アゴタ・クリストフのレビュー一覧

  • 悪童日記

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    戦時中の小さな町。主人公の双子は、疎開したその町で、自分たちなりの正義を貫いて生き抜いていく。清冽で苛烈な子どもたち。まだ乳歯が生えている年齢なのに。
    双子の周囲には、野卑で冷たい祖母や将校、貧しく孤独な隣人の女の子などさまざまな人々がいる。読み進むうちに善と悪、聖と俗が入り混じり混沌として、登場人物たちの印象がぐらぐら動いて変わっていった。主人公の正義すらも、正しいのかよくわからなくなった。そして人間はたしかにそういうグラデーションに満ちた存在なのだろう、と思った。
    戦時中の生活や雰囲気の描写は、少し前なら現実感なく古くさいと思っただろう。今は身近な感じがして想像しやすくなっていることが、恐

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    2025年10月02日
  • 悪童日記

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    ネタバレ

    両親の庇護のもと、幸せに暮らしていたはずの賢い双子の男の子。
    戦争の苦しみ悲惨さから自分たちを守るため、自ら労働し、勉強し、外国語を習得し、死に対して慣れたり、泥棒したり、傷つけられたりする訓練をする。
    私はどうしても、母親としての視点で彼らをみてしまう。

    心に残る場面が多くあった。
    母親が双子を心配して迎えに来たのに、祖母の元を離れず目の前で亡くなっても動揺せず埋めてしまう2人。
    自分のことでいっぱいいっぱいな父親を、利用する2人。
    人の死にたいという要望を、抵抗なく叶えてしまう2人。
    人の死が当たり前の世界に住んでいて、いちいち傷ついていたら生きていけないのだと思う。
    大人たちが始めた戦

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    2025年07月30日
  • 悪童日記

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    ネタバレ

     第二次世界大戦が激化していく中、疎遠だった祖母の元へ疎開していく双子の日々の出来事を記した作文あるいは日記の体裁の物語。叙情的な表現を排し、即物的な文章で書かれており、戦争の厳しさすらやや寓意的に思える印象を与える文章だった。
     昔使っていた単語帳に、”cruel” の項目があった。その単語帳は意味と共に例文が載っている形式で、その時の例文は ”The children are cruel.” だった。この小説を読んでいて、なぜだかこの例文を思い出した。
     まだ社会的な価値観が形成されていない双子が、自分たちの目で見た戦時中の景色を自分たちの考えで判断し、世界を発見していく過程が記されており

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    2025年07月19日
  • 第三の嘘

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    今、語っているのはいったい誰なのか?
    虚構と現実が入り乱れ、文字列に振り回されるような読書体験が面白かった。

    いってしまえばフィクションは本来すべて“嘘”だが、私たちは物語の内側に入り込み、登場人物と一緒に一喜一憂したりする。
    ところがこの三部作には、没入したはずの自分自身をも俯瞰し、これは信じていいのか?と立ち止まらせる。 そんな、視点が二層にズレるような奇妙な感覚があった。

    1作目では、双子が「ぼくら」という1つの器官のように振る舞い、感情を排除した淡々とした文体で悲劇を記録する。 その無表情さがかえって不気味な、インパクトのある作品だと感じた。

    しかし三作を読み終えるころに

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    2025年07月08日
  • 悪童日記

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    これはいい。

    曖昧さを排除し、真実しか綴らない日記というだけあって淡々とした展開だけど、
    これが非感傷 無感情 効率中の双子の性質を引き立てている
    戦時中の混沌とした世界に適応して、誰も信用せず二人だけの世界で生きていく決意たるや


    アニメ「ミギとダリ」がイメージに重なった

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    2025年06月11日
  • ふたりの証拠

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    悪童日記では名前の分からなかった少年の名前がわかり双子のひとりの視線で物語が進んでいく
    人間の感情を持たないようなサイコパスな少年だった彼が人間らしい感情を持っていたので安心した
    嫉妬で自死する7歳の少年の感情が恐ろしかった
    とにかく続きが早く読みたい終わり方だった
    本当に彼ら双子は2人いたのだろうか

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    2025年06月04日
  • 悪童日記

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    ネタバレ

    第二次世界大戦期のヨーロッパの地獄を、少年たちの目線から描く傑作。少年たちの日記がそのまま作品になっており、とても読みやすい。
    少年たちの成長物語のような娯楽性を兼ね備えつつも、当時の価値観や世俗を批判的に描いている。
    母親が目の前で死んだり、祖母を自らの手で殺したりと、地獄の経験を乗り越えてひたむきに生きる姿に胸を打たれる。実の父親の死を利用し、ひとりが他国に逃げるラストの余韻がとんでもない。

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    2025年05月25日
  • 第三の嘘

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    ネタバレ

    最後の一行が…悲しい
    タイトルに第三の嘘とあるように、この話も「嘘」なのかもしれない。そう考えるとよくわからなくなってくる。けどそこが面白いと思う。
    この小説の内容は作者の戦争孤児の実体験を元に書かれたものだそうだ。その内容を知れるだけでも貴重なものだと思う。

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    2025年05月20日
  • 悪童日記

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    双子の男の子の話なので、アニメ「ミギとダリ」を思い出しながら読んだ。淡々と書かれているが、内容は結構ハード。え〜っていう展開が続く。最後も意外だった。「戦争がどんなものか、女はまるっきりしっちゃいねえんだ」に対する女の言葉が秀逸

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    2025年05月04日
  • ふたりの証拠

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    おもしろい。
    前作に続きリュカの話。
    前作よりも文章的には読みやすく、離れ離れになってから愛する子を得て失うまでの心の動きが人間らしかった。
    続編が気になる。

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    2025年02月24日
  • ふたりの証拠

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    ネタバレ

    街に残った方の双子リュカ視点の話。
    前作の悪童日記は日記風の文体だったが、今回は通常の物語の書き方だった。

    その影響もあるのか前作では淡々としていたリュカがだいぶ人間らしくみえた。

    子供を失ったところから、クラウスが出てくるまで怒涛の展開だった。急に時が流れ初老になっていて驚いた。最終巻は一体どんな展開が描かれているのか楽しみ。

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    2024年12月27日
  • ふたりの証拠

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    悪童日記の続編。

    前作には出てこなかった双子の名はリュカとクラウス。町に残ったリュカがその後どのように過ごしたかが語られている。

    悪童日記を読んで、双子がその後どうなったのかとても気になったので読んでみた。予想外のラストでさらに続きが読みたくなった。

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    2024年09月08日
  • 第三の嘘

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    本当も嘘も何もわからない。たどり着いたところは失望とも絶望とも違う、あえて言うなら「疲れちゃったよ…」
    こんな陰鬱な物語がその昔、景気の良かった日本で大ヒットしたのはなんでだろう。宗教による救いも無い世界が日本人にフィットしたんだろうか。

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    2024年08月18日
  • 第三の嘘

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    「悪童日記」の続編。
    「ふたりの証拠」のラストにはかなりの衝撃を受けたけど、この「第三の嘘」では更に物語が二転三転する。クラウスとリュカの物語がパラレルワールドのように展開していき、まるで入れ子細工みたいな物語だった。
    この三冊目を読んで、リュカと血の繋がらないマティアスが不気味なほどリュカに似ていた理由がわかった。クラウスはリュカでもあってマティアスでもあったんだな。
    「悪童日記」も嘘「ふたりの証拠」も嘘、そしてこの三作目のタイトルが「第三の嘘」なんとも意味深。作中、リュカは手記の不要な部分は削除し書き換えている、というようなことが書かれていたので、今私が読んできた一連の物語は、クラウス、も

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    2024年05月01日
  • ふたりの証拠

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    「悪童日記」の続編。
    前作では一貫して「ぼくら」という描写しか出てこなかった双子だけど、国境を越え隣の国へ行った方がクラウス、元の国に留まった方がリュカという名前で登場する。本作はリュカの物語。リュカは国境を越えたクラウスの戻りを待ちながら、手記を書き続けている。
    リュカは色んな女(男も)に愛されているけど、リュカが本当に愛したのはヤスミーヌの子供のマティアスだけだったように思う。リュカとマティアスは血は繋がっていないけど、不気味なほど似ている。自分の子供時代を重ねて見ているのかな…なんて思って読んでいたら、ラストの展開には驚かされた。えっそういうこと…???前作の物語が続編で丸っと覆るような

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    2024年04月29日
  • ふたりの証拠

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    前作とは異なり、本作では登場人物の一人一人が名前を持って現れる。身分証明書、労働、財産、子育て、と主人公の成長に従って取り巻く環境は社会性を帯び、登場人物たちの背負う人生の悲哀にしても、政治性が強いものが増える。しかし、双子という一人称複数形の特殊さがありながら「世界」は確固たるものだった前作とは異なり、本作では…一体この物語はどこに辿り着くのだろう。すぐに次作を読む。

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    2024年04月02日
  • ふたりの証拠

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    ネタバレ

    ・あらすじ
    悪童日記の続編。悪童日記で別れた双子のうち地元に残った方のその後が綴られる。

    ・感想
    飾り気のない平坦な文章は相変わらずだけど日記形式の前回とは違った形態で、それがふたりで完結していたそれまでの世界との違いを感じた。
    相変わらず出てくる登場人物がみんな二癖くらいある人達で、唯一の良心(?)のペテールも実在してるの??してないの?
    前作の最後もあっと驚いたけど今回もあれは結局どういうことなの…そういうことなの?ってなった。
    なので読み終わったその日に続編を購入。

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    2024年03月06日
  • 第三の嘘

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    ふたりの証拠の最後で「えーっ?」と思って急いで読み始めた第三の嘘。疑問がするする解けると思いきや、更にえっ?あれ?と混乱。どこまでも陰鬱で、心を削られるような哀しみが続くのに読まずにはいられない魅力がある。

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    2023年12月05日
  • ふたりの証拠

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    悪童日記では感情を持たないのかと思ったけれど、今回は小さなマティアスを慈しむ様子が意外であり救いにも思えた。とはいえみんな闇の中であることは変わらない。タイトルの意味が最後の方でつながったと思ったら、「あれっ?」・・・すぐ次の「第三の嘘」を読みます!

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    2023年12月02日
  • ふたりの証拠

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    悪童日記の続編。
    国境を越えなかったリュカのその後の生活を描いている。
    悪童日記と比べ、ザ戦争描写は表立ってないが、
    初めて女性、子供を愛すること、そしてその葛藤等が綴られてる。
    と思ったら最後のどんでん返し!

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    2023年07月09日