藤石波矢のレビュー一覧
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「本の物語」大賞と名前が変わって第一回の大賞受賞作ということで手にとってみた。
こういう、爽やかで甘酸っぱい印象の物語を無性に読みたくなるときがあるのだ。
内容は、予想に違わず、爽やかで甘酸っぱかった。夏休み、田舎のおばあちゃんちの縁側で飲むカルピスのように。
物語の仕掛けが面白かった。最初はすっかり騙されていたので、後半で仕掛けがわかるところで思わず「あ!」と前を読みなおしてしまった。ミステリでよくあるトリックなんだけど、こういうのはやっぱり嬉しい。
中学生のパートを読みながら、「これってまんまあのアニメ映画だよな」と思っていたら、ちゃんと自分でつっこんでた。ちょっと解釈が違うぞと思ったけども。
私も、小説を書くということに関しては複雑な思いを持っているので、彼女たちの気持ちが自分のことのように思えてしまった。
登場人物の造形が、とても今風だなあと思う。
通っているシナリオ教室でこういうキャラのこういう話を書くと、たいてい「年齢のわりに幼いんじゃないかな」と言われるのだが、いやいや、やっぱりほんとにこういう感覚の人はいるじゃないの、と心強く思った。作者は男性のようだし、かつての「昭和」な人物像は必ずしも当てはまらないぞと思う。
「本の物語」だから、こういう内容なんだろうなあ。
涼風が吹き抜けたような、気持ちの良さが残った。 -
Posted by ブクログ
藤石波矢の連作ミステリ作品集『ネメシスⅡ』を読みました。
今村昌弘の『ネメシスⅠ』に続き、小説版「ネメシス」シリーズの作品です。
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連続ドラマ化
主演 広瀬すず 櫻井翔
『屍人荘の殺人』の今村昌弘に続き、第二弾を手掛けるのは『今からあなたを脅迫します』の藤石波矢。
ミステリ界気鋭の作家たちが脚本協力した本格ミステリドラマシリーズ始動!
探偵事務所ネメシスを訪れた少女の依頼は、行方不明の兄の樹を探すこと。
探偵風真と助手のアンナは、道具屋の星の力を借り、振り込め詐欺に手を染めた彼を捜索する。
しかし、ようやく見つけた樹は、血濡れたナイフと死体を前に立ち尽くしていた。
ネメシスは二転三転する真相を見抜き、彼を救うことができるのか!?
小説オリジナルストーリー「道具屋・星憲章の予定外の一日」も収録したシリーズ第二弾!
【シリーズ続々刊行!】
シリーズ第一弾:今村昌弘
シリーズ第二弾:藤石波矢
シリーズ第三弾:周木 律
シリーズ第四弾:降田 天
シリーズ第五弾:藤石波矢
シリーズ第六弾:青崎有吾/松澤くれは
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連続テレビドラマ『ネメシス』の第2話の脚本協力として書き下ろした作品と、そのキャラクターをもとにしたスピンオフ小説を収録して2021年(令和3年)刊行された、小説版「ネメシス」シリーズの第2作です。
■HIPHOPは涙の後に
■道具屋・星憲章の予定外の一日
探偵事務所ネメシスを訪れた少女の依頼は、振り込め詐欺に手を染めた兄を探すこと……『道具屋・星憲章の予定外の一日』も収録したシ第2弾!
一冊ごとに作者が変わるのに、物語は途切れず、キャラクターもそのまま……作者が変わることで物語のイメージが変わるとイヤだな と思っていたのですが、語り口のリズムや人物の呼吸が前作から自然に続いており、その心配は杞憂でしたね、、、
連作ミステリとしての積み重ねがしっかり効いていて、各話は独立して楽しめる短篇の形式を取りながら、シリーズ全体の流れは着実に前へ進む印象……キャラクターの関係性や過去の出来事がさりげなく影を落とし、この世界は連続して動いている という心地よい連続性を感じられました。
トップの店長から、かけ子、受け子、出し子等の末端まで明確に役割分担された詐欺グループの組織的による、振り込め詐欺 という現代において社会問題となっている犯罪を扱っていることも印象的でした……また、キャラクターの感情の揺れや、事件の裏に潜む人間の弱さが丁寧に描かれており、短篇でありながら読後感は意外と深かったですね、、、
シリーズものの連作ミステリは、作者交代によって空気のズレが生まれやすいのですが、本作はその不安を感じさせず、むしろ、複数の作家が同じ世界を紡ぐことで、物語に多層的な奥行きが生まれているように感じましたね……次巻でどのように物語が広がっていくのか、期待が自然と高まります。 -
Posted by ブクログ
初めて出会い、事件解決までの12年間に手掛けた事件の回想を電話で行う2人(探偵と警察兼助手)、刀根&田坂の会話でストーリーが展開していく文章構成!
自然な会話の流れでスルスルと読めて、サラッと終わってしまう感じか、と思ったら最後にまさかの展開!
読みやすい文章構成で誰でもとっつきやすい様にしてるんだな、と思いきや、最後になればこの構成に上手く騙されていた!?と気づく感じがとても楽しいストーリーでした。
個人的にこれは衝撃を得られるミステリーと言うよりは、してやられた感を味わえる技巧派ミステリーだなと感じました!
最後の1文まで楽しんで欲しいですね! -
Posted by ブクログ
高校生の時に出会った美しい探偵・刀根美聖。彼女に魅せられ、助手として支えた十二年間。
全てが解決したかに思われた今夜、俺は彼女と長い長い電話をする。
探偵と探偵助手が、二人で追った四つの事件を電話で振り返る話です。全編が電話越しのミステリになっていて、物語のはじめから終わりまで、ずっと電話で繋がっており、会話と回想で構成されています。
ユニークな作りで面白い。ですが、オチはミステリを読み慣れている人だと想像がつきやすいかも。
すごーく綺麗に表現すれば、ある探偵助手の、十二年間に及ぶ献身と恋の物語。
真実もそんな美しいものだったら良かったんですけどね。