中屋敷均のレビュー一覧
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世界は科学的に説明できる部分もあるし、科学ではまだ説明できない部分もある。科学で説明できる範囲は限定されるし、それまで非科学的とみなされていた事象を科学的に説明できるようになった部分もある。
分子生物学者である著者は、科学と非科学の境界は絶えず、行きつ戻りつするのだと言う。それは、科学的知見は常に検証、修正が行われ、より確からしい理論へと改善されていくと言うことだ。しかし、それが即ち、科学は日々アップデートされ、世界をより正確に説明するようになってきているかと言うと、そう単純でもない。
「科学的」だとか「非科学的」だという表現は一般的に使われている。いわゆる「科学的」とされるものは客観的に -
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中屋敷均(1964年~)は、神戸大学大学院教授で、植物・菌類ウイルス研究を専門とする分子生物学者。
本書は、講談社のPR誌「本」に2018年1~12月に連載された「科学と非科学~その間にあるもの」をもとに、再構成・加筆修正されたもの。
内容は、著者によれば、学術書では書くことが難しい、「科学と非科学のはざま、言うならば、「光」と「闇」の間にある、様々な「薄闇」に焦点を当て」て、著書の思いをエッセイ風に綴ったものである。
第一部では、「科学的」とは何なのか? 「科学」が立っている基盤とはどういうものか? 現代社会において「科学」に求められていることは何なのか? 「科学」に100%の信頼性を求める -
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『ウイルスは生きている』からの流れでもう1冊読んでみました。科学史や最新学説の解説ではなくしばしばやや哲学的に「生命とは何なのか」「生命に特徴的なこととは何か」を考えることが本書のテーマです。
読んでいて印象に残ったのは2点。まず1点目は「化学進化説」を前提とし、無機物と有機物、ウイルスと細胞を持つ生物、「独立」して生きる生物とそうでないものとの間に、本質的な線引きなど不可能であること、また「進化」というのが能動的な過程などではなく「淘汰」と「偶然」の積み重ねによる結果論でしかないことを強調する筆者にとっても、生命の「進化」の過程の記述は目的論的なものとならざるをえないことです。「生命」を論 -
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これまでウイルスと生物の間には様々な二項対立的境界が引かれてきた。エネルギー代謝を行うか否か、独立した自己複製能や進化能を有するか否か…。本書は様々な事例を挙げながら、これらの分類の科学的根拠が極めて怪しいことを指摘してゆく。紹介されているウイルスや他の生物の振る舞いは意外性に満ち、これまで一般的とされてきた生物観がいかに特定の価値観に縛られていたかを驚きを持って知らしめてくれる。またそれにも増して、生物学的な意味での「自己」と「外部環境=他者」の境界のあやふやさについても興味深い示唆が得られるのが本書の醍醐味。ウイルスについて考えることは、「自分とは何か」について考えることでもあるのだ。なお
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一定の専門性を確保しつつ、明確なモチーフ(有用情報の漸進的蓄積。保存と変化)を下敷きに、一書がものされている。とりわけ最後のDNAから文明論にいたる考察は深い。
生命の起源に関する記述はよくあるもので、かつ少なめ。
・単純な競争で考えると無性生殖のほうが有利である場合が圧倒的に多い。
・有性生殖による全ゲノムのシャッフリングは、組み合わせによる多様性の創出であり、それ自体には遺伝子の突然変異を必要としないため、例外的なものを除けば、致死性は生じない。
・より広く考えれば、「生命」という現象にとっては、個体とは何か、個体の独立とは何か、あるいは種とは何か、もっと言えば種が絶滅したのか存続して -
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「生命」の持つ根源的なシステムについて、分子生物学の最先端の知見を踏まえて考察している。
著者はまず、生命と非生命の境界について、細胞内小器官(葉緑体、ミトコンドリア等)、細胞内共生細菌、巨大ウイルス等を例に、細胞膜の有無、他の生物への依存関係の有無、ゲノムサイズ・遺伝子数等の観点から考察し、「そこになんらかの明確な区切りを引くことはきわめて困難である」が、これらの例の「「生き様」は、所謂、ある「一つの現象」が多様な環境に適応して姿を変えているだけに過ぎない」と述べる。
そして、「一つの現象」の本質とは、「自分と同じものを作ること(=情報の保存)」と「自分と違うものを作ること(=情報の変革)」 -
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2025年中学入試最多出題とのこと。
入試の国語の長文問題が大好きだったので、ぜひ読んでみたいと思って手に取りました。
タイトルになっている「わからない世界」とどう向き合えばいいのかが著者の経験をまじえ分かりやすく書かれています。
人生は不確かな事象に溢れています。地震などの災害を予測することは困難ですし、どこに就職したらいいのか、誰と結婚したらいいのか…など人生に正解はありません。
著者は「絶対に正しい選択など誰にもできない。私たちにできることは、ベストの選択をすることではなく、自分の選択をベストにするように生きていくだけです」といいます。
そして、自分の選択をベストにするためにコツコツと -
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2025年に中学入試国語出題数No.1作品だそうです。
確かに国語の問題で出そうな感じの内容の本です。
他の方も感想に書かれていたのですが、政治的にちょっと強いところがあり、中高生にこれを純粋におすすめするのはどうかと個人的に思う部分もありました。
落ちてくる卵焼き(p159)の箇所が印象的。
「目先の損得や状況の変化に惑わされず、ずっと揺るがず心に持ち続けること。そして絶えずそれに向けた努力を続けること。そうして「卵焼き」が落ちてくるのを待ち続けること。それが「信じる」という行為なのだと思っている。」
卵焼きが落ちてくるって、なんだろうって、読んでいない人は思うかもしれませんが、チャンスがく -
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無謀じゃダメだし、臆病でもいけない!
消えない不安の中で、自分を見失わないために、大切なことを届けたい。(紹介文より)
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農学博士である筆者が、科学/非科学の二項対立に陥ることなく人生や社会について書いているエッセイ。
文学の引用があったり、遺伝子の話があったり、ご自身の想い出があったり、エッセイと言いつつも随所に知識が詰め込まれた不思議な読後感。
すぐに正解を求めたり、効率重視を良しとする世の中に、やんわり警鐘を鳴らしている。バランスと余裕を持って世の中を見つめている内容。
・「自分で選ぶ」大切さ
・世界は本当はとても複雑、効率がすべてではない
・「他人の