中屋敷均のレビュー一覧

  • 生命のからくり

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    それなりに高度な内容だが文章が読みやすい。DNAやウィルスといった、なんとなくわかったつもりになっているけど、じつはよくわかっていないものを説明してくれる名著。

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    2016年11月13日
  • ウイルスは生きている

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    ウィルスは結晶化もするが、寄生主の環境を使って自己生産も出来るし、進化もできる「生物」である。

    生物のあり方は非常に幅広く、共棲や寄生、環境依存まで含めれば個体という定義すらあいまいとなる。
    昨今流行りの腸内環境を見れば、体内に寄生する微生物のDNAは寄生主の人体が持つDNAよりも多いし、細胞内に寄生するミトコンドリアがなければ生体活動が成り立たないのだから。

    奥深い内容が興味深く、かつ簡潔にまとめられている良書である。

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    2016年10月14日
  • ウイルスは生きている

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    ウイルスは生物ではないと言われるが、本書では、ウイルスの構造や特徴を紹介するとともに、生物とは何か、ウイルスを生物と定義することの可能性など、生物の要件といった問題に説明を広げている。
    著者が主張するように、生物と生物もどきとの境界は曖昧で、これという「生物」の必須要素はなさそうだし、仮に境界線を引いてみても、それをまたいでしまうようなものの発見は今後も続くかもしれない。

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    2016年07月05日
  • ウイルスは生きている

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    これまでウイルスと生物の間には様々な二項対立的境界が引かれてきた。エネルギー代謝を行うか否か、独立した自己複製能や進化能を有するか否か…。本書は様々な事例を挙げながら、これらの分類の科学的根拠が極めて怪しいことを指摘してゆく。紹介されているウイルスや他の生物の振る舞いは意外性に満ち、これまで一般的とされてきた生物観がいかに特定の価値観に縛られていたかを驚きを持って知らしめてくれる。またそれにも増して、生物学的な意味での「自己」と「外部環境=他者」の境界のあやふやさについても興味深い示唆が得られるのが本書の醍醐味。ウイルスについて考えることは、「自分とは何か」について考えることでもあるのだ。なお

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    2016年06月04日
  • ウイルスは生きている

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    ネタバレ

    恐ろしい病気の元と思っていたが、こおん本を読むと昔から生物はウイルスと共生してきたらしい。人間もウイルスによって進化したという。現在も体内にウイルスは住んでいて生命活動の手助けをしている。もちろん、人を殺すウイルスもいるがそれは絶対数からいうと少ない。
    ウイルスという漠然として持っていた概念を崩す一冊だ。

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    2016年05月10日
  • 生命のからくり

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    一定の専門性を確保しつつ、明確なモチーフ(有用情報の漸進的蓄積。保存と変化)を下敷きに、一書がものされている。とりわけ最後のDNAから文明論にいたる考察は深い。

    生命の起源に関する記述はよくあるもので、かつ少なめ。

    ・単純な競争で考えると無性生殖のほうが有利である場合が圧倒的に多い。
    ・有性生殖による全ゲノムのシャッフリングは、組み合わせによる多様性の創出であり、それ自体には遺伝子の突然変異を必要としないため、例外的なものを除けば、致死性は生じない。
    ・より広く考えれば、「生命」という現象にとっては、個体とは何か、個体の独立とは何か、あるいは種とは何か、もっと言えば種が絶滅したのか存続して

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    2016年03月10日
  • 生命のからくり

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    「生命」の持つ根源的なシステムについて、分子生物学の最先端の知見を踏まえて考察している。
    著者はまず、生命と非生命の境界について、細胞内小器官(葉緑体、ミトコンドリア等)、細胞内共生細菌、巨大ウイルス等を例に、細胞膜の有無、他の生物への依存関係の有無、ゲノムサイズ・遺伝子数等の観点から考察し、「そこになんらかの明確な区切りを引くことはきわめて困難である」が、これらの例の「「生き様」は、所謂、ある「一つの現象」が多様な環境に適応して姿を変えているだけに過ぎない」と述べる。
    そして、「一つの現象」の本質とは、「自分と同じものを作ること(=情報の保存)」と「自分と違うものを作ること(=情報の変革)」

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    2016年01月11日
  • 生命のからくり

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    生物進化以前の化学進化が始まった原始の地球から現在の極まで、姿かたちを変えながらも心臓の鼓動のように、時を超えて生命の営みを動かし続けてきた動作原理は、生命の三つ「自分と同じものを作る」という性質と「自分と違うものを作る」という性質、その相克と葛藤が織りなすリズムである。そのような著者の生命観を科学的な知見に基づき述べられた著作。
    この動作原理に基づき、無機質な分子から生命が生まれ、人類にまで進化していった原理を考察し、さらには「情報の蓄積システム」という意味では文字情報を基本とした人間による文明も同じ原理に基づき発展してきたと解く。

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    2014年10月19日
  • わからない世界と向き合うために

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    生物の世界を引き合いに出しながら、この世の行く末を案じていた。
    いつ来るかわからないチャンスをつかむために、日頃から準備をしておくことが大事だというところが心に残った。
    私が学校で習った時の生物の知識からは、随分と進んだ新しい見識が得られて、良かった。

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    2025年09月10日
  • わからない世界と向き合うために

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    無謀じゃダメだし、臆病でもいけない!
    消えない不安の中で、自分を見失わないために、大切なことを届けたい。(紹介文より)
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    農学博士である筆者が、科学/非科学の二項対立に陥ることなく人生や社会について書いているエッセイ。
    文学の引用があったり、遺伝子の話があったり、ご自身の想い出があったり、エッセイと言いつつも随所に知識が詰め込まれた不思議な読後感。
    すぐに正解を求めたり、効率重視を良しとする世の中に、やんわり警鐘を鳴らしている。バランスと余裕を持って世の中を見つめている内容。

    ・「自分で選ぶ」大切さ
    ・世界は本当はとても複雑、効率がすべてではない
    ・「他人の

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    2025年04月13日
  • わからない世界と向き合うために

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    先のことは本当にわからない。でもその見えない闇のようなものと向き合うことに、生きていく意味が、本当はあるのかもしれない。そんなことも思うのです。(「はじめに」より)
    日本人のDNAはどこにルーツがあるのか?現代の日本人のあり方考え方に著者が自身の思い出を絡めて疑問を投げかけている。

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    2025年01月16日
  • わからない世界と向き合うために

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    大学で指導する学生に勧められる本じゃないかなぁと思って買ってみた。
    3章はエッセイっぽい。
    1,2章は学生に「考えさせる」という意味では有益そう。

    OECDの調査で、
    「批判的に考える必要がある課題を与える」、また「明らかな解決法が存在しない課題を提示する」といった、自力で考えるための教育が日本ではほとんど行われていない
    そう。

    「教える側が想定している「正解」に早くたどり着く能力をつけさせる」ことだけが教育ではないよなぁと、一応教鞭をとっているものとしては思う次第。

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    2024年03月28日
  • 遺伝子とは何か? 現代生命科学の新たな謎

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    ヒポクラテスからはじまる生殖と遺伝の研究の歴史を振り返ることができて大変興味深かった。初学者にとっては途中分からない用語が多数出てくるが、それらを知らなくても読み進めることは可能で、大きな流れを簡潔に理解できる。用語を調べつつ、細部の理解を深めながら再度読み返したい。

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    2023年05月31日
  • ウイルスは生きている

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    ウイルスが生物の進化にかなり関わっているというむちゃくちゃ興味深い事実

    腸内細菌も人にとって重要であることはよく知られてるけど、ウイルスは細菌に感染して細菌のDNAを変えているなんて知らんかった

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    2023年02月19日
  • 科学と非科学 その正体を探る

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    面白い所もある。
    本書を読んで、この読後感はなんだろうかと考えていたが、非常に似たモノを思いついた。ブログである。
    それぞれの項はそれなりに興味のひく内容から、退屈で斜め読みした部分もあった。しかしそれらの内容はタイトルとは連携してはいるが、最終的に筆者の伝えたい事が全体として真を捉えているかというとそんな事はない。
    冒頭の項ではある程度のまとまった形となっていたが、途中からは編集者も読んでいないのかもしれない。
    より深い推敲を加えた筆者の本が読みたい。

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    2021年10月24日
  • ウイルスは生きている

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    新型コロナウィルスの感染騒ぎにつられて本書を読んだ。
    肝心なウィルスの説明はなかなか難解だが、ウィルスとは何か、細菌との違いは何かが分かった気がする。特に私には序章と終章が大変味わい深かった。「ヒトとしての生」と「人としての生」なるほど。

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    2020年03月23日
  • 科学と非科学 その正体を探る

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    filerの紹介で興味持ち購入。
    後半、大学の研究に柔軟性が無くなることが、科学的な発想に影響を与えるという問題提起が一理あると思う一方、終盤の話など若干科学から外れるところもあり、何とも不思議な印象を残して読み終えた。あとがきでエッセイ的な本を書く…ということが書いてあり、ちょっと納得した。
    本書の内容からはズレるかもしれないが、原発への考えの具体的なところをもう少し聞きたいと思った。

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    2019年12月03日
  • 科学と非科学 その正体を探る

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    ・科学は科学的でも、それを使う人間によって非科学となる。
    ・人間は「有限」の試行回数で、世界を理解するために生み出した知恵が「科学的」と呼ばれている手法。その網からもれてしまうリスクが常に存在する。
    ・自分の分野について何でも知っているという顔をする専門家は信用するに足らない。どこまでが分かっていて、どこからかは分かっていないことなのか、きちんと説明できるのが本当の専門家。

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    2020年01月19日
  • 科学と非科学 その正体を探る

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    科学的な「姿勢」と現代科学の限界について。複雑性を扱う新たな学問を学ぶ人は読むといいかも。前半は得るものが多かったが、後半部分は著者の思想が多分に含まれているので、肩の力を抜いてエッセイとして読むのが良い。

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    2019年08月15日
  • ウイルスは生きている

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    ●ウイルスが、人間をはじめとした様々な生物を進化させてきたのだといった話は、それほど突飛なことではないのだと感じた。

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    2018年11月01日