アゴタ・クリストフのレビュー一覧

  • 第三の嘘

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    予想を裏切る展開と、ラスト。
    三部それぞれが、物語として成立していながら、通して読んだ時の、新たなる発見がすごい。
    2人のどちら側からの視点なのか、実際なのか創作なのか、その全部が、層になっていて、切ない。
     匂いや 温度 視覚を感じる描き方だった。

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    2023年03月01日
  • 第三の嘘

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    ネタバレ

    悪童日記では無敵の兄弟を、ふたりの証拠ではその真実の輪郭を、そして今作第三の嘘では残酷な現実を描く。

    二作目の時点で一作目が虚構であることはほぼ明かされるのだけど、現実のどうしようもない孤独ややり場のない感情からの逃げ場として作られたことが分かる。「こうありたかった、あれたはずだ」という現実の欠落を埋めるための願望を物語として昇華し落とし込むことで、生きる糧、もしくは命綱としての「僕ら」を作り上げたんじゃないかと想像できる。
    また、一作目の徹底して感情を排した文章表現は三部作を読み終えてからだと見え方が一変する。「感情を排す」と言うのは技巧的な選択ではなく、現実で彼が持つ感情が暗く冷ややかなものと肉親への愛憎しかなかったために、そもそも豊かな感情を文章して表す術を持たなかったのではないかなと。そう考えるとあの一作目の文章の裏にある彼自身の極限さや窮地にある想いが垣間見えて非常に苦しい文章に様変わりする。

    この三部作は、結局のところ「決別」の物語だったのだと感じる。虚構との決別、祖国との決別、追い求め続け愛憎の果てに拒絶し、拒絶された兄弟との決別。そして現実との決別。
    浮かぶ情景は灰色で、終始寂しさが空気を支配する作品だった。

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    2026年01月28日
  • 第三の嘘

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    悪童日記三部作の完結作。離れ離れになった兄弟のその後が描かれる。これまでの2作で語られた時系列や人間関係が入り乱れ、ますます読み手を混乱させる。
    今作で語られる話が必ずしも事実かどうかは分からず、どこまでが嘘でどこからが事実か、読み終えてからも謎なまま…。
    なるほどそういう締め括りかぁ…何とも言えない仄暗いラストの一文に溜息ひとつ。

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    2026年01月12日
  • ふたりの証拠

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    戦争が終わり、過酷な時代を生き延びた双子の一人は国境を越え、一人は故国に留まる。書き連ねた手記の意味とは。
    前作とは語り口が変わる、視点が変わる、双子はふたりではなくなる、証拠・記録・書かれたものの意味が揺らぐ。
    読後感としては前作より派手さはない、ただ精神的な不安定さが増す。この話をどこからどこまで信じていいのか分からず、戸惑う。とにかく読みながらずっと気持ち悪い感じ。
    これはちゃんと次作で着地するのか…?

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    2026年01月11日
  • 第三の嘘

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    本当のことではなく第三の嘘だという設定で、どこまでが本当でどこからが嘘か全然よくわからなくなった。悪童日記だけで十分なフィクションだったのにな、と思う。

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    2025年12月21日
  • ふたりの証拠

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    当時の世相を反映したものになっているのかなとも思いました。いろいろなエピソードを入れ込んでいますが、これが最終巻でどのように収めてゆくのかなぁと。

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    2025年12月05日
  • 第三の嘘

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    「悪童日記」「ふたりの証拠」に続く三部作の最終巻
    正直、「悪童日記」があまり好みではなかったので続きは読まなくていいかもと匙を投げかけたが、そういう人にこそ最後まで読んでほしい
    すべてを読み終えた今、「悪童日記」は救済の物語であったようにも思える

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    2025年11月21日
  • ふたりの証拠

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    なるほど、何を書いても何かしらのネタバレに触れてしまいそうだが、一つ言えるのは悪童日記とは明確にテイストが異なるということ
    前作のあの不気味で異様な平板さ、読者を突き放すような距離感とは違い、本作にはじわじわと迫ってくる現実味を帯びた不穏さがある
    次の最終巻はいったいどこへ着地するのか、いやでも気になってしまう

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    2025年11月20日
  • 第三の嘘

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    前回とは打って変わって、全く違う方向に話が進み、一体何が正しいのか、よくわからなくなってしまった。
    正しいことは、それぞれの中にある。
    そういうことなのかもしれないが、それを本にしてしまうと何が何だか分からなくなってしまう。

    作者という立ち位置にあぐらをかいたように思えてしまったのは、奇抜な書き方が見慣れないからだろうか。

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    2025年09月22日
  • ふたりの証拠

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    やはりか…という結末で終わってしまったのは残念だが、3作目でこの「やはり」が間違っている可能性も否めないので、次作を楽しみにする。

    ただ、もし、次作で「やはり」じゃありませんでした!
    となると、本作の冒頭はいったい何だったんだという話になるし、そもそもどこからどこまでを切り取っているのかよく分からなくなってしまう。

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    2025年09月10日
  • 第三の嘘

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    悪童日記の三部作目
    悪童日記を読んだのが少し前なので詳しい内容を思い出し思いだし読んでみたけど、なんだか様子が違う?
    双子はどこへ?
    もしかしてあれが嘘だったというの?
    頭が混乱してきた
    誰の話か、いつの話か、どれが本当の事なのか分からないまま最後までいった
    不思議すぎる

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    2025年09月04日
  • ふたりの証拠

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    ネタバレ

    マティアス、いじめには負けなかったのに…
    見てくれに対する劣等感?嫉妬?絶望?
    前作では冷酷なスーパーマンみたいに感じた双子達が徐々に人間くさい感じ

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    2025年02月02日
  • 第三の嘘

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    ネタバレ

    今までの話は全部嘘で双子の創作だったとは・・・三部作だけど、それぞれの世界が繋がっていないうえに、登場人物が同じ名前で別人として登場するので、最初はなかなか頭の整理が追いつかなかった。

    「第3の嘘」というのは、クラウス?がリュカ?に他人だと告げたことなのか?

    「悪童日記」と「ふたりの証拠」どちらを読んでも双子の片割れを大事に思っていることが伝わる。離れていてもお互い大事に思いあっていたのは確かに感じる。


    そのうえで、あのラストは絶望というしか他にない。「電車か。いい考えだな」という最後の一文があまりにも救いがなさすぎて辛い。

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    2025年02月02日
  • ふたりの証拠

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    ストーリーも文体も前作とはがらっと変わったがおもしろかった。
    前作が傑作で期待しすぎてしまった部分はある。
    作品を真実だと思い込んで読み進めていた自分を滑稽だと笑われているようで恥ずかしさを覚えた。

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    2025年01月15日
  • ふたりの証拠

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    悪童日記とは趣きが変わり、ドストエフスキー的な登場人物をもっと性的に、暴力的に描いたような印象。だと思ってたら最後の章でさらに意外な展開に。
    3部作全て読んでからまた振り返りたい。

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    2024年08月17日
  • ふたりの証拠

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    どんな過酷な状況も、感じるより慣れることで飄々と乗り越えてきた双子の少年。その青年期となる本書ではそれなりに愛情や絶望に囚われる。

    リュカを取り巻く登場人物も多彩で、それぞれがドラマチックだった。
    現状を変えたくても、自分では変えられない、変われない。それゆえに生じる苦しみを何パターンも見せられているような感じだった。

    にしても、ラストは謎過ぎる。
    3作目も近いうちに借りよう。

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    2024年01月05日
  • ふたりの証拠

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    悪童日記の続編。国境を越えなかった双子の片方、リュカのお話。
    悪童日記ほどの引き込まれ感は無かった。
    全体的に陰鬱な印象。

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    2023年07月23日
  • 第三の嘘

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    悪童日記から続く物語の最後となる3作目。2作目と異なり、語り口は一人称視点に戻るが、「私」は明確に2人となり、描かれる年齢や時代も悪童日記から大きく変わる。
    その変化のせいだろうか、社会の残酷さや生きることの難しさ、悲哀という根底にある空気感は変わらないものの、悪童日記とは異なる読後感であった。
    悪童日記の「ぼくら」は戦中・戦後真っ只中を生きており、生々しい戦禍の生活や雰囲気も相まって、癒えていない傷口を直視しているような、グロテスクとさえ思える不気味さを覚えていた。
    一方、本作で語られるのは、あくまで悲哀に満ちた「過去」である。悲哀に満ちた、残酷な物語であっても、どこかふさがった傷口の中にある物語のようで、生々しい不気味さは感じなくなった。
    代わりに増したのが「諦観」や「郷愁」といったどこか切ない感情の印象である。語られる「過去」の出来事が、現在のあり方を決定づけてしまったことを見せつけられる、それを「私」がどのような形をもって受け入れるのか、それを描いているように思えた。

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    2023年06月02日
  • 第三の嘘

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    ネタバレ

    三部作完結篇。
    何と言うことだ。様相がまたもや変わった。

    この三部作は、合間を開けずに一気に読むことをお勧めする。最終巻を読んでいる時に多忙で途切れ途切れに読んでしまい、内容がきちんと把握できなかった。予想を裏切る展開に頭が混乱して理解できない。

    戦争の中、子供達が生き残るためにいかに過酷であったか。引き裂かれた愛を取り戻すことがいかに難しいか。クリストフは、双子という形で自己の分裂を表現したのか。

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    2023年03月31日
  • 第三の嘘

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    ネタバレ

    三部作の最後ということだけれども、先の二作と比べたとき、双子の関係性が一番不幸で、悲しくなった。

    一、二作目の『悪童日記』と『二人の証拠』では、リュカとクラウスという双子の兄弟を巡って、全く違った物語が語られつつも、二人の関係は、一心同体のものとして描かれていた。『悪童日記』の二人は、理不尽な生活の中にあって、協力し合いながら、強かに生きていたからこそ、最後、国境を隔てて別れるシーンに感動があった。『二人の証拠』では、双子の二人が、実は同一人物であることが仄めかされて、クラウス=リュカにとって、双子の兄弟の物語は、妄想であるからこそ、理想的な兄弟だった。

    だからこそ、二人の関係が、修復しがたい溝として描かれる『第三の嘘』は、とても悲しい。
    兄弟のリュカは、戦時中、母親が起こした銃乱射事件によって重症を負い、離れ離れで暮らすことになる。一方、双子の片割れであるクラウスは、その後も母親と共に暮らしながらも、当の母親は、兄弟のリュカを愛しており、クラウスに対して辛くあたる。数十年の時を経て、リュカは、家に帰ってくるが、クラウスは、彼が母親と会うことを拒み、追い返してしまう。
    作中クラウスは、自分が書く物語について、「私はすべてを美化し、物事を実際にあったとおりにではなく、こうあってほしかったという自分の思いにしたがって描くのだ」と語っている。『悪童日記』と『二人の証拠』に描かれた双子は、まさしくその通りに理想的なものとして描かれる。しかし、『第三の嘘』は、そうなっていない。もしこれも「こうあってほしかったという自分の思いにしたがって」書かれたのであれば、悲しいように思う。

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    2023年03月18日