中屋敷均のレビュー一覧
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Posted by ブクログ
専門的でありながら具体例が非常に分かりやすくて良い本。
自分が大学生の頃に読みたかった。
生物系の大学生、院生にぜひ読んで欲しい。
加えて話題のコロナウイルスについても
敵を知らず騒ぐのではなくまずは知ることも大切。
本書を読んで最も衝撃を受けたこと。
ウイルスは敵じゃないということ。
むしろ生物、そしてヒトの進化にも大きな影響を及ぼしている。
以下の具体例が特に素晴らしいと思った。
細胞は部屋、細胞膜が壁、タンパク質を作るリボソームは3Dプリンター、そして住人はDNA。
なんともわかりやすい。
守られた快適な部屋に住んで好きなもの作り放題の3Dプリンターを持ったDNAに対してウイルスはレインコートだけをまとった家なき子。
自己複製ができないから寄生して生きていくしかない。宿主を殺したら自分も死ぬ。
今回のコロナウイルスのように危険なウイルスというのは宿主との関係性がわからずに大暴れしている状態。
感染しても無症状の人がたくさんいるのはむしろウイルスとして正しい状態ということ。
むしろヘルペスウイルスなんかは人を守る働きまでしている。
また、インフルやコロナは手洗いの効果がある理由はエンベロープに包まれているからというのも初めて知った。脂質膜だから石鹸で溶ける。
つまり石鹸で洗わないと水でいくら洗っても意味がない。
ノロウイルスはエンベロープを持たないから手を洗っても意味がない。
へー!と思うことがたくさんで面白かった。
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Posted by ブクログ
細胞をもたない単純な姿のため非生物とされがちなウイルス。しかし「細胞」をもつとは言い難い共生細菌や遺伝子数が千を超える巨大ウイルスの発見で境界はぐらついてるとか。
ウイルスとは何か,生命とは何かを問いかけるために提出された極めて重要な概念を「丸刈りのパラドックス」と呼んだり,なかなか親しみやすく書かれてる。なぜ「禿頭のパラドックス」にしなかったのかがちょっとだけ気になるけど(笑)
“「ある中学生の髪がどこまで伸びたら丸刈りでなくなるのか」という問題を、本書では「丸刈りのパラドックス」と呼ぶことにする”p.56
タンパク質を作るリボソームを高性能3Dプリンターに喩えたり,導入部分での比喩も分かりやすくて親切。
そして部屋(細胞膜)の住人(DNA)は分身の術を会得していて,部屋にあるすべてのものの設計図も記憶している。この住人は分身の術を使うたびに部屋を2倍の大きさにして,二部屋に区切る。
ウイルスは部屋も家財も持たない家なき子。
不憫であるが実は逞しく,他人が住む部屋に侵入すると,自らの分身の術と設計図と,その部屋にある3Dプリンターを駆使してどんどん増えていき,あっという間に乗っ取ってしまう。
最終的には作ったレインコートを羽織って部屋を壊して出ていく。
スタンリーらによるTMVの結晶化の発見に絡めて問いかけられたテーマ,
“ウイルスは純化するとただのタンパク質と核酸という分子になってしまう。しかし一方、生きた宿主の細胞に入るとあたかも生命体のように増殖し、進化する存在となる。…どちらにウイルスの本当の顔があるのか…本書の底流となるテーマでもある”p.50
最後のあたりの力説で,著者なりの結論となってるんだけど,読んでて「ウイルスは生きてる,なるほど!」と感化されてしまった。いろんな境界生物がいるんだなあ。世界は奥が深い。 -
Posted by ブクログ
ありきたりな表現で恐縮ですが、非常に興味深いものでした。生命は美しい、今、起きている様々な苦難も、驚くべきことも、ノイズのように見えることも、すべては生命の大きなリズムと流れの中にある。そういうことを思い浮かべました。
核酸に内包された情報の保存と情報の変革のサイクルが機能し始めた時、「情報の蓄積システム」が地球上に現れ、それが「生命という現象」であり、最初の情報革命であった、そして、地球上の生物のうち、人類が文字情報を獲得し、保存と変革のサイクルを手中にしたとき、第2の情報革命が起きたとする本書は、人類の文明の歴史の中に、生命、DNAが刻むリズムに由来する何かを見てとります。本書が解き明かしていくDNAの二重らせん、陰と陽のリズム、「逸脱」「非調和」の織りなす生命のありようは、この宇宙の本質に想いを馳せさせてくれます。いい本でした。 -
Posted by ブクログ
難しかった。第一話の「怒れる大神」と第八話「水に向かうカマキリ」だけはどうにか読めた。
リーダー格の狼は「トキソプラズマ原虫」に感染していることがアメリカで分かった。感染すると、リスクを恐れない大胆な行動をとるようになり、性欲も強くなるらしい。ヒトに感染した場合、重篤な症状になることがあるらしいが、ドーパミンやテストステロンが増加し、リスクのある積極的行動をとる傾向になるとか。
寄生したハリガネムシがカマキリを水辺に誘導し、そこでカマキリの何倍もあるハリガネムシがお腹を食い破るようにしてハリガネムシが脱出する。その後、カマキリは死んでしまう。寄生虫が脳内操作をする。まるで映画のエイリアンだ。
この本で描かれているのは、生命の姿というものは、複合体としての存在しているということだ。 -
Posted by ブクログ
ネタバレ科学が発達した21世紀においても、解明できないこと、思いもよらないことが起こる。
生物学者の著者が、若い世代のに向けて
予期せぬことが起こる、消えない不安の中で自分を見失わないための大切なことを、
自身の経験や、生物学的視点から書かれた一冊。
最後の、著者が小学生の時の友達のこと、
「楽しい時間は一瞬で過ぎ去る」の一節で不意に泣いてしまった。
全体としては、次から次へと議題がふわっと出て来て、淡々と持論を述べていく印象なのですが、最後の章だけ何となく感傷的。
経済のところはトランプ政権のことも思い起こされ、必ずしも賛同しきれないところもありつつ。