あらすじ
2009年に首都圏で起きた連続不審死などに関わったとして、10件の罪で起訴された木嶋佳苗被告。その裁判は100日間と異例のものとなった。マスコミは彼女を「毒婦」と呼んだが、木嶋佳苗とはいったい何なのか。裁判を通して実像に迫っていく。
...続きを読む感情タグBEST3
Posted by ブクログ
面白かった。
男と女について考え直した。
不謹慎だけど、亡くなった方々は幸せのまま死んでいったんじゃないかな、自分だったらおんなじように心酔してたと思う。でもやっぱり、罪を犯した人がヨイショされてる感じは嫌だった。筆者の方の描写が丁寧で想像しやすかった。裁判もっといきたい。
驚き
興味のある事件の傍聴記とのことで読んでみました。木嶋佳苗のサイコパスさに驚くと共に、モテる理由も少し理解できました。人間、人を選ばなければ案外簡単に結婚できるものなのだと思います。
Posted by ブクログ
2日で読み終わりました。
あっという間、3人の殺害をしたとされる彼女はさぞかし貧しい生育環境だったんだろうと浅はかな先入観。実にインテリジェンスな育ちをされていました。ただ、両親が彼女と本当の意味で向き合えてこられたかはどうなんだろうか。心を許していた父親の友人の方は少なくとも彼女の将来を真剣に考えていたのだろう。幼い頃の過ちを毅然と指導できなかった周りの大人たち。
男と女の関係。すごく絶妙な価値観が本人の中でもぶつかり合っていたと思われるがどういう折り合いをつけていたのか。
昨今、そして今後加速度的に深刻になるであろう社会問題が凝縮されていた。男女格差。殺害された方々も含まれるであろう社会が自由を推し進めることや地域の教育力の低下による他者との交友関係を構築できずに孤独死。同居しているのにも関わらず目も合わさないほどの疎遠な親子関係。また逆も然り。
社会問題を見つめる視点の一つとして提示したい教材でした。
そして、端的に読みやすい文章でした。
Posted by ブクログ
以前BUTTERを読み、木嶋佳苗という人に興味を持ちました。この人のサイコパスというか狂気じみたところは、一体どこが発端なのか。読んでみると、歪な部分もあるものの、まぁ普通の家庭じゃないか。と思いました。持って生まれた何か、そんな気さえしました。
では、この人に関わった男達は本当に悪くないのか?そこも謎です。大体直ぐに大金を出してしまうなんで
ちょっとでも下心はなかったか?色々考えさせられる。
BUTTER、毒婦。どちらも読んでも分からないのは、木嶋佳苗のほんとの気持ち。ずっと演技し続けているように感じるのは私だけ?本当は誰を愛していたのか?誰も好きじゃなかったのか?分からないままです
Posted by ブクログ
大出さんがなくなったは、佳苗と出会って23日後。
怒涛のメールをだし、500万を受け取っている。
傍聴していたの若い女性の会話。
「(被害者の男性は)中だしは(佳苗に)いわれたままにするのに、結婚は親に反対されたから駄目だなんておかしいよ!」
千葉県からやってきた30代の主婦は、「申し訳ないんですけど」と前置きしながら、「被害者の男性に、同情ができないんです」と話した。
「男性の結婚観って、古いですよね。介護とか、料理とか、尽くすとか、そういう言葉に易々と引っかかってしまう。自分の世話をしてくれる女性を求めているだけって気がするんです。佳苗はそういう男性の勘違いを、利用したんだと思う」
都内から通ってきている30代の会社員は、ハッキリと、「佳苗に憧れている」といった。
「堂々としているから。私は、男が求める女を演じて、ついつい媚びたり、笑ったりしちゃう。そういう自分が嫌なんです。でも、佳苗って、男に媚びる演技はするけど、実は全然媚びていない。ドライですよね」
佳苗のドライさと、その結婚観は、女にとっては、奇異に映るものではないのかもしれない。実際に婚活サイトを見ても、女性が手料理自慢をしたり、自らを癒し系とアピールしたりなど、分かりやすい女らしさを売りにし、高所得男性を求めるのが、”一般的”である。
対して男は、「白馬の王子様、ここにいるよ」という50打や、『手料理、食べたい」とか言う30代フリーターが、自分よりも10も20も若い女性を求めるなど、現実離れした状況が横行している。まるですべての男性がカモであるような気すらしてくるほどだ。(略)
男は佳苗が不美人ゆえにこの事件に関心を持たないが、女は佳苗が不美人だからこそ、関心を持つのかもしれない。
この社会に生きていれば、不美人であることの不遇を、女は痛いほど感じている。女は、男のようにブスを笑えない。自分がブスだ、と自虐しても、他人のブスは笑わない。それは天に唾するようなものだから。そんな社会で、佳苗は、軽々と”ブス”を超えたように見えるのかもしれない。容姿を自虐することなく、卑屈になることもなく、常に堂々と振る舞う佳苗。不美人を笑う男たちをあざ笑うように利用したのは、不美人の佳苗だ。
P114
冷静に男性たちのルックスを評価し、結婚する気はなかった、と淡々と話す佳苗。
ある男性ととまたホテルに別の男性とも止まったことについて、若い男性検事が、
「抵抗はないんですか?」
「何に抵抗を感じるのかわかりません」
男は純情の名のもとにお金を出し、愛を求め、手料理を求め、セックスを求めてくる。
佳苗のドライさと合理性に、純情がかなう訳がない。
傍聴していた美人記者が憤懣やるかたない苛立つ。
「佳苗、私よりずっとセックスしてますよ。だいたい私なんか、今まで1度しか、プロポーズされたことないっていうの!佳苗は一体何回プロポーズされているんですか!」
「いったい、なんであんなブスが!ブスなのに!どうして!どうしてだと思いますか!」
ブスブス!と悔しがる美人記者を見ながら思う。もしかしたら、佳苗は「惚れなかった」から、常に男たちの冷静な観察者だったから、そして決して自分の容姿を卑下することがなかったから、男たちに魔法をかけられたかもしれない。
男たちは、ただ彼女に受け入れられている、愛されているという安心感の中、彼女が見せる虚構の世界に結ったり使っていればよかったのだろう。
生々しく悔しがり、嫉妬し、怒る感情的で面倒くさい美人より、自分を全て受容する料理上手で感情を見せない不美人の方が、男たちは夢を見やすい。
P146
佳苗は、最後まで佳苗だった。
どんなにたくさんウソをついてきても、自分を裏切ることはできないのが、佳苗だ。「男性が喜びそうな女像」を徹底して演じながらも、「他人にどう思われるか」に驚くほど無頓着で、おそれを持たず、それより「どう見せたいか」にこだわり、相手に畏怖と敬意を求める。
クールな殺人者
とても興味深く最後まですいすい読む事ができた。佳苗はとても頭が良い。自信も虚栄心も強い。その結果誰にも剥がされまいとする仮面をつけて生きてきた彼女。彼女は、男とは/女とは何者か、そしてセックスとは何かを諦観している。佳苗の唯一の弱点といえば、父との関係だろうか。満たされなかった父との関係を再現するかのように他者を借りて殺人を繰り返したのかもしれない。家庭が子供に与える心理的な影響についてもっと学びたいと思った。
Posted by ブクログ
読みやすくて、あっという間に読んでしまった。
キジカナとほぼ同世代のわたし。
なんであの容姿で、一億円近くの金額を男性たちから巻き上げられたのか?
当初からとても興味があった。
揺るぎない自信と、魅了する声と、知性と…容姿の不器量さをやすやすとカバー出来る、さまざまな魅力、いわば吸引力がカナエにはあったのだと思う。
悪女の見本みたいだ。
美人が女を売り物にするのは納得できても、ブスが女を売り物にするのは、許せないのが同性というもの。
モヤモヤしながらも、読み進めるうちに、カナエの手腕に不謹慎ながら感服してしまった。
と同時に被害者たちの孤独と純粋さが可哀想に思えた。
男って哀しいなー。と。
カナエはきっと、人に心の内をさらけ出すことのない人生だったのだろう。
プライドが高く、自己顕示欲が強く、上昇志向も人一倍ある。
人に負けたくない、田舎者とバカにされたくない!という心の叫びが聞こえるようだった。
人にブスと言われようと、私はこんなに男に貢がれるような女なのよ、すごいのよ。と常に思っていたのではないか。
きっと貢がれることで自分の存在価値を見出していたのだと思う。
カナエの哀しさも、垣間見れたような気がした。
プライドの高い彼女は、きっと認めないだろうけれど。
Posted by ブクログ
「不美人を笑う男たちを利用した不美人の犯罪」。婚活サイトで出会った男たちを「ケア」しながら騙し、あげく殺した木島佳苗のルポで、エンタメ+社会批評として最高に面白い。著者が公判で目撃した佳苗は決して「不美人」ではなかった。毎回服装と髪型を変え、女としての自分を演出しながら、被害者の男たちにいらだち、弁護士と談笑する佳苗。「リングイネ」を知らない検事に対して「そんな男に佳苗を裁いてほしくない!」という著者の絶叫には笑ってしまったが、「リングイネ」を知っている男の方がかえっていやらしいんじゃないか? このエピソードからしても佳苗のやったことは女子の女子による女子のための犯罪という感じがするけれど、著者が主張するように、バブル期からバブル崩壊の狭間の日本社会が生んだ必然的な犯罪というのもすごくよくわかる。本書のスピンオフである『毒婦たち』(上野千鶴子、信田さよ子との鼎談)とあわせて読むべし。
Posted by ブクログ
とても引き込まれたのに、感想を書くのがとても難しい本だと感じた。
著者が言うように、被害者が女性であったなら全然違う取り上げられ方をしていただろう。女性がホテルにいけばついて行った本人も悪いと言われるのに、そう言われない男性。男性の純情を弄んだとばかりに責め立てる男性検事も、被害者が女性であれば女性の純情を弄んだ、と同じように攻め立ててはくれないだろう。
佳苗のことを擁護するつもりはないし、罪は罪だと思うが、どこか責め切れない気持ちがある。
そして、美人ではないが多くの人間が引き込まれてしまうということは、きっと人を惹きつける魅力のある人間なのだろう。
仮に売春が自分を大事にしない行為として定義されるのであれば、佳苗は売春していない。佳苗自身、自分を大切にしており、自虐的なものではなくあくまで金銭の対価としてセックスをしていた。
裁判官が女性が大半だったら判決は変わっていただろうか。裁判員裁判とのことだが、もっと質問がしやすい環境だったら佳苗の本心に近づくことはできただろうか。色々なifを考えてしまう。
感情が見えず冷静で、闇に取り込まれそうな目をもつ佳苗だが、田舎者と呼ばれ態度を変えるなど、内面はいろいろな感情を持った人間なのではないかと思った。佳苗の手記があるとのことなので、読んでみたい。
Posted by ブクログ
読みやすく、木嶋佳苗事件のことを少し理解できた気がする。被害者が死ぬ間際に楽しめたことを思うと幸せを与えた女でもあったのかなぁと良くも見えてしまう。ただ、彼女は田舎者で、犯罪者になるべくしてなった、そういう素質があったことしかわからず、筆者の言うようにつかみどころのない女だと私も感じた。
Posted by ブクログ
検事の発言や判決など、すごく男性的だなと思った。
殺人は悪いことなのはもちろんだけど、容姿を叩くのはおかしい。
美人だったらどういう反応だったんだろと思うし、彼女の所作や文字のきれいさ、料理の腕、声など、他の魅力を考慮せず、デブとブスだけで批判し過ぎ。
被害者男性の詳細を初めて知ったけど、結婚相談所やアプリにいそうな未婚の非モテ男性で、女性からTwitterで非難される男性像そのままでびっくり。
端的にいうと、バカで変な人多いなという印象。
木嶋佳苗自体はよくわからない人だなと改めて。
でもすごいな。
殺すのは悪いけど。
犯罪レベルではないけれど、ころっと騙されて上手いこと転がされてる人は多いんじゃないかなと思った。
Posted by ブクログ
木嶋佳苗はわたしだと思った女性読者は多かったのではないか、私もその一人であり、搾取構造がより明確になった日本で殺人を犯さなくても木嶋佳苗のようになる人はたくさんいて、彼女はある意味“時の人”だったんだと思う。時代が産んだ女性。
Posted by ブクログ
男性四人が死亡し、その周りか練炭と人体から睡眠剤の痕跡が発見された。北海道の田舎出身で東京に出て一人で生きた彼女はなぜ男性をこのように手玉にとったのか。女性の目線で書かれた裁判の傍聴記。
Posted by ブクログ
正直美人じゃないこの女性が、どうして何人もの男性を落とせたのかなーとの興味から手にした一冊。つか女子力高い。外見を凌駕するのか、と。そこは真似たくなりました。事件モノのノンフィクションは結構読むけど、被害者に同情できないと思ったのは初めてかも。いや、かといって被告擁護の気持ちは全く起こりませんが。芯が強すぎて、この人怖い。
Posted by ブクログ
プロの結婚詐欺師は凡庸な容姿であることが多いらしい。並より美しければ、多くの異性を惹きつけられるがサクラや詐欺の疑いをかけられやすく、醜ければ大多数に相手にされない。
「木嶋佳苗」は不美人であるが故に、彼女が騙し取ったとされる金額の大きさや容易く騙された被害者の男性たちに対しても、たくさんの疑問が投げかけられている。「美人でないのにどうして?」「出会ってすぐに求婚されるほどの魅力があるのか?」「なぜ被害者たちはすぐにお金を渡したのか?」など。。。
傍聴記録、ではあるがこの本は著者の主観に因るところが多く、読むうちに被害者の男性陣への同情よりも「木嶋佳苗」という女性に対しての興味がかき立てられてしまう。
もちろん人の命を奪うことは罪であるし、嘘八百・時には身体も投げ出し、使い捨てるように複数の男性から金銭を騙し取ることは宜しくない。
だが、長年女性に縁がなかった男性たちにとって、一回りも年下の女性と運命的な恋に落ち、心尽くしの手料理を味わい、騙されたという確証もなく、幸福な甘い夢のなか、「醒めない」永遠の眠りにつけたことは、一種の幸福なのではないか。そういった意味で「優しい」事件のように思えてしまった。
恋の終わり、愛の終わりを知ることなく、相手の冷たい本心にも気づくことなく。。。遅咲きの幸せのなかで亡くなった彼ら。
アラサーの女性は大抵、ただ待っていても白馬の王子様は迎えに来てくれないことに気づいている。しかし男性は40を越え50を越え、老年になってもまだ手前勝手な夢を見ている。木嶋佳苗はそんな男性たちの夢を叶え、そして奪った。
毒婦。私もまた毒されているのか…。
Posted by ブクログ
この本というか……これを読んで、被告人の意思の強さというか……………いやはや何というか、被告人当人の手記及びBlogを読んで、凄まじいまでのカリスマ性がある方なんだろうな、と感じた。
事件について、この本の通りに審議が進んだのだとしたら、刑事裁判とは実に人情的に進められるのだなぁと思ってしまう。物証というよりは心証重視に見えてしまう。(書かれていないだけで物的証拠があるのだろうけれど)
Posted by ブクログ
不思議な裁判傍聴記録である。
筆者は女性であるにも関わらず、なんとなく表現がエロい。
筆者の素直な感想かも知らないが、なぜか艶かしい。
筆者が女性だからこそ、木嶋佳苗のことを、ブスと言えるのだろうか
Posted by ブクログ
北原さんの素直な感想がおもしろい…3人も人が亡くなっているから面白がってはいけないのだけど、騙す方もダメだけど、騙される方もな…という思い。そして、司法の緩いこと。推定無罪の法則があるというのに、確たる証拠がないのに死刑なのか。この記録を読む限り、納得できないな。特に裁判長がちょっと傾いているように感じた。
Posted by ブクログ
BUTTERを読み主人公を知りたくて、コレを読んだ。
死刑宣告されたけど、今も刑務所にいるのか思うと、今日はどんな服を着てるのか? 等どうでもいいことを考えてしまう自分がアホらしくなる・・
Posted by ブクログ
木嶋佳苗は最後まで殺人を否認し続けていたので、事件を起こした動機とか何を考えていたのかということが裁判では全く解明できなかったんだという事がこの本を読んでわかった。やってませんと言っている人にどうしてやったんですか?と聞くのは愚問だ。
100日というのは一般的な裁判期間としては長いらしいが、色んな証拠を持ってしても全ての真実が明らかになるということはなく、人間が人間を裁くことの難しさを感じた。
しかし、木嶋佳苗って本当につかみどころのない女性だ。何となくこんなタイプの人かな?というイメージが持てないというか‥。出会ってすぐ大金を渡してしまう男達もよくわからないし。
Posted by ブクログ
著者の経歴見て、女性向けアダルトグッズショップ代表?と思ったけど、思いの外文章が良かった。
冒頭にも書いてある通り、法律云々の話より、裁判の状況が詳しく書いてあるのが面白い。「木嶋佳苗を囲む弁護士が彼女を守る取り巻きに見えた」など、木嶋佳苗を語るイメージが分かりやすく興味深く描かれている。
著者はフェミニストなので、その視点からも事件を考察することができる。この事件を男女逆にしてみたら、騙された女性がもっと叩かれただろう、とか、自分に尽くしてくれる女性を求めた男性の勘違いを利用した事件、とか、確かに、、と納得してしまった。
Posted by ブクログ
「butter」で参考にされた本として1番に書かれていたので興味があり読んだ。思った以上にbutterはこの事件と木嶋氏を忠実に書いていることがわかる。
この本を読むまで知らなかったのだが、この事件の証拠が状況証拠のみだと思っていなかったので結構ビックリした。かつ、この傍聴記録そのままであるなら(嘘ではないと思うが主観もあるので)、裁判はかなりパフォーマンスありきで感情を動かせるかにかかっている印象になった。
特に検事が警察官に「悔しくないんですか!?」と詰め寄るシーンは、いやまじそんなの公の場でやるなよ…そもそも悔しいってなんだよ…と思う。
周りがヒートアップすることで、より一層、木嶋氏の凪の様子が際立っており興味深かった。また、判決については確かに疑問の余地があり、かと言って状況から見ても木嶋氏が白とも思えず、人が人を裁くことの難しさを感じた。
Posted by ブクログ
読みやすいな。スルスルと進む。
事件の全容は見えない。おそらく、事件を追っている人が知っている以上のことは何もない。
著者が興味を持っているのは、結果的には被告自身と、被告を含む女という性、それが必要とする、それを必要とする社会と、男だ。
死刑判決が確定しているし、なんだか、判決理由もどうかなと思うんだ。間違いなく、この死刑囚による犯行だとは思うが、全容が明らかになることはないと思うと、切ない。
Posted by ブクログ
今更ながらこの事件にはやはり興味が引かれついに手に取りました。
…が、うーん、結局このモンスターは何だったのか。
ただの金の亡者というのとも違うような。ターゲットとなった男性たちの「資質」といいますか翻弄するための見極めの加減が恐ろしいほどに的確というのか。
確かに「落としやすい」男性たちだったのかもしれませんが彼女の持っているものがあまりにも大きな魔性だったのかなと思わされました。
でも文体がちょっと残念でしたね。女性代表!みたいなスタンスで書かれていて共感する部分もあるのですがみんながみんな著者のように彼女を見るわけでもなし、もう少し事件としての客観性が文体に欲しかったと言うか。
もやもやを解消したくて手に取ったものの、もやもやがもっと深まっただけのような読後感でした。
Posted by ブクログ
木嶋佳苗の裁判傍聴記。
佐野氏の本よりもうちょっとラフで読みやすく、裁判中の木嶋氏の様子がよく描かれている。
佐野氏のように、関係者に疎まれるような取材もあまりしておらず、あくまで裁判を中心に記録している。
また、同じ女性からという視点で事件を見ているため「これがもし男女逆だったら??」という問いを時々投げている。
やはり木嶋氏は、容姿は下でも立ち居振る舞いは上らしい、そしてそれが数々の男を落としてきた力らしい。
男のスペックにもよるが、器量が悪い女でも、男を取り込めないわけではない。
著者が時々問うように、それは男女逆でも同じことが言えるのかもしれない。
Posted by ブクログ
単なる裁判の傍聴日記として読む分にはいいけど、ジャーナリズム的な視点からはとても読めない代物でした。
著者が繰り返し「女が~」「女が~」と女性全体の代弁者かのように繰り返す最後の下りには流石にドン引き。
出版するにはちょっと早すぎたのでは?と思う。
もっと長いスパンで取材をし、最も大事な木嶋佳苗に対して直接疑問(面会なり文通なり)をぶつけた上で見えてきたものを著して欲しかった。
これでは、ただ流行に乗って裁判を傍聴し、興奮して書いただけにしか見えない。しかも論理的な推論が鮮やかに書かれてもいない。これだから女は…と言われてしまう代表例。
Posted by ブクログ
風呂の中でサクッと読める本として、久々にこの本を再読してみた。2回目でもやはり先が気になる文章で、集中していっきに読んでしまった。
ただ面白いんだけど、「なぜ木嶋佳苗が殺人を犯したか(本人は否定しているが)」、「被害者男性らは何をもってここまで木嶋を信じ切り、金を振り込み続けたのか」、「木嶋の人格形成について」…気になるポイントはどれも結局中途半端で、ちゃんとした分析もなし。
そして筆者がだいぶ木嶋佳苗寄りで、仮にも連続殺人の容疑者を美化しすぎているのが少し気になったな。木嶋の使っているシャンプーなんてどうでも良いわっていうね。
木嶋の異常なまでに肥大化した自己顕示欲(と体?)は、どのようにして培われたのだろうか。もう少し踏み込んだ内容の本があれば、読んでみたいかもな。
Posted by ブクログ
「中出しはいわれたままにするのに、結婚は親に反対されらからダメなんておかしいよ!」という傍聴人女性の会話に尽きる。結婚を夢見て木嶋佳苗を愛したまま殺されたとされる被害者男性。もし加害者と被害者の性が反対であったなら、この事件はどのような差があったのか容易に考えることができる。
Posted by ブクログ
美醜じゃない。すべては「都会のセンスに憧れる、田舎もの」のパワーが全方向で負にむかった結果論だと、おもった。コンプレックスなんて生半可なものではなく、知恵と桁外れの行動力を持って自分の描いた理想を現実にしようとするとてつもないエネルギー。で、彼女にとってはあくまでもギブアンドテイクでフェアに得た経済的メリット。
本当のことなんて本人にしかわからないが、もはや事件の真相は後回しでよいとすら思ってしまう。一般的には理解できないギブアンドテイクのバランス感。バランスに違和感あっても、彼女のパワー(負でも)に魅了される弱き人間はいる、性別とわずに相当数、特に都会には。佳苗に関心があるてのは、そういうこと。