チャールズ・ユウのレビュー一覧
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いわゆるビデオゲームを題材に12のSF短篇が集うアンソロジー。話題のケン・リュウや、「All you need is kill」の桜坂洋、「火星の人」のアンディ・ウィアーなどネームバリューのある作家もちらほら。というより、恥ずかしながらそれ以外は初めて知る作家ばかりで、ある意味新鮮なアンソロジーでした。
個人的には次の作品が面白かったです。
・桜井洋「リスボーン」:リスボーンというゲーム特有用語を用いた小説。オチはちょっと弱い気がしましたが、ゲームSF小説らしさを感じる小説でした。
・チャーリー・ジェーン・アンダース「猫の王権」:健忘症のパートナーの治療を目的にとあるゲームを勧めたところ…ゲームは単なる娯楽に留まらず、様々な用途に用いられることもある。そんなゲームの多様性を感じる小説でした。でもなんか最後は哀しい。
・ケン・リュウの「時計仕掛けの兵士」:本書でのベスト。女バウンティ・ハンターは依頼どおりターゲットを確保するが、帰還の宇宙船で暇つぶしにターゲットが作成したテキスト・ゲームをはじめてみたところ…巧みなストーリーテリングは流石。 -
Posted by ブクログ
>はじめに神は画面を創造された。
>画面は混沌であって、闇がすべてを覆いつくし、なにもなかった。
>神は言われた。「ドットあれ」こうして、ドットがあった。ドットは光であり、画面は闇であった。神は言われた。「パドルあれ」こうして、パドルが産まれた。
ゲームをモチーフにしたSFのアンソロジー。
桜坂洋・アンディウィアー・ケンリュウと顔ぶれが豪華で、テーマも斬新、タイトルで面白そう!と思って手に取ったけど面白かった。原書は26篇500ページ超だということで、未訳になったのも読みたい!なんで減らしたのさ!500ページじゃ売れそうにないからか!?・・・売れなさそう・・・。
特に面白かったのは、桜坂洋「リスポーン」
カートリー「救助よろ」ブラック「1アップ」マグワイア「サバイバルホラー」ハウイー「キャラクター選択」ウィアー「ツウォリア」・・・挙げてくと全部挙げる羽目になりそう。
「1アップ」が一番良かったかな。
ネットゲーム友達が死んだというので家を訪ねると、故人の遺作自作ゲームが残されていて、そのゲーム内指令を現実でクリアしていく。最後に辿り着いた結論が・・・!というお話。緊迫感があって良かった。
「サバイバルホラー」とか「救助よろ」のゲームが現実に侵食してくる感じもすごい好き。
たった8ページの「ツウォリア」も好きだなー。『ふわふわの泉』『不全世界の創造手』とかみたいな、世界を良くしてくれるわくわくが素敵。いやさすがウィアー、この人は外れないわ。
ケンリュウは、なんかSFとしてすげーって感じあるんだけど、今んところあんま好きになる短編に出会わないなー。なんか読みづらい。売れてる作家が自分に合わないのだとすると惜しいというか悔しいというか残念。
ちょいちょいネットスラングが使われてて、原文のイメージを生かそうとしているんだろうけど、こういうスラングってすぐに風化するから今読むとちょっと恥ずかしいのが難点。と言ってもきっと原文のスラングも同じ恥ずかしさを抱えていそう。 -
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桜坂洋「リスポーン」
デヴィッド・バー・カートリー「救助よろ」
ホリー・ブラック「1アップ」
チャールズ・ユウ「NPC」
チャーリー・ジェーン・アンダース「猫の王権」
ダニエル・H・ウィルソン「神モード」
ミッキー・ニールソン「リコイル!」
ショーナン・マグワイア「サバイバルホラー」
ヒュー・ハウイー「キャラクター選択」
アンディ・ウィアー「ツウォリア」
コリイ・ドクトロウ「アンダのゲーム」
ケン・リュウ「時計仕掛けの兵隊」
桜坂洋の「リスポーン」目的で読んだ。最後が微妙なことも多いけど、やっぱり桜坂さんの設定好きだなあ。
あとは海外作家ばかりだったので、せいぜいケン・リュウをかろうじて読んだことがあったくらいだったのだけど、なかなか面白く読めた。「1アップ」「キャラクター選択」が特に好き。 -
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12人の作家が書いた、ゲームがテーマの短編のアンソロジー。
ゲームは好きだし、昔ゲームブックにすごくハマったし、ゲームっぽい小説(「クリムゾンの迷宮」とか「ソードアート・オンライン」とか)大好きだし、ピッタリだとおもって購入。
唯一知っていた著者桜坂洋の「リスポーン」は設定が面白かった。「ツウォリア」は設定自体はありきたりですごく短いんだけど、終わり方が好き。「アンダのゲーム」は結構考えさせられる内容で面白かった。
ひさびさに海外小説を読んだけど、やっぱり翻訳物は頭に入ってきにくい気がする。そんなとき各短編の前に、導入と著者紹介を書いてくれていて結構良かった。アンソロジーだと普通なのかな? -
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大好きな時間SFですが、これはちょっと?
時間ループに陥った主人公ユウがある本を頼りにループから脱出しようとする。その本が「SF的な宇宙で安全に暮らすっていうこと 」。主人公が書いた(らしい)本が鍵となり、脱出出来る(らしい)、と何とも曖昧な話。パラドックスを捏ね繰り回してる感があり、SF的高揚感より文学的な趣きが濃厚。
それよりも物語の設定の方が面白い。
スターウォーズが実際に行われた数年後の世界、Lスカイウォーカの息子がタイムマシンを故障させたり、主人公の親戚がデススターの経理部に勤めてたりする。
経理部!確かにあれだけデカいと人事部も総務部もシステム部(忙しそう!)も土木課も水道局も有りそう。
細かいネタに感心しました。 -
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僕(チャールズ・ユウ)は電話ボックス大のタイムマシンTM-31で、OSの少女タミー、非実在犬のエドと、タイムマシンの修理工として暮らしている。
タイムマシンを開発した父は失踪、母は一番幸せな1時間をタイムループし続ける生活を送っていた。
ある日、僕は未来からやって来た自分と遭遇し、光線銃で撃ってしまう。
TM-31でその場から逃げ出した僕は、未来の僕から託された本「SF的宇宙で
安全に暮らすっていうこと」を手にタイムパラドックスから逃れる方法を探っていく。
久々に本格SFを読んだ。
module αは面白いけど読みづらくて、どうなるかと思ったけど、それ以降はスイスイ読めた。
予想外な話の展開も◎ -
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うーん、これは何と言ったらいいのか、タイムトラベルもののSF小説であり、同時に、家族(特に父子)小説でもある。前者としては非常に面白く読んだのだけど、私はどういうわけか後者はきわめて苦手で、サーッと気持ちが引いちゃうんだよね。クールなSF部分に比して、家族部分はかなりベタに語られるのがつらい。そこがいいという人も多いだろうけど。
出だしはまるきり円城塔。チャールズ・ユウって、円城氏の英語でのペンネームでは?という疑惑が頭をかすめるほど。シャープで、でもどこかとぼけていて、好きなタッチだ。いったいこれってどこまでが原文の味わいなんだろう。合わせ鏡の中にいるような自己言及の連続や、物語のメタ構造がとても刺激的だ。
時間って本当に不思議だ。「未来」を私たちは知らない。「現在」はつかもうとしたときには既に過去になっている。じゃあ「過去」は確かか? そうじゃないのは、次の独白の通り。
「時間は装置だ。痛みを経験に変換し、生データはコンパイルされてより理解しやすい言葉に翻訳されていく。あなたの人生における個人的な出来事は記憶と呼ばれる別の物質に変換され、その変換過程では何かが失われることになり、あなたは決して、それを復元することができなくなる。あなたは決して、オリジナルの瞬間をそれがまだカテゴライズされていない未処理の状態として取り戻すことはできないだろう。その過程はあなたに先へ進むことだけを強制することになり、この件についての選択権があなたに与えられることはないだろう」
本筋ではないが(いや待て。もしかして重要な要素かも)、始まってすぐに主人公の容姿(と言うより体型)が明らかになるところで、「は?」と目が点に。表紙の朝倉めぐみさんの手になる繊細そうな青年とは全然違うじゃん!あの絵をイメージするから、現実の時間の流れから切り離された電話ボックス大の空間で、非実在の犬とコンピュータプログラム相手に何年も過ごし、父を探す青年の姿が切なく感じられるんだけど。本文通りに思い描いてみると…、うーん、また別の切なさがあるかなあ。