大城立裕のレビュー一覧

  • 小説 琉球処分(下)

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    「琉球処分」と聞くと、沖縄戦の悲劇や基地問題と結びつけたくなる処だが、ここで描かれている事件は、未開の封建士族たちが自分達の既得権益を守るために起こした子供じみた反抗に過ぎず、琉球住民のほとんどを占める百姓階級にとっては別世界のローカルな話である。沖縄に対するヤマトの態度に共通性を見いだすことは可能だが、この事件と現代を直接結びつけるのは短絡であろう。維新で会津の受けた悲惨な仕打ちを思えば沖縄だけ特別視すべき事情はなく、特段の同情も共感も持ちえなかった。
    それとは別に明治維新の本質は斯くの如しかということもよくわかった。それは薩長士族による単なる軍事クーデターなのであって、盲目的に信奉すべきものではない。〇〇新選組とか××維新の会とか名乗る団体は全く信用ならない。

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    2021年11月28日
  • 小説 琉球処分(上)

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    知らなかった沖縄の歴史。面白かった。
    ヤマト(薩摩)と中国(明・清)の両国に属した琉球王国に対し廃藩置県に伴い国王を廃し深刻と縁を切ることを迫る新政府。採算の先延ばしをするもついに首里城を明け渡すことになる琉球。何も持たない無力な琉球。東京の政府と現地で直面する担当官との温度差。現代に尾を引く沖縄の根深い話。

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    2020年12月27日
  • 焼け跡の高校教師

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    沖縄出身者で初めて芥川賞を受賞した著者・大城立裕氏の自伝的小説。戦後占領下の沖縄、仕事に倦んで教師へと職を変え、高校生に「国語」ではなく「文学」を教えたい、という思いを・・・。現在94歳の著者が自分の一番輝いていた時と回想する。

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    2020年08月03日
  • あなた

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    他界した妻との日々を綴った「あなた」、普天間基地移設と建設会社を営む甥の立場をからめた「辺野古遠望」、同期会と若かりし頃の仲間を思う「B組会始末」「拈華微笑」「消息たち」、幼い頃のひなびた郷暮らしを描いた「御嶽の少年」の6短編が収まる。
    1編目の「あなた」は妻を思う(たぶん本人には言えなかった)夫の思いや感謝、家族の悲喜こもごもの場面が訥々と綴られ、長い年月を共にした夫婦の絆に打たれる。「B組会始末」なども遠い学生時代の仲間たちとの思い出、その後の交歓やだんだんとその仲間が鬼籍に入っていくさまが感慨を呼ぶ。
    「辺野古遠望」はちょっと煮え切らない筆致がもどかしい。沖縄初の芥川賞作家であり県職員としていろいろ見てきた人なら普天間基地移設問題に対して何らかの思いがあるだろうに、どうもものわかりのいい一歩引いたような言葉が並ぶ。身内が関係していたり現場ならではの両断できない思いがあるのも当たり前なんだけど、沖縄のオピニオンリーダーとしてバシッとしたこととか、なるほどと思えることを言ってほしかった。
    でもこれらの短編って小説だろうか。日本近代文学伝統のジメッとした私小説ってやつ? もう身辺雑記や自分史と紙一重な感じがしてしまう。

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    2019年01月02日
  • 小説 琉球処分(上)

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    明治維新直後の沖縄(琉球)の様子を小説として描いたもの。琉球の状況もさることながら、明治維新政府のやりようも窺い知ることができて興味深い。

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    2018年11月12日
  • 小説 琉球処分(下)

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    琉球が日本統合されていく様を丹念に小説ととして描いてる。士族と百姓の立場の違い、ヤマトと琉球、清国の関係など、複雑にからませて描いている。歴史認識は単純にはいかないと改めて感じた。

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    2018年11月12日
  • カクテル・パーティー

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    「亀甲墓」
    沖縄内陸への艦砲射撃が激化したことを受け
    先祖代々の墓に避難してくる一家の話
    亀甲墓と呼ばれる形態のそれは、一種のトーチカ状であり
    胎内のようでもあった
    砲弾の雨の降る中、先祖の霊から守られている気分にひたって
    捨てることのできない日常感覚へのこだわりが
    やがて彼らの首を絞めてゆく

    「棒兵隊」
    避難民の中からなんとか
    動けそうな男ばかり集めて編成された「郷土防衛隊」
    しかし武器も食料も無く
    敵の銃弾をかいくぐってする水汲みぐらいしか仕事がない
    やがて正規兵たちの不安が、スパイ探しの名を借りた内ゲバに発展する
    心ある少尉の機転で防衛隊員たちは脱出するが
    すでに戦線の崩壊した沖縄で行くあてもない

    「ニライカナイの街」
    沖縄戦を生き延びた少女が、大人になって米兵と結ばれる
    籍を入れてもらえないことに不安を感じつつも
    何が嘘で何が本当かわからないご時勢じゃ、「いま」を信じるしかない
    そんな気分が沖縄闘牛に託されてゆく

    「カクテル・パーティー」
    娘が米兵にレイプされるという事件があり
    しかも、事後に犯人を崖から突き落として怪我をさせたため
    相手から告訴を受けることになる
    父は、逆の告訴を試みるべく
    語学仲間で弁護士の中国人に相談するが
    一度はあきらめて泣き寝入りするしかなかった
    というのは
    父の信じたリベラルの理想がおためごかしで
    ある種の誤解にすぎないと思い知らされたからである
    当時、米国人と沖縄人の関係は支配者と被支配者のそれであり
    本質的に平等ということはありえない
    その冷たい現実には、父のヒューマニズムが耐え切れなかったのだ
    しかしそのヒューマニズムも崩れたとき
    父は敢えて負け戦に臨む決意をする

    「戯曲 カクテル・パーティー」
    早い話が、レイプ被害者は
    セカンドレイプを恐れることなく人権のために戦わねばならない
    という話になるんだが
    要点がなんとなく曖昧にされている印象もある
    つうか問題は
    それが娘の意思ではなく、父親の意思だっていう部分なんだよな…

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    2018年06月05日
  • 小説 琉球処分(上)

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    近代国家建設を進める明治政府に翻弄される琉球。琉球にとって日本とはどのような存在だったのか?興味深い

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    2018年03月09日
  • 小説 琉球処分(下)

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    明治維新後の琉球。日本では廃藩置県が起こり、士農工商が崩れていく。薩摩藩の付庸国だった琉球は琉球藩、やがて沖縄県となる。その過程が琉球処分。外部環境の変化の中、日本と清に挟まれた琉球の人たちはそれぞれの立場で葛藤を持ちながら身の振り方を決していく。戦争こそ起きていないものの、日本の民族主義問題が書かれてある。これが今の沖縄問題の深層には沖縄戦以前のこういった歴史も影響しているのだろう。

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    2017年01月09日
  • 小説 琉球処分(上)

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    ネタバレ

    むつかしい。

    娯楽というよりは、勉強という感じで読み進めている。

    物語の総括は、下巻のレビューに。

    ★3つ、7ポイント。
    2014.11.30.図。

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    2015年05月28日
  • 小説 琉球処分(上)

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    史実を踏まえた物語。日本と琉球は別の国だったのだなと今更ながら考えさせられた。但し、士族からの視点で書かれているので、百姓がこの琉球処分をどうとらえていたのかも知りたいものだ。

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    2013年05月28日
  • 小説 琉球処分(上)

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    元々は、1972年に出版された作品。

    菅総理が、「『琉球処分』と言う本を読んでいる」と言っていたので、読んでみました。1972年といえば、5月15日に沖縄返還がなされた年です。この作品は、それに関連して出版されたと理解できます。

    琉球処分は、過酷な経験を琉球・沖縄に課したと言う事になるのだと思います。過酷な処分自体を否定する気は毛頭ありません。しかし、小説なので話を割り引く必要があると思いますが、その根底には、“コミュニケーション不足”と言う問題があったんだなぁと言う事が、物凄くよく判りました。いや、“コミュニケーション【不足】”等と言う生やさしいものではなく、“コミュニケーション【断絶】”と言う方が適切かも。直接対話をして、やり取りをしているのに、お互いの事を表面的にしか理解していない、あるいは逆に深読みしすぎて理解出来ていないと言う事が積み重なっているんだなぁと思いましたね。

    本の帯に「沖縄問題は、すべてここから始まった」と書いてあるんですが、今の沖縄問題も、相互の“コミュニケーション【断絶】”があるのかと思われ。

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    2012年06月03日
  • 小説 琉球処分(上)

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    読むのにやたら長い時間がかかってしまった…。厚いのが2冊なうえに、話がなかなか進展しなくて、正直投げ出したくなる感じだったけど、それこそがねらいなのかともうがってしまうほど。琉球処分にあたってのヤマト役人の苛立ちの追体験をさせたいのかな、と。しかし、今の辺野古の問題は「平成の琉球処分」というあとがきにどきっとする。

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    2010年11月09日