関幸彦のレビュー一覧
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「刀伊の入寇」…高校で日本史を選択していてもサラッと用語のみの説明だけで終わることも多いだろう。しかし、古代日本の外交・国防を巡る上では重要な事件である。
刀伊の入寇そのものは雑に言ってしまうと「異民族の海賊のようなものが来たので撃退した」と言うだけであまり語られる部分は少ないのだが、なぜ侵入が起こったのか、当時の東アジア情勢を絡めて考察している。そこからは当時の朝廷が高麗をかなり警戒していたことなどが伺える。
また国内的な意義として、天慶の乱以来の兵(後の武士)の台頭の1プロセスであること、この時律令制度は形骸化していたと言われるが実はそれが一面の見方に過ぎないことなどが書かれている。 -
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平安時代最大の対外危機である刀伊の入寇について、内と外の視点、前と後の視点から検証し、「海の日本史」の一端として描く。
日本史の教科書の脚注にちょびっと書かれていた記憶があるだけであまり具体的なイメージを持っていなかった刀伊の入寇が、古代から中世に移り変わっていく中での、特に軍制史的な観点から一つのエポックメーキングな出来事であったことについて理解が深まった。また、意外と日本側の被害が甚大であったことに吃驚した。
本書で紹介されている、刀伊に連れ去られた人や捕虜になった家族を奪還するために密航した人の体験談がとても興味深かった。こういう貴重な話が今に伝わるのも、藤原実資が詳細な日記を残してくれ -
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元寇以前の最大の海外からの武力侵攻である「刀伊の入寇」、日本政府(王朝政治)はどう対応したのか?
当時の東アジアの状況説明から入っている(結論から言うと、都に知らせが届いたときには既に撃退していたのだが)
まあ、朝鮮半島との「ややこしい歴史」の一部というか、当時はもっと深刻にややこしかったんだなとか、律令国家から弛緩したとは言え、太宰府と都の間の文書連絡は維持できていたんだなとか。
そして、刀伊を撃退した「やんごとなき武者」達は、武士として時代の中心に取って代わることになる。
最後に:刀伊とは、(≒東夷)からきてたのねと。
読みにくかった分☆一つ減 -
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ネタバレ平安時代の外敵の侵攻事件を学術的に取り上げた本
平安時代における地政学といってもいいですかね。
歴史好きの理系として、単語は知っていたものの、特に気にも留めていなかった一幕であったので、マニアックな本だなぁ~と思い手に取ったところ存外に面白かった。
「小右記」(小野宮右大臣(実資のこと)の日記という意味らしい)の記載をベースに、様々な文献的考察を踏まえ、どいう経緯で起こったのか、さらに歴史の文脈の中でどう解釈されていったのかを述べていて、なんというかスタンダードな歴史研究の書という感想です。
女真族の侵攻ルートが「日本史サイエンス」で触れられていた蒙古襲来のパターンと非常に似ており、これは女真 -
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1019年藤原道長の時代。対馬、壱岐と北九州が女真族に襲われた刀伊の入寇。平安時代最大の対外危機から浮き彫りになる武士台頭以前の兵の姿。
日本史の教科書では脚注のレベルだとう刀伊の入寇。恥ずかしながら知らなかった。封建の世よりも前。武士階級が台頭する以前の異国の侵攻。
当時の中央政府の狼狽と貴族階級の前例踏襲。地元の兵たちの奮闘。そして驚かされたのが妻子を捕虜として奪われた対馬の官人の法を犯した高麗渡海、その行動力。
近年、一定のファン層を確立したと言えるだろう中公新書の日本史シリーズ。
忘れられつつある事件から当事の世を蘇らせた一冊でした。 -
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題名どおり、1019年(寛仁3年)、対馬・壱岐、北九州沿岸が外敵に襲われた「刀伊の入寇」を取り上げた書である。
事件そのものについては史料に基づき具体的に論じられているが、より広い射程の下で、本事件の政治的・軍政史的意義や後世への影響が論じられているので、一般読者にとっては、そうした見方、観点こそ歴史の見通しを与えてくれて、大変ありがたい。
主なところは、次のとおり。
東アジア情勢の変化が我が国に影響を及ぼしてきたこと、9世紀の新羅海賊の侵攻、13世紀の元寇に並び、本件、11世紀の刀伊の入寇が、大きな対外危機として捉えられたこと。
律令制下の徴兵制が機能不全となり、武者、兵( -
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歴史の教科書で、ちょっとだけ目に触れた気がする、刀伊の入寇。
女真族が、対馬壱岐に攻め入り、住民を虐殺、蹂躙。これを、平安の兵が撃退した事件。日本が外国に攻め入られたのは元寇だけではなかった。因みに、寛平の新羅襲来ってのもあったらしい。
どうも、そんなに取り上げられてないのは、資料があんまり残ってないからみたい。あっさり撃退したのもあってか。
刀伊の入寇は、当時の国際情勢の中で、高麗を荒らして、そのまま来たみたい。本格的に攻め入って来たというよりは国を挙げての海賊行為なイメージ。
事象自体はそんなに詳しく書いてなくて、むしろ、武を通した日本の歴史を語る。律令の軍団制から鎌倉の武士団に至る、その