない親世代から、次第にベトナム語を話せなくなっていく子世代へ。戦争、難民生活、移住のストレスはより弱い立場の女性や子供たちへ吐き出され、負の連鎖へと繋がっていく。
海外の初めて知る世界の話だけど、読んでいる間ず -
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メルボルンでジャーナリストとして働くキーは、5歳下の弟が亡くなったことを知り、実家に帰省する。
幼い頃にベトナムから両親とともに難民として渡ってきたキーと違って、成績優秀で大人しく"いい子"の弟が、何者かに殴り殺されたということが信じられず、警察の説明も同級生も教師も大勢いたのに目撃証言がひとつもないと言うことに愕然とする。
弟は、いったい誰に、何故、殺されなければならなかったのか?
キーが、独自に動きだすと…。
情景が目に浮かぶようで鮮烈で刺激的だった。
キーとミニーとのやりとりがとても上手くて、心の声が手にとるかのように響いてくる。
ヒリヒリとするような冷たいやりとり -
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ネタバレ第一部の幸せな日々、
しかし常に脅威に晒されるイラクという国家、
不穏な事件、暗転、
第二部は辛すぎて部分的にしか読めず、
逃亡に成功し、
第三部で脱出叶い、母と似た人を見た瞬間で
読み溜めてきた感情が、私もナディアと一緒に放出されるかのようだった。
脱出を助けてくれたナーシル、その家族の善行。
そしてエピローグ。テロリスト達に対する絶え間ない戦いを続ける、勇気あるナディア。
本当にこんな残酷なことができる人間がいるんだ、
宗教って利より害の方が人類にとって大きかったのではなかっただろうか。
日本人には、どれだけ語られても本質的な意味でどの宗教のことも理解できないと思う。
人種、民俗、住ん -
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『その小さな珈琲店は二階にあり、おなじビルの一階はラーメン屋だった。それから、ラーメン屋がなくなってコインロッカーになった。ラーメン屋がはいるまえは、その場所はブティックだった。三階には日本刀を売る店があった。その上の最上階には、根付を売る店があったと思う。それらの店が、ひとつ、またひとつと閉店し、やがてビルのほかの階はすべて空き家になって大坊珈琲店だけがのこった。大坊さんがその場所を離れることはなかった。例外は毎年八月の三日間で、そのときは店を閉め、生まれ故郷である岩手県の北上山地へ帰っていた』―『時の鐘』
W・G・ゼーバルトの「土星の環」か、なるほど。翻訳者によるあとがきによれば作家アン -
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ノーベル平和賞受賞の自伝であり、ISISの暴虐の記録。ヤズィディ教徒はクルド人によるペシュルメガと呼ばれる民兵に見捨てられた後、異教徒としてイスラム国に改宗を求められる。従わない男たちは殺され、女はサビーヤと呼ばれる性的搾取を主とする奴隷として売買された。作者のナディア・ムラドは、その性奴隷の現場からの逃亡に成功し、この本の内容を語っている。
成熟した統治機構の成立には、多くの国で、利害や価値観が対立する民族、宗教、あるいは、地理的背景をアイデンティティとした集団の戦争行為を経験している。日本ですらも例外ではない。いまだ未成熟な文化、国家は領内外に対立を孕み、戦争や紛争、テロリズムと隣り合わ -
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アフガニスタンとイスラム国の問題がホットニュースで流れる中、なぜ多くの国民が自国アフガニスタンを離れようとするのか。イスラム国とは何か。本書は、イラク北部にあるコーチョという小さな村に生まれ育った、女性ナディアの衝撃の体験を綴った作品である。少数派の宗教、ヤズディー教徒達が、貧しいながらも平和な日々を暮らしていた。しかし、湾岸戦争やイラク戦争の戦後処理の民族・宗教対立の中で、平和な生活を少しずつ蝕み、ついにイスラム国の一軍による襲撃が始まり、家族はばらばらとなり、青年男性達は銃で処刑されるジェノサイド。若い女性は拉致され、人身売買、性奴隷として凌辱され、兵士達に輪姦される。著者ナディアも繰り返
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イラク北部にある小さな村・コーチョ
少数派のヤズィディ教徒たちがつつましく平和に暮らす村
ある日の突然のISISによる襲撃。
略奪と破壊、そしてジェノサイド(集団殺戮)と女性の人身売買
しかしそのニュースは世界に報道されることはなかった…
この本は、そんな恐ろしい体験をし、それでも自分の体験を世界に語ることで、こんな体験をする女性を「最後の一人」にしたいと活動するナディア・ムラドさんのノンフィクション
あまりの残酷さになかなか読み進むことができなかった
ページをめくるたびに様々なことを考えさせれ
女性として悲しみと憤りを感じ、
都合のいいことばかり唱えるイスラム国に怒りを感じた。
ISIS -
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衝撃的な内容だった
ヤズィディ教という宗教マイノリティの教徒というだけで、成人男性は殺害し、女性は奴隷のように虐げられレイプし続けたISIS
これが2014年のイラクで実際起こった、いまも問題として残っている事実
アメリカに蹂躙された多民族国家イラクにおいて、反帝国主義としてイスラム教からISISのような存在が生まれることは理解できる、フセイン時代の権力者が再び国を治めようと企むのはわかりやすいけど、ISISはただ街を荒廃させ同じ民族を恐怖で封じ込めようとした
ISISもイスラム教の教義に従っているというのが腹立たしい、アッラーの名の下に人を殺して街を破壊するなんて
大家族で育ったナ -
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★の数で評価をすることにいつもより大きい抵抗感を持ちながらも、できるだけ多くの人に読んでもらえるかもしれないという思いで5つつけました。ナディア個人が遭ってしまった残忍で理不尽な体験について書かれているだけでなく、その出来事がISISやその他の様々なグループがせめぎあっているイラクにおいてどういうパワーバランス・政治地図・地理的歴史的背景に基づき起ったのか(起こっているのか)、ということの解説にもかなりページが割かれていたので、信仰や宗教心についてゆるやかな認識と経験しか持っていない日本人読者である私にとってもいくばくか状況が想像できる気がしました。長く続いてきた小さく密度の濃いコミュニティの
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金額¥1,800 413頁のギュッと濃い内容の一冊です
読む前から、きっと読んでも気持ちの良い本であるはずがない事はわかっていました
そしていざ読んでみるとやはり気持ちの良い本ではありませんでした
少しずつ少しずつ澱のように鉛のような重たいものが心の中に沈殿していくような、何かが少しずつ腐敗して嫌な臭いを放ってくるようなそんな本です
しかしそれが実際に世界のどこかで起きた出来事であり、力の弱い女性や子供、マイノリティの宗教を弾圧して良い理由にはならないことを認識しなくてはいけないと思わせる力を持った本です
世界中で起きている悲惨な出来事の被害者を著者であるナディア・ムラド氏が最後の女性-LAS -
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イラクの少数派宗教、ヤズィディ教徒である著者が、イスラム国に家族を虐殺され、自身も性奴隷として壮絶な苦しみを受けた自伝。
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イラクでイスラム国によるヤズィディ教徒の大虐殺があったのは2014年頃。
男の人たちや高齢の女性たちは殺され、若い女性は思春期前でも性奴隷にされる。
男の子たちはイスラム国の兵士として育てられ、洗脳される。
家族はバラバラ。
家族のつながりが日本よりもずっと強いのを感じられるので、なおさら胸が痛くなります。
あまりの壮絶さにノンフィクションだと思いたくなりますが、れっきとしたフィクションであり…。
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ただ一方で、紛争というものはあまりにも複雑で、すぐにどうにかなるもの -
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非常に辛い内容だった。
私が日本でのんびり暮らしている間に、これほど過酷な体験をしている女性がいた。
今も世界のどこかで、理不尽な目にあっている人々、私の目には見えてない人々。
戦争、紛争下では性暴力が武器となる事実。
宗教によって弾圧される人々。
隙を見て脱走し、ある家族によって匿われ、安全な場所まで付き添われ、生き残った家族に再会でき、本当に良かった。母親、兄などたくさんの家族を殺され、故郷が破壊され、心身をズタズタにされ、それでもナディアさんは生きていて良かった。この先も彼女はそう思って生きていってほしい。ぬくぬく、ゴロゴロしてる私が言える立場ではないのだけれど。
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昨年ノーベル平和賞を受賞した人権活動家ナディア・ムラド。授賞式をテレビで観たとき、若い女性には不似合いな、絶望を湛えた眼差しが印象に残った。受賞理由は、戦争および紛争下において、武器としての性暴力を根絶するために尽力したこと。この本には、彼女の想像を絶する体験が綴られている。
2014年、イスラム国はイラク北部のヤズィディ教徒の村を襲撃した。ヤズィディ教は、古代から続く一神教の宗教マイノリティで、教徒たちは山岳地域に集まって、貧しくも平和に暮らしていた。ナディアは当時21歳の学生で、敬虔なヤズィディ教徒の大家族と仲良く暮らし、将来の夢をみる普通の女の子だったが、ある日突然悲劇は訪れる。
イス