田島列島のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
昨年の今頃2巻までの感想を書いた。令和の「めぞん一刻」だとこうなるのか、非日常の日常系マンガだ、等々の感想を述べて「おじさんはよくわからん」と結んだ。
思いもかけず、物語はたった3巻で終焉し、おじさんにも共感が生まれた。高校生男子目線からのお話。10歳上の女性に恋をして、気持ちを慮(おもんばか)り、遠慮しまくる構造は、もちろん男には永遠の憧れの構造だからよくわかる。女性の気持ちは、台詞から(高校生には難しいけど大人には)誰でも想像できるようにはなっているけれども、決定的な気持ちは最後の頁まで持ち越される。うん、なるほど、これはやはり「めぞん一刻」だ。
線はシンプルで、顔の表情は記号的に省略 -
Posted by ブクログ
2008年から17年にかけての7作品を収録した初短編集。『水は海に向かって流れる』で魅了され、『子供はわかってあげない』を経て、ここまで来てしまった。同様の人は少なくないはず。
表題作「ごあいさつ」と「おっぱいありがとう」が特に印象的。あと「官僚アバンチュール」も。ほかSFチックなものや初恋的なものなど、多様である。
と同時に、贈与や手助けを通じた感情のやり取りや、セリフやト書きに頼りすぎない繊細な心理描写など、のちの作品に通底するものも各話で垣間見られる。なかでも後者は、『水は』でさらに徹底されていった。きっと、読者を信頼されているのだろう。