【感想・ネタバレ】認知症世界の歩き方のレビュー

あらすじ

※この商品はタブレットなど大きいディスプレイを備えた端末で読むことに適しています。また、文字だけを拡大することや、文字列のハイライト、検索、辞書の参照、引用などの機能が使用できません。

なかなか理解してもらえずに困っていた「認知症のある方が実際に見ている世界」が
スケッチと旅行記の形式で、すごーくわかる!

まるで「ご本人の頭の中を覗いているような感覚」で、認知症のことを楽しみながら学べる一冊です。

ーーー

ここは、認知症世界。
認知症とともに生きる世界では、だれもがいろいろなハプニングを体験することになります。

・乗るとだんだん記憶をなくす「ミステリーバス」
→自分のしたことを忘れてしまうのは、なぜ?

・だれもがタイムスリップしてしまう住宅街「アルキタイヒルズ」
→あてもなく街を歩き回ってしまうのは、なぜ?

・イケメンも美女も、見た目が関係ない社会「顔無し族の村」
→人の顔がわからなくなるのは、なぜ?

・熱湯、ヌルッ、冷水、ビリリ。入浴するたび変わるお湯「七変化温泉」
→大好きだったお風呂を嫌がるのは、なぜ?

・時計の針が一定のリズムでは刻まれない「トキシラズ宮殿」
→コンロの火を消し忘れてしまうのは、なぜ?

・一本道なのになかなか出口にたどり着かない「服ノ袖トンネル」
→同じ服ばかり着たがるのは、なぜ?

・ヒソヒソ話が全部聞こえて疲れてしまう「カクテルバーDANBO」
人の話を集中して聞けないのは、なぜ? etc...

あなたは認知症世界を旅する旅人。
この物語に登場するのは、架空の主人公でも、知らないだれかでもなく、
「少し先の未来のあなた」や「あなたの大切な家族」です。

認知症世界の旅、はじまり、はじまり。

ーーー

<著者からのメッセージ>

●とにかく、「本人」の視点で認知症を知ることのできる本を目指しました。

認知症のある方の心と身体には、どんな問題が起きているのでしょうか。そして、いつ・どこで・どのような状況で生活のしづらさを感じているのでしょうか。
いざこういうことを調べてみても、これまでに出版された本やインターネットで見つかる情報は、どれも症状を医療従事者や介護者視点の難しい言葉で説明したものばかり。肝心の「ご本人」の視点から、その気持ちや困りごとがまとめられた情報が、ほとんど見つからないのです。
この大切な情報が不足していることが原因で、認知症に関する知識やイメージに偏りが生まれ、ご本人と、周りの方の生きづらさにつながっています。

「困っていることはあるのに、自分の口で言ってもうまく説明できない」という、ご本人の気持ち。
「本人に何が起きているのかわからないから、どうしたらいいのかわからない」という、周りの方が抱える気持ち。

そのすれ違いを、少しでも減らすことができないか。認知症のある方ご本人に起こっていること、ご本人が感じていることをより多くの人に理解してもらいたいというのが、この本をつくった一番の思いです。

●「認知症のある方が生きている世界」を、実際に見られるように

とはいえ、認知症のある方が抱えるトラブルを理解するのは簡単なことではありません。そこでわたしたちは、認知症のあるご本人にインタビューを重ね、「語り」を蓄積することから始めました。その数は約100名にのぼりました。
それをもとに、認知症のある方が経験する出来事を「旅のスケッチ」と「旅行記」の形式にまとめ、誰もがわかりやすく身近に感じ、楽しみながら学べるストーリーをつくることにしました。
それが、「認知症世界の歩き方」です。

●たとえば、「お風呂を嫌がる」のはどうしてなのか?

「本人が、お風呂に入るのを嫌がって……」。介護をされる方から、よくお聞きする話です。見方によっては「介護への抵抗」と感じられる、その人の「お風呂に入りたくない理由」は1つではなく、実はその背景には、さまざまな認知機能のトラブルがあると考えられます。たとえば、

1.温度感覚のトラブルで、お湯が極度に熱く感じる
2.皮膚感覚のトラブルで、お湯をぬるっと不快に感じる
3.空間認識や身体機能のトラブルで、服の着脱が困難
4.時間認識や記憶のトラブルで、入浴したばかりだと思っている

単純に、家族に手間をかけさせたくないと思っている、という場合もあるでしょう。
このように、お風呂という1つのシーンをとっても、その人が抱える心身機能障害(心と身体の不調・トラブル・誤作動)や生活習慣・住環境によって、なぜ・どんなことに困難を感じるのかは異なるのです。
つまり、認知症を「ひとくくり」にしない。それが、とても大切なことです。

●どうしてそんなことするの……?行動の「理由」を知ることが、本人も介護者もラクにする

「できること」も「できないこと」も、人それぞれで異なります。
たとえば、すでに買い置きがあるのに食パンを何度も買ってきてしまう、という日常のちょっとした失敗。でも、食パンを買いすぎるのも、単純に「いつ買ったのか忘れてしまっている」のか、「戸棚の扉を閉めたことによって食パンが見えなくなったため、その記憶が消えてしまっている」のかなど、原因はさまざまです。
失敗だけを見ていると「本人に買い物をさせない」と行動を制限するしかないように思えますが、その背景にある理由がわかれば、対応の仕方は変わります。
買い物リストをつくる、ストックは必ず見えるところに置く、そもそも戸棚の扉を外す……。
こうしたやりとりの中に、「わかってくれない」「わからない」といったすれ違いは起こるものです。
でも、それを少なくすることができれば、ご本人も周りの方も楽になる場面が増えていくことでしょう。
ちょっとした工夫だけで、今まで通りの生活を続けることができ、本人の尊厳を守り、認知機能の低下を防ぐことにもつながります。

「認知症世界の歩き方」の完成を一番喜んでくださったのは、だれよりも認知症のある方ご本人でした。
「自分の口で言ってもあんまりうまく説明できないし、相手にもすぐに理解してもらえなかったけど、これを読んでもらうと「ああ、こんなことが起きてるんだ」って、わかってくれる人が多くて嬉しかった。」

また、ご家族からは、こんな感想をいただきました。
「わたしたち家族が、彼女に見えている世界を理解し、寄り添い、彼女と心地よく過ごすためのヒントを探していたときに、とてもわかりやすく、世界の見え方を教えてもらえました。」

この本だけで、すべてがわかるわけではありません。でも、認知症のある方にはどんな世界が見えているのかを知ることで、自分や自分の大切な人にどのようなことが起きるのかを、より想像できるようになるでしょう。

●認知症とともに幸せに生きる未来をつくれるように

認知症は「今のところ」は、医学的に治す方法はない、という事実があります。
しかし、「本人の視点」から認知症を学び、生活の困りごとの背景にある理由を知ることで、「どうやって、認知症とともに生きるか」、つまり、「付き合い方」や「周りの環境」は変えることができます。
付き合い方や周りの環境を変えることで、その困りごと自体が発生しない、ということも起こり得ます。解決する困りごともあるでしょう。
「病」を診て「症状」に対処する医療・介護視点のアプローチではなく、「人」を見て「生活」をともにつくり直す。
そんな視点からできるアプローチもあるはずです。

認知症のある方が生きている世界をもっと自分も知りたい。この超高齢社会の日本に、もっとその世界を想像できる人が増えることで、変わることがあるに違いない。
認知症とともに、幸せに生きる未来をつくるきっかけになれば。そんな思いで、この本をつくりました。
自分と自分の大切な人との生活をともにつくっていく手引きになれば幸いです。

...続きを読む
\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ

認知症は、記憶力が低下すると言う認識でしたが、触覚や空間認識能力も低下するということは知りませんでした。困っている人が周りにいたら、何で困っているかを考えてできる限り、相手が求める助けができればと思いました。

0
2024年12月31日

Posted by ブクログ

親が認知症のため、当人の気持ちが知りたくて購読しました。患者の現状・事象を細かく分けて整理されているので、よく理解できました。あとは自分がこのアドバイスを参考にうまく動けると良いのですが…。脳トレの一つと思って、経験を積んでいきます!きっと介護だけでなく、周りの人の気持ちになって考えられるよい習慣づけにもなると思うので。

0
2024年12月17日

Posted by ブクログ

こんなにたくさんの認知症による障害があるとは知らなかった。客観的事実はあくまで人にとっての客観的事実でしかないんだなと思った。

0
2024年11月08日

Posted by ブクログ

今後必ず、認知症というものに何かしら向き合う場面に出くわすだろうと思い、読んでみることに。

その人がその人でなくなるような気がして、ぼんやりとした不安があった。

この本を読んで、認知に障害があるけれども、その人にはその人なりのリアルな現実を生きているのだろうなと感じた。

時間の流れや、見え方、聞こえ方、理解の仕方は異なるけれど、その人は今、何を考えて、何を感じているのかなぁと客観的に見るような心持ちで、接することができればなぁと思う。

翻って、自分自身に認知症が出た場合は、あまり不安がらずにその症状と付き合えるようになっていたいとも思うが、はてさて、実際直面したらどうなのだろう…と今は思う。

0
2024年09月08日

Posted by ブクログ

Eテレで観てやっと読む。わかりやすく認知症の人は全ての記憶が曖昧になると誤った見方をしていたが一部だけしか衰えていないと知り、そして記憶が残らないから怒っても明日には忘れるだろうとおもっていたけど怒られた事を理解していなくても怒っている事はちゃんと分かっていると誤った見方ばかりしていた。幼いころの感じた事が認知症になって同じ感じ方をしている。
理解したが両親がそうなった時に自分は理解を示す事ができるのだろうか??うまく生活していく事ができるのだろうか。
でも誤った見方で認知症の人と接するのではなくちゃんと理解した接し方ができる点ではすごくわかりやすい参考になる一冊。

0
2024年07月07日

Posted by ブクログ

認知症ということを当事者の語りを交えて説明していることが秀逸。本当に読みやすいし、本当にわかりやすい。認知症というすごくネガティブで重い課題を出来るだけ分かりやすくしていると思う。成人になったら皆がこの知識を持ちながら社会を作っていきたいとすら感じた。

0
2024年03月28日

Posted by ブクログ

「認知症のある方が実際に見ている世界」を、ちょっとファンタジーっぽいスケッチと旅行記の形で、まるで「ご本人の頭の中を覗いているような感覚」で、認知症のことを学べる一冊。わかりやすく不思議の世界を楽しく探検できました。

0
2024年03月19日

Posted by ブクログ

読みやすくスッと頭に入る。認知症に対し間違った認識を持っていたことに反省。認知症に優しい世界はみんなに優しい世界だと思う。その人を見て、できるように、生活を工夫する、というところに、認知症になったら何もかもできないようになるんではないんだ、工夫したらできるんだということに希望が持てた。

0
2024年01月28日

Posted by ブクログ

認知症になった場合、当事者がどのような感覚、感情を抱いているのかを伝えてくれている本。身近な人が認知症になった時に、役にたつ一冊。認知症とはどういう症状があり、当事者がどのように感じているのかを理解できれば、接し方かも変わる。また、いずれは自分も当事者になる可能性があるものなので、自分自身に気づきを与えてくれる。手元に置いておきたい一冊。

0
2024年01月28日

Posted by ブクログ

ぼんやりとわかっていたつもりだった認知の障害について、さまざまな事例が本人の困り感とともに類型として示されていて、面白かったし勉強になった。親が認知症になりそうな感じがするから、これで耐性ができた気がする。

0
2023年09月04日

mac

ネタバレ

・認知症患者は、異世界を訪れた旅人のようなもの。彼らには、健常者とは違った世界(現実)が見えているのだ。
・認知症患者は、あてもなく歩きまわっているわけではない。家の外に出るには、必ず何らかの理由がある。
その行動は過去の思い出や週間に由来することが殆どだ。
・目の前に存在している世界と、人が知覚する世界は同じではない。
人は何か行動する時、「知覚」「判断」「行動」というプロセスを何度も繰り返すことによって、
脳に経験・知識が蓄積されていく。
認知症患者は「知覚」や「判断」にトラブルが起こることで、日常生活に支障をきたしているのだ。
・人の感覚は時間帯、気分や体調によって変わり得る。
感覚器が障害を抱えれば、誤作動が起こる。通常では考えられない味や匂い、温度に感じることもある。
・いないはずの人や動物が確かに見えるのに、
脳の中でも特に、物体、顔、空間、位置、動きの認知に関する部分に障害を受けていることが原因である。
これらの認知を幻覚によって補おうとしているため、本人には実際にそう見えるし感じているのだ。
であるならば、驚くのも本人にとっては当然ということになる。
・人間の持つ時間感覚は、環境の変化や体調などによって変わる。体内時計はずれる。
・認知症患者が抱える生活の困りごと。その中には本人でさえ説明の難しいことがたくさんある。
困りごとの背景には必ず原因となる心身機能障害や、周囲の環境がある。
原因が分かれば解決策や、上手に付き合う方法を見つけることが出来る。
また、生活の困りごとは、認知症かどうかに関わらず、加齢や心身の疲れ、
周辺環境によって、誰もが日常的に体験することでもあるのだ。
・認知症は、早期発見、早期治療が重要だ。
なぜなら、病識が消失してからだと、対処、治療が極めて困難になるからだ。
そのため、少しでも「認知症かも」と思ったら、必ず専門職へ相談すること。
・「一人ではできないこと」を「誰かとならできること」に変えていくべし。
・あなたが感じていることを周りの人に伝えることは、少しずつ社会を変える一歩になる。
・一人では難しくても、自分のクラス地域や全国の仲間と一緒に動くことで、
社会を変える大きな力に繋がっていく。


0
2022年10月08日

Posted by ブクログ

認知症については勉強していたけど、表面上の理解に過ぎないと感じた
感覚が鈍くなるだけで、ここまで広く障害が増えるのは、周囲の気遣いや悩みを伝えやすい環境を意識することもひつよう

0
2025年10月10日

Posted by ブクログ

タイトル通りちょっとした旅行気分で
認知症という病気のポイントを抑えることができました

認知症予備軍の当人にも面白く知識が得られるかも

ただ忘れてるだけなのかと思っていたけど
こんなにも不安でしんどい世界なのかと驚きでした

戸棚の中身が想起できないとか
考えてる通りに体が動かないとか
自分だけタイムスリップしちゃってるとか
ただの物忘れとは違うんだということが
分かりやすく、そして面白く学ぶことができました

まだ家族は大丈夫だけど
もしなったら気付くポイントがたくさん

明日の自分にメモを残すとか時間術の本にあったけど認知症になってしまったらそのメモの内容すら理解できないっていうことなのだという絶望も感じられました。
予防していきたいな、、、

0
2025年02月12日

Posted by ブクログ

デザイン性がとても良くて、読みやすい本だった。
特に認知症“世界の歩き方“として、当事者の声を旅人の声と表記しているのは、好感が持てた。
当事者としても意図せず様々な症状が降り掛かってきて未知の世界に飛び込む者であり、当事者でない人間も予期せず自身も突然旅に放り出される場合もあるし、既に旅を始めている旅人の声に耳を傾ける。

ミステリーバス、
ホワイトアウト渓谷、
アルキタイヒルズなどなど、症状別にユーモアある名前がついているのも表現がやわらかくなって良い。

症状によっては施設に頼らないとパニックの日々で大変そうだなと思いながら読んでいたら、どうやらそれでもまだ工夫して自立した生活をおくっているようで、そんな人は全く珍しくはないのだろうけど驚きである。
認知症カフェなるものを知り、地元で調べてみたらお寺や公民館が多かった。低額で提供するため自然とそうなるのだろうが。場所によっては月1しか開催されておらず。もっと増えたらいいが…

混乱を生まない生活デザインが紹介されており、これは認知症でなくても脳が疲れにくい仕様の部屋であるとも言え、参考にしたい。

床や壁の色・素材などなるべく統一する、
トイレの便器や便座、ドアノブなどはっきり色分けする(白い壁や床、扉と同じ色のドアノブなどNG)、
複雑な柄や模様のインテリアは避ける、
なるべく操作が単純なものを使う、など。
時間の感覚が鈍った人はタイマーを見ながら食事をするという工夫を話されていて面白かった。

症状例
色んな音が聞こえすぎて会話に集中できない、
距離感や空間感覚が鈍って階段が降りられない、
熟語など文字が読めても意味の認識ができない、
便器の白が壁や床の白と同化して便器が見えず、大理石の床だと水浸しに見える、
特定の場所へ向かっている最中にどこに向かっていたか忘れる、この停留所で降りなきゃいけないと分かっているパターンでもなぜか降車ボタンが押せないなど

0
2025年02月09日

Posted by ブクログ

認知症になった、なったかもしれない、なったらどうしようと思う人の思いに寄り添った、とても温かい本。これから、更に認知症の方々が多くなる世の中で、老若男女みんなが読んだら良いと思った。認知症の症状と障害部位を旅仕立てで構成されていて、とてもわかりやすく、楽しみながら読めた。

0
2025年01月16日

Posted by ブクログ

なぜそんなことをしているのか、当事者なりの行動・困りごとのロジックがよくわかった。当事者の声が多数あって納得感もある。
一方で、これらの症状に対して周囲・家族がどんなサポートをするべきか、具体的な処方箋があるとなおいいのにと思った。

0
2024年11月03日

Posted by ブクログ

認知症の祖母がみえている世界を知ることで色々手助けできるかと思い購入。
分かりやすく、すごく勉強になりました。
特に認知症の本人からの視点は祖母と接する時のアドバイスになり、ためになりました。

0
2024年10月06日

Posted by ブクログ

介護福祉士の頃に見知って学んだ知見の他にも、何か自分の知らない盲点があるかもしれないと手に取ってみた。

認知症というと、一番特徴的なのは記憶のトラブルなわけだが、まず記憶のトラブルに関連して、今目に見えてるものですら戸を閉めたりして見えなくなると存在が記憶から消えてしまうようなパターンや、レジで聞いたり見たりした金額の数字が財布に目を落とした瞬間に消えるパターンなど、あらゆるシーンで困難が起きることはあまり認識しきれていなかった。

さらに記憶のトラブルだけではなく、計算が出来ない、言葉が理解できない、どうしたら良いか分からないといった理解や判断のトラブルや、身体がうまく動かせないという行動のトラブル、音や光に過剰に反応してしまう、温度や触感が変化するといった知覚に関するトラブルなどが並行して起きるというのもまた認識が甘かった。

認知症患者にはこういった多くのハードルが日常生活に潜んでいて、それと日夜闘っていることを知っておくことは高齢化社会の中で他者をよく受容するためには欠かせない。
同時にまた、実は隠しているだけで目の前のレジに並んでいる人がまさに困っているという可能性や、自分自身が数年後数十年後に同じ困難に直面する可能性も充分ありうるわけだ。
他者の理解はもちろんのこと、自分自身が認知症になった際に困難を軽減させる方法や、自分の家族や周囲の社会に迷惑をかけないために事前にできることは何だろう、というのもまた考えさせられる。

とりあえずは目下、私の祖母も認知症状が進んでいて困難が生じているので、得られたこの知見をもとにより生きやすい環境づくりや対応に活かしていきたい。

0
2024年08月24日

Posted by ブクログ

実際の認知症の方々からの経験談を各項目で分け地図として示してあり、認知症について何も知らない人でも「そんなふうに見えてるんだぁ〜、そういうふうになっちゃうんだ!」とひとつひとつ理解しながら読み進められた。

イラストも可愛くて、内容もわかりやすいので認知症を知るために何か読みたいな〜という人にはおすすめの一冊。

0
2024年07月27日

Posted by ブクログ

認知症の方が生活の中でどう見えているのか、感じているのか自分が体験しているように理解することができる。こんな風になってしまうことの不安を抱いたものの、社会が理解して暮らしやすくしていくにはどうしたら良いのか考えるきっかけとなった。

0
2024年06月04日

Posted by ブクログ

認知症の患者にヒアリングして作成した13の特徴的な類型を整理。キャッチーなタイトルとエピソードで認知症患者がどんなふうに感じているかがわかるようになっています。また、認知症患者への接し方や相談方法など介護者にもヒントになる情報が満載。高齢社会の中、知っておきたい内容が満載です。

0
2024年05月08日

Posted by ブクログ

認知症は高齢者がなるもの、と頑なに思っていたけど、身に当てはまるものが多くあった。高齢者というくくりではなく、脳の機能障害と言えば年齢問わず当てはまるものかもしれない。健常者が作っている生活環境だから、そうではないひとから見たら使いにくいのも当然のことと見る視点を変えてみようと思う。

0
2024年03月13日

Posted by ブクログ

NHKでこの本に基づいた番組が時々放送されている。
認知症の世界を、旅人がめぐっていくというストーリー仕立てになっているものだ。
いい番組だと思ったので、まとめて内容を知りたいと思い、本のほうも読んでみることにした。

「認知症の課題解決はデザイナーの仕事」、認知症の人たちが暮らしやすいよう、生活をデザインするといいのだ、という考え方に、共感する。

それから、認知症への理解も深まった。
認知症というと、徘徊とか、家族の顔がわからなくなる、といったイメージがある。
ところが、認知症の現れ方は人それぞれだし、同じ「徘徊」という現象でも、その人ごとになぜそうなってしまうのかの原因は異なる。
しかし、その原因にアプローチする工夫によって、当事者も周囲の人も、暮らしやすくなる。
もちろん、そううまくいく場合ばかりではないのだろうけれど。

体が思った通りに動かせなくなるという症状も、運動器官の問題ではなく、認知症からくるということを初めて知った。

それから、認知症の諸症状も、考えてみれば、普通の人が体験することではないか、と思う。
私たちだって、寝ぼけているとき見当識を失うこともある。
疲れているとき、人の話が聞き取りにくかったり、同じ行を何度も読んでしまうこともある。
発達障害のように、スペクトラム状のものじゃないか、という気がしてくる。

そう考えれば、認知症の人が暮らしやすい社会は、きっとそうでない人にも暮らしやすいのではないか、と思えてくる。

0
2024年02月01日

Posted by ブクログ

周りの人が認知症かなと思ったらすぐ読むべき本。いろんな症例が例題含めて説明されています。気づきを与えてくれます。認知症だと早く分かったほうが関係者全員が幸せになれます。

0
2024年01月14日

Posted by ブクログ

当事者が感じている世界を旅に例えてわかりやすく説明。
ワインを飲み過ぎた時の私、大いに思い当たる現象がズラリ。なるほど、シラフでこの現象になるのが認知症というやつか。酒飲みは誰もが擬似的に認知症世界を体験しているはずだ。
認知症の症状を理解できるうえ対処法も掲載されていて心強い一冊。デザインもいい。

0
2023年11月02日

Posted by ブクログ

わかりやすく書いてあると思うが、この本の内容を自分で読んで理解で、て対応できる認知症初期のかたはどれぐらいいるのだろうかと思った

0
2025年08月08日

Posted by ブクログ

認知症。誰でも可能性がある。認知症がどのようなものか知っておきたいと思ったので読んでみました。症状は人それぞれ、程度も人それぞれなようですが、生活で困ることがたくさんあるのですね。少しですが認知症について分かったと思います。

0
2025年07月08日

Posted by ブクログ

再読。初めて読んだときは認知症に多様な症状があることを具体的に知ることができて、目からウロコでした。ただ、再読してみると、やや踏み込み不足、掘り下げ不足の印象で、入門書なのだなと感じました。

0
2025年05月06日

Posted by ブクログ

実際にわたしの母が徐々に認知機能が低下していることもあり、認知症世界はどんな感じか知りたかったのでこの本を選びました。

認知症の方の日常目線で描かれているので、読者からすると別な世界にいるような感覚になるように構成されていました。

目から入ってきた二次元情報を三次元情報に変換できないサッカク砂漠が面白かったです。
電車とホームのわずかな隙間が深い谷のように見え怖い。しかし「ぴょ〜んっ!」と心の中で叫ぶとホームに降りられたというエピソードがとても可愛いですね。

お風呂に入りたくないと嫌がる、七変化温泉では、人によって感覚の違いもあり認知症とは言っても、入りたくない理由もさまざまあることが分かりました。

記憶の障害だけが認知症かと思っていましたが、嗅覚、味覚、聴覚、視覚、感覚、その感覚の中にも内臓感覚、皮膚感覚、時間感覚など全てが誤作動を起こしているとは知りませんでした。しかもそれらは敏感ではなく鈍感になるようですね。

パレイドリアという幻覚系もビックリでした。

そして最後に、認知症は治すことではなく、そんな毎日の暮らしとどう付き合っていくか、より良い生き方をしていけばよいのかがまとめてあります。
周りの人が認知症を理解して、寄り添って優しくなれることも、これからの社会で必要なことなのかなと思いました。

0
2024年12月23日

Posted by ブクログ

ざっくりとしか読まなかったけど、認知症がとにかく多岐にわたる症状をそれぞれの人がどんなふうに持っているかでとにかく千差万別!というのがわかった。
大きな文字、イラストで手に取りやすい。
なんとなく楽しく読める。
アルキタイヒルズとか分かりやすいようで分かりにくい表現もある。
実例も書いてあるので対処法も参考になる。

0
2024年11月24日

Posted by ブクログ

☆3つけてるけど3.5
100人の認知症のあるご本人にインタビューを重ねたと書いてあるだけあって 「認知症のある方が生きている世界」がわかりやすく書かれてあったと思う
想像していたより はるかに認知症で生きていくのは大変だと感じました
やっぱり長生きしたくないと改めて思ってしまった

0
2024年08月15日

「学術・語学」ランキング