橋本福夫のレビュー一覧
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クリスティーの「クリスマス向け」短編集です。
5つの短編が収められているのですが、なんと、ポアロとマープル両方が入っています!
(ポアロ4編、マープル1編)
両方の作品を1冊で味わえちゃうなんて、贅沢♪
さらに、「英国のクリスマス」についてクリスティーが前書きを寄せているのも、ちょっとうれしいです。
表題作の「クリスマス・プディングの冒険」では、クリスマスに事件解決しなければならなくなったポアロが、田舎の地主のお屋敷に訪れます。
そこで催される「英国の伝統的クリスマス」について、とても魅力的に描写されています。
飾り付けられた屋敷、プディングやターキーやケーキなど食べきれないほどのごちそう、 -
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ネタバレ殺された男と時計の謎。
タイプの仕事を依頼された家を訪ねたら男が死んでいた。住人は外出中で、近所の家に聞き込みをしても特に何も見ていないと言う。増えていた時計は何を意味するのか。そして死んでいた男は何者なのか。
時計の謎それだけ? タイトルにまでしているのにミスリードのためだけに増やしていたとは。よくある「実はAは実母だった」「実はBとCは姉妹だった」パターンだが、片方はわかりやすかった。教師のキャラが1人しかいないから。
この作品のハイライトはむしろポアロによる探偵小説講義にあるのかも。ドイルを褒めるところにクリスティーの人格が出ている。 -
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ネタバレ宝石を巡るサスペンスの舞台は名門女子校!
とある中東の小国で革命が起こり、宝石が消えた。一方、ロンドンにある名門女子校では新しい先生と新しい生徒たちを迎える。新設の室内競技場で新任の体育教師が殺された。殺人事件が続き、外国の王女の誘拐まで起きた。ポアロは学校の危機を救えるか——。
面白い。ポアロはラストに少しだけ出てくるに過ぎないが、そのきっかけになる少女ジュリアの賢さと勇気が快い。しかもあのモーリーン夫人の関係者である。『マギンティ夫人は死んだ』を読んでいれば、ポアロがその宿でどれだけうんざりする目に遭ったか思い出せるし、しかもオムレツは美味しかった、とくるのである。ファン向けの描写だ。 -
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冒頭こそとある女学校の入学模様を描きつつも、それに続くは中東のある国で起こった革命に拠る余波。また、革命を逃れた宝石の行方を公安やら殺人鬼が追うというのはスリリング有る展開
けれど、メドウバンク校で生じる事件の発展はじっくりと行われるね
王国で起きた革命はお偉いさんを走らせるものでは有るけれど、イギリスの女学校では遠い話。遠縁とされるシャイスタが入学してきたとしても扱いに困るような事はない。むしろ、ちょっとやそっとじゃ揺らがない軸を持っている学校だと判る
そんな女学校で教師が何人も殺される。しかもそのうち二人が殺された現場は室内競技場という殺人の動機を見出すのが難しい場所
読者には動機が何とな -
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【ポアロ】
1959年クリスティー69歳の作品。
あれ?これポアロシリーズだよね?と読んでる途中に何度も確認してしまうくらい全然ポアロが出てこない。
同じくポアロの出番が少なくて覚えているのは『ホロー荘の殺人』だけど、あれは全員のキャラが濃すぎてポアロの出る幕がなかった。
この作品は真面目な教師と生徒ばかりで地味な展開なので「早くポアロ出てきて!」とポアロの登場を今か今かと待ち望んだけど、結局ポアロが登場したのは最後の方。
ポアロにうんざりしていたのに出版社からの圧力でポアロシリーズを書いていたクリスティーの抵抗だったのかはわからないけど、ポアロ自身はもっと早く出たかったと思う^_^;
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【ポアロ・マープル短編】
久しぶりのクリスティー。
Audibleに未読のクリスティーが追加されていて大興奮!
クリスティーの短編は苦手で全く手を付けていなかったので、Audibleで聴けるのはありがたい。
「クリスマスにはクリスティーを」ということで、12月にピッタリのこの作品。
〈はじめに〉で語っている、クリスティーの子供時代のクリスマスの様子がとても素敵で幸せそう。聴いていてこちらまでほっこりした気分になった。
「読者の皆様に。クリスマスおめでとう!」というクリスティーからのメッセージが嬉しかった(*˘︶˘*).。*♡
『グリーンショウ氏の阿房宮』は、お久しぶり -
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ポアロもの。
〈カヴェンディッシュ秘書・タイプ引受所〉に所属するタイピストのシェイラは、名指しで派遣の依頼を受け、依頼人の家を訪問します。
依頼人ミス・ペブマーシュは不在でしたが、指示された部屋に入ると、現在の時間とは異なる“4時13分”を指した複数の時計が置いてあり、さらにソファの横には知らない男性の死体が横たわっていて・・・。
「時刻のずれた複数の時計が置かれた部屋の中の謎の死体」
という、冒頭の事件現場のミステリアスな状況に、グイっと心をつかまれて、今後の展開への期待値が上がった状態で読み進めた私。
しかも、その家の主人で目の不自由なミス・ペブマーシュはそもそもタイピストを依頼してお -
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ポアロもの。
中東のラマット王国で革命が勃発。
国王のアリは、お抱えパイロットのボブに莫大な価値を持つ宝石を託します。
ボブはその宝石を“とある場所”に隠し、その後アリと共に国外脱出を図るも後日彼らの死亡が確認されてしまいます。
一方、ボブの姪にあたるジェニファーが通う名門女子校・メドウバンクで新任の体育教師が射殺されるという事件が発生して・・。
宝石の行方と女子校で起こった殺人事件という二つの謎を巡る、サスペンス&ミステリ仕立ての内容です。
さらに、学校が舞台ということで生徒達や教職員の人物描写が冴えわたり、例えばメドウバンク校長であるバルストロード先生の、今後の学校経営(方針)を踏まえ -
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都市化が進むセント・メアリ・ミードと、ミス・マープル自身も老いを感じる今日この頃。懐かしい人々のことを思い出し、少しセンチメンタルになるマープル。
大物女優とその夫が移り住んだゴシントンホールは、かつて『書斎の死体』で死体が発見された曰く付きの場所。そこで開催されたパーティには、多くの周辺住民が参加する。そしてそこで、野戦病院協会幹事のヘザー・バドコックが殺害される。
ヘザーはパーティの主役でもある女優のマリーナと間違えて殺されたのか、それともはじめから彼女自身が狙われたのか。全ての鍵は、ヘザーと対面した時にマリーナが浮かべた「凍りついたような表情」にあった。
立て続けに殺人が行われるものの約 -
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冒頭の映像的なシーンで事件発生もその後は落ち着いた感じで展開し終盤になって色々と動きが…ミス・マープルがすっかりおばあちゃん扱いになってるが、ミス・マープルを実際に読むまで思っていた「安楽椅子探偵」のイメージにはこの方が近いかとも思う。
有名女優が近所に引っ越してきてそこから起こる騒動は、何だか現実味のない設定ではあるがドラマとしてはとても面白かった。色々とスッキリしない部分も残ってはいるが、まぁ隅々まで整合性を求めなければ読後感も中々にスッキリする。後は何を言ってもネタバレになりそうなので黙っとこ。
個人的には前作『パディントン発〜』登場のルーシーの活躍する話しも見たかったなとも。 -