金子薫のレビュー一覧

  • 鳥打ちも夜更けには

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    架空の街の架空の不幸
    現実ばなれしてるし、本編ではそれどころじゃないのに、巻末に補遺されたレシピは現実においしそう

    起こってることの非現実さと登場人物たちのそれに対する行動や考えの現実性、巻末のレシピまで含めて、1冊の中の架空とリアルのさじ加減が絶妙

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    2016年04月25日
  • アルタッドに捧ぐ

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    献本企画にていただきました。
    突拍子のない始まりから続くリアルの物語。正直あらすじを読んだ時からこれはどういう意味だろうと思っていたのだけれど、本当にそのままの意味だった。作中で死ぬはずのなかった人物が死ぬという不可思議な事態に陥るのは面白い。現実にはありえない非現実性が逆に魅力に思えた。
    固有名詞に少し引っ掛かりは覚えたが、文章は読みやすい。アルタッドに対する思いが溢れていて、思わずトカゲ飼いたくなった。
    しかして現実にはありえない現象である。不意の出来事で筆は止まり、書くことは頓挫した。その代わりにアルタッドの世話を焼くがそれでは前に進まない。やる気がうすく、現実を直視したくなくて逃げる言

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    2014年11月18日
  • アルタッドに捧ぐ

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    第51回文藝賞受賞作 刊行前サンプル版レビュー。

    理屈をこねるような文体なのだが、言葉選びは適確のようで、物語の終結点までの流れは淀みなく体に浸み透った。本質的にとまでは言わないまでも、作者の言わんとする恍惚や高揚が生に対して持つ意味、あるいは死に向かい合う緊密な距離のようなものを享受できた。そんな気がする。

    本間は人間の本性をある程度バランスよく備えた人格を持っていて、だからこそ生きているということが死んでいくことと同義であることも心から理解している。

    モイパラシアの生を受け継ぐかのような始まりだったが、本間の生を彼のものに戻し、彼の死をあるべき位置にまで遠ざける契機を与えたのが、亜紀

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    2014年10月28日
  • 道化むさぼる揚羽の夢の

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    ネタバレ

    不自由から少し解き放たれただけの不自由が本当に自由なのか?自分の生きる意味はどこにあるのか?それを考えるのもいいけど、まずは目の前の光景を現実だと受け入れ、その中で最善を尽くすのも一つの生き方なのではないか。

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    2025年07月28日
  • アルタッドに捧ぐ

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    ネタバレ

    作家を目指す23歳の主人公。大学を卒業して、大学院の試験を再受験しようというところだけれども、傍ら小説を書いていたみたいです。アルタッド、は、その小説に出てくるトカゲ君。

    本書を書かれた当時の著者の年齢と重なるところもあり、小説を書く過程での葛藤みたいなものが刻まれているような気もしてきます。

    先日『生=創x稼x暮』を読んだところだったので、その中の一人のお話みたいだなー、と、創ることをどう続けていくか、稼ぐや暮らすこととどうバランスをとっていくか、という視点も持ちながら読んでいました。

    お金は底をつきそうだけれども、どうしてもそのお話を殺してしまってはいけない、自分にある使命感をどう保

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    2024年11月30日
  • 道化むさぼる揚羽の夢の

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    『発狂せずにはいられない』

    古本屋で直感で購入し満足と後悔が同時に
    やってきた本。
    いわゆるディストピア小説というもので、
    あらゆる方向から衝撃というかなんというかの
    連続。

    小説を読むとその中に入り込むような方は
    多くの場合発狂しそう…。(私はそうでした)
    全くもって現実とリンクしないような話だが、
    隙間からなんとなしに入り込んでくる感覚が
    絶妙に気持ち悪い。

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    2023年10月26日
  • 道化むさぼる揚羽の夢の

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    今の状況にめちゃくちゃ合っているようで合っていない
    ただの不思議な話って感じで読んじゃったけど、
    この作品に関してはこの読み方でいいんじゃないかと思うことにする
    意味なんて無くていいらしいから

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    2023年03月05日
  • 双子は驢馬に跨がって

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    時代も場所も定かでない世界観は、おそらくあらゆる苦境にあてはまる。
    主人公も彼を解放しようとする者もそれを阻む者も、なんなら全て同一人物かもしれない。
    だから、自身は囚われたままでも、その原因に向けて分身を差し向ける彼を不甲斐ないとは思わない。

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    2022年03月15日
  • 双子は驢馬に跨がって

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    ネタバレ

    岡上淑子さんの装画に惹かれた完全なジャケ借りで手にした初めての作家さんでした。
    面白かったです。不条理過ぎて内容が無い気がするお話だったのですが最後まで惹き付けられました。
    記憶も自らの名前も失い、理由もわからず監禁されている「君子危うきに近寄らず」と「君子」の親子と、彼らを救出するために驢馬と旅に出た双子のそれぞれの日々が綴られていきます。
    双子のみつるとことみも旅の中で記憶を失っていき、その事の恍惚も描かれていました。心身ともに軽くなっていくことの心地好さ、陶酔はわかる気がします。
    驢馬の名前がナカタニ、途中暫し旅を共にする駱駝の名前がフルカワなのも可愛い。旅で出会う大人はアルファベット1

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    2019年07月13日
  • 鳥打ちも夜更けには

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    it like a never ending story. if you're a bird hunter what should you do?

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    2019年05月23日
  • 壺中に天あり獣あり

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    壺中という世界観,入れ子構造のホテルとかブリキの動物達など凝った舞台で漂う人々.出口のない迷宮は迷宮と言えるのか?登場人物も意味ありげな名前で,結局のところ創造主たるものの悲哀を感じさせながら,出口のないままで物語は閉じる.何を表現しようとしているのか、難解.言海の創る動物達を見てみたかった.

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    2019年05月06日
  • 鳥打ちも夜更けには

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    ネタバレ

    架空の港町で毒矢で鳥を仕留める鳥打ちという仕事を三人が任されていたが、そのうち一人が10年経って鳥を殺せなくなる。観光源になるであろう蝶を守るため、それを狙う鳥を数多く殺すという世界観に、うっすらとした心地悪さを感じた。

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    2019年02月07日
  • 双子は驢馬に跨がって

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    ネタバレ

    記憶を無くしたままどこかの一室に閉じ込められている父と息子。

    親子は互いに血の繋がりがあるのかどうかすら、記憶からない状態で、
    いつか双子が驢馬に跨って、自分たちを助けてくれるだろうと信じて励まし合う日々を送る。

    壁に書いた地図は、食事を運んでくる男たちによって真っ黒に塗りつぶされ、
    トイレの壁で囲碁をやるようになり、再び壁に食器を使って地図を書き始めた。

    そこから遠い土地では、双子は長い年月をかけて驢馬と共に旅を続けていた。

    結局、親子と双子は出会いそうで出会わない。
    出会わないんかーい!ってツッコミ入れそうになる最後。

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    2018年02月19日
  • 鳥打ちも夜更けには

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    フランス文学のかおりがします(読んだことないけど)
    途中の三種類の動物のことが気になって、読み急いでしまいました。
    もっと味わって読むべきだったかな
    ラストのあっさり感は好きです

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    2017年06月27日
  • 鳥打ちも夜更けには

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    架空の港町にいきる「鳥打ち」という仕事に就いた男たちの話。ストーリー自体は現実離れしているけれど、現実を思わせるような面白さがあった。何を大切に思い何を守るのか、何が規律でなにが正しいのか。誰が正義なのか。何が美しいのか。余韻の残る読後感で再び読みたくなりそうな作品。

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    2016年11月14日
  • 鳥打ちも夜更けには

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    観光資源の蝶を守るために「鳥打ち」という職業についたが、海鳥を吹き矢で殺すことに嫌気がさした若者の物語。メルヘンタッチというか、ちょっと変わった雰囲気のなかで語られる物語。

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    2016年05月29日
  • アルタッドに捧ぐ

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    勝手に死んでしまった小説の中の少年からトカゲとサボテンを託された作者。
    あらすじだけではさっぱり意味のわからない不条理小説のようなのに、内容はむしろ現実的であわあわとしている。
    小説を書かなければいけない、まだ書くべきではないとせめぎ合い、1年もの何者でもない期間を、トカゲとの生活に費やす。
    ひいてはなんのために生きるのか、と。
    モラトリアム期の鬱屈を陰鬱に書くでなく、ユーモラスに書くでなく、ただ淡々と、ありのままに書いている感じ。
    面白いけど、あともう少し、何かが欲しい。
    最初の数ページの、アルタッドが現れる辺りが一番面白かった。

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    2015年10月16日
  • アルタッドに捧ぐ

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    架空のような村の民族の話しから始まり、現代社会へとそれがリンクしていく。実は村の民族の話しというのが小説の中での出来事だった……。
    普段知ることのないトカゲの習性、生態がわかった小説でした。

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    2015年04月05日
  • アルタッドに捧ぐ

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    1ページ目でぐっと引き込んできて、あとはチョットしりすぼみだったかな。設定をそのまま書いているような説明的な文章、死生観も唐突だし、もうちょっとうまく書けたのではとどうしても思ってしまった。

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    2015年02月19日
  • アルタッドに捧ぐ

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    なかなかおもしろかったよ。
    細かく分けられていて考える時間を与えられてる感(勝手に思ってるだけやけど)、よかったね。

    作者は慶應か。羨まし。

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    2014年12月19日