清水俊二のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
かなり分厚い小説なのに文章はすごく読みやすかった。元の文がいいのか翻訳が上手いのか。翻訳ものはこれくらいのレベルの日本語文章が欲しい。
あ、一つだけわからなかった単語が。「代理シェリフ」。調べたらシェリフは保安官という意味だった。何故そこを訳さなかったんだろうか。
内容は静かなハード・ボイルド。
そこに渋さを感じる人もいれば、何故この状況で突如キャラ同士が殴り合いや武器での格闘を始めるのかという不思議さを感じる人もいるだろう。私は後者。まあそういう系統の話なのだから必然なんだろう。
そして主人公マーロウが人たらしすぎる!何となく小説の雰囲気は村上春樹っぽさを感じながら、しかし次々とマーロウに、家まで送るだの、今から飲みに行こうだの、情報を与えようだの、周りの男が寄ってくる。女性ではないのだ。同性に対して人間として不思議な魅力があるのだろうなあというのが伝わる。(補足、もちろん女性も寄ってくるが男のほうが多い!)実際マーロウは直感でいいやつだと思った相手や、弱ってる人間を助けることに対しては見返りを求めずに献身的に尽くすタイプなのだ。とは言え自己犠牲ではなく、やりたいと思ったからやる、といった、感情を見せずに淡々とこなすクールさが魅力である男。
そういう出来事が延々とゆっくり時間をかけて描かれ、最後の方になって急にマーロウの推理が始まり、「!?これは推理小説だったのか!?」と驚いた。そう言えば始まりは殺人事件だったし、マーロウは私立探偵だったわ。
そしてぶっちゃけテリーって、そんなにマーロウの琴線に引っかかる男だったのかな?優男で常に逃避で泥酔してて危なっかしくて放っておけなかったのかな?…とここまで書いてて、優男で危なっかしくて放っておけないってマーロウ自身のことでもあるのでは?となった。でないとあんなに危ない目に遭ってまで見返りもなしにこの事件の首は突っ込まないでしょ。似た者同士として惹かれたのかもしれない。マーロウに男たちが寄って来るのも、マーロウが芯は優男で危なっかしくて放っておけないというのがあるのかもしれない。
推理小説というにはそんな難しいトリックも何もない。感情を見せないようで行間を読むことで誰よりも(読者に)心のうちを見せてくるマーロウと彼に引き寄せられる人間たちの模様を楽しむ作品。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ1953年刊行。2026-1953…73年前の作品ですね。
2018年の年末に1回読んでいることをすっかり忘れていました。感想もつけていないので当時はまったく刺さらなかったのでしょうか。2026年4月14日、再読でなんとか読み切りました。
親友になった人間が妻殺害の容疑をかけられ逃亡しメキシコで死んで、なぜか色んな人間に絡まれてるうちに新しい依頼が舞い込んできて…。
探偵といっても推理はあまりなく、人間ドラマ。当時のイケてる、カッコいい、とされるハードボイルド、今読むと登場人物みんな喧嘩腰ではある。さらにマーロウはまぁまぁめんどくさい。
良作とは思うけれど、令和に読むと、長い!長すぎる!という気がしました。
「長いお別れ」には元ネタがある、ということを知りました。
"To say goodbye is to die a little."
清水俊二訳
さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ
村上春樹訳
さよならを言うのは、少しだけ死ぬことだ
フランスの詩人エドモン・アロクールの詩
"Partir, c'est mourir un peu"(去ることは、少し死ぬことだ) -
Posted by ブクログ
ネタバレなんか複雑というより、散漫なプロットだな。だから高校のときに読んだ印象が薄いのかもしれない。よくわからんまま話が進んで、マーロウが最後にいきなりすべてのプロットをまとめ上げ、強引に解決してしまうのは、それこそいかにも推理小説的だという気がするけど。チャンドラーが批判していたそれまでの推理小説とはどう違うんだろう。こういうのはご都合主義とは言わないのか?
でも逆に言うと、この煩雑さがリアルだということなのかな。チャンドラーに影響されたといいながら、この部分を勘違いしてやたらプロットの散漫な小説を書く奴がいそう。そういう作家の小説は読みたくないな。
マロイの探していたヴェルマが、実はグレイルと結婚するためにマロイを売ったというのは、よくある話だけど並の小説ならこれでラストにもなりえる。けど彼女が自殺した理由をマーロウが推測するくだりがさすがチャンドラー。感傷的すぎるという気はするにしても泣けた。やっぱりこれは傑作。いわれているだけのことはある。
黒人ボロクソ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレこれはハードボイルドとしてだけではなく、推理小説としてもかなり優秀かも。犯人は、まあ誰をこの事件の犯人とするかはいろいろと問題があるにしても、結果的には怪しいやつがそのままなんだけど、被害者が入れ替わってるというオチはちょっとびっくり。これじゃあハードボイルドというよりも本格推理だよな。スカーフの使い方もうまかったし。
キングズリーが最後までいい人だったのが以外だった。フロムセットはそれほどいい女には思えないんだけど、マーロウはキングズリーに嫉妬しまくってるのが笑った。なんかこれまでの作品と人物の造形が違ってて新鮮だった気がする。デガーモはとことん嫌な奴だけど、それでも最後にいくらかの哀愁がただようのは、さすがチャンドラーというところか。
パーカーの「ユダの羊」みたいにガーッとくるものはないし、ウェットな部分もあまりないんだけど、じわじわといい感じ。ひょっとすると、これが個人的にはベスト・オブ・チャンドラーになるかも。チャンドラーに慣れただけかもしれないけど。
アルモア夫人、キングズリー夫人、ミルドレッド・ハビランド、クリス・レイバリー、デガーモと今回もいっぱい死んでます(^^;)。 -
Posted by ブクログ
昔、大型書店でバイトしていた頃、バカ売れしていたレイモンド・チャンドラー。読んでみたいと思っていた元祖ハードボイルドミステリーを初めて手に取った。
主人公のフィリップ・マーロウがカッコ良すぎ。極上のいい女も登場。ミステリーに引き込まれ面白くて一気読み。どんでん返しもあり、十分に楽しめた。
大金持ちの妻を撲殺したと言う友達を逃亡させる私立探偵のマーロウ。友達の無実を信じ続ける。次の依頼人は金髪の美しい女。アル中の人気作家である夫が行方不明で探して欲しい、と言う。そして、2つの事件が交差していく。
マーロウの癖が強い。ストーリーも粗削り。警察は殴りまくりの違法捜査するし、マーロウは隙だらけで普通は逮捕される事案。事件の結末も謎が残る。そして題名通り…長い。
でも良いんです。空気感が素晴らしいから。秒で別世界に連れて行かれる。マーロウと女達の描き方が美しい。オシャレな会話に痺れた。
有名なセリフを記しておこう。
「さよならをいうのはわずかのあいだ死ぬことだ」
「ギムレットにはまだ早すぎる」
本作から来てたのか。
いろいろな訳者が翻訳されている。今回は、オーソドックスな清水俊二訳を選んだが、読みにくさもあった。次は他の方の訳で読んでみよう。理解も感じ方も違うのだろうなぁ。 -
Posted by ブクログ
村上春樹訳
長編ミステリー読んだの初めてだけど楽しめました。
エピローグ難しかったけど読み応えあって私みたいにただただ読んでた身としては、なかなか言語化できないこの作品の魅力を伝えていた。
そして、フィリップマーロウが最高に魅力的なので他のシリーズも読んでみたいと思った。
ミステリーとして楽しむのはもちろんだけど、人間関係とか当時のアメリカの空気感、ジャンルの枠を超えて評価されるべき作品だとかんじた
あと、個人的に寝る時にみる夢で作品をみるとかなり没頭してると捉えてるんだけど、今回はそれでした。夢にでてきました。こういうオールドアメリカの世界観に弱い