大城立裕のレビュー一覧

  • 小説 琉球処分(下)

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    日本にとって沖縄とは何なのか?
    それは歴史から見えてくることもあるし、いやむしろ、この時と何も変わってないのだ、ということを教えられる。
    佐藤優氏の解説も有意義な、沖縄を知るための必読書。

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    2019年03月11日
  • カクテル・パーティー

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    沖縄初の芥川賞作家、大城立裕の受賞作を含む短編集。
    亀甲墓、棒兵隊といった戦時中の沖縄県民のリアルを描いた作品も、戦後の占領下の沖縄における沖縄人、アメリカ人、中国人の微妙な立ち位置、上下関係を描いたカクテルパーティーも、正直言って重い。軽い気持ちでは読めない。ただ、だからこそ沖縄の問題点が浮かび上がるんだと思う。
    普天間基地の辺野古移設問題などは、現在の状況だけで判断するのではなく、過去にこういうリアルな歴史が積み重なってきた結果の問題だということを理解する必要がある。

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    2016年08月06日
  • 小説 琉球処分(下)

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    難しい…
    琉球の事だけに限らないのかもしれないが、正解は何だったのか、どうしたらよかったのか、きっと誰にもわからないのであろう。


    知らなかったことだらけだった。
    どちらの側に立って読み進めるべきなのか、どちらの言い分もあるのではないのだろうか…
    はじめは考えながら読んでいたものの、ただ事実のみを淡々と頭の中に想像していった。

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    2016年05月18日
  • 対馬丸

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    沖縄への米軍の上陸が現実化しつつあった太平洋戦争末期の昭和19年8月、非戦闘員の九州への疎開を進めるために対馬丸は学童800人超を乗せて出航し、その航路の途中でアメリカ潜水艦の魚雷を受けて沈没しました。生き残った学童は50名余り。地上戦が予想される沖縄に「残るも地獄」、潜水艦による撃沈が予想される疎開船に乗り込む「行くも地獄」という究極の状況下で、わが子、教え子を疎開船に乗船させるのか、させないのかの判断に迷う親と教師。対馬丸出港までの状況から、魚雷を受けて沈没後、生存者が救出されるまでを辿ります。戦後70年となる今年、様々な戦争体験記が公になっていますが、本書も「戦争完遂」という大義名分の下

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    2015年04月21日
  • 小説 琉球処分(下)

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    毎年夏休みに沖縄に家族で休暇をすごしていますが
    今年たまたま、現地の博物館に行って沖縄の歴史の常設展
    を見に行きました。そこで少しだけのコーナーでしたが琉球処分
    についての展示が展示されていました。
    薩摩の圧政・第2次世界大戦での沖縄戦。普天間基地を含めた
    基地の問題。といろいろありますが、日本に力ずくで国家を
    解体されたのが琉球処分であることがよくわかりました。
    このことはもっと一般的に知られるべき内容だと思います。
    また、この琉球処分が本当に日本政府が力ずくでやったものでは
    なく。琉球の力ではない抵抗に屈してしまった結果であることを認識
    すべきだと思います。
    また、今の沖縄県と政府と米軍と

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    2013年09月25日
  • 小説 琉球処分(下)

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    後半は日本政府に対する反感が増す琉球と、同じことを繰り返し一向に進展しない交渉にいらだつ日本政府、琉球は時間をかせいで清からの援軍を期待するがその清は西洋の侵略を受けそれどころではなくなっている。悲しいのは琉球側も王朝とそれを支える士族が自分たちの立場の安泰を願うだけで百姓の見方になっていないこと。時勢が見えるものも見えないものも同じように流されていく。上巻のはじめの頃には希望に満ちていた主人公の一人与那原良朝も後半に行くにつれ諦観し、もう一人の主人公亀川盛棟は日本への帰属にやみくもに反対する頑固党を嫌悪しつつもまきこまれてしまう。
    清、西洋列強に対抗するために琉球を併合し軍を進駐させる明治政

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    2013年04月02日
  • 小説 琉球処分(上)

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    元防衛次官、守屋武昌の「普天間」交渉秘録に続いて読んだのだが琉球処分時の松田道之の姿がかぶる。政府の官僚からするとなぜこの理屈がわからぬのか、一旦受け入れたことをなぜ反古にするのかと言ういらだちが募り、琉球〜沖縄からすると日本政府の言い分はわかるがなぜ我々の言い分を少しも聞いてもらえないのかとなる。琉球政府もその中で意見が分かれている。沖縄の本土復帰の交渉についても政府と沖縄で同じ様な軋轢が有ったらしい。

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    2013年04月02日
  • 小説 琉球処分(下)

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    琉球処分とは、明治初期に日本が琉球国を軍事的に統合する過程を言う。本書はそれに関する小説である。

    読後感であるが、第一に歴史は繰り返すと言うことを改めて認識したと言うことである。普天間基地の時は守屋武昌氏をはじめとする防衛官僚が普天間移設に取り組んでいたが、この時も沖縄側は徹底した遅延戦略をとっていた。琉球処分の時も普天間の時と同じように遅延戦略をとり対応していた。結果的に琉球処分の時は力によって統合が達成されることとなった。
    第二には琉球国は完全に世界の情勢に疎く、自らの行動の論理で動いていたため、日本側の意図を掴みきれていないと言うことである。日本側は当時の国際社会のシステムであった帝国

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    2013年01月13日
  • 小説 琉球処分(下)

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    1959年の小説とは思えない新鮮さ。沖縄に様々な課題がある現代だからこそ読みたい小説だ。
    「テンペスト」を読んだ数年前。すごい小説だと思った。そしてその後の沖縄の歴史に興味を持った。
    本書は事実を小説化したものだが、まさに「その後」だ。
    日本に不信感を持ちながら、すでに傾いている清に期待をもち、結局近代化の波に飲まれて行く。
    もし、琉球が独立を保っていたら?領土問題は空恐ろしい事態になっていたかもしれない。

    「その後」のその後、沖縄はアメリカに支配される。自主独立を保てず、この百数十年が流れた。
    しかし僕たちは沖縄が好きだ。憧れだ。1ヶ月沖縄で過ごせたら夢のようだ。とても良い人たちに囲まれ、

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    2012年10月10日
  • 小説 琉球処分(下)

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    菅さんが総理の頃読んだそうです、今また政治家に読んでもらいたい。ほんの150年程前沖縄は中国と日本に両貢してた事実。下手したら中国の物になってたのかもですよ。時代の波に振り回される沖縄の原点を知る好書です。

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    2012年02月02日
  • カクテル・パーティー

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    ネタバレ

    芥川賞を取ったとはいえ、地元の作家だし余り期待してなかった。意に反し、なかなか面白かった。学生時代に読んだはずだが内容は全く記憶に残ってなくて新鮮に読めた。沖縄が改めて特異な、はなはだ特異な環境に置かされていると感じた。我々は慣れ過ぎていた。NO!を声高に発しよう

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    2011年12月23日
  • カクテル・パーティー

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    沖縄文学。1967年。芥川賞受賞。
    沖縄問題の原点がここにあるような気がする。
    芥川賞まで取っているの、あまり知られていないかも。
    穿った見方をすれば、問題点が浮き彫りになることを恐れる何者かの策略か。見せかけの「愛」の中にすっぽり覆われてしまった「差別意識」のようなものを感じる。
    沖縄をわかっているような、わかろうとしているような、それでいて、何もわかっていない、わかろうとしていない我々がいる気もする。

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    2012年07月04日
  • 普天間よ

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    戦争を異常事態でなく、日常に落とし込んで描かれた作品だと思った。

    沖縄戦を描いたものが3つ、当時を振り返ったものが3つ、今を描いたものが1つ。
    計7作の短編集。

    特に、最初と最後の「夏草」「普天間よ」が強く心を打った。

    沖縄戦は今も続いている。。

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    2011年09月14日
  • 小説 琉球処分(上)

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    教科書にはない沖縄の歴史を思い知らされる1冊。明治政府の処分官松田道之の明治国家建国に向けた官僚としての責任感及びそれに基づく役割遂行への意思に共感する一方、独立国としての誇りを持ちつつ、生存のためのプラグマティズムとして日本と支那両属国の道を選択した琉球王国の立ち位置も理解できる。両者の狭間で多くの人間が苦悩し、その苦悩の積み重ねの上に歴史が動いてきたという事実の理解なくして現在の沖縄問題は語れないと思う。そのような歴史への理解なく沖縄の人々の気持ちを弄ぶ民主党政権の罪は重いと言わざるを得ない。

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    2011年01月11日
  • 小説 琉球処分(下)

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    読むの時間かかったー。
    面白くないわけじゃないけど、少しダラダラ感があってもどかしかった。
    維新で廃藩置県になり、沖縄も日本の一つの県になるまでにこんなに時間がかかっていたのか…。

    日本からのお達しに対して、延長の嘆願をする琉球士族たち。
    延長、延長、延長、嘆願、嘆願、嘆願…逆にすごい。
    本人達はのらりくらりというつもりはないのだけど、ヤマト側からしたらかなりイライラさせられたと思う。読んでる方もちょっとイライラした。笑
    でも清国と日本との板挟みでどうすればいいのかと琉球も苦しかったんだろうな。
    沖縄についての勉強をまたひとつできて良かった。

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    2025年04月01日
  • 小説 琉球処分(上)

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    沖縄の文化や習慣が好きで今沖縄に住んでいる身として、沖縄の歴史を学んでおこうと読んでみた本。
    歴史苦手だから読みにくいかなと不安だったけど割と読みやすかった。

    何となくしか知らない琉球の歴史。
    史実を元にしてあって、ページを次々めくりたくなるようなストーリー性があるわけじゃないんだけど勉強になる。
    今の沖縄にも根強く残る内地の人間に対する差別感は、なるほどここからもきていたのか。
    ナイチャーと言われると少し悲しいんだけど、仕方ないのかもなぁと。
    琉球は武器を持つことを禁止し、武器を捨てた国と書いてあって、モンパチの曲で武力使わずみたいな歌詞があったなと思い出してこれのことだったのかと納得。

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    2025年03月22日
  • 焼け跡の高校教師

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    沖縄出身の大城立裕の自伝的小説。
    たしか芥川賞を獲った「カクテルパーティー」も、どこかにあったはずなのだが?
    ともあれ戦後すぐの沖縄の高校を、実体験できるような小説だった。先日読んだ「青い山脈」も登場して、より親近感を増す授業になり、時に一生徒になって文字を追うことができて楽しかった。

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    2024年12月07日
  • カクテル・パーティー

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    オーディブルで聴きました。

    芥川賞を取ったし、短いし、ということで選びました。
    蓋を開けると、カクテルパーティーという題名とは裏腹に、沖縄返還前、米兵に娘がレイプされ、父は訴えようとするが様々な障壁があり苦悩するという、重い内容でした。
    軽い気持ちで聴き始めたので、内容の重さに気持ちも知識もついていけなかった。負けるだろうと分かっているが、それでも裁判に挑もうとする父親の葛藤を、さらっと聞いても理解したとは思えず、中途半端な気持ちで終わりました。

    令和の今も沖縄での性的暴行事件は頻繁に起きており、平和外交のために隠ぺいしてしまおうという気質はずっと変わっていない。いつか変わる日が来るのだろ

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    2024年06月30日
  • 小説 琉球処分(下)

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    「琉球処分」と聞くと、沖縄戦の悲劇や基地問題と結びつけたくなる処だが、ここで描かれている事件は、未開の封建士族たちが自分達の既得権益を守るために起こした子供じみた反抗に過ぎず、琉球住民のほとんどを占める百姓階級にとっては別世界のローカルな話である。沖縄に対するヤマトの態度に共通性を見いだすことは可能だが、この事件と現代を直接結びつけるのは短絡であろう。維新で会津の受けた悲惨な仕打ちを思えば沖縄だけ特別視すべき事情はなく、特段の同情も共感も持ちえなかった。
    それとは別に明治維新の本質は斯くの如しかということもよくわかった。それは薩長士族による単なる軍事クーデターなのであって、盲目的に信奉すべきも

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    2021年11月28日
  • 小説 琉球処分(上)

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    知らなかった沖縄の歴史。面白かった。
    ヤマト(薩摩)と中国(明・清)の両国に属した琉球王国に対し廃藩置県に伴い国王を廃し深刻と縁を切ることを迫る新政府。採算の先延ばしをするもついに首里城を明け渡すことになる琉球。何も持たない無力な琉球。東京の政府と現地で直面する担当官との温度差。現代に尾を引く沖縄の根深い話。

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    2020年12月27日