筧裕介のレビュー一覧
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本書は、人口減少問題について、大きく2つの側面からアプローチしている。
それは、
①人口減少問題の本質を捉えること
②地域に問題解決の行動を呼び起こすことである。
また、本書が斬新なのは、人口減少問題に関して、「デザイン」をかけあわせているところである。
著者は、デザインについて、「デザインとは、複雑な問題の本質を一挙に捉え、(中略)社会に幸せなムーブメントを起こす創造的行為」と定義している。
私たちは、「デザイン」の持つ意味合いをここまで考えたことがあるだろうか。著者の斬新なアイデアに脱帽した。
まず、本書は、人口減少問題の本質について、インフォグラフィックスの手法を用い、わかりやすく解説している。
日本の人口は、2010年の人口を100とした場合、2100年には、39人しかいない。
人口減少問題の仮説として、著者は、
①既婚率の低下
②夫婦あたり出生数の減少
③若年女性の絶対数の減少
と捉え、豊富なデータから実証している。
また、本書では、人口減少問題へのアプローチとして
①女性中心の小さな経済をつくる
②縁を深めるローカルシステムを築く
③会社員女性をハッピーに
④ふるさと愛を最大化する
⑤非地位財型幸福をまちづくりのKPIに
という5つの提言をしている。
私は、全国的に見て、福井県が少子高齢化について様々な取り組みをしていることを知っていたが、それは、本書を読んで、「都道府県別の女性の就業率と合計特殊出生率に相関がある」ことを知り、理解できた。すなわち、働きながら産み育てる女性が多い地域では、家族や経済環境にも恵まれていることを意味する。
「ワークライフバランス」という言葉がある。以前、私は女性が働きやすい職場の条件の一つとして、「夕方5時以降に会議を入れない」といわれたかたの講演を聞いたことがある。本当に「働くママの視点」に立ち、細やかな対策をしていく必要がある。
いま、国は、「地方創生」を掲げており、各自治体が知恵を絞り、今後のビジョンを描いている。
でも、私は、本書を読み、ふるさとに愛着を持ち、働き、産み、3人育てられる条件が揃えば、住民の幸福度もあがり、人口減少問題の解決にもつながることを改めて認識した。
日本の最重要課題である人口減少問題を解決するには、「働くママ」を応援するため、家庭、事業者、そして行政がそれぞれ問題意識を持ち、取り組んでいかなければならないことを痛感した。
地域、そして、日本という国をのこすため。私たちは、常に人口減少問題を念頭に置きながら、いますぐ、出来ることから、アクションを起こしていかなければならない。 -
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ネタバレなかなかの良著。ソーシャルデザインの取り組み方の道のりだけではなく、具体的な調べ方に至るまで丁寧に教示してくれている。
<メモ>
ソーシャルデザイン実践の流れ
①森を知る 森の中を歩き、先人の知恵を学び、全容を理解する
②声を聞く 森の住民、管理者、活動家の声を聞き、課題を自分ごとにする
③地図を描く 自分の目と耳と足で手に入れた情報を手掛かりに森の全容を地図にする
④立地を選ぶ どこに道をつくるべきか、選択・決定する
⑤仲間をつくる 住民や専門家など道づくりに協力してくれる仲間を集める
⑥道を構想する どんな道をつくるべきか、アイデアをみんなで多数出し、検証し、具体化する
⑦道をつくる 仲間とともにみんなで道をつくる。どんどん改良し、必要なものを加えていく
・現場の歩き方 ①五感で観察する②?に注意する③言語化・可視化する④仲間と共有する
・先人から学ぶことで時空間の広がりをもった情報がみについてくる
・集めたい情報①専門用語に関する基礎知識②基礎的な理論・評論③調査データ
・声を聞くことで、人と正面から向き合う必要性が生じ、それが関係性につながる。そうしたプロセスによって課題を他人事ではない、自分ごとにしていくことができる
・質問項目の参考 環境・態度・行動・相互作用・もの
・管理者の声を聞く 行政の認識を知れる・課題に対して行っている対策・行政サービスが抱えている課題
・イシューマップの作成 直感的な理解が創造性を刺激する。新しいものを創造する際には直感的な理解が非常に重要。
・イシューマップの種類 システム思考マップ、ロケーションマップ、変化ステージマップ、ジャーニーマップ、ステークホルダーマップ
・システム思考マップ 問題に関する複数の因果関係を死して生むとして把握する思考方法。因果関係の輪=グループ図を作成。
・書き方→①取り上げる社会課題を構成するサブ要素
、問題点を書きだす②紙の上に関係性がありそうなもの同士をつながりを意識しながら配置③各要素を変数とし、因果関係がありそうなものを矢印でつなぐ④変数をつなぎ、ぐるりと最初の変数まで戻ればループ完成。
・最適な立地の定め方 ①プロジェクトイシュー候補を記述②住民視点で検証③あなた視点で検証④住民視点×あなた視点で選択
・住民の行動がしっかり記述されていることが重要。
・ワークショップの目的とプログラム①拡散型 ゴール設定せずに課題を検討しつくすこと、アイデアをたくさん出すなど。個人作業とチーム作業の組み合わせで構成
②収束型 一つの方向性に収束させて結論を出すこと。
チーム作業が中心。進行役の力が問われる
③創造型 実効性ある企画をつくることを目的としたプログラム。複数日かけて実施するのが一般的。
④交流型 住民同士など関係性を深めたい、新しいつながりを作りたいときに実施するもの。対話の時間を十分にとったり、いろんな人と話せる仕掛けをつくったり。つながりづくりの工夫を。
同じ場を共有したことが参加者同士の仲間意識になる。
・ソーシャルデザインにおける資金づくりの方法
①行政からの業務受注 ②行政や財団の助成金を得る③事業化する④寄付を集める
・ヤングのアイデアの作り方①資料をあつめる。知識を収集する②資料を咀嚼する。③お手上げという状態になったら放置する。④アイデアが突然ふってくる⑤世に出し、理解ある人の批判にさらし、検証し、育てていく
・頭脳のチーム化。アイデアはチームのものになる。他の人の平凡なアイデアに刺激を受けて、新たなアイデアが生まれることに
・最適人数は4~5人。
・アブダクションによるアイデア発想プロセス
①取り組むプロジェクトイシューを紙に記述。常に意識できるよう大きく記載②チームメンバーのデータ共有シートなどを用意。解決の糸口になりそうなものを選び、プロジェクトイシューの下に配置③選んだデータに基づいて仮説を異なる色の付箋に記述して、貼る④仮説を実行するために必要なもの、サービスを書いてはる。付箋のいろは変える
・アナロジー 他の分野で使われている事例にたとえることでプロジェクトイシューを解決するアイデアを発想する。
・道を構想する①課題に直面している住民の具体的な生活像「ペルソナ」を描く②生活で接しているアイテムを書きだす。③接点を活用するまたはエッセンスを活用する。
・アイデアを検証する。イシューを解決できるアイデアか。住民の気持ちを動かすことができるアイデアか。リソースでスモールスタート可能か
・4Bで最終確認する 飲み屋bar、風呂bathroom、乗り物bus、寝床bed
・仲間をまきこむ。論理的にわかるではなく、感覚的にいいねとおもってもらうことが重要。共感の輪が広がり、プロジェクトが前進しやすいため。
・3つのプロトタイピング①体験のプロトタイピング ②モノのプロトタイピング③事業のプロトタイピング
・人の気持ちを動かす原動力となるのが、企画がシンプルであること。聞いただけでいいねといってもらえるわかりやすさ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ社会問題についてデザインで解決しようというissue+designの本。参考になります。
<メモ>
・孤独死は年間26821人。郊外化により人と人の距離が遠ざかったり、多世帯化で同居家族人数が減り、一人暮らしが地域との接点を失うなど、日本の社会的孤立度の高さは世界有数。孤独死70歳代男性が最も多く30.4%。その次に65~70歳男性が17.6%と圧倒的に男性が多くなっている。
・生涯未婚率は男性30%、女性23%に。
・集落の人の日常が都会住民の非日常。
・大人資源の活用→放課後アフタースクール
・親子健康手帳 母子手帳の改良版。
妊娠・出産・育児のセーフティネットがコンセプト。
お父さんお母さんの声から生まれた現代版。
①子供衣料歴や薬歴を成人まで残す健康カルテ機能
②必要な情報を厳選、わかりやすく編集した必見必読機能
③育児の喜びを増やし不安を減らす癒し励まし機能
④お父さんも参加できる男女共有機能。
⑤知識・経験を伝え次の親を育てる育次機能。
・海士町総合振興計画。通り一遍とうではなく、内部で作る、気軽に開ける愛読書計画。計画策定4チーム「ひと」「産業」「暮らし」「環境」
・「ワンデイシェフ」一つのレストランで地域の住民が日替わりでシェフをする仕組み。売上の70%をシェフが残りは運営費。2人以上が厨房に入ること。寡黙に一人で料理をするのではなく、協働作業することで新たな関係構築を目指す。
・issue+design 社会の課題に、市民の創造力を。避難所、食の安全性、自転車通勤、住宅耐震性の4つのテーマに今まで取り組んでいる。共創→競争→実現のプロセス。ワークショップとコンペを融合している。プロジェクトで生まれたデザインは実用化につなげていく。「できますゼッケン」「注意喚起シュシュ」「食品衛生管理紙」
・デザイン思考とは ①地域が抱える社会課題の本質を心、身体、頭で直感的、身体的に捉える行為。②多種多様なステークホルダーがともに持続可能な美しい未来の姿を思い描き、地域に眠る資源を活用した新しい仕組みや経験を創出する行為。
5つの技術①共感する技術 ひとごとをじぶんごとに ②発見する技術 異和感を言語化し、課題解決の糸口を探る。
③拡散する技術 数を出して、質を高める いろんな問いを出す
④統合する技術 混ぜて、つなげて、化学反応を起こす。
・コミュニティには同じ地域にすむからこその地域コミュニティと、興味が同じなので集まって活動するテーマコミュニティの二つがある。
・既存の地域コミュニティにデザイン思考を持ってもらう場合、一人でも多くインタビューをする。なにができて、何を考えているか。将来どんな生活がしたい。インタビューを行う事で、知ることができるのみならず協力者になってくれる。
・コミュニティの活動は「やりたいこと」「できること」「求められること」の三つを組み合わせて企画することが重要。必要であれば他のコミュニティと協働しながらプロジェクトを推進すること。
・いざカエルキャララバン。綿密な情報収集と、共感をよびその気にさせるシステムとコンテンツ。そしてオープンソース。 -
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問題解決の全体を俯瞰できる「必携」の書
「何らかの課題を解決しようとする人」がその解決の流れ全体をつかむために使える本である。
ボランティアや会社での仕事を考えると「課題を見つける」「問題解決する」がその主なところである。しかしながら、学校でそれを直接的に教えてくれることはなかったと思う。
この本で良いと思ったのはその要諦をコンパクトにまとめているところである。そして、重要な点をきちんと残しているところはとても好感を持てる。いくつかの新旧の「道具」が挙げられているが、どれも実際的で効果が出やすいものが選ばれていると感じる。
読者のメンタルについてもとても配慮されている。「第1章 森を知る」からはじまるストーリーがこれから何かを解決しようとする人がどういう点を考慮すべきかという「気持ち」を整えてくれる。何よりも第2章の『社会課題を「自分ごと」にする』があるが、解決が本当に使われるようになるための「キー」であると思う。
実際に事にあたるようになれば、先人の背中を見ながらノウハウを貯めたり、スキルを増やしたりすることになる。場合によっては、セミナーを受けたり、あたらに専門書を買うことになるだろう。そうであったとしても、「基本」に立ち返るためにもこの本は役に立つはずである。つまり、何らか「壁」にぶつかった時に、その解決の糸口が見つかるはずだからだ。
この本のもう一つの使い方は、これまで「商品企画」などの問題解決を生業としていた人またはその上司の目を見開かせることにあると思う。過去のやり方にも良い所はたくさんある。しかし、問題解決においてもトレンドがあり、新たな解決手法はどんどん出てくる。故に「アップデート」は必要なことだ。
特に今は、大量生産・大量消費の時代ではなく、ニッチ市場を確実にとっていくやり方にシフトしていると思われる。そういう意味では、マーケティング調査でなんとなく客を理解した気分になる過去のやり方ではなく、本書のやり方に沿ってみることは重要であると考える。
まずは全体を俯瞰し、あとから自分を見直すために持っておく「必携」の書であると考える。 -
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ネタバレ色んな地域を活性化する商品のデザインが載っているのかと思ったら1章では色々な社会課題(イシュー)をわかりやすくレイアウトして掲示。でも見たかったのはこんなのじゃないんだけどなーと進んでいくとそれを踏まえた上でその課題をクリアする為には何をデザインすればよいか、デザインとは視覚化することと考えている人が多いが、この本でいうデザインとは「地域に眠る人材、コンテンツ、技術、産業、空間などの有形無形の資源を組み合わせて作る地域ならではの仕組みや経験、すなわちコトのデザイン」というかなり高等なデザイン思考を要求している。一般的にいうとディレクターとかの部類に入るのかなーと思った。私も“デザイン=視覚化”と思ってる部分が大きかったので「活動体」「仕組み」のデザインというのは衝撃でした。後、女子大生の強みは「とどまらない発想力」「思わず共感してしまう力」というのは目から鱗だったけど納得!ブレインストーミングには最適らしいですw
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Posted by ブクログ
デザインってきくと、おしゃれなイラストだったり、奇抜なファッションなんかを連想していまいますが、本書でいうデザインとは、以下のように定義されます。
・問題の本質を一挙にとらえ、そこに調和と秩序をもたらす行為
・美と共感で多くの人の心に訴え、行動を喚起し、社会に幸せなムーブメントを起こす行為
本書は3部構成になっており、1部では日本の現状を知るための各種データがわかりやすいビジュアルで掲載されている。
そして2部では今の日本が抱える課題を実際に解決しようと取り組んでいる事例を30紹介している。そして、3部ではこれからの時代に必要となるデザイン思考の考え方、コミュニティデザインの方法、行政のあり方などがうまくまとめられている。
各事例に共通するのは、地域の問題を行政任せにせず、自分たちで解決していこうとしていることと問題を発見し、対策を練り、計画を立て、行動に移していくというプロセスにおいて、ファシリテーターがかなり重要な役割を果たしているであろうということ。
自分の好きな街が抱える問題を住民で解決し、手に負えない場合は専門家を巻き込むなどして解決し、さらに住みやすい街にしていく、同時に自分が役立っているという自己承認感も持つことができる生き方ってどんなに幸せだろうと思う。 -
Posted by ブクログ
友人が認知症カフェを定期的に行っており
私も先日お手伝いで参加しました
そこでオススメしてもらったのがこちらの作品!
認知症のある方が直面する「身体と心の不思議」を異国の地を旅するようなガイドブック形式で
描いた画期的な作品
出口にたどり着けない「服ノ袖トンネル」や
乗ると記憶をなくす「ミステリーバス」など…
彼らの困りごとを「症状」として
片付けるのではなく
その背景にある「見え方・感じ方」を
丁寧に紐解いており…
私も心を扱う仕事に就いているので
ものすごく勉強になりました!!
自分の当たり前を一度手放して
相手の靴を履いて歩いてみる…
そんな想像力を持つことが
どれほど大切なことか!!
専門書よりもずっと深くそして優しく
とても大切なことを教えてもらいました