由佐美加子のレビュー一覧
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南アフリカの民主化にむけて大きな力となった伝説のワークショップを担当したファシリテーターの新著。
しばしば、対立概念でとらえられる力と愛であるが、それは補完的なものである。愛のない力、力のない愛では、いずれも社会変革は失敗する。これらは、二者択一の概念ではなく、ディレンマ、つまり両立させるべきであるが、なかなか両立が難しい問題である。で、解決策としては、歩くように、愛→力→愛→力といったぐあいに、交互に進んで行くことが大切というメッセージである。
言われてみれば、当たり前のことだけど、なかなかこれをストレートに言った人は、すくなくともファシリテーションとかやっている人では、少ないと思う。
特に、「学習する組織」とか、ホールシステムアプローチとか、やっている人は、基本的には、性善説なので、こうした「力」に言及することは少ない気がする。
善意に基づくプロセス重視の取り組みをやっても、なんだか、それだけではうまくいかないなー、と思っていたので、とてもスッキリした。
もちろん、この本は、そういうファシリテーション哲学だけでなくて、さまざまな事例が紹介されているわけで、そこがすごく面白い。
こういう本では、感動的な成功事例ばかりが紹介されるのだが、カヘンさんのこの本では、ここまで書いていいの?というとこまで、失敗事例を書いている。それも、自分のファシリテーターとしての未熟さがもたらした失敗例もあり、こころを打たれる。
この誠実さというか、率直さが、本当に素晴らしい。
そのうち翻訳でるだろうけど、それほど厚い本じゃないし、英語もわりと平易なので、ファシリテーションやっている人は、読んでみる価値があるのではないだろうか。 -
Posted by ブクログ
原書のタイトルが『Power and Love』といって、冒頭のキング牧師の引用が、この本のすべてを語ります。
愛なき力は暴力であり、力なき愛は無力である。
ーキング牧師
よくこの対決を日常の至る所で目にします。感情論に訴えて具体的な解決策が見いだせなかったり、やったら強引に物事を進めようとして、関係者の気持ちを無視してみたり、さもすると、ナイーブな感情論というくくりの『愛』と、ギラギラした出世欲丸出しの自我としての『力』の対決の構図になりがちですが、本書はまったく新しいコンセプトを提示します。
愛と力は二者択一する選択肢なのではなく、そのバランスを保つことが重要だと。
そう考えたのは始めてだったし、必ずどちらかの傾向が強い人同士の闘いという構図を見慣れてきたので、まさかバランスを取ることが重要、それも個人の中でと言われると結構ハッとします。
その他には、
・誰もひとりでは何もできない。あらゆる問題の鍵は、人と人の関係にある。
・他者と共感しあうだけでは不十分だ。他者とともに成長しなければならない。
・何か問題があるときは、自分自身もその問題の一部である
・ものごとを力と愛という枠組みでみると、新しい視野が開けてくる
そして一番ぐっときたのは
・リーダーシップとは未来を創造することである
そもそも内容自体が抽象的なのと、具体例を示すケーススタディが、かなり高度な政治的な問題が多かったりするので、なかなか親近感が沸かなかったりと、若干本の内容と距離を保つのが難しい内容ですが、飛ばして読み進めても、上記のような力強い言葉が、必ず目に入ってくるので、諦めず最後までページをめくり続ける価値はばっちりあります。
スキルとしての「マネージメント」にとどまらない、真のリーダーシップとは何ぞやという、かなり骨太な内容です。それを愛というナイーブな文脈で語る切り口は、他には出会ったことがなく、かなりインスピレーションが湧く内容となりました!! -
Posted by ブクログ
ネタバレ世界のために、世界の人たちといっしょに働くとはどういうことなのかを学びたくて、読んでいる。
カヘンは、南アフリカを始め世界50ヵ国以上で教育、環境、紛争、食糧問題など社会問題の変革を支援する仕事をしてきたプロジェクトデザイナー。この本は華々しい成功物語ではなく、彼がプロジェクトを進める中で発生した葛藤や苦悩について率直に語っている。
◆学んだところ
○プロジェクトを成功させるためには、なにが必要なのか?
愛(統一の衝動)と力(自己実現の衝動)を統合する力を身に着けること。
このテーマによって、本書は貫かれている。
○愛とはなにか? 力とはなにか?
カヘンは、神学者パウル・ティリッヒの定義を紹介する。
力とは、「生けるものすべてが、次第に激しく、次第に広く、自己を実現しようとする衝動」である。言い換えれば、力とは、自分の目的を達成しようとする衝動、仕事をやりとげようとする衝動、成長しようとする衝動である。 (P26)
愛とは、「切り離されているものを統一しようとする衝動」である。言い替えれば、愛とは、ばらばらになってしまったもの、あるいはそう見えるものを再び結びつけ、完全なものにしようとする衝動ということになる。 (P26)
これって華厳のいう「因(自分の中の原因=力)」と「縁(外からの原因=愛)」の関係? 2つの作用は別のエネルギーによって発生し、同時に存在できない。
○「転ぶ」「よろめく」「歩く」の3段階モデル?
やはり同じことを言っているようだ。解決のヒントも教えてくれる。これが「同体」と「異体」の「相入相即」を示した「倶存無礙」ということ?
「対象的な価値観が非常に対立しているように見えるのは、今ある一瞬に両方が提示されるからだ。現実には、時間はこうした対照に折り合いをつけるものなのである」 (P101 ケンブリッジ大学のマネジメント研究者、チャールズ・ハムデン=ターナーのジレンマ研究よりカヘンが引用)
力と愛の両方を発揮するには、二本の脚で歩くことに似ている。
分断すれば転んでしまう。力が愛より強ければ、あるいはその逆であれば、危なっかしくよろめいてしまう。二つの現象が一つになるようにバランスをとり、力と愛の間を行ったり来たりできるようになれば、滑らかに歩ける。 (P102)
○「転ぶ」ケースはどうするか?
カヘンは、インドで行った子どもの栄養不足低減プロジェクトでの失敗を例に説明する。
私たちは、関係者とともに、自分たちの状況を問わなければならない。
・ここでは力はどこにあるのか?
・個々の担い手(自分も含め)は何を実現したがっているのか?
・個々の立場、ニーズ、利害はどのようなものだろうか?
・だれがどんな種類の「する力」と「させる力」を行使しているのか?
・だれの発言が重視され、だれの発言が軽視されているのか?
・ここでは愛はどこにあるのか?
・担い手たちはどのように分断されているか?どのように統合されているか?
・無理に再統合させられているものがないか?
・強制されていないのに結束が保たれているものはないか? (p128 )
○「よろめく」ケースは?
カヘンは、イスラエルのプロジェクトを例に説明している。このプロジェクトは、パレスチナとの和平のために、イスラエル社会の断絶を解決することが近道として進められたもの。
○「歩く」ケースは?
世界食糧システムの持続化を目指す「サスティナブル・フード・ラボ(SFL)」プロジェクトでの創発的なアプローチを例に、C オットー シャーマーのU理論を引用しながら教えてくれる。
ともに現実を知る・・・共センシング
ともに可能性に気づく・・・共プレゼンシング
ともに未来を作る・・・共リアライジング
○よどみなく「歩く」ためには練習が必要?
ある意味で創造的な姿勢とは「中身を少なくして目的は多くする」ことだとジェフ(カヘンのパートナー)は言う。この姿勢は、新しい社会的現実の共創に欠かせない。なぜなら、私たちはこの仕事に参加し、積極的に取り組まなければならないが、行動の結果は予測もコントロールもできないからだ。 (P223)
上記は気になる考えだが、意味がまだよくわからない?
余計なものは捨て去れということか?
少しずつ力と愛の両方を意識し、両方に向き合うようになり、その結果、二つが重なりあい、両者の分裂が修復されていけば、歩き方は身についていく。力と愛は本質的にひとつのものであり、お互いにエネルギーを与え合い、現実しあう。 (P227)
◆次に学びたい人
U理論のC オットー シャーマー
力と愛の定義として引用された神学者のパウル・ティリッヒ -
Posted by ブクログ
著者オットー・シャーマーは、変革を「未来の可能性を感じ取り、それに基づいて行動するプロセス」と定義し、その中心にあるのが「プレゼンシング(Presence+Sensing)」という概念で、深い内省と集合的な感受性を通じて、まだ現れていない未来を「感じ取り、共創する」姿勢が求められると述べている。プロトタイピングを通じた実践重視の姿勢が特に印象的で、小さく試しながら学びを深めるフレームは、イノベーションや組織変革に携わるビジネスリーダーに有効であると感じた。
「思考を変える」のではなく「あり方を変える」ことが変化の出発点であることを論理的かつ実践的に教えてくれ、ビジネスの枠を超え個人の成長にも直結する一冊に思える。 -
Posted by ブクログ
投資法やマネー術とは全く違う。「宇宙銀行」や「私は愛されている」といったワードに最初は怖気付いてしまったけれど、お金への向き合い方について新しい視点で書かれている良書だと思う。
お金の使い方はその人を表すともいう。つまりお金への価値観は人生観とも言える。本書は人生観からお金にアプローチしている点で、参考にしたい観点に溢れてた。
つまり心が満たされていない、自分が満たされていないと、お金を使っても空虚なままだということ。自分を満たすことができて初めて、豊かな使い方ができて、そこからさらに自分を満たすことができる。その繰り返し。
1st STEPの自分の満たし方も、よく言われるセルフケアとか、プチ贅沢で自分を労わるとかではなくて、自分と世界、人生を丸ごと受け入れたなかに自分があるという、壮大な感じ。でも、あながち間違いではないなと思う。まず自分を全面的に肯定できていないといけなくて、多くの人がここでつまずいて苦しんでいる。「私は世界をこう見る」「こう生きる」と決める。強引に思えるけど、実は今の時代に必要な心持ちなのかもしれない。
理解できないなあとか、スピリチュアルっぽいなあと思う部分は置いておいて、色々考えさせられる一冊だった。
自分の中の思い込みや善悪のジャッジ、外部からの抑圧、こうあらなければならないという縛りを自覚して、「自分は何をしたいのか?何をしている時が心から楽しいと思えているのか」に目を向けて、それに向かって生きる。そういうメッセージとして受け取りました。
自分はどこでつまずいているのか、セルフチェックしていきたい。 -
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U理論
第2版
著:C・オットー・シャーマー
訳:中土井 僚
訳:由佐 美加子
読むのに時間がかかってしまい、もうへとへとの状態です
読む前まで、ちょっと楽しみにしていたのですが、甘かった。
近頃であったことのない感覚がありました。そういう意味では脳細胞は活性化されてよかったかもしれません。
各章のうしろに、フィールドノートというまとめがついているのですが、わからないものをまとめてもわからないのです。図表がたくさんついているのが幸いでイメージ的に感じられた、ような感覚をもちました。
現在のやり方でも、過去のやり方でも、問題は解決できない
そこで、過去や偏見にとらわれず、本当に必要な「変化」を生み出せる技術、がU理論と冒頭でいっています
正直、用語の使い方がビジネスライクでなかったりするところや、論理の飛躍が多々あったりするかと思いますが、方法論のひとつとして、チーム・組織・社会におけるイノベーションを生み出す方法として書かれています
否定する⇒感知しない⇒不在化⇒欺瞞⇒破壊 という道をたどって滅亡するか
観る⇒感じ取る⇒開かれた意思⇒結晶化⇒共創造という道をたどって共に生きるのか
どちらのサイクルをたどるのかという,問いかけからはじまっています
個人ではなく、集団を扱っていることが特徴です
U理論は、共プロセッシングという道をたどって、問題解決をしましょうというのが主張です
共始動⇒共感知⇒共プレゼンシング⇒共創造⇒共進化
と言う道です
おもしろい比喩がいくつかありましたので下に並べさせていただきます
盲点に突き当たる
空白のキャンバス
膜を突き破る
器を満たす
全体にいたるには、部分を通り抜けることによって全体に入り込む
全体をみるためには、下がって眺めるだけではなく、内側へ入り込む
視座の転換と手放す
針の穴を通る
大きなバイオリンを弾く
8つの鍼のツボ
時間の彫刻
真実を知る5つの方法
エピステーメ 才能、能力
プロメーシス 知恵
ソフィア 理論的な知恵
ヌース 直感
テクネー 技術
複雑性には3つある
ダイナミックな複雑性
社会的複雑性
出現する複雑性
こういう本には、索引がないと漂う海に一人さまよっている感がありました。
目次
日本語版訳者まえがき
第二版まえがき――10年ののち、立ち現れる地球
序文――ピーター・センゲ
はじめに
第1部 盲点に突き当たる
第1章 火事
第2章 Uへの旅
第3章 学習と変化の四つの層
第4章 組織の複雑さ
第5章 社会の変容
第6章 哲学的見地
第7章 敷居
第2部 Uの領域に入る
第8章 ダウンローディング
第9章 観る
第10章 感じ取る
第11章 プレゼンシング
第12章 結晶化する
第13章 プロトタイピング
第14章 実践する
第3部 プレゼンシング
第15章 社会的な場の文法
第16章 個人の行動
第17章 会話の行動
第18章 組織の行動
第19章 グローバルな行動
第20章 現実創造の瞬間をとらえる
第21章 プレゼンシングの原則と実践
エピローグ Uスクール
原注
参考文献
用語解説
ISBN:9784862762474
出版社:英治出版
判型:A5
ページ数:592ページ
定価:3500円(本体)
2017年12月25日第1版第1刷
2021年06月05日第1版第3 -
Posted by ブクログ
「今日斬り」という由佐美加子さんのYouTubeを見る機会があり「メンタルモデル」に興味を持った。
人って同じものを見ていても… 同じ経験をしていても…そこから受けるものは違う。
子どものころに経験した「ない」という痛み その痛みを回避しようとしていろいろな行動をとる
克服だったり 逃避だったり… なるほどな…と思う
動画を見て 自分のタイプを知りたくなったが それはわからなくても 間違っていてもいいらしい。
本の中にそれぞれのタイプの思考の癖とかが書かれているので 当てはまるのかも…しれないが
「痛み」を体験するのは その痛みの裏側にある大切にしたいという願いを見つけるために必要なこと というのはなんとなくそうなのかもしれない…と感じた
深いこと ちょっと難しそうなことも書かれているが 対話の形で書かれているので読みやすい1冊。 -
Posted by ブクログ
「自分もしくは世界とはこういうものだ」と無意識に決定づけたその人固有の最も深いところにある信念。それが、この本でいう4つのメンタルモデル。
A:「価値なし」モデル(私には価値がない)
B:「愛なし」モデル(私は愛されない)
C:「ひとりぼっち」モデル(私は所詮ひとりぼっちだ)
D:「欠損・欠陥」モデル(私には何かが足りない・欠けている)
人は誰しもこの4つの痛みを共通して持っている。でもその人が保持するメンタルモデルはひとつに絞り込むことができる。メンタルモデルとは、パソコンで言うならOSに相当する部分で大きな影響を与えるプログラムのようなもの。
このメンタルモデルを知ることで、自分の「不安」「怖れ」「努力」「戦い」の人生を「愛」「調和」「平安」「幸福」に統合できるようになります。
【おすすめポイント】
私はコーチとして活動していますが、深層心理のOSを捉えることはコミュニケーションにおいて非常に重要だと考えます。
私も、このメンタルモデルでパートナー、家族など、自分が関係をよくしたい身近な人を当てはめて考えてみました。すると、不思議なことに、相手への理解がとても深まったように感じ、相手に対する見方が大きく変わりました。「不安」が「愛」に変わるほど大きなものです。生きやすくなるために、もっと理解を深めたいと思いました。 -
Posted by ブクログ
U理論の前に読むとよい本。U理論でやりたかった抽象的で学術的に記載された内容の一端を覗くことができる本。文字数も少なく、講座の対話形式を元に記載されているためかなり読みやすい。4つのタイプに分かれることや、瞑想の仕方などは全く重要な要点ではなく、むしろ今まで続いてきた宗教の意味や、それにつながる人間の性を感じとることができたと思う。ベースとしてはやりたかったことをやりなさいや、7つの習慣のまず終わりから考える、などの考え方をベースに感じたほうが分かりやすいと思う。また感じるための手段はやはり瞑想や、宗教系の修行が手っ取り早い方法ぽい。(この手っ取り早いという考え方がすでに囚われてるっぽいが。。)