田島列島のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
読んだあとからずっと心に残る、この素晴らしいもやもやを、誰も形してくれない。
だから、感想を書きます。
「子供はわかってあげない」あらすじ
上下巻からなる、ガールミーツボーイ。2年の夏休みのちょっとした冒険譚です。
主人公の津田美波は天真爛漫。ふとしたきっかけで、書道部の門司くんと仲良くなり、とある御札を見つける。
その御札は、生き別れの父の手掛かり。今の幸せな家庭を壊すことに恐れつつも、「まぁ、黙って探せば大丈夫でしょう」と、夏休みの父親探しを決意。
門司くんと、その兄の自称探偵が絡んで、父親探しを始める。
だが、どうやら父親はとある宗教法人の教祖で、教団のお金を持ち逃げしているという。
なんだか、きな臭い雰囲気に…
あらすじだけ読むと、シリアスな感じがしますよね。てすが、暗い雰囲気は全くなし。天真爛漫な美波の性格と、門司くんのちょっと大人びたガキな雰囲気が、等身大の高校生感を出してて、物語はふわふわ進みます。
少年少女がちょっとだけ大人になる瞬間を、父親探しというストーリーの枠で綺麗に綺麗に切り取った作品。読んだあとには、親しい人にぽかぽかと愛を込めてパンチをキメたくなる感じ。
書いててわかりました。このもやもやした気持ちは、登場人物たちへの愛おしさです。
どうしようもなく愛おしくて、気づけばまた上巻から読み返していました。
万人にオススメできるお話です。 -
Posted by ブクログ
下宿にきた高校生の直達と26歳OLの榊さんとの年の差ワケありゴタゴタ物語。
まず、舞台的に直達と榊さん以外の人間をゆっくり描くこともできましたが、あくまで2人の関係を描くことに集中して描いてます。
次に年上の榊さんに高校生の直達が食い下がっていくことで話が進みますが、直達という人間があまりにも特殊で高校生とは思えない言動や考え方をします。
この特殊性は幼少期に一時期親戚の家に預けられていたっていう経験からくるものだと思います。
幼少期に親戚の家に預けられたことによる「わがままをいったら捨てられる」というのが直達には強く強く刷り込まれており、無意識的にいい子でいること、飲み込むことを選択してきました。しかし、榊さんとの出会いによって、「いい子でいること」からの脱却と幼少期の自身を救済することで、幼児期で止まっていた時を動かし、青年期へと進む物語だと思いました。
ある地点で時が止まった者同士が再び人生の時計の針を進める恋愛物語になり、時が止まっているという表現を使う相手が終始榊さんだけです。
養育者の存在は発達においてめちゃくちゃ重要で、たとえ短期間だったとしても自発性、社会性の多少の欠如、愛着障害を引き起こすことを最小限の描写で見事に描いています。 -
Posted by ブクログ
この作品は、人との距離感や心の傷をとても繊細に描いた物語だと感じました。大きな事件が起こるわけではないのに、登場人物それぞれの過去や想いが少しずつ明らかになっていく過程がリアルで、静かに心に沁みてきます。
特に印象的だったのは、人は簡単には割り切れない感情を抱えたまま生きているという点です。好きと嫌い、許したい気持ちと許せない気持ちが混ざり合っていて、その曖昧さがすごく人間らしいと思いました。
タイトルの「水は海に向かって流れる」は、どんなに遠回りしても、気持ちは自然と向かう場所へ流れていく、という意味にも感じられて切なかったです。
読み終えたあと、派手な余韻ではないけれど、じわじわと心に残って、「人と向き合うこと」について考えさせられる作品でした。