清水俊二のレビュー一覧
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レイモンド・チャンドラー『プレイバック』 (創元推理文庫)清水俊二訳から2024年、表紙も新たにアメリカの画家エドワード・ホッパー作品、田口俊樹訳で出版されている。残念ながら読んだのは1977年発行本になる。因みに『ロング・グッドバイ』は 2010年の村上春樹訳で読んでいるのだが...印象が薄く覚えが悪い。1976年には『長いお別れ』で清水俊二訳、更に2022年にホッパー表紙の 田口俊樹訳で発行、機会があれば読み比べをしてみたい。
『プレイバック』の私立探偵フィリップ・マーロウは相変わらず格好いい。薄汚れたコロンボ刑事やフケまみれの金田一耕助とは違い、いちいち立ち振る舞いが格好いいのだ。決め -
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ネタバレ金持ちの依頼人を訪れるところから始まる前半部の展開は、まさしくハードボイルドの典型だな。だけど、マールではなくてマードック夫人が夫を窓から突き落としていたという、なかなか悲惨なラストが用意されているにも関わらず、一度は解決したかに見えた事件の真相をマーロウが暴くことになる「大いなる眠り」や、煩雑に見えた展開が最後に見事に収束する「さらば愛しき女よ」ほどの完成度には達していない。よく書けた詩をなくしたうんぬんのところはちょっとよかったし、駄作というわけじゃないけどね。そういえばいい女も今回は出てこなかったな。
コインを盗んだ理由が偽造のためというのは思いつかなかったけど、それにしてもパレルモ -
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当方、レイモンドチャンドラー、マーロウのシリーズを読むのは初めてです。
かの有名なプリンのマーロウ。ずっと気になっていましたがこの物語があることは知りませんでした。
丁度そのころ、上司とバーに行った時、マティーニを飲んで、キザなセリフを言われ(何かは忘れた)レイモンドチャンドラーの本を紹介された。
事前情報なしで読みました。ハードボイルドと言われるように、服装、情景、一つ一つの行動の表現方法が独特。
読みにくいと言われればそうだし、想像力を掻き立てられると言えばそうかも。
評価は⭐︎3ですが、マーロウの性格がよくわかる作品でした。
また美味しいプリンをよろしくお願いします -
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そういえば読んでいない、……と思う名作シリーズ。
言わずと知れたハードボイルド!
かたゆで卵!
想像していたよりも読みやすく、想像していたよりも推理小説していた。
独特の文体で、しかも一癖ある描写が妙。
それにしても描写がちとウザイかな。一人一人の服装なんかは特に興味ないので、最初はおもしろく読めていてもだんだん冗長に感じて来る。
セリフ回しなどもストレートなものはなく、それが気に入る人は心酔するだろうし、気に入らなければくどいだけに感じるだろう。
入り込めれば、まあ、おもしろく読めた。
な~がいあ~い~だ~♪
ま~たせて(読まずに)ご~めんね~♪
なぜか読み始めるときはKir -
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裏で糸を引く意味だと考えても、「湖中の女」が確かに中心人物だと言えると思った。
また、マーロウの「私」視点で書かれてはいるが、地の文からマーロウが考えていることがわかるわけではなく、マーロウが見たものやしたことしかわからないし、そのほかに書かれていることもマーロウとその相手の会話文であるため、読者にわかることはマーロウの隣でマーロウの言動を眺めている場合と同じである。マーロウが気づかないことには読者も気づけないし、マーロウにしかわからないことは読者が知ることはできない。
主観というのは、自分にだけ都合が良いものだということがよくわかる物語である。客観とは、それこそマーロウの顧客がマーロウか -
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「レイモンド・チャンドラー」の長篇ミステリー作品『プレイバック(原題:Playback)』を読みました。
『チャンドラー短編全集3 待っている』、『さらば愛しき女よ』に続き「レイモンド・チャンドラー」作品です。
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女の尾行を依頼された「マーロウ」は、ロサンジェルス駅に着いた列車の中にその女の姿を見つけた。
だが、駅構内で派手な服装の男と言葉を交すや女の態度は一変した。
明らかに女は脅迫されているらしい。
男は影のように女について回った… そして二人を追う「マーロウ」を待つ一つの死とは?
正統派ハードボイルドの伝統を築いた「レイモンド・チャンド -
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「レイモンド・チャンドラー」の長篇ミステリー作品『さらば愛しき女よ(原題:Farewell, My Lovely)』を読みました。
『チャンドラー短編全集3 待っている』に続き「レイモンド・チャンドラー」作品です。
-----story-------------
前科者「大鹿マロイ」は、出所したその足で以前別れた女を捜し始めたが、またもや殺人を犯してしまった。
たまたま居合せた私立探偵「マーロウ」は、警察に調べられる。
その後、「マーロウ」は、高価な首飾りをギャングから買い戻すための護衛を依頼されるが、自らの不手際で依頼人を死なせてしまう。
苦境に立った彼を待っていたものは……。
全篇に流 -
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ミステリで最も印象的な文章は何?と訊かれた時に、真っ先に思いついたのはこの台詞、
「しっかりしていなかったら、生きていられない。やさしくなれなかったら、生きている価値がない」
だった。フィリップ・マーロウの代名詞とも云えるこの台詞が出てくるのはチャンドラー最後の長編である本作なのだ。
マーロウは馴染みのない弁護士からある女性の尾行を頼まれる。弁護士が指示した駅に行くと確かにそこには女がいた。その女は男と会話したり、コーヒーを飲んだり、暇を潰していたが、やがて動き出した。付いた場所はサンディエゴのホテル。マーロウは彼女の部屋の隣に部屋を取り、盗聴する。やがて駅で話していた男が現れ、その女性 -
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フィリップ・マーロウは4作目の本作で初めてロスを離れる。化粧品会社の社長から頼まれた妻の失踪事件を追って、彼の別荘があるロス近郊の湖のある山岳地帯の村に入り込む。そこの湖から女性の死体が上がる。その女性こそが社長の妻だろうと思われたが、別の女性の死体だったことが解る。そしてマーロウは別の事件に巻き込まれ、命を狙われる。
本書のテーマは卑しき街を行く騎士を、閉鎖的な村に放り込んだらどのように活躍するだろうかというところにある。しかもその村は悪徳警官が牛耳る村であり、法律は適用されず、警官自体が法律という無法地帯。つまり本書は以前にも増してハメット作品の色合いが濃い。
この閉鎖的な村で関係者を渡