ポール・タフのレビュー一覧
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私たちに何ができるのかという点では、正直具体的ではないと思う。しかし、格差社会の中で恵まれていない層にいる子どもたちを、その属性だからと諦める必要はなく、そういう目線で見て期待を持たないことこそが、子どもたちのその後の人生に影響を与えているようだということが分かった。温かいまなざしや励ましが、ここにいて良いんだという安心感や役に立っているという気持ちが、子どもを貧困や犯罪から遠ざける。できることなら政策に対して提言していければよい。仕事を通して子どもと接するのであれば、子どもへの信頼、期待を持って接すればよい。親という立場なのであれば、わが子に目線を合わせ、対話したり遊びを通して関わる時間を心
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ネタバレ先輩の先生から教えていただき読んだ。
目で見えない非認知能力の大切さや育て方についてとても参考になる一冊であった。
・非認知能力を高めるのに働きかけるべき場所は、環境である。
・3歳未満の時期こそが、発達を促す絶好のチャンス
・小さな子の言動に安定した反応をすることは小さな学習にもつながり、大切な行為である。
☆学習のための積み木
・子どもの問題行動は、ストレス反応システムの調整ができてないから起こる。
ギリできる有能感、自分がやりたいからやる自律感、期待されているという関係性の3つが内発的動機を生むために必要。
・粘り強く積極的なしなやかな心を作るには、関連する新聞の記事読ませることも有効 -
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脳の中で幼少期のストレスから最も強く影響を受けるのが前頭前皮質、つまり自分をコントロールする活動ー感情面や認知面におけるあらゆる自己調整可能において重大な役割を果たす部位である。このため、ストレスに満ちた環境で育った子供の多くが、集中することやじっと座っていること、失望から立ち直ること、指示に従うことなどに困難を覚える。
10年を貧困の中で過ごした子供は、5年の子供よりもサイモンのスコアが悪かった。実行機能の能力を阻害しているのは貧困そのものではなく、貧困に伴うストレスだったのである。
前頭前皮質は脳の他の部位よりも外からの刺激に敏感で、思春期や成人早期になっても柔軟性を保っている。もし環 -
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ネタバレ下記の点が印象に残りました。
子どもをどのように養育するかは、習慣の問題。親からどのように養育されたかで、それ以外の子育て方法を知らないから自分の子育て方法も決まってしまう。ただし、学習によって自分の子育て方法を変えることも可能。
小さい頃にコンスタントにストレスにさらされると、ストレス対応回路がバグを起こし、普通の状態でもストレスを強く感じやすくなる。
IQは自分はどういう人間かと定義されることによって影響を受けやすく、絶対的なものではない。
失敗をして、それから立ち直る方法を学ぶことが必要だが、現代では失敗そのものをすることが難しくなっている。
ヘリコプターペアレントの元で育つ子どもは、 -
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親と教師の愛情
同著者の「私たちは子どもに何ができるのか」に感銘を受け、本書も読むことにしました。その前作だけに、まとまりのなさを感じましたが、親と教師の愛情により、いかに子供の非認知能力を上げていくかがキーとなるように思えました。
著者の大学を中退した経緯や、その時の葛藤も率直に書かれており、興味深く読み進めました。
親として私自身が難しいことは、子供が失敗するかもしれない局面で遠くから見守ってあげるだけの度量を持つ事。失敗をさせる勇気。失敗を通して学ぶことの大きさを自身の経験からわかっているものの、子供に過保護になってしまうことに気付かされます。(p140)
成功へのロードマップ -
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オバマ政権も注目した、ハーレム地区の貧困に立ち向かうNPOの軌跡が分かる本。著者は、非認知能力に関する著書で名高いポール・タフだ。
プログラム創設者との5年以上にわたる対話や、貧困層に対する様々な学術的研究を基に、貧乏を抜け出すには「何が必要か」について書かれている。
私の知る日本の現状と比較すれば、当事者との関係性や早期からのサポートは、うらやましい限りだ。
事前に手厚い対策を講じることで、問題が発生しなかったことが評価される社会になってほしい、と私は願う。
その一方で、たかだか義務教育レベルのテストで良い成績をとるために、貴重な人材を総動員して子ども達に教え込む姿勢は、私には異様にう -
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ネタバレ現在、社会人1年生と大学1年生の子どもを育てました。
4月から2人とも1人暮らしです。
少し、子育てを振り返って、ブログを書いています。
この本を読んで、あ~やっぱりそうかなと思いました。
基本的には、アメリカの貧困層が通う公立学校の学力を上げるために、色々研究してきた結果を踏まえた考察の本です。
大学に行き学位をとって就職すれば、貧困層から抜け出せる。しかし、なかなかそれが難しい。
中学高校あたりで、教育を積極的に施すと、大学に入学はできるが、途中で辞めてしまう子も多い。家庭の後押しが必要。
一方、富裕層が通う学校でも、思春期に精神的な問題を抱える率が高い。
これは、「富裕な親たち -
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1)
非認知能力は「教育するもの」というより、子供を取り巻く「環境の産物」と考えた方がより正確であり有益。
逆境が乳幼児期の発達に与える影響も、中高生の非認知能力の成長が学校を中心とした環境の産物であることも科学的に証明されているそう。
2)
子どもにとって重要な「環境」とは周囲の大人たち。
一般に環境と言うと住む家など物質的なものを思い浮かべますが、大人なのです。重要なのは。
具体的には子どもがストレスを受けてる状態で周囲の子供がどう対応するかが非認知能力の伸びを左右します。
3)
子供の非認知能力の成長を左右する大人の役割は大きく分けて二つ。
①適切なサーブとリターン
幼児のアクショ -
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3万語の格差、マシュマロテスト、愛着(アタッチメント)など過去に読んだことのある検証や実験が取り上げられ、著者自身の具体的な取材内容もまとめれれており、総じて重厚感のなる内容となっていました。論じているベクトルとしては、「非認知能力」の重要性となるかと思いますが、最近手に取る教育系の書籍を統括してくれてて、個人的に新しい発見はなかったけど頭の整理にばっちりでした。
ペシミストは、不快なできごとを永続的なもの、個人的なもの、全面的なものと解釈する傾向がある(三つのP)。by 『オプティミストはなぜ成功するのか』
気質の分析に最も有効な方法は、気質を五つの要素(協調性、外向性、情緒不安定性、未 -
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読み応えのある一冊。最近非認知能力の重要性が叫ばれているが、まさに「IQ」よりも「性格の強み」がいかにその後の人生においてよい影響を及ぼすかについて書かれている。
具体的な研究結果を紐解きながら、取材した学校の教師や生徒たちの実録も記録されており、この手の本にありがちな「著者の思想(思い込み、押し付け含む)」がないためフラットな視点で読むことができた。
この本を読み、教育カードでの早期教育よりもやるべきことがあると再確認することができた。具体的なハウツーが載っているわけではないが、今後の子どもの教育にあたり知っておいてよかった。
続編(?)の「私たちに子どもに何ができるのか」も読んでみたい。 -
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ネタバレ勉強、スポーツ…どんな分野でも、成功は、家庭環境、経済力、学校や先生との相性、いろいろなことが複雑に絡んでいて、一概にどうすれば成功するとは言えないという、当たり前といえば当たり前のことを再認識した。
経済力がある子がいろいろな理由で成功する確率が高いという身もふたもない結果が出たりする一方、もちろんその環境に甘えて余計にダメになる子もいるわけで、結局、一番の要は個人の気質であり、人間形成期のその子の心を取り巻く環境なのかなと思った。
認知スキルが大切なのはもちろんだけれども、それを底上げし、発展させるのには非認知スキルが不可欠。
それは、子どもが大好きだけれども、到底うまくリードできている