大城立裕のレビュー一覧

  • カクテル・パーティー
    著者は中国で20歳の時に敗戦を迎え、表題作で沖縄県出身で最初の芥川賞を受賞した作家。(1967年)
    沖縄が本土へ復帰する直前に、沖縄人、日本人、中国人、米国人の4人の男性が親善という名の元欺瞞に満ちたパーティーを行う。そんな中、沖縄人の娘の米兵によるレイプ事件が起きる。 今年で沖縄が本土へ復帰して5...続きを読む
  • 小説 琉球処分(下)
    歴史において「たられば」が禁句なのは承知していても、もしこの時に琉球が清国の下に置かれていたらどうだったのかと思わずにいられない。もちろんその後の日清関係を知る身としては、琉球人の行く末はさほど変わらなかった、あるいは却って悪くなったかもしれないとも思う。日本にとって沖縄とは何なのか、本書を読んで改...続きを読む
  • 小説 琉球処分(上)
    歴史において「たられば」が禁句なのは承知していても、もしこの時に琉球が清国の下に置かれていたらどうだったのかと思わずにいられない。もちろんその後の日清関係を知る身としては、琉球人の行く末はさほど変わらなかった、あるいは却って悪くなったかもしれないとも思う。日本にとって沖縄とは何なのか、本書を読んで改...続きを読む
  • カクテル・パーティー
    < 19世紀は独立国だったと言う考え方>< 明治以前は中国の領土だったと言う考え方>とある通り
    沖縄を語る上でははずせない4人の登場人物が出てくる。琉球人、N県民、中国人、アメリカ人。

    この4人は今の沖縄で日本語と英語が混ざり合い中あえて中国語を話すと言う中国語サークルに属している。主人公である沖...続きを読む
  • 対馬丸
    一気に読みました。
    戦争終結の一年前に、疎開の子供を犠牲にするこんな痛ましいことがあったとは。
    知らないことはまだまだ多い。風化させないようにしていかなければならない。
  • 小説 琉球処分(上)
    清国の冊封体制と、薩摩による支配の両属にあった琉球から、日本の1つの県となる過程における琉球の激動を描いた良作。作者は沖縄人で、ながらく沖縄で働いているのに、これだけ客観的に描けるのはすばらしい。ともすれば、当時の祖先たちを馬鹿にしているようにも読めるが、おそらくそれは真実に近いのだろう。
    琉球処分...続きを読む
  • カクテル・パーティー
    ⚫︎受け取ったメッセージ
    国家間の争いは、個人的な感情や生き方に計り知れない大きな影を落とす。


    ⚫︎あらすじ(本概要より転載)
    米国統治下の沖縄で日本人、沖縄人、中国人、米国人の四人が繰り広げる親善パーティー。そのとき米兵による高校生レイプ事件が起こり、国際親善の欺瞞が暴露されていく――。沖縄初...続きを読む
  • 小説 琉球処分(上)

    沖縄問題の原点

    今もずっと継続し、台湾危機とも相まってより課題.緊急性が大きくなっている「沖縄問題」の原点を詳細に記述してある作品である。小説 文学作品としては、平板な会話文や単調な記述など、決して上手いものとはいえない。退屈な部類に入ってしまう。しかし描かれている内容は、日清両国の間で巧みに泳いできた国の有り様を...続きを読む
  • 小説 琉球処分(上)
    廃藩置県で琉球王国が廃された時点からストーリーがはじまる歴史小説。清との外交禁止、琉球における鎮台の設置、尚泰の上京という3つの難題を、琉球側がいかに解決するかというところまで物語が進んだ。
    本書がどこまで史実に沿っているのかは不明だが、いかんせん、琉球の役人が保身にはしりすぎている印象を受けた。表...続きを読む
  • 小説 琉球処分(下)
    明治政府の琉球を日本に併合する5年間。琉球は日本であり、廃藩置県を押し進められる。この小説に描かれていることが、現代の沖縄に至る大きな影響を与えているように感じた。歴史の一幕を学べる小説。
  • 小説 琉球処分(上)
    2022年5月15日沖縄本土復帰50周年の節目ということもあり、本書を読み始める。明治時代の黎明期 明治5年から物語が始まる。
    琉球は、当時清国と薩摩藩に両属していた。日本が明治となったことがきっかけに、清国から切り離し、日本に組み入れることを前提に政治的な駆け引きが行われた。
    日本政府と琉球との交...続きを読む
  • 小説 琉球処分(下)
    沖縄って自然と日本の一部と思ってしまうが、こういう歴史があった事は認識しないといけないと改めて思った。もちろん今の常識で当時の琉球処分を理解して良いという事ではなくて、当時は当時の空気で当時の時代背景があった中で、こういう事が起きたという事なので、それの善悪はとても判断は難しい。琉球は外交の国で武器...続きを読む
  • カクテル・パーティー
    本土復帰前のアメリカ統治下の沖縄が舞台。役所勤めの「私」は、アメリカ人のミラー、中国人の弁護士の孫、そして本土出身の新聞記者の4人で中国語の研究会をやっていた。設定が沖縄らしい。
    アメリカ人のミラーは、諜報部員で情報収集のために中国語研究会をやっていたのだった。ミラーの招待で、米軍基地の中の自宅のパ...続きを読む
  • 小説 琉球処分(上)
    面白い。あまり期待していなかったという事もあるが。一応小説なので本当にこうだったか検証のしようがないが、こういう空気だったのだろうなと想像出来る。しかし琉球のお偉方の人たちにはイライラする。それは日本側の視点で読んでしまうからなんだろう。軍隊を持たず、清と日本の両方に両属してきたとする人たちには皇民...続きを読む
  • 焼け跡の高校教師
    ~2021.07.23
    戦後の混乱期に、様々な模索をしながら、教育者として何をすべき、将来、どうあるべきか、を考えているなんて、すごい、の一言です。
    戦中、日本からの厳しいしばりがあり、そして、戦場となり多くの犠牲を払ったからこそ、内地の人よりも、自由を渇望したのであろう。熊本の闇市での会話が胸に刺...続きを読む
  • 小説 琉球処分(下)
    知らなかった沖縄の歴史。面白かった。
    ヤマト(薩摩)と中国(明・清)の両国に属した琉球王国に対し廃藩置県に伴い国王を廃し深刻と縁を切ることを迫る新政府。採算の先延ばしをするもついに首里城を明け渡すことになる琉球。何も持たない無力な琉球。東京の政府と現地で直面する担当官との温度差。現代に尾を引く沖縄の...続きを読む
  • 小説 琉球処分(下)
    日本にとって沖縄とは何なのか?
    それは歴史から見えてくることもあるし、いやむしろ、この時と何も変わってないのだ、ということを教えられる。
    佐藤優氏の解説も有意義な、沖縄を知るための必読書。
  • カクテル・パーティー
    沖縄初の芥川賞作家、大城立裕の受賞作を含む短編集。
    亀甲墓、棒兵隊といった戦時中の沖縄県民のリアルを描いた作品も、戦後の占領下の沖縄における沖縄人、アメリカ人、中国人の微妙な立ち位置、上下関係を描いたカクテルパーティーも、正直言って重い。軽い気持ちでは読めない。ただ、だからこそ沖縄の問題点が浮かび上...続きを読む
  • 小説 琉球処分(下)
    難しい…
    琉球の事だけに限らないのかもしれないが、正解は何だったのか、どうしたらよかったのか、きっと誰にもわからないのであろう。


    知らなかったことだらけだった。
    どちらの側に立って読み進めるべきなのか、どちらの言い分もあるのではないのだろうか…
    はじめは考えながら読んでいたものの、ただ事実のみ...続きを読む
  • 対馬丸
    沖縄への米軍の上陸が現実化しつつあった太平洋戦争末期の昭和19年8月、非戦闘員の九州への疎開を進めるために対馬丸は学童800人超を乗せて出航し、その航路の途中でアメリカ潜水艦の魚雷を受けて沈没しました。生き残った学童は50名余り。地上戦が予想される沖縄に「残るも地獄」、潜水艦による撃沈が予想される疎...続きを読む