山田克哉のレビュー一覧
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ロシア・ウクライナ戦争、イランの核施設への攻撃など、核兵器を巡るきな臭い報道が増加しています。”核兵器廃絶”を主張するとしても、まずはその”しくみ”を理解することで”なぜあのような凄まじい威力が発生するのか”、”通常の爆弾とは異なりなぜ放射線の被害が出るのか”を知ることができるように、本書は丁寧に執筆されています。
本書前半は核兵器の威力の根源となる”核分裂”について、科学者がどのように理解を進めて行ったのかを辿ります。原子核の構造(陽子、電子、中性子の発見など)、そして核分裂現象の発見などを数式などを全く使わず、出来るだけ平易に、かつ簡略化しすぎないように解説しています。
本書は新書で50 -
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世界史上唯一の原爆投下国である日本。
「妥当な判断だった」
「過剰な攻撃だった」
アメリカでも二分する原爆被害は、人道的な攻撃手段ではなかったと、少なくとも疑問視するだけの大量殺戮破壊兵器であることには、世界中が同意すると思います。
それゆえに、『抑止力』などという口実で、核を保有する国もある。そう言う国では、電気の供給が当然止まった時、勝手に爆発しない、発射しない制御を考えていない。ミサイルに搭載していない物については安全だろうけれども、原子力発電や発射台に入った物については、対処を考えていないとのこと。
小松左京の「復活の日」のように、核弾頭が勝手に発射する、メルトダウンを起こして臨 -
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ネタバレ最近、YouTubeでジェームスウェブの天体望遠鏡の写真や量子論の解説などを見て、天文学・物理学が凄いことになっているらしいな、と。でも全体像が今一つ見えてこない。そこで、評判のよいこの本を手に取った。
物理音痴の私にも想像以上に面白く読めたのは、著者が数式の意味するところを、日常的な表現やメタファーへと落とし込む、職人技とも言っていいような語り口を持っているからだ。物理学者がどうやって物を考えているのかという道筋がよく分かった。
ほうほう、なるほどなるほど、あー、それはすごい、なんと、そんな解釈もあるのか、などと感嘆しながら読み進めたのだが、自分の覚書を見直したら、単に分かったような気に -
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ネタバレニュートン力学、電磁気学、場の理論、エネルギーと続いて相対性理論、量子力学と流れていく物理学の解説書。アインシュタインの「物理学はいかに創られたか?」と同じようなコンセプトとストーリーの本だが、こちらのほうが断然分かりやすい。まあアインシュタインの本が書かれてから100年くらい経っているので、理論もこなれてきているだろうし、先達の解説書などもあるのだろうから、完成度が高くなっても当然か。それにしても、E=mc^2を軸に、この方程式の意味するところを持って現代物理学を読み解かせる著者の力量には感心した。理屈と理屈ではないところ(所謂、公理)を明確にしているところがよい。物理学というのは所詮頭の中
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ヒッグス機構とヒッグス場、ヒッグス粒子の違い、質量の起源などを真空を切り口に段階を追って丁寧に説明した本。量子力学を学んでいると本書の記述はより正確に理解できるだろうが、分からないとなんとなく煙に巻かれた感じになるかもしれない。
・場と仮想粒子
・場の振動と実粒子の発生
・現在の宇宙ではヒッグス粒子は存在しないが、ヒッグス場は存在する
・パートンと電子の衝突によって、1968年、クォークとグルーオンの実在が証明された。
・物質の割合
・電荷、色荷、弱荷、質量
・不確定性原理と仮想粒子。ゲージ場
・反粒子はマイナスエネルギー。相対性理論から。
・ゲージ粒子が質量をもつと対称性が破れる。
・アイ -
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やべー電気設計よく分からん、これは根本的な理解が不十分(そもそも電気って何だっけ状態)なせいだと思い手にとった一冊。
大事なことなので2回、と言わず3度4度繰り返すのでいらいらするかもしれないけれど馬鹿(僕)にはこれくらいでいいのかも。一番おぉぉぉと思ったのは相対論によるローレンツ力の説明。クーロン力なら根源的な力として受け入れられるけどローレンツ力って二次的な力のような気がして、「フレミングの左手の法則によりこの向きに力がはたらきます!」とか言われても納得できなかったので。まだ完全に納得できたわけではないけど、この本でかなりの部分がスッキリした。以下はメモ。
電気の源は電荷
電荷は電気力を -
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[ 内容 ]
不思議なことにニュートリノは左巻きスピンのものしか発見されない。
この世界と「鏡の中の世界」との対称性の破れに密接にからむ「弱い力」のなせるわざだ。
物理学者を悩ませ続けた「弱い相互作用」の複雑なしくみをわかりやすく解説する。
[ 目次 ]
第1章 神岡鉱山で何が起こったのか?
第2章 自然の力と放射能
第3章 ニュートリノは物理法則を救った
第4章 鏡の中の世界
第5章 素粒子の種類と保存則
第6章 はたして神は左利きか?
[ POP ]
[ おすすめ度 ]
☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度
☆☆☆☆☆☆☆ 文章
☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー
☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性
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Posted by ブクログ
ブルーバックスですが,量子力学をこれから学ぼうという人,学んでいる人にも読み応えのある一冊だと思います.ただ,エネルギーの概念などがさらっと出てくるので,まったく物理をさわったことのない人にはきついかもしれません.
量子力学に登場する式の意味するところやその解釈を,ほとんど式を使わずに丁寧に解説してくれています.特に不確定性原理のところはとてもわかりやすかったです.量子力学がつくりあげられてきた歴史についても随所で取り上げられていて,この式はどういう背景から生まれてきたのかということなどが知れて,頭の中で整理ができました.
純粋に量子力学をおもしろく感じさせてくれました.数式に立ち向かう勇