中屋敷均のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
18ページにある Control your own destiny, or someone else will (自ら選ばない者は、他人に支配される)は至言だと感じた.Y染色体が男児から男児へ伝わること、日本では縄文人が住み着き、その後弥生人が来たことが染色体の解析で分かることは面白かった.現代社会が、異論に対して狭量になっているとの指摘はその通りだと思う.経済的合理性を錦の御旗にして、格差を作り、敗者を顧みない社会になってきたことへの警鐘も重要な視点だ.原生生物から進化が始まったという話、別の先生から仕入れた知識ではLUCA(Last Universal Common Ancestor)のこ
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Posted by ブクログ
科学と非科学 その正体を探る
著:中屋敷 均
講談社現代新書
おもしろかった。
科学とは、確定しているものではなく、生命とおなじように生きているという考えには納得でした。
ノーベル生理学賞を受賞したバーバラ・マクリントックの動く遺伝子の話がでてくる
「科学的に正しければ、理解され受け入れられる」
という科学の基盤をなす了承事項は、そんなに単純なものではないことを告げている
彼女は何十年も時代を先取りをしていたが故に、その内容をだれもが理解できずに、無視をされることとなる
本書は、このエピソードが告げる、科学的真実とは何か、という問いを投げかけているのである
気になったのは、以下です
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Posted by ブクログ
私は生粋の文系人間で、理数系の書籍はことごとく避けてきたが、生命の起源とか原理に興味が湧いたので覚悟を決めて本書を手に取ってみた。
本書の趣旨はシンプルで、生命の設計図に当たるDNAは自己情報の保存と変革の相反する性質を内包しており、それゆえ弁証法的に生物が今日の姿まで発展してきたというものである。後半では人間の文明の発展も同様で、過去の偉人の知見を元に各時代の天才達が新しい1ページを書き足して来た歴史に触れている。
生命の起源については軽く触れられているのみだが、最新の有力な説としては、海底の熱水噴出孔から始まったのでは無いかということだ。なお、核戦争が起きて地上の生物が全滅しても、まだ -
Posted by ブクログ
遺伝学の歴史と、そのたびごとに遺伝子の理解がどのように更新されたのかが概観されてゆく。分子生物学の本でなんでこの記述スタイル?と訝って読んでいたが、DNA、mRNA、tRNA、タンパク質のセントラルドグマというお馴染みの図式が説明されたところからが本番。
セントラルドグマ以外にもほかのRNAやら酵素やらが形質遺伝に関わるだとか、ラマルキズムとして片付けられていたはずの獲得形質の遺伝もDNAメチル化によって説明づけられる可能性があるだとか、とにかく遺伝機構(つまりは遺伝子なるもの)の複雑な様相が明らかになっている、らしい。
シュレーディンガー『生命とは何か』をメルクマールに、物理法則をベースに -
Posted by ブクログ
専門的でありながら具体例が非常に分かりやすくて良い本。
自分が大学生の頃に読みたかった。
生物系の大学生、院生にぜひ読んで欲しい。
加えて話題のコロナウイルスについても
敵を知らず騒ぐのではなくまずは知ることも大切。
本書を読んで最も衝撃を受けたこと。
ウイルスは敵じゃないということ。
むしろ生物、そしてヒトの進化にも大きな影響を及ぼしている。
以下の具体例が特に素晴らしいと思った。
細胞は部屋、細胞膜が壁、タンパク質を作るリボソームは3Dプリンター、そして住人はDNA。
なんともわかりやすい。
守られた快適な部屋に住んで好きなもの作り放題の3Dプリンターを持ったDNAに対してウイルス -
Posted by ブクログ
細胞をもたない単純な姿のため非生物とされがちなウイルス。しかし「細胞」をもつとは言い難い共生細菌や遺伝子数が千を超える巨大ウイルスの発見で境界はぐらついてるとか。
ウイルスとは何か,生命とは何かを問いかけるために提出された極めて重要な概念を「丸刈りのパラドックス」と呼んだり,なかなか親しみやすく書かれてる。なぜ「禿頭のパラドックス」にしなかったのかがちょっとだけ気になるけど(笑)
“「ある中学生の髪がどこまで伸びたら丸刈りでなくなるのか」という問題を、本書では「丸刈りのパラドックス」と呼ぶことにする”p.56
タンパク質を作るリボソームを高性能3Dプリンターに喩えたり,導入部分での比喩も分か