関幸彦のレビュー一覧
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この本は、本屋で手にして買いました。紫式部と藤原道長の関係を知りたかったからです。
大河ドラマがきっかけで興味を持ちました。類似のタイトルの本が多くあるようですが、それらの中からこの本を選んだ、ということはありません。
本書は文学者ではなく、年配の歴史学者によって書かれています。歴史の風景、社会や人間の生き様としての見方が安定していて記述されています。いわゆる「伝説」や「偉人伝」的な逸話で何が何だかわかるなるような、文学者的な書き方ではないので、そこは本書で良かったと思います。一方で、語りつくした内容を改めて書きました、という感じで、新しい見方を提示したり、世の中に価値を問うような熱いものは -
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本書は2003年から2004年に雑誌「エコノミスト」に連載されたものを書籍化したので、日本の歴史を「人事」を通して考えようとするもの。自分も何年かに一回は異動になっていたし、上司・部下にどのような人物が来るかで仕事のやり方が変わってくるので、組織人であれば誰しも人事にそれなりの関心を持たざるを得ないであろうから、テーマとして面白い。
良く知らなかったこと、特に興味を惹かれたもの
・「再就職」が厳しい中高年豪族~郡司の任命制度、試験プロセスが理解できた。
・「学閥」出身者の悲劇~菅原道真失脚について、他の学閥の嫉妬が原因であった。
・「実力主義」を育てた乱世~朝倉孝景と朝倉孝景条々の内容が -
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題名は藤原道長と紫式部てすが、彼らがが生きた時代に重なる平安時代について解説した一冊。
道長や紫式部の家系についても解説があります。
藤原の三道の三兄弟の中で、末っ子の道長が権力の座に付けたことも興味深いです。
平安時代が400年という長い歴史を持つ一方で、今までの大河ドラマの影響か、どうしても影が薄くなる。
光る君への大河ドラマの影響で道長や式部の人物像に肩入れしてしまう。とは言っても道長については、摂政の最高権力者にまで登り詰めるほどなので、決して良い人な訳はなく。
藤原摂関家の宮中での権力争いの様子や、女真族の侵攻を受けていたことなど見ると、平安時代も決して退屈な時代ではないということが -
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様々な形で語り継がれてきた日本の英雄伝説、その変容の諸相を解説した書。中世、近世、そして近代と様々な形でリフレインされてきた英雄伝説を通して、それが反映してきた時代の様相と歴史認識(歴史観)を読み解く。
本書は、1998年発行の『蘇る中世の英雄たち―「武威の来歴」を問う』(中央公論社)の文庫版である。中世に盛んに生み出され、近世、近代と伝わってきた英雄の伝説は、中世という時代の価値観や事象を反映すると共に、後世の時代の価値観や歴史観を踏まえてさまざまに変化していった。著者の目的はそういった伝説が時代の何を示しているのか、そして伝説の変容に何が託されているのかを示すことにある。そのため本書は、伝