沙木とも子のレビュー一覧
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仕事で仕入れを始めた頃はきちんと毎日のように倉庫に在庫を見に行っていた。そのうち忙しくなってきて、倉庫に行く回数も少なくなった。パソコン画面で、商品を発注するときにどれがないかなと考えながら発注するようになった。あるとき同じようにパソコン画面で発注するときに、なにがないかなと頭で倉庫をまわっていると、在庫が少ない商品がライトアップされたように浮き上がって見えていることに気づいた。
それもきっと「そこはか」さんと同じようなものの仕業なのだと思う。
この物語は「そこはか」と見えるものの話だ。それは見る人によって違うものらしい。それは物事のとらえ方が違うように、感情や状況によって見え方も変わるのだ -
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『美代』の家は、京都で種麹屋を営む築百五十年になる古い家で、『おくどさん』と呼ばれるかまどがまだ現役で使われている。
そんな家に数多ある暗がりに潜むそこはかとない存在・・・あるかないかわからないもんがいる。この家の女達は、いくぶんの親しみをこめてそれを『そこはかさん』と呼び習わしていた。
第8回、『幽』怪談文学賞、短編部門受賞作。
初めに浮かんだのは、トトロに出てくる『まっくろくろすけ』みたいなもの。ある時は気配だけだったり、人によって見えるものが違ったり。助けてくれることもあれば、嫌がらせをされることもある。昔の哀しい風習と相まって続く、不可思議な存在。
受賞した表題作と、他の家に舞台を -
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10人による、怖い話。
題名通り、夢で見たり、白昼夢だったり。
うっかり思い出してしまわないためにも
日が高いうちに読んだ方がいいかもしれません。
いや、思い出すような読み方をしなければ大丈夫?
ぎょっとする終わりなのは、そらみみ。
これが現実なのか、あちらが現実なのか、と
思わせるような最後の一言。
非常に混乱させられます。
目的だった、辻村さんは…子供のせいか
やたら無邪気に怖い。
世の中、知らない方が…気がつかない方が
幸せ、という選択もあると思われます!
言ったら相手に移る夢、かと思っていたのは、琥珀。
さすがにそれはない内容でしたが
とり憑かれたと表現するのがぴったりな感じで -
Posted by ブクログ
「幽」怪談文学賞大賞受賞作(短編部門)の感想の一言目にどうかと思うけれど……
怖くなくてほっとしたー!
そこはかさん、という響きに惹かれて手にしたものの、
怖いお話が年々ニガテになっているので不安で。
読んでみると「そこはかさん」、なんて絶妙なネーミング!
存在も現象もそこはかとない。
そこはかとなく怖くて、そこはかとなく優しい。
書下ろし2篇を加えた3篇収録。
作品の出来としては、受賞作の1話目が一番いいと思う。
築150年の古い家屋のそこここにある闇。
おくどさんの裏にひっそりと埋もれているかもしれない命。
お釜に入っていく青い光と、ごはんの中の黒いナニカ。
はっきり怖くないけれど、ぞ