中村安希のレビュー一覧
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筆者は2014年の9月7日から10月1日にかけて、北インドのラダック地方に一人旅をする。
目的は星を見ること。
「黙々と、山の中を歩きたかった。社会の喧騒から遠く離れて闇の中で眠りたかった。誰もいない孤独の中に身も心も委ねてしまいたかった。その旅には目的と呼べるものがひとつだけあった。人生観をその根底からひっくり返してしまうような、ものすごい星空に出会うこと。私は、ヒマラヤ山脈の中を二五日間かけて歩き回り、そこに完璧な星空を見つけ出すつもりだった。」
そして、それが「人生観をその根底からひっくり返してしまうような、ものすごい星空」だったかどうかは別として、筆者はラダック地方で心を動かされるよう -
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表紙と題名に惹かれて買ってしまいました。
本書は第七回開高建ノンフィクション受賞作です。題名と表紙の清々しさが気に入り出張先で購入しました。
26才の女性が単身でアジアからアフリカを約二年間に亘り放浪した記録ですが廻った国々の殆どは貧困国や紛争地域で恐らく殆どの同年代の女性が楽しむ海外旅行とは対極な旅行?を少ない予算の中で未知の地域を進む著者と出逢った人々の生活や思想は昨今の表層しか語れないメディアで知らされている彼らの姿とはあまりにもかけ離れた素のままの日常が描かれて居ます。
現地で生活している人の目線で著者が語り感じる様は臨場感溢れ困難な放浪旅行?を実行した勇気と行動力には感心と羨 -
Posted by ブクログ
2年近くに渡るユーラシア大陸、アフリカ大陸の旅をした記録をかなりの駆け足でダイジェストした本です。シニカルで勢いのある文章で、旅の一部を鋭角に切り取って放り出すような雰囲気で非常にかっこいいです。柔らかい旅行記に比べると埃臭さや土っぽい香りがプンプンして息苦しいほどであります。
世界と自分との境界線をどこで引くのかで、見えてくる世界が全く違うんだなあとしみじみ思う本でした。実は最初あまり共感できない状態で読み進めていたのですが、良く考えたら共感も感情移入も必要が無い、究極の個人主義の集合体としての集まり、それがもしかしたら本来の世界との関わり方なのかなと。そんなことを思いました。 -
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ユーラシア大陸、アフリカ大陸をひとり縦横断した作者の旅行記。
>私は新宿のビルの谷間から、星のない夜空を見上げた。
>それから口を閉じたまま、静かに首を反転させた。
>私は「西」を見た。
序章の一節、「東」を向いて仕事をしていた作者が旅立ちを意識するシーン。
この一節でぐいっと作品に引き込まれました、旅立ちの必然性を強く感じながら。
「できれば知りたくない」、「できれば考えたくない」ことを主体的に感じに行く彼女のスタンスに、感心はするものの共感はできない私。
そもそも彼女は共感を求めてはいないと思いますが。
右傾化についてあまり意見は持っていませんが、「失敗を許さない世の雰囲気」には -
Posted by ブクログ
本書は著者が、東南アジア・中東・アフリカを放浪したときの記録である。その日数は延べ684日。この旅は旅行といった生やさしいものではなく、バックパックを背負って、野宿なども行いながらの貧乏旅行である。
彼女は実際の眼でみた世界の状況を非常に興味深く読んだ。
国境を越えるために偽装結婚までして、また、女性として一人でパキスタンなどの紛争地域にも向かっている。ジンバブエでは強盗に顔面を殴られている。本当に怖いもの知らずだ。
彼女が実際に眼でみたルポを読んで感じたことは、アフリカや東南アジアに実際に今でも支援を必要としているのだろうけど、本当に必要な支援が行き届いているのかどうかということ