清水俊二のレビュー一覧
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本書はレイモンドチャンドラーによる長編小説の二作目である。『大いなる眠り』を書き上げ、一定の地位を築き上げた著者による次回作ということで、野心的であった処女作以上に気合が入っていたであろうチャンドラーは、敬愛するダシールハメットに再度頼りつつも、その影響下から脱却しようと試行錯誤していたであろう点が随所で伺える。
まずフィリップマーロウの性格だ。前作において皮肉を交えつつも一定の静けさを保っていた彼は今作では本当によく喋る。しかもその発言の隅々にまで皮肉を張り巡らせている。必要以上に相手を煽り小馬鹿にするような発言が目立ち、口を開けば捻くれた言葉を吐くような次第でその本意がいまいちつかめない -
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本というものには読むタイミングが存在すると思う。
同じ本でも、読む人間に合う年齢、季節がそれぞれの読者で違う気がしている。
「長いお別れ」は、自宅にあったのでずっと昔に読んだことは確かだけど、全く内容を覚えていなかったので再読した。きっと以前に読んだ時はただ字を追っていただけで中身が入ってきていなかったのだと思う。読むタイミングが合っていなかったんだろうなぁ。
ほかの方の感想を読んでも、歳を重ねて読んだらよく読めたと書いている方が多くいるようだった。
今回再読して改めて、なんて渋くて面白い話なんだ…と思った。
マーロウの男っぷりといい、脇キャラも個性的で良い。ハンサムでお洒落でどことなく危険 -
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映画「あの頃 君を追いかけた」日本版の主演山田裕貴くんが齋藤飛鳥ちゃんの帰省を駅のホームで心待ちにしているときに、読んでた本ということで気になって手に取ってみました、理由が突飛。だけど、知らなかっただけでいわゆるハードボイルドものの超名作だったのね。
ハードボイルドってなんかキザで男臭い感じがして苦手意識あったけど、寧ろマーロウの何とも言えない皮肉屋なところとか、素直じゃないところとか、ダンディなところとかなんとも魅力的で一気に引き込まれました。漢の友情とは、上辺だけのなれあいんじゃないんだよ、じゃれあってなくても心で繋がっているんだベイベー、みたいな作品です。(個人的感想)
一方、ミステ -
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清水訳にしてよかったと思います、言い回しは年代もあってか古く小難しいですが慣れたらそれすら味があります…。粋な台詞や皮肉がずっしり効いていて素晴らしいです。マーロウの乾いた面とたまに滲む色気のバランスが素敵でした。何より私はロジャーがどうしようもなく愛しく感じてしまいました。それゆえにもう歯痒く悔しく切ない。その彼の家での出来事を読んでいる時、西加奈子さんの窓の魚を読んだ時に感じた歪みとどことなく似たものを感じました。これぞハードボイルドな重厚さがあるのですぐまた読みたいとはなりませんが、すこし忘れた頃にでも手に取りたいくらい好きです。
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大筋ではミステリだが
主人公フィリップ・マーロウの「ハードボイルド」を描くに多いに筆費やされる
ミステリに対し私立探偵というその立場は
現在なら「警察ものミステリ」に入るだろう名(超)探偵でない職場ものであるものの
「ハードボイルド」なので安易に仲間はいない
君の瞳に乾杯するのも至極慎重
そういうハードボイルドとはなんなのかといえば一般に「大人の男の格好付け」で
格好良いと老若男女をできるだけ問わず言ってもらえるかが価値高低
それは時代と文明とに関わりなく人間として普遍のものであるはずで
というのはハードボイルドは臨機応変格好良い理想なのだから
小説としてこれを描く手法は「青春小説」が好適
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チャンドラー長編2作目にして不朽の傑作。
私がこの作品と出逢ったことの最大の不幸は先に『長いお別れ』を読んでしまったことにある。もしあの頃の私がフィリップ・マーロウの人生の歩みに少しでも配慮しておけば、そんな愚行は起こさなかったに違いない。あれ以来、私は新しい作者の作品に着手する時は愚直なまでに原書刊行順に執着するようになった。
そんなわけでチャンドラー作品の中で「永遠の№2」が私の中で付せられるようになってしまったのだが、全編を覆うペシミズムはなんとも云いようがないほど胸に染みていく。上質のブランデーが1滴も無駄に出来ないように、本書もまた一言一句無駄に出来ない上質の文章だ。
マーロ -
Posted by ブクログ
やっぱり・・・何度読んでも、この作品を越えるハードボイルド作品はないでしょう!あまりにもベタだけど・・・あはは
ハードボイルド作品を読むと、どうしても探偵の原型はマーロウからきていわねーって思っちゃうんですよねぇ><
他のチャンドラー作品も、「長いお別れ」は別として、霞んでしまいますもんね。
それだけ私には本書が鮮烈だったわけなんです。ハメットもいいけど・・やっぱりチャンドラーかなぁ~。
なんといっても、主人公の私立探偵マーロウの人物像が魅力的すぎる。
これこそ男の鏡!みたいな考え方。決して幸せでも大金持ちでもない。でも彼の中には静寂があり、少しシニカルな物言いもなんだか全てが私にはヤバイの