中村安希のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
ボランティアではなく、NPOで働いて収入を得ている女性(N女)へのインタビュー集&考察。
冒頭のNPOに転職しようとしている友人とのやり取りを読んでいる時点では、高学歴&バリキャリぶりが鼻について(ひがみかも…)読むのをやめようかと思ったけれど、通読すると大変面白かった。
人助けではなく、税金を払ってもらって、将来の国をよくするためにNPOで就労支援をしているというN女の意見には深く納得した。
魚をあげるのではなく、魚のとり方を教える。といったことが支援として重要だと感じた。
一方で、スキルのあるN女が一般企業で働いた場合と比べると、給料に雲泥の差がある。夫の収入があるからこそ働けている人も多 -
Posted by ブクログ
NPO業界に従事する女性の物語。NPO業界の課題、女性視点で描くところが興味深い。メモ。
(1)90年代に子ども時代を過ごした人たちにとって問題とは国内ではなく海外で起きていること、貢献とはイコール国際貢献を意味してはいなかったか。
(2)女のキャリアライフは複雑だ。キャリア志向を持つ女性の多くは出来ることなら第一線で仕事をしたいと思いつつも男性と同じ様に100%では走り続けられないことを知っている。‥結局のところ自分の足で立ちたいという気持ちがあるならどこかの時点ではかなはず自分の問題と向き合わざるを得なくなるのだ。
(3)学問は社会に還元しないと意味がない。
(4)民間企業で進められてきた -
Posted by ブクログ
ネタバレ中村安希さんの著書「N女の研究」は、NPOで働く女性(=N女)を対象にしたインタビューを踏まえて書かれた本です。
「N女」といってもさまざまな方がいますが、
この本の取材対象となった「N女」から、
著者が盗みたいこと(学びたいこと)として挙げているポイントがあります。
その一つが、「人は、自分とは違うという事実を受け止めること」
[様々な壁にぶつかりながら、女性たちがそれぞれの道で奮闘してきたことはよく分かる。
ただし、他の人に自分と同じ奮闘を期待してはいけないとも思う。あなたは育児も家事も仕事も完璧にやってきたスーパーウーマンかもしれない。
すごい努力をしたのだと思うし、きっと環境にも -
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ネタバレバックパッカーであり、ライターである著者が世界の僻地辺境へ行って現地で食べたものと、それを食べることになった過程、その周囲にいた人たちの生活、その人たちとのやり取りを淡々とした文章で描く。バックパッカーものは、ふわふわした印象を持つものが多いんだけど、かなり冷静に客観視しながら書いている感じ。旅もその聡明な感じのする姿勢などにもあこがれる。とてもではないが、口にいれることのないような、日本で言えば衛生的でないもの・・・・。エジプトのあの水の壺から水を飲むだなんて・・・・。でも現地で昔から使われている知恵で、いつも冷たいのだ・・・。グリーンティーとか、雑巾みたいな、なにかとか。おもしろすぎる。
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世界のある地域では神聖視され、別の地域では忌避され、また別の地域では食料として重要な存在である豚さんの存在を追ってイスラム世界や旧ソ連を旅したルポルタージュ。万全の計画に基づくわけではなさそうな、わりと行き当たりばったりの旅の様子が描かれていて、それはそれで面白い。へんに分析的だったり、お膳立てや入念な下調べによらないぶん、疾走感があるとでもいうのだろうか。終わった旅をしたり顔で解説されるのでなく、いま旅をしながら一緒に困ったり迷ったりしているような感じがして、おもしろい読み味の本だと思った。
そんなわけで、結局は確たる結論もないままに終わるんだけど、少なくとも以下の2つのことは印象に残った。 -
Posted by ブクログ
「豚」を追いかけ、ゆるゆるなツテをたどりながら、北アフリカから東欧・ロシアへと無謀な旅を続けるという狂気じみた理解不能ノンフィクション。嫌いじゃないです。
まず豚を追いかける動機の意味がよく分からない。それらしいことが冒頭に並べてあるが、「角煮に悩殺」とか一体何を言ってるのだろうか。
そしてよく分からないまま「アラブの春」渦中に単身チュニジアへ飛ぶ根性。戦場カメラマンなみ。
イスラム各国では忌み嫌われ、東欧では生け贄として捧げられ、ロシアでは人肉むさぼる独裁者スターリンにたとえられ、行く先々でその扱いが様々に移り変わっていく「豚」。
追いかけるほど遠ざかっていく。著者と豚との距離感が絶妙で -
Posted by ブクログ
ネタバレインパラの朝が衝撃的で
面白くて、あっという間に読み終えただけに
旅の話と友達との昔の話が交互に行き交って
個人的には少し入ってきにくい内容だった。
なぜ別々に書かずに
旅の話の所々にミヅキの話を入れたのかな。
もしかして旅の途中途中で思い出した場面のかなぁ
とか考えたりした。
中村さんの書く言葉は
詩的で儚げで美しさもあるのに
わかりやすく、その時の情景が目に浮かぶ。
人は悲しみや悔しさややりきれない想い、
期待、希望、夢、いろんなものを抱えて旅に出る。
そして癒されたり、忘れることができたり、
希望に変わったり、新たな目標ができたりして
いくものなのだろう。