アゴタ・クリストフのレビュー一覧
-
Posted by ブクログ
ネタバレ悪童日記では無敵の兄弟を、ふたりの証拠ではその真実の輪郭を、そして今作第三の嘘では残酷な現実を描く。
二作目の時点で一作目が虚構であることはほぼ明かされるのだけど、現実のどうしようもない孤独ややり場のない感情からの逃げ場として作られたことが分かる。「こうありたかった、あれたはずだ」という現実の欠落を埋めるための願望を物語として昇華し落とし込むことで、生きる糧、もしくは命綱としての「僕ら」を作り上げたんじゃないかと想像できる。
また、一作目の徹底して感情を排した文章表現は三部作を読み終えてからだと見え方が一変する。「感情を排す」と言うのは技巧的な選択ではなく、現実で彼が持つ感情が暗く冷ややかな -
Posted by ブクログ
ネタバレ双子の「ぼくら」が互いを鍛え合い、異常なほど賢く強くなっていく。
人間味が失われているように思うが、生きるためにはそうならざるを得なかったのだろう。祖母と双子の関係が、最初に祖母の元へ連れられた頃からラストの祖母が亡くなる前でかなり変化していたのが印象的。
自分の財産を双子に与えたり、母に付いて行かず祖母の元へ残ったり祖母が望むのであれば楽に殺そうというような、残酷な世界の中でも少しの愛情を感じた。
「ぼくら」で語られ、双子であることが最大の強さだと感じていたが、ラストで片方は国境を越え、もう片方は祖母の家へ戻るというのが衝撃。
続きが気になる。 -
Posted by ブクログ
長い間、著者の『悪童日誌』に続編があると知らなかった。三部作であり、その続編が本書であると知り、手に取った。
双子の一人が辿るストーリーにフォーカスされる。二部ではさらに歳を取り青年になるが聡明な雰囲気は変わらない。同時に、どんよりとした小説全体の雰囲気は登場人物の生き辛さと相俟って更に印象を強める。
愛情表現も、優しさの示し方も、何か偏っているように感じる。一人だからだろうか。それは、孤独だからだという事なのだろうか。「ふたりの証拠」という意味深なタイトルが最初から読者をその世界に誘っていく。
それと、双子の一人は既にだいぶ落ち着いてはいるのだが、前作での悪事を思い出し、読者を何か落ち