【感想・ネタバレ】刀伊の入寇 平安時代、最大の対外危機のレビュー

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平安時代最大の対外危機である刀伊の入寇について、内と外の視点、前と後の視点から検証し、「海の日本史」の一端として描く。
日本史の教科書の脚注にちょびっと書かれていた記憶があるだけであまり具体的なイメージを持っていなかった刀伊の入寇が、古代から中世に移り変わっていく中での、特に軍制史的な観点から一つのエポックメーキングな出来事であったことについて理解が深まった。また、意外と日本側の被害が甚大であったことに吃驚した。
本書で紹介されている、刀伊に連れ去られた人や捕虜になった家族を奪還するために密航した人の体験談がとても興味深かった。こういう貴重な話が今に伝わるのも、藤原実資が詳細な日記を残してくれたからであり、実に有り難いことだと思う。

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2022年11月28日

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ネタバレ

最後まで興味深く読めた。
永井路子さんの「この世をば」でチラッと出てきた時に気になったものの、調べることもなく、今になって良い本が読めました。
日本の外交姿勢が1000年以上経ってもあまり変わらないような気がしてしまって、何といったら良いのやら。

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2022年09月18日

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平安時代最大の対外危機について、要因となった当時の東アジア情勢や国内の政治状況を踏まえ、武士台頭以前における王朝軍制の特質を検討する内容。内向きの対外認識の醸成過程や、武士論ともいえる内容も含み、参考になる視点も多い。

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2022年09月08日

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対外戦争とまでは行かないが平安期の外国からの侵入にたいしての考察。「武者の世」への視点、東アジアから見た視点など様々な考察が興味深い。

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2022年04月05日

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元寇以前の最大の海外からの武力侵攻である「刀伊の入寇」、日本政府(王朝政治)はどう対応したのか?
当時の東アジアの状況説明から入っている(結論から言うと、都に知らせが届いたときには既に撃退していたのだが)

まあ、朝鮮半島との「ややこしい歴史」の一部というか、当時はもっと深刻にややこしかったんだなとか、律令国家から弛緩したとは言え、太宰府と都の間の文書連絡は維持できていたんだなとか。

そして、刀伊を撃退した「やんごとなき武者」達は、武士として時代の中心に取って代わることになる。

最後に:刀伊とは、(≒東夷)からきてたのねと。
読みにくかった分☆一つ減

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2022年03月18日

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ネタバレ

平安時代の外敵の侵攻事件を学術的に取り上げた本
平安時代における地政学といってもいいですかね。
歴史好きの理系として、単語は知っていたものの、特に気にも留めていなかった一幕であったので、マニアックな本だなぁ~と思い手に取ったところ存外に面白かった。
「小右記」(小野宮右大臣(実資のこと)の日記という意味らしい)の記載をベースに、様々な文献的考察を踏まえ、どいう経緯で起こったのか、さらに歴史の文脈の中でどう解釈されていったのかを述べていて、なんというかスタンダードな歴史研究の書という感想です。
女真族の侵攻ルートが「日本史サイエンス」で触れられていた蒙古襲来のパターンと非常に似ており、これは女真の海賊を討伐にあたっていたのが高麗軍で、元寇も高麗軍が主力だったことから、やっぱり「歴史は繰り返される」と。月並みですが。
翻ってみると、現代においても地政学的リスクは変わってないじゃんと思い立ち、地形によって民族の攻防は自動的に決まってしまい、人って進歩しないんだな、と少し気持ちが沈んで閉じました。
本は面白かったんですけどね。

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2022年01月23日

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平安時代に海の向こうからの進攻があった。それが「刀伊の入寇」である。九世紀の新羅進攻、十一世紀の刀伊来襲、十三世紀のモンゴル襲来が我が国が迎えた対外危機であった。刀伊は東夷であろうと言われている。高麗が女真族に圧迫を受けていた時代である。高麗から刀伊と言われていた女真族が朝鮮半島を通って日本を襲撃したのだ。当時の東アジア情勢と日本の情勢を説明し、当時の人たちがこの危機にどのように対処したかを明らかにする。モンゴル来襲の前にこんなことがあったのだな。四方を海に囲まれている日本ではいつでも有りうることだったんだ。

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2022年01月07日

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源平のようないわゆる武士が出てくる少し前の時代がどうなっていたのか、が目新しかった。
ところどころ、文章が読みにくいなと思った。

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2021年12月04日

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1019年藤原道長の時代。対馬、壱岐と北九州が女真族に襲われた刀伊の入寇。平安時代最大の対外危機から浮き彫りになる武士台頭以前の兵の姿。

日本史の教科書では脚注のレベルだとう刀伊の入寇。恥ずかしながら知らなかった。封建の世よりも前。武士階級が台頭する以前の異国の侵攻。

当時の中央政府の狼狽と貴族階級の前例踏襲。地元の兵たちの奮闘。そして驚かされたのが妻子を捕虜として奪われた対馬の官人の法を犯した高麗渡海、その行動力。

近年、一定のファン層を確立したと言えるだろう中公新書の日本史シリーズ。
忘れられつつある事件から当事の世を蘇らせた一冊でした。

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2021年09月21日

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平安時代が国際関係、特に東アジア緊張関係が強くなっていた時期だった。唐の弱体化に伴う朝鮮半島の混乱が日本に影響を与え、外から内への外交政策の転換が図られていた最中の事件。
その後の夷狄感を醸成させ、武士の世の到来を予感させる大事件だった。

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2021年09月04日

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ネタバレ

千年前の外国からの脅威「刀伊の入寇」
藤原隆家の話が全然少ない(笑)
でも、当時の西日本(朝廷)の緊張感を
知る音ができた・・・というのも寛平の
新羅襲撃事件なんて知らなかった

桓武天皇が常備軍を無くし(経費削減)
防衛力が超弱いところを暴れん坊貴族の
隆家訓大活躍なんてしょーもない話では
なかっ
本書は王朝期に萌芽した「兵:つわもの」
や軍事貴族などの、読んだ事ない王朝末
期の国防を考えさせられる一書です

いまから1002年前の事件です(/・ω・)/

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2021年09月03日

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 題名どおり、1019年(寛仁3年)、対馬・壱岐、北九州沿岸が外敵に襲われた「刀伊の入寇」を取り上げた書である。
 事件そのものについては史料に基づき具体的に論じられているが、より広い射程の下で、本事件の政治的・軍政史的意義や後世への影響が論じられているので、一般読者にとっては、そうした見方、観点こそ歴史の見通しを与えてくれて、大変ありがたい。
 
 
 主なところは、次のとおり。
 東アジア情勢の変化が我が国に影響を及ぼしてきたこと、9世紀の新羅海賊の侵攻、13世紀の元寇に並び、本件、11世紀の刀伊の入寇が、大きな対外危機として捉えられたこと。
 律令制下の徴兵制が機能不全となり、武者、兵(つわもの)と呼ばれる者たちが登場してきたこと、その中から軍事貴族化して武家に発展していったこと。
 
 以上のような歴史の流れを大掴みに理解できたのは良かったが、本書の面白さは、幾つかの史料から本事件の実態を再構成していくところ。都への事件報告書、恩賞の上申書、拉致された者が戻ってからの陳述書などを通して、戦闘の時系列、戦闘場所、敵船やお互いの武器、武具、死傷者や捕虜として連れ去られてしまった人々についてなど、リアルに事件の実相が明らかにされる。

 歴史の面白さを教えてくれる、最近の中公新書歴史シリーズとして読み応えのある一冊。

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2021年08月30日

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