リチャード・ドーキンスのレビュー一覧
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それなりにエンジョイした。上質な大人の絵本。
日本語的な飛翔の全史(学術的な)を期待していると、ガッカリすると思われる。原題のFlight of fancyはよく使う言い回しで、空想の世界に飛び立つような、脳内思考トリップ的なやつとか、想像の産物ていうのか、まあ、脳の中の話みたいな印象を受ける言い回し。今をときめくドーキンス博士が人工的なものから進化で得た能力やら、ありとあらゆる方法での、重力から解き放たれる事について、つらつらと考えているのを、横から見させてもらう感じの書籍。それこそ、実際に飛ぶ/滑空する/跳躍する全ての生き物、主に鳥類、哺乳類、爬虫類から昆虫、空中プランクトン、絶滅済みの生き物、なんらかの外付けのブツをもってなんとか重力の埒外に行こうとする人間。グライダーやパラシュート関係やら、昔オリンピックの開会式でプシューって飛んでたやつとか、飛行機から無重力など、様々な人工的な物やら、昔話や伝説や物語に出てくる架空の飛ぶ生き物、飛べるわけがない架空の飛行機材。まさに、地面から離れるというキーワードでつらつらと考えたことが書かれていて、文字は少ないが挿絵が効果的で美しく、非常にエンジョイできた。ところどころ、変な直訳みたいなのがあって、読みづらいと思ったら、最近読んだダイダロス博士のあの本の訳者と同じだった。となると、これはこういうスタイルの”敢えて直訳”なのかも?まあ、平安時代の和歌なんかは掛け言葉が多いので英語に訳すとくそほど長くなったりするので割愛、というようなのと似たような作用なのか?まあ、どんな素晴らしい書き手でも、合う合わんってあるのだが、あれかもしれない。そう、個人的に合わない訳、ということで、これはオリジナルのほうを入手します(あくまでの個人的な感想です)
FLIGHTS OF FANCY
Defying Gravity by Design & Evolution
by Richard Dawkins ©️2021
illustrated by Jana Lenzová. -
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神様はいないんだよってことを論理的、科学的に説明した本。
日本ではあまり感じないし、自分自身もキリスト教信者じゃないので、人間含めこの世は神様が作ったんだとか、聖書は事実とかピンときてないんだけど、世界にはそう信じてる人もなかなかの数いて、ドーキンスがこの本含め、神様はいないだろって言いたくなる気持ちはわかる。信じるのはいいんだけど、他の人の生活に干渉するのはまずいと思うから。
んでもってこの本は、解説でも書いてあったけど、どうやらティーンエイジャーが対象で、「神は妄想である」の入門編らしく。言われれば口調とかそんな感じだなと思った。私は科学がめっちゃ苦手で、後半のDNAだのなんだのの話になったところは飛ばし読み気味になってしまったけど、前半は興味深く読みました。
みんなが住みやすくお互いを思いやれる世界になるといいな。 -
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リチャード・ドーキンス(1941年~)は、英国の進化生物学者・動物行動学者。一般向けの著作を多数発表しており、存命の進化生物学者として、最も知名度の高い一人。
1991年発表の『The Selfish Gene(利己的な遺伝子)』で、「生物は遺伝子によって利用される"乗り物"に過ぎない」という比喩的表現を使って、「自然選択の実質的な単位が遺伝子である」とする遺伝子中心視点を提唱したダーウィニストであり、科学的合理主義の推進者である。また、科学的合理主義の推進者であることと表裏一体ともいえる、徹底した無神論者・反宗教主義者であり、科学的精神の普遍性と反宗教を説く啓蒙書として2006年に出版された『神は妄想である』は、30を超える言語に翻訳され、最も有名な一冊となっている。
本書は、『Outgrowing God:A Beginner‘s Guide』、即ち、「神を卒業するためのビギナーズガイド」の全訳として2020年に出版された『さらば、神よ』を、改題の上、文庫化したもので、上記の『神は妄想である』のコンセプトを、世界の将来を担う若者向けに書いたものとも言える。
ドーキンスが、無神論者・反宗教主義者の立場からの発信を強め、宗教との対決姿勢を明白にするようになったのは、2001年3月11日の米国同時多発テロがきっかけだというが、それは、人の心を救うはずの宗教が、怒りと憎しみを煽り、多くの人の命を奪うテロや戦争を引き起こすことに気付き、「宗教は有害である」という結論に達したからである。それまでも、科学的合理主義と反宗教は同一線上にあったが、3.11により立ち位置が変わったのだ。
本書では、第1部「さらば、神よ」で、神を信じるべき理由の正当性を徹底的に覆し、第2部「進化とその先」で、生きものの複雑さや美しさをつくり出した自然の仕組みを明かしているが、第2部の進化論に関する研究・解説については、『進化とは何か』(ファラデーが1825年に英国王立研究所で始め、その後も毎年行われている“クリスマス・レクチャー”において、ドーキンスが1991年から5回に亘って行った内容を編集したもので、2016年、日本語版文庫化)に、平易かつ興味深く書かれている。
私も基本的に、この世界(宇宙を含む)のあらゆる事象は科学的に説明し得ると考える(現在は超常現象と言われる現象が仮に実在したとしても、いずれそれは科学的に解明される)科学的合理主義者であり、本書の内容に得心するが、何より重要なのは、科学的合理主義が導く無神論(特に、扇動的な一神教に対する)が、世界の平和に大きく貢献するということであり(世界の争いの全てが宗教に起因するわけではなく、様々な面での格差の是正も大事なことであるが)、その意味において、ドーキンスのスタンス・主張に強く共感を覚えるのである。 -
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文系脳の私でも読めた科学の本であり、この世界や生き物をできるだけ理解しようと、前向きになれる一冊。
この本は、リチャード・ドーキンスが91年に行った子どもたち向けの「進化」についての講義を書籍化したもの。子どもたち向けなので、難しい数式とか図とかは一切出てこないし、わかりやすい例えや図で文系脳の私でも苦なく読めた。
読んでいると、自分という存在を俯瞰しすぎて不思議な感覚に陥る。
太陽系が終焉するといわれる2億世紀の中のいち部分を生きている自分、デザインされたように見えるけど、進化の結果として生まれた自分、共通のDNAをもつすべての生命の中の一種としての自分。スケールの大きさにも気が遠くなるが、そんな世界を解き明かせる科学の力に驚かされる。
そして、科学は、世界や生物に対しての素晴らしさを教えてくれる。進化を経た今を生きていることの貴重さと一緒に、何か温かい気持ちになる。
古賀史健さんの書く人の教科書を読んでから、「一冊の本を読むように世界を読む」ことを意識しているが、それを更に後押ししてくれるような本だった。 -
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本書は、すでにどこかで発表されたリチャード・ドーキンスの文章を集めて編集して一つの書籍にまとめたものである。その材料には、科学解説、社会批評などの他に、知人の著書の序文や弔辞なども含まれる。イギリスのEU離脱を決めた国民投票やトランプを選んだ米大統領選の結果などにも皮肉を利かせた、ある意味翻訳を通すとわかりにくい類の文章まで集められている。
回りくどいものあったり、背景の理解が必要なものがあったりと、なかなかすっと楽しめなかった、というのが読後の感想である。
アインシュタインは「私はとても敬虔な無信仰者である - これはちょっと新しい種類の宗教だ」と言ったという。
もちろん、これはドーキンスが反対する類の宗教ではない。本書に取り上げられたエッセイにおいても、反宗教の立場を鮮明にしているものも多い。
そのため、本書において、ドーキンスは、宗教がなくとも、道徳や信頼関係を築くことができると主張しようとしているように感じる。
ユヴァル・ノア・ハラリが『ホモ・デウス』において、「リチャード・ドーキンスやスティーブン・ピンカーら、新しい科学的世界観の擁護者たちでさえ、自由主義を放棄することを拒んでいる。彼らは自己と意志の自由の解体のために学識に満ちた文章を何百ページ文も捧げた後で、息を呑むような百八十度方向転換の知的宙返りを見せ、奇跡のように十八世紀に逆戻りして着地する」と評したが、本書からもその気が少しする。非科学的宗教観やポピュリズムと戦うためではあるが、こういった一般向けのエッセイやスピーチとなると、ある意味では相手の土俵に乗せられて勝負を仕掛けているように思う。ドーキンスは、いわゆる人間主義的発想から自由ではないように思えるが、それは反宗教としての立場としても正しいものなのかどうか考えてしまう。
ドーキンスは、「私たちの脳は、目標と目的を設定する能力を与えられています。もともとその目標は、厳密に遺伝子存続のためでした」と書くが、まるで遺伝子に目標があるかのような誤解を与える書き方をしている。さらに続けて、「私たちの脳のような大きな脳は、すでに述べたように、構成要素である自然淘汰された遺伝子の命令に積極的に逆らえます」と書いている。そして少し先の結語として、「利己的な遺伝子の観点からすると、私たちの脳は創発特性によって別の方向へ走ったのであり、私の個人的価値体系はこのことをとても明るい兆しと見なしています」とする。倫理的空白おいて宗教が必要なのではないかとする相手への反論のためなのだが、倫理的空白にこそ黙して耐えなければならないのではと思うのだが、それはこの審級においては間違いなのだろうか。
ドーキンスがここまで宗教に対して強く当たる理由は、進化論こそが宗教との間での論争の元になっているということである。そして、その肝が実は宗教を信じる側においても、その科学的知見と矛盾するというものではなく、宗教こそが道徳的な生活の根拠になるべきであり、進化論を真として認めて、聖書の誤りを認めることが宗教を支えてきた何かを棄損することになることを恐れてのものなのであろう。ドーキンスもまたそのことを知っている。
ドーキンスはダーウィンを持ち上げて、このように語る。
「ダーウィンの自然淘汰による進化説は、地球上の生命の存在と形態を説明する局所理論にとどまらない。おそらく、私たちが生命と結びつける現象を適切に説明できる唯一の理論だろう」
宗教については以下の通りだ。
「宗教的信念は合理的でない。宗教的信念はばかだ。ただのばかでなく、超ばかだ。宗教は本来分別のある人々を、禁欲主義の修道院に送り込み、ニューヨークの超高層ビルに突っ込ませる」
アメリカでは、進化論を信じる人の割合は増えてきているが、いまだに少数派らしい。創造論を支持する人は、1980年代から2010年に入っても変わらず四割を超えているとする調査結果もある。
ドーキンスにとって、EU離脱とトランプ大統領もその不合理性の先にあるようにも見えているのかもしれない。ドーキンスも米国以外の先進国であれば、ここまで焦らずに済んでいたのではないのだろうか? -
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英国王立研究所で、電磁気学・電気化学の研究で有名なマイケル・ファラデーが1825年に始めた“クリスマス・レクチャー”において、現在最も注目される進化生物学者のひとりリチャード・ドーキンスが『宇宙で成長する』と題して、1991年から5回に亘って行ったレクチャーの内容を編集・邦訳したもの。
ドーキンスは、ダーウィンの思想的後継者とも言われる学者であるが、本レクチャーの中で、様々な実験・実例を使って、進化の問題を考える上で最も重要な以下のようなポイントについて、易しく見事に説明している。
◆現存する生物の進化のためには長い時間が必要であったが、人間にその長さがイメージできないだけで、実際にはそれに十分な時間が存在していたこと。
◆(神が世界を創造したと考える)「創造説」論者が、「神こそがデザインした」と言うようなデザインの生物(瓶のような食虫植物や小枝と見間違うようなナナフシ等)こそ、ダーウィンの「自然選択」という考え方で説明可能であること。
◆「創造説」論者が、「進化途中の中途半端な状態では役に立たない」と言う眼や翼のような機能でも、無いよりはあったほうが生存競争には有利であり、進化とは長い時間の中で幸運を僅かずつ積み重ねて、不可能と思われた山に登るのと同じであること。
また、本レクチャーのテーマである「宇宙で成長する」とは「権威や伝統や個人的な啓示ではなく、証拠とオープンな議論とに基づいた、しっかりした科学的な宇宙観というものに移行していくということを意味する。・・・「超自然的な解説」というものに逃げてしまわずに、実際宇宙がどのようになっているかを知ろうと地道に努力を積み重ねていくことを意味する」と言い、今我々が存在するこの世界が如何に驚くべき素晴らしい事実に満ち溢れているか、そしてその美しさを詳らかにするのが科学の力であることを繰り返し語っている。
訳者はあとがきで「ドーキンスの著作のエッセンスが網羅されているので、彼の世界への入門としても格好の書」とも述べている。
進化論の世界を実感として捉えられる良書。
(2015年1月了) -
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ネタバレ「利己的な遺伝子」の著者リチャード・ドーキンスが1991年に英国王立研究所で行った、子どもたちを対象とした「進化」についてのレクチャーと著者へのインタビューをまとめた一冊。進化論と科学への啓発で、分かりやすくて面白い。しかし、「私たちは、DNAがひたすら同じDNAのコピーを作るために組み立てられた機械なのです」というメッセージは、おそらくそれが事実なのだろうが、特に子どもにはショッキングな内容で、レクチャーの中でケアが必要な気がする。
このメッセージの解釈は人それぞれだと思うが、我々人間は生きる意味や目的を求めてしまう生き物である。しかし、デザイノイド(デザインされたように見える物体)である我々には、本質的には生きる意味や目的は無い。ということは、意味や目的が欲しければ、自分の意思で決めればよいのではないだろうか。生きる意味がないからといって悲観的になったり、死に急ぐ必要はない。「生きる」ということに意味はないが、「生きている」ということ自体は信じられないほどの幸運である。そうであれば、この幸運に感謝しながら、自分の意思で好きなことをすればよい。ドーキンス自身は、この幸運がどのようにしてもたらされたのか、つまり宇宙は一体どうなっているのか、生命とは何かといったことを追求する「科学」に時間を費やすのが最も有意義だと考えている。
このように解釈すれば、とりあえずショックは軽減される気がする。さて、私は何のために生きようか。
・第一章 宇宙で目を覚ます
・第二章 デザインされた物と「デザイノイド」(デザインされたように見える)物体
・第三章 「不可能な山」に登る
・第四章 紫外線の庭
・第五章 「目的」の創造
・第六章 真実を大事にする―吉成真由美インタビュー -
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「利己的な遺伝子」などの著書で知られる世界的な生物学者であり、また徹底した無神論者としても知られる著者が、「宇宙の中で進化すること」をテーマに子供たちのために行った特別レクチャーの内容を収録した講義録。
ダーウィンの進化論をベースとして、生物の遺伝子が自己複製するために、「自然選択」や「自促型共進化」と呼ばれるプロセスによって、人知を超えた長い年月をかけて、“乗り物”である生物を漸進的に進化させてきたことを、豊富な実演を取り入れた講義によって分かりやすく伝えている。
そのような進化の産物である人間の脳が、進化の時間軸でみれば“つい最近の出来事”として「目的」をもつようになり、宇宙の謎の解明に挑む一方、その想像力が生み出すテクノロジーが“諸刃の剣”となっていることに対し、著者はダーウィンの“後継者”らしく、科学的なアプローチによる真実の追求こそが解決策であると説く。決してお子様向けでは片付けられない、大人にも十分に読み応えのある良書。 -
Posted by ブクログ
電磁気学を作ったマイケル・ファラデーは1825年に英国王立研究所で「子供達のためのクリスマスレクチャー」というものを始め、これが伝統化して今日につながる。本書はそのクリスマスレクチャの1991年、「利己的な遺伝子」で有名なリチャード・ドーキンスが担当した回の内容を文字化したものである。
物質や生命の進化、特に生命の"不可能な山"を漸進的に登っていくメカニズムとその無目的性(本書ではそれを「デザインされた物」と「デザイノイド」との違いで解説している)について、子供でも分かるように多数の実例を用いて解説をしてくれている。
最終章では、人間と他の生物の違いについて特に詳しく解説し、その最大の違いは、時間軸の取り方。つまり人間以外の生物は「いま」のみを生きているが、人間は「過去・現在・未来」の時間軸を用いて活動しており、特に未来、つまり未来をシミュレートする能力において他の生物とは決定的に違うすばらしい能力であることを説いて終わりとなっている。
こういう話を聞いた子供とそうでない子供とでは、その後の生き方や好奇心の持ち方もだいぶ変わるような気がするなぁー。