【感想・ネタバレ】インパラの朝 ユーラシア・アフリカ大陸684日のレビュー

\ レビュー投稿でポイントプレゼント / ※購入済みの作品が対象となります
レビューを書く

感情タグBEST3

Posted by ブクログ 2024年04月29日

将来、国際協力をしたいと思っていた身としてはとても興味深かった。作者が実際に様々な地に足を運んで、日本との生活を比べた時に、物に溢れていたり、経済的に裕福であれば幸せであるという固定観念は必ずしもそうではないことを再確認できた。

0

Posted by ブクログ 2024年02月25日

 開高健ノンフィクション賞を受賞した時から気になっていたけれど、今まで読まずにいた。読み終えた今思うのは、『15年間損した。もっと早く読んでおけばよかった。』と。

 文章は簡潔でいて筋肉質。それでいて情緒はあり、読後は感慨深い。

 ユーラシア大陸からアフリカ大陸を旅して2年。序盤のアジアと終盤の...続きを読むアフリカではタッチが異なるが、それは国情の違いか、流れた旅の経験がそうさせているのか。

 あったことをそのまま並べ、全てをアピールするのではない。

 大きく心を動かされたこと、強く感じたことを、その出来事と著者の心を両方描写しているので、より著者の心の内が強調されている。読者である僕に伝わるのは、著者の個人の尊厳のとらえ方と幸福の感じ方が一貫して変わらないことだ。この感覚が旅行記に深い読後感を与えていると思う。

0

Posted by ブクログ 2023年01月20日

各国での印象に残った出来事を繋いで行くスタイル。答えがない、唐突なエピソードも多いので初め慣れるまで戸惑った。旅をつらつら書いた旅行記かと思ってた。

精神性の豊かさと貧しさについて考える。わたしも自分の哲学をもっていたい。

こういった旅をなぜするのか。特に危険地域だったり、国際援助も偽善やバラン...続きを読むスなど考えると、何が正解か、何が個人にできるかはもとより、個人の数週、数ヶ月の体験で目に見えることも限られている。例えば"日本"という章があって、どのような1つのエピソードが相応しい?それに対しての筆者の考えがこの本に残されているのは読む価値があると思われる。先日テレビでみた、沢木光太郎の自由に対しての考えと多少重なる部分を感じた。言葉だけを取ると、現地で乗り物の手段を使いこなすことが自由にどう繋がるのか、と言う気がするが、その奥のいいたいことはなんとなくわかる気がする。言葉にするのはとても難しい。

2022.1.18

0

Posted by ブクログ 2022年09月08日

こころが大きく揺さぶられる一冊。すべてが生々しく、リアル。読み終わるとどっと疲れが出るくらい、内容も文体もパワフル。
自分の足で旅をして、自分の目で見て、自分の耳で聞いて、自分のこころで感じることの大切さを思い出させてくれる。

0

Posted by ブクログ 2022年03月26日

友達のおすすめ本。英語で書いて和訳したような、簡潔ですっきりとした文章だった。本当にそうやって書いてるのかも?これを読んで行った気分になるのは傲慢すぎるけど、筆者が感じたその国の風景や、空気が鮮やかに伝わってくる。アフリカに根付いた、将来の計画や貯蓄はないけど、助け合って生きていけるという、いわゆる...続きを読む「その日ぐらし」の価値観は、やっぱりなかなか理解しがたいところもあるけど、あたりまえに尊重すべきだし、先進国がズカズカ立ち入って否定していいものではない。記録に残らなくても、他人に評価されなくても、目の前の人を助けるってことをちゃんとしようと思った。

0

Posted by ブクログ 2020年08月30日

26歳の女性が、アジア・中東・アフリカ・ヨーロッパを684日間、貧乏旅行でまわる。訪問した国数は47カ国。野宿は当たり前で、途中で身体を壊したり、とっても過酷な旅だ。旅行記は、たくさん読んでいるが、女性の旅行記で、ここまで過酷なものは読んだことはない。
文庫本で、だいたい280ページ程度の本だけれど...続きを読むも、約50の短い章に分かれている。旅行の記録も書かれているが、彼女自身の感情の動きを示している部分も多い。物事を、とても真っ直ぐに見て、真っ直ぐに書いている。読んでいて、清々しく感じる部分も多かった。

書名の「インパラの朝」は、ケニアでサバンナ旅行に参加した3日目の朝に、一頭のインパラに遭遇した出来事を書いた章の題名でもある。
そこの部分を引用したい。

【引用】
すると、私の眼前に一頭のインパラが現れた。黄金の草地に足を着き、透き通る大気に首を立て、たった一頭でたたずんでいた。インパラは草を食むこともなく、歩きまわることもなく、緊張している様子でもなく、だからと言って気を抜いてくつろいでいるふうでもなかった。誰かに追われることもなく、何かを追いかけることもなく、静かにそこに立っていた。インパラの濡れた美しい目は、周囲のすべてを吸収し、同時に遠い世界を見据え、遙か彼方を見渡していた。
ヴァンは速度を緩めることなく、近くをそのまま走り過ぎた。私は体を乗り出してインパラの姿を追いかけた-そのしなやかな筋肉と悠然としたまなざしを。
【引用終わり】

書名にしているぐらいなので、彼女にとっては、とても印象に残った場面だったのであろう。
周囲のすべてを吸収し、遠い世界をも見据えることができる悠然としたまなざしを持つことを彼女は強く望んだのであろう。
確かに本書は、そのような本だ。

0

Posted by ブクログ 2019年02月26日

2019年9冊目。
著者の旅のテーマのひとつといえそうな、世界の人々にとって「何が必要なのか。何が適切な支援なのか」。
授業でも単元計画の軸に据えたりしている。
この作品を読み進める中で、「やっぱり」と思う部分と、「そうか」と気づかされる部分があり、大変勉強になった。レビューをみると批判もあるようだ...続きを読むが、個人的には示唆を受けた。

先進国と途上国。支援とは?国際貢献とは?そして、真の幸福とは何なのか。
支援することによって地域社会のバランスが崩れ、紛争の火種になる可能性もあること。
バランスが崩れることで、モラルやその類の「大切なもの」が消えたと嘆く人の存在。

特に印象深い箇所メモ。
p246
「国の宣伝や未来投資から場合によっては距離を置き、もう少しだけ純粋に地域の実態を考慮しながら、素朴な支援を試みている。だから日本の協力は、質や金額に見合うほどには世界で評価されていない。国際競争にしっかり負けて、真の協力で勝利する。評価されないことを謙虚な姿勢でやっていく。もっともっと評価されずに、それでも淡々とやっていく。」

p248
「助け合うということは、予算額の大きさではない。慈悲の精神の量でもなければ、それをどれだけ大々的に宣伝するかということでもない。(中略)数千億円の予算を使って世界を救済できなくても、東京の満員電車の中で妊婦に席を譲れる人は、十分深い「思いやり」を心の中に秘めている。(中略)大きな評価は得られなくても、相手の気持ちに耳を傾け、今日目の前にいる人々に、そっと手を差し出せばいい。それを教えてくれたのは、当のアフリカ自身だった。」

0
購入済み

2回目

2018年11月22日

一回目はハードカバーで、二回目が今回。
正直に、一回目のことは忘れて今回読んだことだけ念頭に置いて書くと、一回目より感動は薄れた。一回目は「途方もなく壮大な女性の旅」という印象で沢山の人に勧めて回りたくなったほど感動したものだが、二回目は「一人旅世界一周したことを書いた本」という平凡に近い感想を抱い...続きを読むた。完全にただ二回目で、知ってるつもりで読んでしまった自分の問題なのかもしれない。でも、だからといって自分の中でこの本の価値が下がった訳でもない。
一回目はなんか感動がでかすぎて発言のほとんど全てを盲目的に吸収した部分があったけど、二回目の今回は、冷静に批判も含めながら読んだことに要因があると分析できる。
二回目で知ってるつもりになってる部分があることは否めない。また、半ばもう読んでるから飽きて読んでる部分があったかもしれないことも否めない。長いし。
ただ、書いたときと、一回目と、今回、それぞれで時代が移り変わって変化していることと、自分の状況も微々たるものだが、あのときよりはこの本に託していた理想に近づいてることも、感じかたが変わった要因になってるのかもしれない。
一方でもしそうだとして、それで傲慢になって上から目線で批判を与えているのであれば情けない話だが。
二回目。一回目と感想が変わった。一回目より感動が薄れた。当たり前かもしれないけど、今回の感想。
魅力的な旅を綴った魅力的な本であり、一番好きな本の一つであることに変わりない。

0

Posted by ブクログ 2017年08月27日

久々に旅行記が読みたくなって、手に取った本。
最初は、やけに淡々と書く人だなあ。なんて感じたが読み進めていくにつれて、この著者の性格が率直で、なかなかの切れ者なんだと気づいた(良い意味で)
根性と体力、精神面においても非常にタフ。
相手が誰であろうと、主張するべき時はしっかり主張する。
だからこそ、...続きを読むこの過酷すぎる旅を成し遂げる事が出来たんだろう。

そして、この本では特に中東〜アフリカ地域に関しての現実と理論が大きくかけ離れている事を初めて知った。
私は中東やアフリカ地域に関しては、ニュースやネットで得た情報、もしくは学生時代に社会科で勉強した事がほぼそのままだと思っていた。
けれど、この本の中ではこれまでの意識をガラリと変える出来事の連続だった。
ネットやテレビが伝えられない、人々の表情、優しさ、おもてなし。。。
テレビやネットでは伝えられていない、現実、問題。。。
あたかも当然のように伝えられている情報は、実はその何十分の一でしかない。
本当の事は、実際に行って確かめてみないと何も分かりはしない。

私はこの本を読んで本当に、良かったと改めて感じる。
著者のフィルターを通してではあるが、著者の言う”騒音”から少しだけ離れることができたからだ。

ぜひ、できるだけ多くの人に読んでもらいたい一冊。

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2016年11月18日

2年間で、ユーラシア大陸とアフリカを旅する。めちゃくちゃよかった。特に、アフリカでの旅についての記述は、秀逸としか言いようがない。日頃思ってもいなかったようなアフリカの援助についての考えに驚く。日本は、国連の常任理事国になりたいがために、援助をする海外協力隊を比較的安全な国へ送り込む。中国もヨーロッ...続きを読むパも日本も、先進国がインフラを整えるが、中古の自動車を輸出して大気汚染をばらまき、気管支炎にさせ、高価な医療機器を輸出するようにする。そして、アフリカ人たちは援助に頼るようになり、外国人が高い金額を払うことを当たり前だと思うようになる。そしてそれが、先進国の思うつぼで、先進国が金を出した援助の仕組みがあっても、実際現地で作業にあたる人たちに支払われる金額がなんと小さいことか。"そして、セネガルの小学校でクラスを受け持って輝く目の子供たちの素朴な質問、かわいらしさに気を失いそうになる様子、めちゃくちゃわかる。なんでも、「わ~!」っていうの、子供たち。そして、トーゴとベナンの国境越えの話。バイクが5倍の金額をふっかけてくるので、見限って一人で歩き始めた著者。途中からどこかの部族の女の人が付かず離れず歩き出す話。おしつけがましくなく、にっこりしながら歩く話。とてもよい。
アフリカは本当は、だれも困ってない、豊かな大地なのだ。それなのに、先進国がそれをダメにしている部分がある。
移動にトラックを使うアフリカ。女ひとりでは旅行できないため、偽装結婚を2度もしている。トラックが故障して、日陰もなく、水もなくなっていき、自分は生理になり、つかれきりどうにもならない。やっと乗れた代わりのトラックでは、木に頭をぶつけて、流血。すっげ。すっげえ。旅。"

0

Posted by ブクログ 2016年06月04日

1979年生まれの著者が、ユーラシアとアフリカ大陸の47ヶ国を684日間かけて巡った旅の記録。2009年の開高健ノンフィクション賞受賞作。
著者がバッグパックを背負って日本からユーラシア大陸へ旅立ったのは、バッグパッカーのバイブルである『深夜特急』の沢木耕太郎と同じ26歳のとき(本書は「26歳の春が...続きを読む来て・・・」と明らかにそれを意識した書き出しとなっている)である。両者の間にある30数年という年月は、世界の情勢も、著者の意識や判断の基盤も大きく変え、作品全体のトーンは大きく異なったものとなっている。
著者は、現地の衛生状態に不快感を覚えたり、人々に騙されたり、盗難に遭ったりもするが、それは、1979年生まれの著者が、冒頭で「私の行く手には、貧困と紛争が待ち構えていて、汚染や疫病の脅威があった。腐敗した政治やテロが噂され、悪魔が寄り集う“軸”か何かの存在も無視できない。世界は「危ない」らしかったし、「気をつけなくてはいけない」という一般的な認識があった」と書いている、2000年代初頭の世界と正面から向き合った、自然の成り行きであったし、それがむしろ本書をリアリティのある紀行作品としている。
そして一方では、世界の隅々で日々の営みを送る人々との温かい触れ合いも数多綴られており、時代を経ても大多数の人々の日常は変わらないことに、安堵の気持ちを抱くのである。
僅か10年前に著者が巡った国々の中でも、今や紛争の激化や感染症の発生等で訪れることすらできなくなってしまった国も少なくないが、バッグパックを背負って世界の国々を巡り、人々と触れ合える世界が戻ってくることを願って止まない。
(2013年3月了)

0

Posted by ブクログ 2014年08月01日

世の中には、行って見て知らなければいけない、と思ってしまう衝動がある。そしてそこから生産的なものはほとんど生まれないし、ただの自己満足である。ただ、趣味とも違う。この欲求は強迫観念に近いものである。
情報化社会にあっても足で行かなければわからないことが沢山ある。むしろ情報化社会が他者への想像力を失わ...続きを読むせる側面もある。それに耐えられなくなる人はどこかに行く。
無意味に思える行為の理由も、ただ知りたいだけ、でいいんじゃないでしょうか。ただそこで暮らす人々に無一文で会いたいんですね。真面目に、知らない人に会いたいだけでもいいじゃないか。最近はそう思うようになってきた。
自分の考える理想型に非常に近い。奇跡。

0

Posted by ブクログ 2013年10月31日

時間をかけてゆっくりゆっくり、旅をするように読みました。
本の醍醐味である疑似体験と学びがたくさんできます!
著者の足元にも及びませんが、視野が少し広くなったように思います。

0

Posted by ブクログ 2023年05月07日

 旅行記としてはとても良かった。女性で一人旅するのはなかなか苦労すると思うんだけどなかなか逞しい。男性でもちょっと躊躇するような場面でもなかなか果敢に、というか淡々とこなされる姿に脱帽でした

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2022年03月08日

きっかけ バイトの先輩からのおすすめ
著者の生命力に驚いた。
異国の食べ物を躊躇なく食べるシーンが多くあった。自分には出来ないことだが、この行動は異国の文化を受け入れようとしていることの著者なりの意思表示でもあるのかもしれない。
この本を読んで悔しい気持ちになった。本を読んでいるだけでは実際の体験は...続きを読む越えられないのだろうと思ってしまった。
イランとイラクの違いわかってなかったなぁー。
貧困は都市で起こるってなるほどなぁー

0

Posted by ブクログ 2021年02月21日

きっかけ:友人のおすすめ

海外にあまり興味がなかったけど、エッセイとして楽しめた。アフリカに行く人の、それでもいく、をなんとなく感じられたのがよかった

0

Posted by ブクログ 2020年09月06日

海外旅行なんてもってのほか!なご時世、せめて旅行記でも読んで…と思って手を伸ばしたのですが、2年近くバックパッカーでアジア~アフリカ~ヨーロッパと旅をする、というレベルが違いすぎる旅で、旅行気分を味わう気分にはとてもなれない1冊でした(笑
ただ、同時に、今の時点では上手く言語化できないのですが、この...続きを読む清冽な湧水のような、飾り気のないのにエネルギーを秘めた文章が、自分の中に地下水脈のように静かに広がって、意識しないうちに影響を受けているような気がしています。
解説を見ると「青少年読書感想文コンクール」の高校の部の課題図書にもなったそうで、確かに若いうちに読んだら面白そう、と思いました。

さて、旅…と言うか旅行は、「一時的な非日常」だと思います。非日常に置かれるからこそ、新たな思索ができる面があると思うのです。
ただ、著者の2年近い旅の中では旅自体が日常化してしまう訳で、それなりに負荷がかかる状況の中でも、ふと行き合うトラブルや人との接触において、著者の真っ直ぐな意思の強さがあらわれていて、ここまで自分を貫き、考えて思いを綴れることには崇敬の念すら感じました。
そんな著者、カリフォルニア大アーバイン校で舞台芸術を学び、26歳でこの旅に出て今はノンフィクション作家というハイスペックながら波乱万丈な経歴。本著の後に政治家との対談や食に関する本も書かれているということで、読んでみようかなと思っています。

本著は300ページもない短い文庫本で、ごく短い文章で旅の中のエピソードを連ねていくスタイル。
どちらかと言うと、貧困国や恵まれない状況にある国(例えばイラン)での出会いにフォーカスされていて、著者の問題意識がそちらに向いていることが感じられます。
比較的裕福?なマレーシアでのエピソードは、旅行者として現地の人から犯罪の片棒を担がされそうになる話で、さて金銭的な裕福さと精神的な幸せは比例するのかどうか…と考えてしまいます。
アフリカに入ってからのエピソードはその思いをより強くするものばかり。アフリカを援助が必要な国、貧しい国として下に見てはいないだろうか。

ちなみに、個人的に印象的だったのは、モーリタニアのトゥアレグの1節。わずか3ページの文章ながら、サハラ砂漠の音のない夜の情景に強く惹きつけられました。
無邪気なコトを言うと、早くコロナ禍が終わって、遠くまで旅に出られるようになってほしい!

0
ネタバレ

Posted by ブクログ 2013年10月30日

いやもう凄すぎる。よく生きて帰れましたと驚きです。そして、所々に出てくる援助へのあり方への問題定義が本当に現実的で、なるほどと納得しました。アスピリンとバッファリンで迷うところなど、すごく分かるなあと思いました。

0

Posted by ブクログ 2013年10月23日

これほどまでに過酷な旅をした女性がいることを知り驚いた。自由という言葉が似合う女性だと思った。自分には絶対無理、と思うことでも、彼女のように現地の文化を受け入れ、どこへいってもありのままの自分を出せる姿はうらやましくも感じた。

0

Posted by ブクログ 2013年08月16日

2年間ユーラシア、アフリカ諸国を女性一人で旅した記録。事前の十分な調査とそれぞれの国の事情に対応する偽装結婚等の知略になによりも感心した。しなやかな知性と感性を持つこの著者が活躍する場が日本にあることを祈りたい。

0

Posted by ブクログ 2013年06月22日

ノンフィクション作品は好きで良く読むが、その中でも旅行記や紀行文のような、自分の知らない土地を旅する話しには、特に心惹かれるものがある。本書は日本を出発し、中国、東南アジア、中央アジア、中東、アフリカを経てポルトガルへの、約2年間の旅の様子が書かれている。

この手のジャンルの本を読むと、必ずと言っ...続きを読むていいほど途上国の貧困や失業に関する記述がある。物資の豊富な日本に住む我々からは、想像もつかないような生活を送っていて、同じ地球という星に住んでいながら、全くの別世界の出来事のように感じてしまう。

しかしながら、日本のように沢山の物や情報に囲まれた生活が、本当に豊かなのだろうかとも考えさせられる。途上国と呼ばれる国には物資も仕事も少ないかわりに、ゆっくりと流れる時間や助け合いの精神など、日本では希少となってしまった豊かさが残っているのだ。

資源を奪い合いながら画一化された価値観の中で競う先進国、追随しながらも独自の文化や国民性を保つ途上国、どっちが幸せなのかなんて簡単に答えは出せない。しかし彼らから見ると僕ら日本人もまた別世界の人間なのだろうと思う。

0

Posted by ブクログ 2013年04月20日

非常に静謐で野蛮、強くて脆い。
人間の本質が現れているなぁと。

女性一人でここまで突っ込んだ旅ができる、
それだけでもすごいのに、
彼女の観察力、冷静さ、描写力がすごいなぁと。

人って優しくて、怖いな。

とても心に残った本。
そして、
久々に購入してしまった本。。

0

Posted by ブクログ 2013年04月07日

 最初は行程が飛びすぎで大味な印象を受けたが、途中からぐいぐいと引き込まれた。それはひとえにアフリカの記述によるものだろう。非常に興味がある大陸なのだが、色んな意味での現実を見せてもらえた。行動力に恐れ入る、というわけではなかったが、それは淡々と書かれているからのみであり、ものすごいことをやってる。...続きを読む恥ずかしながらちょっと怖くなってしまった。
 他、海外支援についての考察などは非常に勉強になった。色々疑問に思っていたが、事実は予想通りであったことが若干残念で、視点が変わった。

0

Posted by ブクログ 2013年03月20日

ノンフィクションはあまり読まなかったけど、前から気になってたので。
一文を短くしてあって読みやすい。ちょっと気取った感じもあるけど気持ちの良い文章だったな。
内容は関連知識を学生時代に学んでいたこともあって楽しく読めた。といっても結局机上だけでやってたので、こういう体験もしたかったなぁ。といったとこ...続きを読むろで結局耳学問であることに変わりはなく。むぅん。
アフリカは資本主義というシステムに平等に組み込まれるには発展が遅すぎたのかなぁ。理想的な形で発展するための陣痛と捉えるか、むしろ発展に価値をおく考え方そのものに合わないと捉えるか。

0

Posted by ブクログ 2023年11月05日

アジアから中東を経てアフリカへの旅の記録。ほぼ一人で。それができる語学力と情報収集力と判断力、そして度胸。感嘆。
旅の終盤の、先進国といわれる国とそう呼ばれない国との関係性への思考は、実際に見聞した人が掴んだ歯応えのある言葉になっている。
臆病な私はこういう本で、世界をほんのちょこっとだけかじらせて...続きを読むもらってる。

0

Posted by ブクログ 2021年05月02日

表紙と題名に惹かれて買ってしまいました。

本書は第七回開高建ノンフィクション受賞作です。題名と表紙の清々しさが気に入り出張先で購入しました。

26才の女性が単身でアジアからアフリカを約二年間に亘り放浪した記録ですが廻った国々の殆どは貧困国や紛争地域で恐らく殆どの同年代の女性が楽しむ海外旅行とは...続きを読む対極な旅行?を少ない予算の中で未知の地域を進む著者と出逢った人々の生活や思想は昨今の表層しか語れないメディアで知らされている彼らの姿とはあまりにもかけ離れた素のままの日常が描かれて居ます。

現地で生活している人の目線で著者が語り感じる様は臨場感溢れ困難な放浪旅行?を実行した勇気と行動力には感心と羨望の思いです。

著者のクールで知的な思考と行動で困難な二年間の記録には物と欲望が溢れている日常生活では絶対に得られない経験がふんだんに綴られて居り素晴らしい作品ではありますが何となく先進国の時間とお金を持った人間の上から目線的な思考も目に付いたのは残念だった。

0

Posted by ブクログ 2016年11月02日

2年近くに渡るユーラシア大陸、アフリカ大陸の旅をした記録をかなりの駆け足でダイジェストした本です。シニカルで勢いのある文章で、旅の一部を鋭角に切り取って放り出すような雰囲気で非常にかっこいいです。柔らかい旅行記に比べると埃臭さや土っぽい香りがプンプンして息苦しいほどであります。
世界と自分との境界線...続きを読むをどこで引くのかで、見えてくる世界が全く違うんだなあとしみじみ思う本でした。実は最初あまり共感できない状態で読み進めていたのですが、良く考えたら共感も感情移入も必要が無い、究極の個人主義の集合体としての集まり、それがもしかしたら本来の世界との関わり方なのかなと。そんなことを思いました。

0

Posted by ブクログ 2016年10月11日

広大なユーラシア大陸を横断し、イスラム圏の国々を越えてアフリカ大陸へ―。絵葉書を売るカンボジアの少女に凛とした生きる意志を感じ、排他的な印象を抱いていたイランで受けた細やかな配慮に戸惑い、ザンビアでは貧富についての議論を交わす。周囲の声に惑わされず、自らの素直な感覚を頼りに47カ国を旅した著者が綴っ...続きを読むた684日間。第7回開高健ノンフィクション賞を受賞したデビュー作。

0

Posted by ブクログ 2015年10月20日

とてもクールな人なのかな。でも全力でけんかしたり、無謀な感じのところも。
イランの「バラ色のジャム」なんかいいし、タンザニアの「男よ、泣くな」なんかアフリカ男の生態が、ほ〜って感じ。

0

Posted by ブクログ 2014年05月16日

ユーラシア大陸、アフリカ大陸をひとり縦横断した作者の旅行記。

>私は新宿のビルの谷間から、星のない夜空を見上げた。
>それから口を閉じたまま、静かに首を反転させた。
>私は「西」を見た。

序章の一節、「東」を向いて仕事をしていた作者が旅立ちを意識するシーン。
この一節でぐいっと作品に引き込まれま...続きを読むした、旅立ちの必然性を強く感じながら。


「できれば知りたくない」、「できれば考えたくない」ことを主体的に感じに行く彼女のスタンスに、感心はするものの共感はできない私。
そもそも彼女は共感を求めてはいないと思いますが。

右傾化についてあまり意見は持っていませんが、「失敗を許さない世の雰囲気」には恐怖を覚えています。

0

Posted by ブクログ 2013年12月21日

本書は著者が、東南アジア・中東・アフリカを放浪したときの記録である。その日数は延べ684日。この旅は旅行といった生やさしいものではなく、バックパックを背負って、野宿なども行いながらの貧乏旅行である。

彼女は実際の眼でみた世界の状況を非常に興味深く読んだ。

国境を越えるために偽装結婚までして、...続きを読むまた、女性として一人でパキスタンなどの紛争地域にも向かっている。ジンバブエでは強盗に顔面を殴られている。本当に怖いもの知らずだ。

彼女が実際に眼でみたルポを読んで感じたことは、アフリカや東南アジアに実際に今でも支援を必要としているのだろうけど、本当に必要な支援が行き届いているのかどうかということである。

P239
先進国は、アフリカや途上国へどんどん踏み込みインフラ整備を手伝って、資源の獲得と未来市場の開拓に汗を流して取り組んでいく。そしてテレビを設置して、欧米の暮らしを宣伝し、物があるということがどれだけ豊かなことなのか、物を持たないアフリカ人が、どれだけ惨めで貧しいのか熱を込めて教育していく。

P243
黒く曇った街を歩けば、あっと言う間にメガネが曇り、黒くなった鼻の穴からヘドロの玉が転がり出てきた。途上国で壊れた車や家電製品は行き場を失い、森や砂漠に捨てられたまま、醜態をさらして朽ち果てた。一部はスラムの住宅街で、鉄くずとなって錆び付いて、漏れ出したエンジンオイルが大地に染み込み汚泥をつくった。


彼女が実際に現地で眼にした現状は真に迫っている。アフリカは確かに貧しいが、生活の面ではたくましさを持っている。

P247 ニジェール「善意とプライド」
私はアフリカへ行くにあたって、一つの構想を立てていた。アフリカへ行って貧困と向き合い、現地の惨状を確認し、世界に現状を知らしめて共感を得ようと計画していた。アフリカの貧困を見極めて、貧困の撲滅を訴えて、慈愛に溢れる発送を誰かに示すはずだった。先進国の豊かな知恵を貧しい人に紹介し、不幸そう人を探して幸福を与える夢を描いた。けれど、あてがはずれてしまった。なぜなら、予想しいていた貧困が思うように見つからなかったからだ。想像していたほど人々は不幸な顔をしていなかった。

P247 ニジェール「善意とプライド」
アフリカは教える場所ではなくて、教えてくれる場所だった。助けてあげる対象ではなく、助けてくれる人々だったアフリカは貧しい大陸ではなく、圧倒的な豊かさを秘めた、愛されるべき大陸だった。

いま豊かとされている日本でも貧困の問題がよく聞かれるようになった。日本ではセイフティーネットがあるので著しい問題は発生しないと考えられているのだけど、考え方によっては日本の方がシビアな現実があるのかもしれないと感じた。アフリカには「みんなの家、みんなのお金、みんなのご飯」がある。でも、日本では都市部でも孤独死がおこる、また年間3万人を越える自殺者がいる。

著者はアジアやアフリカでたくさんの地域の人々にご飯をもらっているし居住地を提供してたくさんの出会いを得ている。私たちが先進国として得た価値とはなんであるかを考えさせられた。

また、著者がこのような旅ができることに純粋なうらやましさを感じた。僕は挑戦をするには、護るものも増えてきたし、年もとってしまった。僕は26歳の日からもう8年も経ってしまった。

0

「ノンフィクション」ランキング