北原みのりのレビュー一覧
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Posted by ブクログ
プロの結婚詐欺師は凡庸な容姿であることが多いらしい。並より美しければ、多くの異性を惹きつけられるがサクラや詐欺の疑いをかけられやすく、醜ければ大多数に相手にされない。
「木嶋佳苗」は不美人であるが故に、彼女が騙し取ったとされる金額の大きさや容易く騙された被害者の男性たちに対しても、たくさんの疑問が投げかけられている。「美人でないのにどうして?」「出会ってすぐに求婚されるほどの魅力があるのか?」「なぜ被害者たちはすぐにお金を渡したのか?」など。。。
傍聴記録、ではあるがこの本は著者の主観に因るところが多く、読むうちに被害者の男性陣への同情よりも「木嶋佳苗」という女性に対しての興味がかき立てられてしまう。
もちろん人の命を奪うことは罪であるし、嘘八百・時には身体も投げ出し、使い捨てるように複数の男性から金銭を騙し取ることは宜しくない。
だが、長年女性に縁がなかった男性たちにとって、一回りも年下の女性と運命的な恋に落ち、心尽くしの手料理を味わい、騙されたという確証もなく、幸福な甘い夢のなか、「醒めない」永遠の眠りにつけたことは、一種の幸福なのではないか。そういった意味で「優しい」事件のように思えてしまった。
恋の終わり、愛の終わりを知ることなく、相手の冷たい本心にも気づくことなく。。。遅咲きの幸せのなかで亡くなった彼ら。
アラサーの女性は大抵、ただ待っていても白馬の王子様は迎えに来てくれないことに気づいている。しかし男性は40を越え50を越え、老年になってもまだ手前勝手な夢を見ている。木嶋佳苗はそんな男性たちの夢を叶え、そして奪った。
毒婦。私もまた毒されているのか…。 -
Posted by ブクログ
各章作者の振り返り談が中心の内容、非常に面白かった。中でもタイトルにもある女版走れメロス「メロ子」の話は秀逸。女は一つでも同意があればすんなり集団を作り、そうなると俄然団結力が生まれるのだということ。かたや既婚、未婚、子供ありなしといろいろと格差はあるわけで。自分にも何年も会わなくなってしまった友達が何人かいる。旦那とか子供とかいると価値観がやっぱり変わっちゃうんだよな、なんて頭の隅では思ってた。けどこの本読んで、この感情かなりの被害妄想であることにあらためて気づく。途端に恥ずかしくなった。最近ではこの人生の格差問題、どうやら男性にも起こっているみたいだ。ほんと生きてくって大変だなぁ…。
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Posted by ブクログ
ネタバレ読後の”気圧され感”がとても強い鼎談録だと思います。
角田美代子、三橋歌織…と東電OL・木嶋佳苗以外で関心の高い人物の話題も多く、特に木嶋佳苗と同時期にニュースになっていた上田美由紀の事件に対する考察は、両者の比較もありとても興味深いものでした。
そして、自分が知らず知らずのうちに男性目線の報道を何の疑問も持たず受容していたことに気づきました。
でもまたしばらくしたら忘れちゃいそうですが。
北原さんのあとがきで、信田さんに壇蜜をどう思うかと訊ねた際の
「私、好き!あの人、女のパロディだから!」
という一言が強力にヒットして電車の中で思わず笑いそうになりました。
その後の「なぜパロディなのか」という話は面白いですし頷けます。
でも「パロディ」とは…言いえて妙です。 -
Posted by ブクログ
butter(著柚木麻子さん)を少し読んで、手に負えないと思い、予習するために読みました
首都圏連続不審死事件で死刑判決を受けた木嶋佳苗。彼女の裁判記録と故郷北海道別海での取材をまとめた一冊。
怖いというよりぐいぐい引き込まれていきました。気がつくと、なんでこの男はお金を払ってないんだ!と木嶋佳苗の味方になってしまっていてゾッとしました。
木嶋佳苗の最強メンタル、男を選ぶ力、それぞれもすごい!真似できない!(するつもりはないが)と思ったけれど
どうして男は突然カボチャの馬車に乗ったお姫様が現れると思っているのだろう、ガラスの靴もないのに。というところにすごく納得しました。
男もそうだけれど、女もそう。突然目の前に運命の人が現れると思っている人が一定数いる。自分には大した取り柄がないくせに。 -
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木嶋佳苗は最後まで殺人を否認し続けていたので、事件を起こした動機とか何を考えていたのかということが裁判では全く解明できなかったんだという事がこの本を読んでわかった。やってませんと言っている人にどうしてやったんですか?と聞くのは愚問だ。
100日というのは一般的な裁判期間としては長いらしいが、色んな証拠を持ってしても全ての真実が明らかになるということはなく、人間が人間を裁くことの難しさを感じた。
しかし、木嶋佳苗って本当につかみどころのない女性だ。何となくこんなタイプの人かな?というイメージが持てないというか‥。出会ってすぐ大金を渡してしまう男達もよくわからないし。 -
Posted by ブクログ
「butter」で参考にされた本として1番に書かれていたので興味があり読んだ。思った以上にbutterはこの事件と木嶋氏を忠実に書いていることがわかる。
この本を読むまで知らなかったのだが、この事件の証拠が状況証拠のみだと思っていなかったので結構ビックリした。かつ、この傍聴記録そのままであるなら(嘘ではないと思うが主観もあるので)、裁判はかなりパフォーマンスありきで感情を動かせるかにかかっている印象になった。
特に検事が警察官に「悔しくないんですか!?」と詰め寄るシーンは、いやまじそんなの公の場でやるなよ…そもそも悔しいってなんだよ…と思う。
周りがヒートアップすることで、より一層、木嶋氏の凪の様子が際立っており興味深かった。また、判決については確かに疑問の余地があり、かと言って状況から見ても木嶋氏が白とも思えず、人が人を裁くことの難しさを感じた。
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Posted by ブクログ
木嶋佳苗、角田美代子、上田美由紀、下村早苗、畠山鈴香
など毒婦をテーマに、
フェミニストな論客3名でだべりまくる。
女性は、男性を殺した女性犯罪者に自分を同一視するが、男性は女性を殺した犯罪者と自分はいかに違う存在かを力説するという。これは、女性が男性に力で圧せられていることへの反逆を、男性は弱い部分に付け込んでの卑劣な犯罪であることの嫌悪を感じているからなのかもしれない。
また、一般的にモテる容姿ではない木島佳苗が圧倒的なケア力でモテていたというのも、なるほどと思った。
3人のお話は、ある意味、暗黙知が共通的な立場の方々なので、話が通じあうことで、若干ヒートぎみに上っすべりになるところもあった。
(信田さんもあとがきで「ついつい話すぎてしまい失言かなと思う部分もあったが、ま、いいかと思ってそのまま掲載することにした。」と述べており、まさにこの通りの本かなと思います。)
ただ、3人とも、自分の意見をなんとなく流すところなく、議論する感じはさすがでした。
学者、研究者なので、どうしても分析的、分類的になるのでしょうが、
当然、「男は~」と男を敵視したような発言も多々あり。
世界を支配している権威(強いもの)に対するアンチと分かっていても、
この3名の論客は十分強く感じるので、なんかそこまで男を敵視しなくても
と感じてしまうところもあり。
考え方として、「男」という仮想敵があるところから考えがスタートしているように聞けてしまうのが、逆に視野を狭めてしまっているようにも見えて。
ジェンダー関係は性差が出発点になるのでそういう展開なんでしょうが。